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前回、自分の身体のイメージと、実際の身体との間にズレが生じることがある、という話を書きました。下り坂を走っていて、スピードをコントロールできずに転んでしまった経験です。「これくらいなら走れるだろう」と思っていたのに、実際には身体を制御しきれませんでした。この経験を振り返っていて、もう一つ考えたことがあります。それは、身体を動かすことと、身体の動きを制御することは、同じではない、ということです。走るとき、私たちは脚を前に出します。でも、走るという動作はそれだけでは成り立ちません。身体を
小学生サッカー選手のトレーニングスプリントの加速局面の動きづくりを段階的に計画的に行っています。写真はもも上げ地面からの反発を感じてリズミカルにがテーマ走るという動作もポイントをおさえて繰り返し行わなければなりません。そしてせっかく覚えても翌日忘れているってことは当たり前のようにあります。忘れてもまた繰り返すことで忘れるまでの時間は長くなり、次第に忘れなくなり動きが定着します。運動もエビングハウスの忘却曲線のように放置すると忘れます。繰り返し反復するこ
今年、私はよく怪我をしています。その中の一つに、今思い返しても「なぜあそこで転んだんだろう」と思うものがあります。走っていたときのことです。下り坂だったので、自然とスピードがついていました。「このくらいなら走れるだろう」と思って、そのまま走っていたのですが、だんだんスピードをコントロールできなくなってきました。「あれ、無理かも」そう思ったときには、もう遅い。そのまま転びました。笑考えてみれば、昔ならもう少し速いスピードでも身体がついてきたはずです。そして、「これは無理だ」と思
前回、痛みがなくなったあとも、「身体の状態」と「身体についての予測」は必ずしも同時には変わらない、という話をしました。痛みが引いても、「また痛くなるかもしれない」と感じることがあります。では、そもそも私たちは、どうやって「今、自分の身体はこういう状態にある」「この動きなら大丈夫」と知っているのでしょうか。私たちは、いつも身体を目で確かめながら動いているわけではありません。目を閉じていても自分の手がどこにあるのか分かりますし、背中がかゆいときは、見えなくてもちゃんとかゆいところに手が届
前回、痛みが消えたあとも、「身体の状態」と「身体についての予測」は、必ずしも同時に変化するわけではない、という話をしました。今回は、その予測がどのように少しずつ変わっていくのかを考えてみます。痛みを経験したあとは、動きが慎重になります。これは身体を守るための自然な反応です。一度痛みを経験したのであれば、「次は同じことが起きないようにしよう」という予測が生まれるのも、ある意味では合理的です。だから、「痛みがなくなったのだから、もう普通に動きましょう」と言葉で伝えられただけでは、すぐに以前と
先日痛めた腰も、すっかりよくなりました。でも、ふと思ったのです。痛みがなくなったら、身体の中の「痛い」という予測も、すぐになくなるのでしょうか。普段、私たちはあまり自分の身体のことを意識していません。歩くときに、「今、右足を何度動かそう」「膝は何度曲げよう」などと考えることはありません。自分の身体がどこにあって、どのくらい動かせて、どのように動けばよいのか。そうしたことを、私たちはある程度「分かっている」からです。ところが、痛みが出ると状況が変わります。腰が痛くなると、「前に曲
先週、犬を制止しようとして起こった急性腰痛のその後。それから数日、自分の身体の状態を観察しながら過ごしました。腰まわりを必要以上に固めないこと、姿勢を支える筋が働く感覚を取り戻すこと。そのふたつを意識していただけです。すると、痛みは思っていたよりも早く、翌日にはほとんど気にならないほどまで軽くなっていました。もちろん、「この対応をしたから治った」とは言えません。急性腰痛は、時間の経過とともに自然に軽快することも多いからです。ただ、今回あらためて感じたのは、痛みがあったからこそ、自分の身体
