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死に直面し苦悩するしかなかった、重症患者の命が、移植医療によって救われるどころか、(現在の夫がそうであるように)普通に仕事をこなし、好きなものを、いつでもどこでも、食べたり飲んだりできるようになる。…そんな起死回生の現実があるのに、その道すら示されずに亡くなっていく重症患者の、なんと多いことか…。また仮に、「移植手術を受ければ、元気になれる」という情報を、得ていたとしても、「ドナーになってくれるような家族がいないから」と、移植を諦めてしまっている重症患者の、
でもなあ。こんな移植事情を知っている人なんて、ごくごく少数だろうし、自分の身内に、切羽詰まった重症患者でもいなければ、所詮は、他人事なんだろうなあ。…それはまさに、昔の私たちに、ドンピシャで当てはまった事でしたから、とてもよく分かります。夫が、末期の肝硬変による、腹水まみれ状態で入院していた、2013年秋~2014年春には、肝臓の専門医ですら、『肝移植によって劇的に回復する』という道筋を示す発想が無かったので、肝硬変末期の症状が、次々と出現している夫に対
〈チラシ右面〉どうすればドナーになれるの?マイナンバーカードの表(おもて)面をご覧ください。下部に、「臓器提供意思」という欄があり、そこにあなたご自身の意思を表示するだけで、登録は完了します。直近の内閣府調査では、国民の4割が、臓器提供の意思を持ち、中でも、18歳以上39歳以下の若い世代では、6割近くが、臓器提供の意思があると、回答しています。ですが、実際にドナー登録をしている人は、1割にすぎず、ドナー不足は深刻です。一人でも多くの方々が、ドナー登
〈チラシ中央面〉臓器移植を受ける、重病患者(レシピエント)の臓器の代わりに、脳死の人(ドナー)から提供された、臓器を移植すると、レシピエントは、驚くほど、健康を取り戻すことができます。命の終わりにおびえたり、苦しい治療に耐えていた、それまでの日々から解放され、移植後は、生き生きとした日常生活が、送れるようになります。健康な人と変わらない仕事が出来たり、家事を難なくこなせるようになるなど、生活が激変する様子は、「夢のような再生」と呼ばれています。このよう
〈チラシ左面続き〉〔日本の臓器移植率は?〕日本の臓器移植率は、とても低く、移植が普及しているスペインやアメリカの、50分の1程度です。日本では、移植を希望しても、実際に移植手術を受けられる人は、たったの3~4%に過ぎません。中でも、腎臓の移植を希望して待機しているレシピエントは、とても多く、登録してから、実際に移植が実現するまでの待機年数は、15年近くと非常に長いので、多くの腎臓レシピエントが、待機期間中に亡くなられます。日本では、亡くなられたドナーからの
今年のクイズは、「ドナークイズ」や「レシピエントクイズ」のような、用語説明クイズよりも、一段と踏み込んだ内容なので、一般の方々には、難しく感じるかなと思いつつ、「いやいや、間違ってもらった方が、かえってチラシを読んでもらえる」と、開き直る余裕が、出て来ました。そんな「臓器移植クイズ」の基になる、新作チラシについてですが、どのような内容なのかを、紹介していきます。あなたの意思で誰かの命が再生します〈チラシ左面〉〔臓器移植ってなに?〕臓器移植とは、病気や
そして、一昨年の「ドナークイズ」、昨年の「レシピエントクイズ」の流れで、今年は「臓器移植クイズ」というタイトルで、臓器移植に関するクイズを、作ることにしました。同時に、祭りのパンフレットに載せる、キャッチコピーも決まりました。臓器移植ってなんだろう?クイズに答えて景品をゲットしよう!このキャッチコピーに沿って、チラシを読めば、正解が分かるようなクイズを、作りました。そのクイズが、これです。にほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村にほん
