ブログ記事436件
元警察犬のジャーマンシェパード、シャルロット。日常の事件解決は彼女におまかせ……?!本作は6篇の連作。王子様のようなトイプードルやラブラドゥードル(ラブラドールとスタンダードプードルのミックス)の仔犬に翻弄されるシャルロットの姿がかわいい。私は犬を飼ったことがないので詳しくないが、大型犬は寿命が小型犬よりも短いことに驚いた。大型と小型は逆かと思っていた。シャルロットはもう7歳。シニアの域で、残された時間が長いとはいえない。このことが本作の中でも何度か話される。(だから犬なん
『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に一度だけ「抹茶カフェ」を開いた。一杯の抹茶から始まる東京と京都を繋ぐ12ヶ月。12のお話から成る連作短編集です。何気ない会話の中に素敵な言葉が散りばめられていて、前向きな気持にさせてくれます。そして心が癒されます。素敵な出会いが人と人を繋いて今がある。1年ぶりの再会に胸が熱くなりました。
『東京ハイダウェイ』古内一絵ハイダウェイ、初耳でした隠れ家なんて素敵私にも必要です!連作短編集でそれぞれになんだか生きづらさを感じている人たちが出てきて、私はちょっと引き気味に私って読書で現実逃避したいのかもついつい自分と重ね合わせて悲しくなったり辛くなったりしてしまいます。「タイギシン」はいじめられている高校生がボクシングに出会ってトレーニングすることに『はじめの一歩』を思い出して気持ちはちょっと上昇いじめる方にも事情があるのはわかりましたが、私としては怒りしか感じません自
辻堂ゆめさんの『答えは市役所3階に2020心の相談室』を読みました。2022年にミステリー小説専門雑誌「ジャーロ」に掲載された連作短編を集めたもので、全5話。コロナ禍で思いがけない困難に遭遇した市民の一助となるべく、市役所が開設した「2020心の相談室」にやってくる問題を抱えた人々と、相談に応じるふたりのカウンセラーの物語です。読んだのはこの本答えは市役所3階に2020心の相談室[辻堂ゆめ]楽天市場${EVENT_LABEL_01_TEXT}楽天市
★★★★「おしゃべりなレジ係」「小さな左手」「気をつけてください!」「なわとびの入り方」「不機嫌おじさん」5話収録の連作短編集。それぞれの物語に共通して登場するのはスーパーマーケット。子どもが手を離れ再就職を決意するも、就職活動が思うように行かない主婦の話から始まりザ・昭和の男まで、5話の物語は変化に富んでいて面白い。1話のポップな展開に油断していると、2話以降は一気に不穏な空気が立ち込める。真下さんが描くヒリヒリ感は健在。人と人とが触れ合う事で生まれる感情を救
表紙を見て読みたい読みたいと気になっていた本です!少年と犬(文春文庫)Amazon(アマゾン)少年と犬Amazon(アマゾン)犬が出てくるのって悲しいおはなしに決まってる…うーどうしようかな…と迷いもしたけど犬大好きの私は読まきゃと連作短編集はじめから泣いてしまって犬は何のために南へ向かおうとしているのか?その道すがら出逢った人に寄り添い命を看取る。まるでその犬が死神?そう思ったが読んで行くうちになんとなく犬がたまたま死を嗅ぎ取りその人の側に寄
先日『六色の蛹』(櫻田智也)を読んだ。昆虫が大好きな魞沢泉(えりさわせん)が主人公のシリーズ。今までより、少し多めに感情移入してしまう、せつなくて、それでいて優しい物語。あらすじは公式サイトから引用。昆虫好きの心優しい青年・魞沢泉。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しが
探偵は甘すぎる総ページ数182p/¥10009月の文学フリマ札幌に向けて、友人の守屋SHIGE美さんに声をかけてもらい、始まった連作短編企画。いちから一緒に世界観もキャラも作り上げて書き綴った探偵小説ができあがりました。これはテンションあがります!久々の紙に刷られた同人誌です、わくわくです。装丁に凝るSHIGE姐さんのおかげで、ハヤカワポケットミステリー風のステキな見栄え。厚みも文字数が当初予定の5倍とあって、1センチ超えてます。なお9/3現在、SHIGE姐さんのBOOTHで期間
おはようございますいろいろなことがあり疲れてしまったので今日はゴロゴロ&ウダウダしようと思います農ライフもおじいちゃんちの片付けもしないゾーゆっくり休むのが苦手な性分ですが休む努力をしますそう言いながらも今朝の収穫、スモークツリーの誘引、ズッキーニの支柱たて直し済ませました久しぶりの読書記事ですちょっと前に読んだ本ですが投稿するタイミングを逃していましたこちらはマーニさんご紹介の本です『これからの誕生日』穂高明バス事故で一人の少女だけが助か
BOOKデータベースより「奔放な実母・咲子とも、二度目の結婚でさずかった娘とも生き別れた塚本千春という女。昭和から平成へと移りゆく時代、血縁にとらわれず、北の大地をさすらう千春は、やがて現代詩の賞を受け、作家を夢見るが……。千春の数奇な生と性、彼女と関わる人々が抱えた闇と光を、研ぎ澄まされた筆致で炙り出す。桜木ワールドの魅力を凝縮した、珠玉の九編。松田哲夫氏(編集者・書評家)激賞!『一人一人の命が星のように光っている。その輝きを「物語」に結実させたエンディングの鮮やかさは見事!