昨日、犬をとっさに止めようとして、腰をひねりました。その瞬間、腰に痛みが走りました。「あ、やってしまった」そう思ったのですが、そこで少し面白いことが起きました。痛みが出た途端、身体の動き方が変わったのです。腰をかがめない。動きを小さくする。腰まわりに力を入れて、身体を安定させる。無意識のうちに、そんな動き方を選んでいました。以前の投稿で、「身体はその時々の条件の中で、うまくいく方法を探している」という話を書きました。今回の私の身体も、まさにそれをしているように感じました。今
先週末のUFC中国大会、鶴屋玲選手と朝倉海選手の圧倒的な強さと勝利には興奮させられました。トップアスリートの躍動は、見る者に大きな感動とエネルギーを与えてくれます。心理学や運動学習の分野において、優れたモデルの動きを見て自分の身体で再現する「モデリング(観察学習)」は、スキルを最速で習得するための強力な手法です。本日は、朝倉海選手がKOの決め手とした「右ストレートからの左キック」にフォーカス。右からの滑らかな切り返しは、ハイキック以外への応用も効く非常に合理的なコンビネーションです。「すごい
今日は整形外来と、病院で急性期と外来を兼務している方が受講してくれました。困っている症例をあげてもらって、具体的な方法を提案するスタイルのワークショップですが、頸部骨折、腰痛、凍結肩などに対してそれぞれの病期で、どうしたら効率的に結果が出せるかを追求山武コンディショニングのスペースの都合上、少人数の定員ですが、少人数ならではの’濃い’フィードバックができるのはアドバンテージですね!PNFパターン、PNFテクニックあり、N.A.P.のアクションマッサージあり、運動学習、可塑性などなど盛りだ
前回は、「客観的に測れる良さ」と「本人にしか分からない良さ」が、必ずしも一致しないことについて書きました。そして、その一致しなさこそが、身体の学習の入り口になるのではないか、というところまで話しました。今回は、そのズレがどのように学習につながり、ピラティスの現場でどう活かせるのかを考えてみたいと思います。身体は、動く前に「こうなるだろう」と予測しています。そして実際に動いてみると、関節の動きや筋肉の張り、床から伝わる感覚、呼吸のしやすさなど、さまざまな情報が返ってきます。そこで
「こっちの方が楽なんです」指導の場面で、こう言われたことがある人は少なくないと思います。教科書的には整っているはずの姿勢や動きよりも、本人が「楽だ」と感じる方が、しっくりくる時があります。「良い動き」とは、そもそも誰が決めるものなのでしょうか。姿勢の左右対称性や、筋活動や力の伝達効率など、動きの質を客観的に評価することはできます。だからこそ、「客観的に良い動き」の指標として扱われやすい。ただ、ここで少し立ち止まっておきたいのは、この「客観的な正しさ」がそのまま「その人に
前回まで、身体は「正解」を目指しているのではなく、その時々の条件の中でうまくいく解を探している、という話をしてきました。では、その解はどうやって変わっていくのでしょうか。今回は、少し具体的な例から考えてみたいと思います。慢性的な腰の痛みを抱えている人が、腰をなるべく動かさないようにして生活していることがあります。これは、決して不合理な行動ではありません。腰を動かすと痛みが出る。動かさなければ痛みは増えない→だから動かさないその時点では、これはかなり筋の通った戦略です。身体
このブログは、「正しいピラティス」を伝えるためのものではありません。私が20年以上ピラティスを学び、指導する中で見えてきたこと、感じてきたことを、一人の指導者として綴っています。身体に絶対の正解はありません。だからこそ、問い続け、学び続けることを大切にしています。「わかる」より、まず動く——身体は動きながら学んでいくレッスンをしていると、「わかりました」「なるほど!」「そういうことなんですね」と言っていただくことがあります。もちろん、説明を理解することは大切です。でも私は
