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【38】「そんな事になっちゃってたのか…で、これからどうするんだよ」「ノア…ちょっと頼みがあるんだけど…」「何でも言って♡」「聞かないのかよ…」「Noproblem」「借りは返すから」「身体で♡」「アホ」「ハハハハッ」僕はノアに頼んで、碧を僕の籍に入れたのだ。どんな手を使ったのかは聞かなかった。そこでわかった事は、僕とリアンの関係の記載が何もされていなかった事だった。「いやぁめっちゃビックリしたよ、結婚式もしたのに、婚姻届提出されてないとか笑えた」「………笑い事じゃ
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇八ガヴと対峙したチッチ一団が最も恐れていたことは、この邪悪な《竜》が既に義兄弟の三人を手にかけたかもしれないことだった。その可能性を想像するだけで、チッチとマッマの血は煮えたぎった。とめどなく溢れ出るチッチとマッマの怒りはヴァッロとヘロにも伝播し、主の怒りは我が怒りと敵意のオーラを振り撒いていた。「『囀り』よ、正直に答えよ。儂の可愛い三人の息子をどうした?」遺跡の石畳にヒビが入るのではないかと思われるほどの低音を響かせ、チ
【37】自宅に戻ると、リアンは湯船に浸かっていた。「お帰りなさい」「…ただいま」「遅かったね…」「やっと片付けられたんだよ、頼まれていた記事が」嘘は付いていない。「…そう。ねえ海斗…来て…一緒に入ろ……」ドボンッ。「おいッ」僕はリアンに腕を引っ張られ、リアンの入っていた湯船にダイブさせられた。「疲れてるのに…」「だって久しぶりでしょ?するの…」と、言いながら僕の濡れたスーツを脱がし出した。「……あぁ」嘘ではない。リアンとするのは久しぶりだ。リアンの身体は、手足も長く、ウエ
【36】日本に帰国後、桜は学生生活が始まり、僕はリアンが帰宅するのを久しぶりの我が家で待っていた。アナログ感が半端ない街だが、それが気に入っている。リアンには、迎えに行くと言ったのだが、体調も良いから大丈夫だと言われた。「ただいまぁ〜♡海斗〜?いる〜?」「ああ、お帰り、お疲れ様」「見て…可愛いでしょ」「……子猫だ……」目を疑った。僕はかなり驚いていた。なぜって、ミィミィ鳴いているのは、二匹の子猫だからだ。「猫又と人間の間の子はね、身体がどっちつかずになりやすいの。成長したら
自作小説ソラノカナタステキブンゲイにて、投稿しております。ご興味のある方は、ご一読下さると、嬉しく思います。無料公開中です。【ステキブンゲイソラノカナタ】で検索出来ます。リンク先https://sutekibungei.com/novels/1e878a5b-58bf-40dc-9dc5-43797b50dc30
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇七息が上がるほどの勢いで、「始まりの石畳」まで戻ってきた義兄弟の三人。肩で激しく息をして、石畳の突端を見下ろしていた。石畳の始まりはこれ見よがしに段差がついていた。拳一個よりも大きい段差だった。ツルツルの壁面に対し一段盛り上がった床はよく見るとどこか無骨で、何かを隠せるだけの余地を感じた。ナーレは試しに石畳のへりに手をかけて持ち上げてみた。当然びくともしない。「やっぱりテー兄の思いつきだったかなぁ。」たった一枚で何がわかる
【35】海での実習は、巡に船で沖まで行き潜るスタイルだった。学んだ実技を実践で活かすのは、プールとは違い難しさがあった。実習中の待ち時間に、桜は…こんな話をしてくれた。「白猫って珍しいんですよ…天敵に狙われやすくて基本的に野生では…そんな中私は半田先生に拾われたから生きてますけど…」「今回のライセンス取得とか家をあけるだろ?どうしたんだ?」「代わりを頼みました。私自身一人っ子じゃないんですよ…似た姉妹がいます。」「へぇ~」「彼女は猫又じゃないので…」「そっか。」「何十年かに一
今日は中学校の卒業式だった。折角の卒業式だというのに一日中雨が降り体が冷え切ってしまった。もうこの道を通ることはないのだろうと考えながら水野司はいつも通る通学路を歩いていた。3月といえまだ気温が低い日が続いていたため地面からの冷気で体力を奪われ体を震わせていた。折角の卒業式が台無しだと学友達は嘆きながら、あるものは友人とこれから向かうカラオケの話で盛り上がり、あるものは同じ高校へ行く楽しみだと話合っていた。しかし、司には中学生活の思い出を語り合う友や、予定を約束している友人はい