『財布は踊る』原田ひ香生活費を切り詰めて夫と息子と共にハワイに行ったみづほ。念願のルイヴィトンの長財布を手に入れたが、帰国後夫の借金がわかり手放すことになってしまった。このイニシャル入りのヴィトンの財布がいろんな人の手に渡っていきます。財布を手にした人たちの人生が描かれた連作短編集です。みんなお金に困っていて、なんとかして今の生活から抜け出したいと思っているがなかなか上手くいかない。そんな時手を差し伸べる人が・・・。いい人もいれば悪い人も。
青山美智子さんの「木曜日にはココアを」の続編、「月曜日の抹茶カフェ」を早速読みました。出てくる登場人物に次々とスポット当てていけて、それを短編でまとめられるなんて、凄すぎませんか。日常とか人物のキリトリ方がうまいなぁと。こんなに老若男女、性別年齢問わず色々な人の気持ちや立場を描ける方って、どんな方なんだろう。人に寄り添えて、人の気持ちも想像できて、めちゃくちゃ人間ができてる人か、人生8回目とかか。と、作者の青山さん自身について気になってしまいました笑もちろん、ストーリーもよかったで
連作短編集です。「映人」と呼ばれる人に会うことができると、自分の過去の1日を再上映(リバイバル)することができるという。辻村深月さんの「ツナグ」に似ています。最初の3篇は、それぞれの登場人物の過去を再上映され、過去と向き合い、自分の過去の解釈を新たにし、認識をあらたにするというお話で、それぞれに読ませる内容です。特に私がヒットしたのは、3話目の男性。自分が一番輝いていたと思われる高校生時代の文化祭に戻りたいと願い、実際に再上映します。ところが、歳を重ねた自分が冷静に当時を振り
小さなカフェで出される世界中のおいしそうなスイーツや飲み物が気になりつつ‥日常の小さな謎解きが楽しい連作短編集三十代独身で一人暮らしの自分の現状に居心地のよさと悪さを同時に感じながら過ごしている瑛子たまたま訪れた小さなカフェとの出会いでちょっとした日々の問題や疑問トラブルなどがカフェを通して解決に向かったり気づきをもらったり•••とっても読みやすくて優しく心地よいストーリーです文字だけなのに作中のスイーツや飲み物がすごくおいしそうで頭の中でキラキラしてきます
処方箋のないクリニック(小学館文庫)Amazon(アマゾン)連作短編集。とても面白かった。病院のそばの古びた建物で、患者や家族のよろず相談にのる、変わり者の医師と看護師。現代医療に不信感をもって、あやしげなサプリや民間医療にはまる人たち。この小説で描かれるのは、ハートフルな、小説でしか存在しないだろう素敵な診察室だ。夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)Amazon(アマゾン)9人の医師作家による短篇集。一編
岩井圭也さんは、7月に初めて「最後の鑑定人」を読み、「永遠についての証明」、本作と早くも3作目です。過去の経験を通して、付添人(少年犯罪において弁護人の役割を担う人)の仕事に就いたオボロ。彼に舞い込む依頼の先では、簡単には心を開かない、声を上げる方法すら分からない子どもたちが、心の叫びを胸に押し込め生き延びていた。オボロは、彼らの心に向き合い寄り添う中で、彼らとともに人生を模索していく――。(出版社紹介文より)少年審判における付添人という言葉を初めて知りました。成人の場合
こんにちは❗❗ご覧頂きありがとうございます。いいね👍励みになります。久しぶりに原田ひ香さん読みました📚まずはこれ食べて池内胡雪は多忙なベンチャー企業で働く三十歳。不規則な生活で食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。そんな状況を改善しようと、社長は会社に家政婦を雇うことに。やってきた家政婦の筧みのりは無愛想だったが、いつも心がほっとするご飯を作ってくれてーー。現代社会の疲れを癒す、美味しい連作短編集。何となく原田ひ香さんは苦手意識があり、お金の本を