しゃがむ基本ポジションいざしゃがませようとすると、上半身が極端に前に倒れてしまったり、すぐにバランスを崩して尻もちをついたりするお子さんを見たことはありませんか。正しいしゃがみ込み動作では、股関節を曲げながら、お尻を後方へ引きます。背中が丸まりすぎないように、股関節からしっかり曲げることが大切です。しかし股関節の引き込み方や体幹のバランスが掴めていないと、安定した姿勢でしゃがむことが難しくなります。スポーツ医学では、目印や外部からのフィードバックを活用することは、正しい動きを学ぶ
ダンスの練習にどんなアプリを使っていますか?今日はご報告があります。ダンス練習アプリ『MoveMaster(ムーブマスター)』のiPhone版を、本日8月4日にリリースしました!🎉ここまで本当に長い道のりでした。「こんな機能があったら、もっと効率よく練習できるのに。」ダンスを続ける中で何度もそう感じ、自分自身が欲しいと思えるアプリを形にしたいという思いから開発を始めました。平日の夜や休日を使って少しずつ開発を進め、何度も作り直し、テストを繰り返しなが
「先生、こういう姿勢は悪いんですよね。」そう言われることがあります。猫背、反り腰、肩が上がる……身体に何か不調があると、私たちはつい「悪い姿勢だから」と考えがちです。でも最近は、少し違う見方をするようになりました。身体は本当に、間違った姿勢を選んでいるのでしょうか。身体は、何もしないで姿勢を決めているわけではありません。立っていること、呼吸していること、痛みを避けること、転ばないようにすること、目で周囲を見ること。身体は、たくさんの条件を同時に満たそうとしています。つまりその姿勢は、その時
車を運転するときのことを思い浮かべてみてください。アクセルを踏むたびに「今日は13mm踏もう」と考えている人は、ほとんどいないと思います。考えているのは「もう少し加速したい」「前の車との距離を保ちたい」「坂道だから少し踏み足そう」、そんなことではないでしょうか。アクセルを何ミリ踏むかは目的ではありません。目的を達成するために、身体が自然に調整している結果です。そして、その調整は一度覚えたら終わりではありません。前の車が減速すればアクセルを戻し、坂道になれば少し踏み込み、雨の日にはいつもより
利き手のスイッチを支える脳内メカニズムを解明―脳半球間のアセチルコリンバランスが利き手のスイッチを制御―順天堂大学大学院医学研究科脳回路形態学の岡本和樹非常勤助教、日置寛之教授らの研究グループは、マウスにおいて利き手(利き前肢)を安定的に切り替える行動モデルを確立し、その成立に脳半球間のアセチルコリン*¹活動の一時的な左右差が重要であることを明らかにしました。本研究は、利き手の可塑(かそ)性を支える神経基盤の理解に新たな知見をもたらすものであり、脳の左右差形成や運動学習の仕組みの解明につ
このブログは、「正しいピラティス」を伝えるためのものではありません。私が20年以上ピラティスを学び、指導する中で見えてきたこと、感じてきたことを、一人の指導者として綴っています。身体に絶対の正解はありません。だからこそ、問い続け、学び続けることを大切にしています。人は、なぜ動きを変えられないのか。―運動学習から考えるピラティス指導―インストラクターを養成していると、いつも感じることがあります。「理解していること」と「できること」は、まったく別だということです。例えば養成コ
友達と触れ合えない学校の先生には休んでいただいて有志による見守りでエアコンの効いた体育館で合宿を学年ごとやクラスごとで体育館の広さを考慮して人員を決める運動学習塾頼みにせずに一箇所で電気代節約家で過ごす大人も各自でエアコン使用せずに集会所で皆で涼む守りではなく節電第一に攻めの暑さ対策を!