【33】朝から何度か携帯を見たが、電話もメールも入ってなかった。僕は誰からの連絡を待っているんだろうか。食事を済ませ、車で直接ライセンス取得ビルがある都内へ向かった。「GoodMorning」ビル前まで行くと、スーツをビシッと決め込んだノアが声を掛けて来た。「おはよ、ノア、早いな」「プール行く?んだろ?」「んん~~と、今日は行かないから、バディは他の人に頼んでおいたよ」「え?急になんだよ」「仕事。俺は次期社長だよ?」と言って、僕の肩をポンポンと叩いた。「わかったよ」「G
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇六ガヴは侵入者の行き着く先が巨大な扉であることを誰よりもよく理解していた。この数ヶ月もの間、渓谷中の《ゴブリン》やら《ウォーグ》を投入して、扉の秘密を解き明かそうと躍起になっていたのはガヴ本人だからだ。頭も運も悪く、釣天井の餌食となった《ゴブリン》は少なくなかった。寿命の長い《竜》は呑気なことで知られる。他聞に漏れずガヴも「いずれ」誰かが開けてくれるだろうくらいにしか考えていなかった。ただやることもないので、この遺跡に足繁
【31】僕は仕事で、本社が移転した為に都内まで出て来ていた。在宅ワークとはいえ、書類や会議は本社なのである。「お!カイ!久しぶりじゃん!在宅に変更したんだっけ?」「あぁ…お前か…」"NoahGrayson"が声を掛けて来た。※ノア.グレイソン「……何腑抜けた声出して…幸せ絶頂期じゃねえの?リアンちゃんもうすぐ出産だろ?」「……実家帰ってるよ」「おッ!じゃ、飲み行こうぜ!」「あぁ」「areyouok?」日本語ペラペラな外国人のくせに、たまに英語が出るのは、ノアの癖とゆ
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇五「急に大きな声を出す奴があるか!でも、解けたんだな?」隣でテーリの呟きに耳をそば立てていたハーラが耳を押さえて嗜めた。顔は半分怒っていたが、半分は期待に輝いていた。「この荘厳な遺跡の『初心』が表す「始まりの場所』はどこだったかなって考えたら、あそこじゃないかなって!ワンチャン、あり得るんじゃない!」扉までは一本道だった。鍵を探そうにも探す部屋などなかった。変化や違和感といって心当たりがあるならば…!ハーラとナーレはテー
【30】「ここ一番好きだなぁ~」と、先に言い出したのはリアンだった。海を一番近くに感じられる場所にそれは建っていた。潮風に晒されていて少し補修は必要だが、リアンはかなり気に入っているみたいだった。水色が基調になった真っ白な壁に、可愛い玄関ドア。リビングも広く部屋も複数あった。裏扉を開けると、真っ青に広がる海と砂浜。駅からは少し遠くなるが、車があるから良しとした。「ここにするか……」「……え?いいの?」「リアンが好きな場所にしよ」「嬉しいぃ」出産まで後1週間とゆう所まで来
【29】僕は、かなり忙しく仕事を熟していた。煩わしかった携帯を買い、車を買い、今は、リアンと新しく住む家を探していた。携帯を買ったら、周りからは「やっとか」と言われ、車は元々買おうとしていた所に妊娠と子供問題が追加された感じだ。今住んでいるアパートも気に入っているが、子供が産まれてしまったら少々手狭になるのが現実なのである。実際の所、僕自身稼いでいたし、それくらいの買い物は、両親と養父母が遺してくれた遺産とでお釣りが来るくらいは賄えたのである。ある意味かなり感謝してもしたり無い。リ
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇四テーリたちは手始めに謎かけを素直に読み取ることにした。「初心に帰れ」とは最初に抱いた希望や目的を思い返せということだ。「汝らの傲慢を省みよ」とは僕たち義兄弟の偉そうなところを見直せということだ。二つの文は似通った意味に感じられた。そして全く意味のわからない文章であると改めて結論付けた。義兄弟は次に謎かけとしてこの二つの文を読み解くことにした。「初心に帰れ」。この扉にこの文言が刻まれていることに意味がありそうだ。テーリがそ