2025年も残り一カ月半になった、11月中旬。今年は、N祭(エヌさい)と銘打ったイベントに参加して、広報活動を行いました。昨年、一昨年は、NPOフェスティバルに参加して、イベント効果の大きさを痛感していたので、今年も、「とにかくイベントには参加しよう」と、迷いなく申し込みました。・さて今年はどんなチラシにしようかな?・それから今年は、どんなクイズにしようかな?・祭りのパンフレットに載せるキャッチコピーは?そんな準備を、猛暑の中始めて、9月には出
~誰もが、糖尿病性腎症や(動脈硬化による)腎硬化症になる、腎リスクの影響を、多少なりとも受ける~だとすれば、誰もが今後、腎不全に陥り、人工透析患者や、腎移植のレシピエントになる可能性がある、ということになります。腎機能が、今のところ正常な人間は、「ドナーになる側の人間」だと、自らを位置付けしやすいものです。実際に、2度ドナーになって、右葉肝臓や右腎臓を夫に提供した私も、これまでのところ、肝・腎機能はずっと正常値だったので、自分はドナー側の人間なのだと、ず
現在、人工透析にまで至る、腎不全患者の原因疾患の第一位は、『糖尿病性腎症』で、4割。第二位は『腎硬化症』で、2割を占めます。第一位の、糖尿病性腎症は、1998年に一位となって以来、比率が増加し続けていましたが、ここ数年は、横ばい状態です。一方で第二位の、腎硬化症は、高血圧による動脈硬化が、原因となって起こるもので、患者の高齢化によって、その割合は、増加しています。加齢によって、高血圧や動脈硬化が進み、放っておいても徐々に、腎機能が低下しやすくなる上
肝移植手術後まもなくの、院内感染でしたから、夫の全身は、沢山のチューブやドレーンでつながれ、それらの挿入された管を抜かないように、両手は、ベッドの柵に、ヒモで固定されていました。声も出せない。手も動かせない。「生」を感じ取ることなど出来ない、究極の苦しみだと思いました。その究極の苦しみに、更なるおまけが付きました。夫は、敗血症によって、「急性腎不全」状態に陥り、急きょ人工透析が必要とのことで、人工透析用のシャントが造られ、透析用の太い針が2本、否
夫は毎日、じっと横たわって、行き場のない苦しさに耐えていましたが、健康な私は、「辛いんだろうなあ」と感じつつも、当事者の、どうしようもない地獄のような苦しみを、共有することは、出来ませんでした。このように、肝硬変末期の夫の苦しみは、想像を絶するほどだと、感じていた私でしたが、これがマックスではありませんでした。その後、もっともっとレベルアップした、『究極の地獄』が、夫を待ち受けていたのです!当時、肝硬変末期で、余命宣告まで受けてしまった夫でしたが、ギリギ
「アルコール性肝硬変」にしても、「糖尿病由来の腎不全」にしても、病気の程度は深刻で、当事者は生死をかけて、持病と向き合うことになります。それだけでも、もう十分な『生きる苦しみ』を、与えられることになります。夫の場合、与えられた『生きる苦しみ』は、傍らで見ているだけでも、息苦しくなるほど、重いものでした。夫の身体は、もはやコントロール不能状態で、全身が腹水まみれでした。おヘソは、デベソをはるかに通り越して、異様に膨張し、黒い中華饅頭のようになっていました
同じような事情は、肝臓だけではなく腎臓にもあります。現在、腎臓の移植希望者→移植者で、最も多いのは、糖尿病由来の腎不全患者です。糖尿病が悪化することで生じる、3大合併症は、失明・腎不全・足の壊死、だと言われていますが、こうした重篤な症状が、糖尿病由来だと判明すると、「自業自得」的な視線を投げかける医師が多いと、言われています。そうした医師の何気ない視線で、心えぐられる患者も多いことでしょう。「遺伝的に家族が皆、血糖値が高い」という人は散見しますし、「日
夫の場合は、酒類メーカーに勤務して、営業畑を歩いてきましたから、お酒を飲むことが、仕事。与えられたノルマをこなし、営業成績を上げるためには、お酒を浴びるように飲むしかなかったという、特有の事情がありました。(今ではあり得ない企業風土…)「20代の頃は、一晩でウイスキーを、ボトル1本空けていた」という話をすると、医師は例外なく驚いていましたが、家にいる時には、夫は全くお酒を飲みませんでしたから、もともと下戸の私には、「一晩でウイスキーのボトル1本」が、どれほど