先日『春休みに出会った探偵は』(大崎梢)を読んだ。世の中は夏休み。しかもお盆休みの人もいるかもしれない。そんな季節に春休みの物語を読んでみた。最初に言っておこう。涼しくはなれないよ(ぼそあらすじは公式サイトから引用。中学2年生の花南子は、父親の海外勤務によって春休みから一人暮らしを始める。その場所は曽祖母の五月さんが経営するアパート「さつきハイツ」。その矢先、五月さんがぎっくり腰で入院、心細い花南子のもとに宛先不明の謎の封書が届く。同級生男子とともに
こんにちは❗❗ご覧頂きありがとうございます。いいね👍励みになります。図書館で本格的に本📚を借りるようになったきっかけの本📚お邪魔してるブログで絶対に読みたいと思った1冊本です。千加野あいさん初読み作家さん。どうしょうもなくさみしい夜に世界に自分しかいないんじゃないかって夜も、そばにいるよ。高校入学前の春休み、セックスワークで生計を立て、ひとりで僕を育ててくれた母が、突然「結婚したい」と言い出した。それを聞いた僕は、元風俗嬢と噂される先生のもとへ……。肌を合わせることは、
アントニオ・タブッキの短編連作集『夢のなかの夢』を読了しました。著者のタブッキは、イタロ・カルヴィーノ、ウンベルト・エーコと並んで、20世紀イタリアを代表する作家です。1943年にイタリアで生まれて、2012年にポルトガルで亡くなりました。ポルトガルは、妻の故郷であり、晩年のタブッキは、ほとんどパリとリスボンで暮らしていました。イタリアに蔓延した大衆迎合型政治を嫌っていました(ベルルスコーニ元首相の政治のようなものに対する忌避感です)。現代におけるもっともヨーロッパ的な作家といわれてい
先日『密室法典』(五十嵐律人)を読んだ。久しぶりの五十嵐律人さんの本。今回も謎あり、法律もありのお話。あらすじは公式サイトから引用。霞山大学の法学部から、同大学のロースクールへと無事に進学した古城行成。古城が運営する「無料法律相談所」(通称「無法律」)は、自称助手の経済学部四年、戸賀夏倫と、法学部四年、矢野綾芽を交わえ、持ち込まれた法律が関わる事件を解決する自主ゼミである。密室状況にある模擬法廷の証言台の前で、恐竜の着ぐるみが倒れていた監禁事件、2通の遺言書を作成し
今日の本。お話しは。ある医療事故をきっかけに都心の大病院を飛び出した女医・菜々子は、兄が経営する東京近郊の個人病院で働き始める。それから間もなく、中学時代の同級生に誘われ地元の市民会館で、ステージに立つ出演者たちの医療サポートを請け負うことになってしまう……現役の医者が身近な設定で、現代の超高齢社会と高度医療のありようを直視する連作短編集。医師でもある南杏子さん。映画化された作品を読んだのがきっかけです。今回も医師目線での作品。医師も人間。でもたった一言でその人の人生を変えてしま
10作以上読んで記事を書いた作家さんは、お気に入り作家として「お気に入り作家のベスト3」という記事を書いています。乃南アサさんについても11作読んで記事を書いていて、そろそろベスト3をと考えているのですが・・・乃南さんの代表作と言うとやはり、直木賞作「凍える牙」をはじめとする女刑事音道貴子シリーズや、「風紋」「晩鐘」「涙」などの重厚な人間ドラマは外せません。これらはブログを始める前に読んでいて記事にしていないので、いくつか再読してからベスト3記事を書くことにします。まず