【28】僕等は海に来ていた。リアンは目を覚ますと「もう1日こっちで過ごしたい」と言って来たからだ。行きたい場所でもあるの?と聞くと、リアンは「この街にも海があるのよ」と嬉しそうに答えた。「海斗は海が好きでしょ」と。情緒の不安定さも、すっかり良くなった。「あの子、帰ったんだ。」と、一言言ったきり、冷めたようにリアンは桜の話題を一切出さなかったので、僕も、桜の話題は出さなかった。なぜならリアンは、昨晩のやりとりを"最初っから最後まで私としてたのよ"と、嘘を付いたからだ。リアンからした
【27】僕が連れて来られた場所は、初めてリアンに通された部屋と同じだった。リアンは浴衣を脱ぎ、置いてあったガウンを羽織り、髪をほどいた。僕の頭の中は、ある事でいっぱいだった。「………海斗…話があるの」「………はい。」金魚が舞う、この日にしかできない事。「私……海斗の子が欲しいです。」「………いいよ。」「そんな早くに答え出さないでよ。大変になるよ?」「………欲しいんでしょ?子供…」「………人間と猫又の生まれる子は、母親の遺伝子を濃く受け継ぐの。それでも?いいの?」「構わないよ
めでたいですね!本日この時刻は辰月(たつのつき)旧暦3月新暦4月から5月辰日(たつのひ)12日に一度、回ってくる日辰字(たつのじ)午前8時を中心とする前後2時間トリプル辰のラッキータイムでーす!去年は辰年辰月辰日辰字の四重ラッキーでしたが、気付かずに祝い忘れてしまいました。次のチャンスは11年後、なんてこったい!というわけで、今月は辰月辰日辰字が三度ありますので、その初日をお祝いして、《黒色竜》祭りを行いたいと思いまーす!只今絶賛連載中の小説「ハテナの交竜奇譚」に登場している《
【26】7月に入り、だいぶ蒸し暑くなって来た頃、リアンの雰囲気が少し変わった。元々ふわふわっとしていた性格が、より一層ふわっとし、笑顔が増えた。かと思うと、急に泣いたり怒ったり、情緒不安定だったのだ。そんな中、僕がいない日中に、家に桜がちょいちょい顔を出しに来ていた。理解を尋ねたが、秘密だと言って、教えてはくれなかった。それがなんだったのか理解出来たのは、夏祭り中だったのだが………。僕は予定通り休みを取り、リアンと夏祭りに行こうとしていた。「今日はありがとう。」と、浴衣を纏い、少
【1】4月のある晴れた午後の昼下がり。ふと目を覚ました時に「桜でも見に行くか」と正直何故そう思ったのか、考えもしなかった。当たり前だ、だって季節は春で桜が満開なのだから。僕が住んでいる街には理由があって桜の木が一本も無く、隣町にある神社まで行く必要がある。歯を磨きながら窓を開けると、潮風が部屋中を駆け抜けた。鼻から思い切り息を吸い深呼吸をする。この時間がものすごく心地よい。ラジオからは、懐かしい曲が流れて来た『次の曲は…「いつも通り」のキセキ』好きな曲だ。流れて来る曲に合わせな
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇三間近で見る扉は威圧的であった。《大超竜》が楽々と通れる20メートルはあろうかという巨大な扉。それは人力で開けられるような代物ではなかった。宝石とも金属とも判別のつかない素材でできた扉は、扉の向こう側が透けて見えるのではないかと錯覚させるほどの透明度をもっている緑に輝く素材でできていた。扉には鍵穴がなく、三つの拳大の円形の窪みがあるだけだった。天井にはこれ見よがしに本物のエメラルドでできた針が隙間なく並べられて、打ち付けられて
【25】僕は少し早めに目を覚まし、キャンプ場を後にした。リアンに結婚を申し込むと決めた時から、決めていた事を実行する為にある場所に向かった。カランコロンッカランコロンッ…扉の鈴の音が響く…「お客様、ご予約様ですか?」「はい。小鳥遊と申します」「……今日の午後の方ですね~お待ちしておりました。本日の会を務めさせていただく斎藤と申します。あれ?お相手の方は…」「……後から連れて来ます。あの…すみませんでした。昨日の今日で、本当にありがとうございました。」「いいえ。こちらとしては、い
【24】僕はあれから、半田先生に頼まれていた事を全て解決した。計画を錬らなくてはならなかったから、少々面倒ではあったが、難なく熟す事が出来た。僕がサクラちゃんを抱きかかえ病院へ向かうと、涙をボロボロ流し感謝された。「お礼はリアンに」なんて、口が裂けても言えないからな。「ありがとう。ありがとう。本当にありがとう。君には一生足を向けて寝られないなぁ私は」「そんな。気にしないで下さい。タイミングが良かっただけですから」『リアン様のおかげ』また頭に流れてくる猫語だ。「おや、サクラまで小鳥遊