コップに水を注ぐところを想像してみてください。空のコップは軽く、水が入るにつれて少しずつ重くなっていきます。もし最初とまったく同じ力で持ち続けていたら、最後には腕が下がったり、コップを傾けてしまったりするかもしれません。私たちはそんなことを意識しているわけではありません。水が増えるのに合わせて、手や腕の力を少しずつ調整しています。つまり身体は、「同じこと」をしているように見えて、実は変化する状況に合わせて動きを変え続けているのです。これは、上達について考えるときにも大切な視点だと思います。
ピラティスをしていると、「この動きで合っていますか?」と聞かれることがあります。とても自然な質問です。けれど私は、そのたびに少し考えます。身体の動きに、本当に「正解」はあるのでしょうか。私はむしろ、身体は正解を覚えるよりも、答えを探索するようにできているのではないかと思っています。私たちは勉強をするとき、正しい答えを覚えます。数学には答えがあり、漢字には正しい書き方があります。だから身体も、「正しい動きを教わって、それを覚えればいい」と思いやすいのかもしれません。でも身体は、少し違う学び方
ピラティスの指導をしていると、ときどき子どもの頃に読んだ「北風と太陽」の寓話を思い出します。北風が強く吹くほど旅人はコートを握りしめ、太陽が静かに照らすと旅人は自分からコートを脱いだ。身体を学ぶことや、身体を教えることも、少し似ているように感じます。私たちはつい、「こう動いてください」「そこは違います」「もっと力を抜いて」と、正しい動きを伝えたくなります。もちろん、言葉が必要な場面はあります。けれど最近は、それだけでは身体は変わらないのだと思うようになりました。身体は、説明を聞いて変わると
バレーボールの話です。息子が一日バレーボールの練習をしてきました。一日と言っても今日はさまざまなことをやり、普通の一日練習というのとは違う形。移動も何回もあり、拘束時間で言うと11時間ほど。珍しくふくらはぎが疲れた、ちょっとツったとのこと。良かった良かった。たまには足がツるくらい練習しないといけません。疲れてからが練習です。疲れるまでは準備運動です。昭和な私はよく息子に言います。スルーされますがw科学的な根拠とかスポーツバイオメカニクスや運動学習理論とか、上手く・強く
前回、身体は感覚を通じて動きを学習する、そして、ピラティスのマシンは、その感覚に気づきやすい環境をつくってくれる、という話でした。では、同じ環境で動いていても、学習が進むときと進まないときがあるのはなぜでしょうか。その違いの一つは、どんな情報を手がかりに、自分の動きを確かめているかにあるのかもしれません。私たちは動く前に、無意識のうちに「こう動けば、こう感じるだろう」という予測を立てています。そして実際に動いてみると、身体にはさまざまな感覚が返ってきます。床から伝わる反力、スプリング
前回の記事で紹介した研究では、自分で動かしていない指の運動から、ピアニストの演奏能力が向上していました。その鍵になっていたのは、感覚です。動きを感じることが、学習につながっていたのです。では、その感覚を得やすくする方法はあるのでしょうか。実はこの問いは、ピラティスが長く大切にしてきたテーマとも重なります。ピラティスでは、ただ形を真似ることよりも、「今、身体で何が起きているか」に気づきながら動くことを大切にします。これはawareness(気づき)と呼ばれています。なぜ気づきが大切なの
「山武・結果を出す勉強会」に引き続き第2弾!山武PNFワークショップを計画しました。7月19日(日)が第1回になります。PTOTSTネットで検索お願いします!結果を出したい人の勉強会がいい感じだったのですが、これはPNF概念に特化したものではありません。細かい技術的なフィードバックをしながら感じたのは、やはりPTも運動学習を進めないとお金をとれる技術は身につかないだろうということです。「IPNFA®の認定コースを受けました。半年経ったから、そろそろレベル3を受けてみようかなー。」では、いつ
小学生サッカー選手のトレーニングジャンプ力向上が現在のテーマです。股関節がうまく使えずに膝から下で地面をひっ掻くような癖があり抱え込みジャンプ(タックジャンプ)に取り組んでいます。試行錯誤、工夫しながらいろいろ試して跳んでいます。今回は少し目先を変えてトランポリンで最初は全く跳べていませんでしたが、突然コツを掴んだようでリズミカルに跳べるようにタックジャンプ動作も掴んできています。条件を変えることで感覚も変わります。今後もいろんな条件を変化させてどんな
私たちはつい、「動きは、自分で動くことで学ぶ」と思っています。確かにそれは間違いではありません。けれど身体は、ときどき私たちの予想とは違う方法で学習します。前回紹介したピアニストの研究では、自分では動かしていないのに、演奏能力の向上が起こりました。筋力がついたわけでもなく、自分で練習したわけでもない。それなのに、演奏は上達した。なぜそんなことが起きたのでしょうか。その答えの一つが、感覚フィードバックにあります。指を受動的に動かされるとき、私たちは「動かそうとしている」わけではありませ