私の夫は、今から12年前の、2013年秋に、緊急入院しました。病名は、非代償期のアルコール性肝硬変。「非代償期」というのは、「もう治ることはないというレベルにまで達してしまった」ということで、非代償期のアルコール性肝硬変というのは、このままだったら、そのうち死んでしまいますよ、という、重篤な病名でした。ところで…「アルコール性肝硬変」という、病気の由来が明らかになると、冷淡な視線を投げかける医師が多いと、聞いたことがあります。要は「お酒を飲み過ぎた結果
ですがその後、全世界でドナー不足が問題視され、『移植ツーリズム禁止』が、徹底されるようになりました。現在では、たとえ海外で、ヤミの臓器移植を受けたとしても、レシピエントにとって、生涯必要不可欠な「免疫抑制剤」を、処方してくれる医師が、国内にいるかは不明ですし、(ほとんど全ての病院で、受け入れ拒否を表明している事実が物語るように)海外渡航移植そのものに、世界中から厳しい目が向けられています。以前だったら、お金の工面さえつけば、家族ドナーのいない患者や、気
〈レシピエントが背負うもの〉を、こうして改めて考えてみると、その重さ・その広がりに、今更ながら、がく然とします。レシピエントという範疇に入る患者は、「臓器を提供してもらわなければ、回復しない重症患者」ですから、当然、日常生活は、明るく楽しいものではなく、闘病生活、それも、先の見えない不安や、改善することのない辛い症状に、耐えながらの日々を、過ごすことになります。その上、「いつ死んでしまうかわからない」恐怖もあるでしょうし、死の恐怖から解放されるためには
修復腎移植を受けた田中さんは、次のように、レシピエントの心情を語っています。「2度、生体腎移植手術を受けた、腎不全患者の方に、会ったことがあります。最初は父親から、2回目は母親からで、『私は腎臓喰いだ』と、その方は泣いていました。いくら親子だからと言っても、生体腎移植というのは、精神的な苦痛がともなうんです」「臓器提供を受ければ、透析から解放されるかもしれませんが、精神的には、いろんなものを背負って、生きていかねばならないんです。私は、修復腎移植を受けて
家族からの腎臓提供が事実上不可能、つまりは、「生体腎移植」の道が、閉ざされているも同然の彼女は、2000年と2010年に、2度の修復腎移植手術を受けています。最初は、「腎動脈瘤により摘出された腎臓」を修復して移植してもらい、7年間、修復腎は正常に機能しました。その後、徐々に機能は低下していきましたが、透析に戻りたくなくて、無理をし続けた結果、ひどい眼底出血によって、片方の目が、失明してしまいました。この頃、厚労省の通達によって、一度は禁止されていた修復腎移植の
【訴えその2】修復腎移植を受けた独り暮らしの男性、松岡さんの証言「第3者が考えるような、再発・転移の恐怖はない。それよりも、普通の生活が出来る喜びの方が大きい。友人の家を訪ねることが出来る。話が出来る。散歩が出来る。そうした普通の生活が出来ることが、うれしい。生き返ったという感じなんだ。その喜びの方が、ずっと大きい」「両親・兄弟からもらうと言っても、そんな簡単なものではない。もらった後の人間関係に、影響していく。それでも、提供してもらえる人はいい。
「私は今も、脳幹出血の深刻な持病を抱えた状態です。本来なら、水分をたっぷり取り、脳出血しないように、気をつけなければいけない患者です。しかしながら、透析患者は、大変な水分制限を求められているので、それが十分にできません。食事も、制限を求められる生活を、強いられます。健常な人には、分からないでしょうが、私は、良く生きるために、移植を受けたいのです。修復腎移植が禁止されたままだと、私たち患者の生きる望みは、絶たれてしまいます。私は昨年9月に、再び脳出血の疑いで、緊