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============〇二洞窟に降りるために打ち付けられた簡易的な階段。こんなものを誰が作ったのだろうかとテーリは疑問に思った。この《竜のねぐら》の持ち主はあんなお粗末で美しさのかけらもないような代物を作るはずもない。木の板を石壁に打ち付けるだけの簡単な造作は、いかにも《ゴブリン》らしい建築物であった。仮に《ゴブリン》が階段を作ったとして、それは何のためだったのか。神秘的で美しい洞窟ではあるが、所々から頭を出しているエメラルドは魔法で造られた紛い
【23】襖の隙間から漏れる光が眩しく、僕は目を覚ました。初めて愛し合った事が幻だったのかのように思えた。ふと、目を落とすと、裸のままタオルケットに包まって静かに寝息を立てているリアンが隣にいた。長い髪にそっと手を入れ、毛先まで触り、顔を撫で、唇を指でなぞる。そっとキスをする。「……現実…か」思い出すと、恥ずかし過ぎて1人で赤面した。『コンコンッ』戸を叩く音がした。「桜です。起きていますか?」ガチャ。「……桜さん。その姿は……」驚いた事に獣人の姿で現れたのだ。鼻をクンクン
【22】少し待ってて…と、通された部屋は、いかにも和テーストの部屋で、街とは真逆だった。襖を隔てて隣の部屋にはベッドがあり、露天風呂もあったのだ。窓際から眺める景色は格別で、カメラを持って来なかった事をかなり後悔した。「ま、多分、リアンにダメ出しされそうだがな」椅子にもたれ掛かり、天井を見上げながら考えていた。要はこうだ。本物の桜は既に死んでいる。らしい。だが、半田先生は知らず…サクラは桜の姿を創り桜を演じている。「バレそうなもんだが、あの先生だもんなあ。」先生自身奥さんを早く
亡き次男に捧げる冒険小説です。===============ハテナの交竜奇譚第2話ダンジョン・アタック後半〜囀りのガヴと竜の秘宝〜〇一ひんやりとした空気が真夏の湿気でほてった身体に心地が良い。澱みのない真水のような空気は、吸い込む度に血の匂いで溢れかえった肺臓を清めてくれる。静謐で広大な空間に降り立った義兄弟の末弟ナーレは興奮のあまり言葉を失っていた。《ゴブリン》の間から、大洞窟の壁沿いに打ち付けられた簡易的な階段を一段一段慎重に降りてきた。底に近付くにつれ、自分たちはとんで
【21】散策しだして1時間くらいが、経過していた。街を歩いていると、あちこちで色っぽい格好の獣人さん達が「ねぇお兄さん、遊ばない?」と声を掛けて来た。リアンと手を繋いでいるのに、だ。「無視してッ!もう、お姉さん達ったら、見境がないんだから」「………」僕が頭を下げると、手をパタパタと振りながらウインクをしてくれた。海外でゆうところの"娼婦"なのだろうか…。「リアン?あれは…」「気になるなら行ってくれば?海斗モテるから。でも生気吸い取られてもいいなら。」生気って…サキュバスかよ。「
【20】鳥居を抜けると、そこに広がるのは、見た事もない海外の中世を思わせるファンタジックな景色だった。僕は好奇心で胸を高鳴らせていた。一生に一度限りの体験なんじゃないかと。あの頃の僕は、有頂天だった。「……ここは。」さっき夜で、え…「凄いでしょ?驚いた?」「獣人の国へようこそ」とゆうと、リアンは僕の手を握り走り出した。「探せる時間少ないから、早く」「え、なんで」僕は戸惑いながらも握られた手を握り返しながら、走った。「ここは、人間の時間の約4倍だから。」4倍!?「……じゃ、リ
いよいよ明日で令和6年度が終わりますね!区切りが良いので、明日からハテナの交竜奇譚第二話の後編の連載を開始したいと思います。振り返ると今年度はチャレンジの年でした。職場内の異動で全く違う業務を任され四苦八苦。他部者との調整が上手くいかず眠れぬ日々でした。勉強が苦手な三男の高校受験。これも辛かった。何せ受験生はピリピリしがち。家庭内が険悪な雰囲気になる事もしばしば。でも志望校に受かったから「ばんじゃーいでした!」私のチャレンジじゃないけど、三男のナイスチャレンジという事で。お墓を建てたのも