横山秀夫さんの『第三の時効』を昨日再読し終わりましたので今日はその感想を書いて行きたいと思います🧏♂️🎵『第三の時効』はF県警捜査第一課強行犯に所属する刑事達の活躍を描いた六編を収録した連作警察小説短編集です👮♂️📕そして『第三の時効』で主人公となるのが捜査一係班長の朽木泰正と捜査三係班長の村瀬透です✨👮特に捜査一係班長の朽木泰正は過去の事件の経験から「絶対に笑わない男🤣」として描かれていて、自分が俳優だったら演じてみたいクールで捜査指揮官・能力共に長けた刑事ですね🤗『第三の時効』に収
『その日のまえに』重松清生と死、そして家族の幸福の意味を問う『その日のまえに』重松清|文春文庫(bunshun.jp)いやー、迂闊にもほぼ毎日、通勤電車の中でつーと涙を一筋流しながら読了情緒不安定な怪しいおばさんだと思われてたに違いない重松清さんて、こんなやわらかくて温かい物語を紡ぐ人だったのね短編連作集で、登場人物が病院でつながっていくのがとても切なく哀しくタイトルから、なんとなく内容は予想していたし、そうならないことを願いながら読み続けたけど、やっぱ
★★★★「罪の花」「路側帯の亡霊」「見えない毒」「神は殺さない」四話収録の連作短編集で『最後の鑑定人』に続くシリーズ第二弾にして前日譚。時代が遡ろうと土門誠の軸はぶれていない。前作では民間の鑑定所で様々な依頼を科学の力で解決していく姿が描かれていたが、本作では、それ以前の科捜研の若きエース時代が明らかになる。遺体に残された証拠を元に、嘘を暴き真実を突き止める。『科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です』最終話を読むと、土門誠のこの言葉が胸に迫り、悲しみ
★★★六話収録の連作短編集。多種多様な料理を扱うレストランのオーナーシェフと、ビーバーイーツの配達員が六つの謎を紐解いて行く。各話のタイトルからユーモアミステリを想像していたが、読み進めて行くと不穏さが増しブラックな結末に震える。シェフとは名ばかりのオーナーの掴みどころのなさが恐ろしい。配達員に情報を運ばせ、安楽椅子探偵のシェフが華麗に真実を見極める手腕は鮮やか。このゴーストレストランに足を踏み入れたら最後。万が一にも内容を口外すれば地獄が待っている。もし身近に姿を消
篠崎駅徒歩20分、旧江戸川の土手沿い(行徳可動堰付近)にあるアパート「ベルジェ江戸川」。2階建全4室のアパート「ベルジュ江戸川」の各室で暮らす4人それぞれの、ごくありふれた何気ない日常が淡々と描かれている、連作感の薄い短編4作品。【感想】何か大きな出来事や衝撃的な展開などはありませんでしたが、4部屋の住人のそれぞれの目線から自然体に描かれていて、安定の小野寺ワールドを堪能することができました。人と人との結び付き、関わり合いの難しさとともに、人の優しさと温かさを感じることができる4つのシ
今回ご紹介させていただきますのは、コチラです⬇️新野剛志さんの、「僕の探偵」です。デリヘル店店長の勇吾と、彼の部屋に半年前から居着いている宗介が主人公の、連作短編集です。宗介は色々あって現在無職ですが、単発のバイトをこなしてお小遣いを稼いでいます。彼が、頭脳明晰な探偵役。宗介には悲しい過去があり、勇吾にも打ち明けないある決意がありましたが、それが章を重ねる毎に少しずつ明らかになっていきます。それと共に、各章での事件の謎を彼が解決していくわけですね。勇吾がデリヘル店の店長なので、デリヘル
2020年下期の直木賞受賞作です。時代小説の短編集で受賞は珍しいですね。西條奈加さんは本作で直木賞に初ノミネート、そして受賞につながりました。江戸、千駄木町の一角を流れる、小さく淀んだ心淋し川。そこで生きる人々も、人生という川のどん詰まりでもがいていた―。悪戯心から張形に仏像を彫りだした、年増で不美人な妾のりき。根津権現で出会った子供の口ずさむ唄に、かつて手酷く捨てた女のことを思い出す飯屋の与吾蔵。苦い過去を隠し、長屋の住人の世話を焼く差配の茂十…。彼らの切なる願いが