「『自己管理が出来ない』と、医師から罵倒されたこともあります。マスコミなどの報道もあり、糖尿病は自己責任という風潮があり、病気の本質など理解する人は、なかなかいませんでした。腎臓病を患い、透析を導入してからも、『自己責任』と言われ続け、心身ともに疲れ切っていました。脳出血で倒れた時も、『悪いのは自分なのだ』と、自らを責め続けました。そんな中、移植に踏み切ることにしました。しかし、やっと受けた腎移植は、不運にも適合しませんでした。そんな時に、修復腎移植のことを知
バッシングする側が、決して目を向けようとはしなかった、「修復腎移植を望むレシピエントの、切羽詰まった心情」に寄り添い、何とか助けたいと模索し続けた、赤ひげ医師集団と、たまたま私たち夫婦は出会うことができ、夫は、故万波医師の執刀で、健康を取り戻しました。今回の章「レシピエントが背負うもの」では、生体腎移植の道が断たれた腎不全患者が、何故、修復腎移植を切望したのか、その訴えや、置かれた境遇を通して、背負うものの重さを、今一度考えてみたいと思います。【訴えそ
正義の味方を気取り、世論を配下に取り込んだのは、移植学会や厚労省そしてマスコミでした。「ガンにり患して摘出した腎臓を、移植するなんて、何を考えているんだ!」「ガンが再発したらどうするんだ!」と、『ガンの再発リスク』一点集中で、万波医師グループを、完膚なきまでに叩き続けました。当初は「逮捕目前」だとか、「医師免許はく奪」とまで騒がれ、追い込まれた万波先生でしたが、医学的反証→がんの部位を切除した腎臓を、別の人間に移植しても、ガンの再発の可能性は限りなく低い、
難波教授の分析は続きます。「移植を重ねると、臓器に対する抗体ができてくることで、拒絶反応が起きやすくなります。これだけ、レシピエントの移植歴が複雑だと、第1の道である、亡くなった方からの腎移植、第2の道である、健康な家族からの腎移植との成績比較が、難しくなるのです」~なるほど!~比較考察が困難な、修復腎移植の複雑な背景の一端が、垣間見えて来ます。しかも…修復腎移植を受けた患者の年代は、50代・60代が大半で、年代層的にも、生着が不利に作用する高年層に、
更に、万波先生たちが、『臨床医の良心から、修復腎移植を行ってきた』ことを示す調査結果が、出て来ました。どういう調査結果だったかというと…病気腎移植(正しくは修復腎移植)を受けた患者には、一般的な生体腎移植を受けた患者よりも、複雑な背景があることが、病理記録の分析で明らかになったのです。この分析を行い、修復腎移植を「第3の移植方法」だと、当初から評価していた人物が、病理学医の難波紘二広島大学名誉教授でした。難波教授は、修復腎移植の成功の困難さを、以下
せっかく移植してもらった腎臓が、機能しなくなってしまった…そうした状況下で、苦悩するレシピエントの心中を、察するだけでも、「やりきれなさ」が押し寄せて来ます。しかも、日本においては、現在でも9割近くが、家族がドナーになる生体腎移植ですから、移植腎臓が機能している間はまだしも、移植腎臓の機能が廃絶してしまうと、レシピエントは、絶望感とともに、せっかく腎臓を提供してくれた、家族に対する申し訳なさも抱えて、生きていかねばなりません。本来ならば、医師なら誰だっ
「家族内ドナー」が原則の、生体腎移植手術においては、ドナーが一人いるだけでも有難いのに、その移植腎臓が機能しなくなれば、次のドナーの出現を待たねばなりません。ですが、家族内で、「第2のドナーになってもいいよ」と、自ら手を挙げてくれる人がいるかと言えば、昔のような大家族ならいざ知らず、困難な状況であることは、明白です。命をつなぐために、泣く泣く人工透析に戻る、という患者も少なくありません。~ああ、そうだったのか~と、改めて、故万波誠医師が、修復腎移植に取り
元々、急性腎不全という、想定外のアクシデントによって、突然、腎機能が廃絶してしまった夫。それ故、腎臓病を、長く患っていた訳でもない私たちには、腎移植に関する知識が乏しく、生体腎移植後も、肝移植の時と同様に、移植された私の右腎は、夫の体内で、生涯機能し続けるものだと、疑いもせずに信じ込んでいました。ところが!腎移植手術前の検査時に、移植コーディネーターから手渡された、『移植の手引き』を改めてよく読むと、「移植された腎臓は、いつまでも機能する訳ではありません」