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翌日、いつもよりも早く家をでて、始業の30分前には櫻井の家に着いた。ところがインターフォンを鳴らしてもなんの反応もない。「・・・これって、上がっていいんだよね・・・」おとといから預かったままのカードキーを取り出し、エントランスを抜けて部屋へと向かう。玄関前のインターフォンも鳴らしてみたがやはり反応がない。仕方なく扉をあけてリビングに入ってみると・・・「なんでだよ・・・」昨日の朝、綺麗に片付けたシンクにはカップとグラスが置きっぱなし。調理台の上にも、チーズの
野菜だけでなく肉や魚も買ったので、急遽保冷バッグと氷を調達したがおれの家にまっすぐ帰ることになった。「明日が楽しみ~」「ふつーの、簡単に食べれる料理しか作らないですよ」「いや~、オレ、何にも作れないからさ。料理できるってだけでも尊敬する」今朝のフレンチトーストもうまかったし。期待大です、と櫻井は嬉しそうに笑う。・・・そんなに、嬉しそうな顔、しないで。餌につられているの?何らかのキモチがあるんですか?・・・でも、何も聞けないままに自宅アパート前に。
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--※前話はこちらです※それからは毎日、一緒に仕事に行って、一緒の布団に寝て。(あ、シフトは同じにしていたけど、作業するラインを俺と一緒にしたのは最初だけで、その後翔くんには別のラインに入ってもらっていたよ。色んな場所を経験してもらいたかったし)で、今日はお休みの日。とは言っても翔くんはバイトだから「お休みの日」というよりは単に「シフトを入れなかった日」なんだけど。うちの工場は常に人手不足だから、基本的
「か、買いすぎた・・・」ビニール袋も使わず、新聞紙でぐるぐると巻かれた野菜たち。もちろん一人で食べきれるはずもない。そんなおれを見て櫻井はおかしそうに笑っている。「大丈夫、オレが食べるから」「食べに、来る、とか?」「え!いっていいの!」喜びを隠さず前のめりの櫻井に、いやいや、やめてくださいというのが精いっぱいだ。・・・だって、片や超高級会社激近マンション。片や自分は乗り換えして片道40分のアパート。新入社員で収入額が違うとはいえ、櫻井を快く招き入れるこ
ただでさえ会社近くの金持ちマンション。にも拘わらず、櫻井はRV車を車庫から出してきた。「たまには乗らないとバッテリーもあがちゃうしな」櫻井は鼻歌を歌いながら高速道路を運転してゆく。「・・・・・・」ランドクルーザーのような大きさはないけれど、周りを走る乗用車からはタイヤ半分くらいは車高が高い。見えてきた景色に櫻井はご機嫌だったが、おれは落ち着かなかった。「ど、どこまでいくんですか・・・?」「混んでなければ鎌倉まで。無理なら横浜ぐらいなら行けそうかな?」
朝食の片づけを済ませお暇しようとしたら、「看病も家事もやってくれたんだから、お礼に昼食をごちそうする」と言われてしまった。「でも・・・停電でダメにしちゃった食材もあるから、早めに帰って買い物にいかないと・・・」「だったら!ちょっと離れたところに買い物に行った方がいいんじゃない?みんな松本と同じこと考えてると思うよ?離れたスーパーだったら、停電の影響もなかったから食材も豊富にあると思うんだけどな?」あ、それはそうかもしれないな・・・「オレ、車出すから。松本は乗っ
「え?これ、お前の手作り?!」「え?はい、そうですが・・・」「お~~。うまそ~~~」櫻井が風呂に入っている間に朝食の支度をしておいた。病み上がりだろうからできるだけ胃に負担がかからず、それでも栄養の摂れるものを。昨夜から仕込んでおいたフレンチトーストは自分でも納得がいく、とてもおいしそうな焼き目がついたものが出来上がったし、ニンジンとほうれん草を中心に持ち込んだミキサーで作った野菜ジュースと、玉ねぎのポタージュスープ、サラダをテーブルに並べた。「寝込んでたから食べられ
もう一晩櫻井の家のソファで過ごし、翌朝は平日の起床時間に目が覚めた。こっそり寝室の様子を見てみたら、今朝は呼吸の荒さも取れて穏やかにねむっているようだ。すこしほっとして、調子が良ければバスルームを使うかもと考え、浴槽を簡単に洗った。洗面所周りをざっと整え、タオル類を洗ってたたんだものに交換してゆく。洗濯は着替えてから回せばいいかと考え、部屋の隅に立てかけられたフローリング用のワイパーをかけた。「お、はよ・・・」「!あ、課長!おはようございます。体調どうですか?熱、測
自宅から持ち込んだ食材を冷蔵庫に入れさせてもらって、おかゆなら食べられるかも、と簡単に用意した。櫻井の様子を見ながら、昨日書類が積み上がっていたリビングをざっと片付けた。途中で一度櫻井が目を覚ましたが、まだまだ高熱を出しているようだ。軽く換気をして、着替えさせて、おかゆを少し食べさせた後、薬の服用とたっぷりの水分をとらせてまたベッドに横にならせた。「・・・」熱で潤んだ目でじっとおれを見てくる。「・・・まだ、かえりません。ここにいますよ。課長のそばにいますよ」
「1時間だけです。昨日停電したから、様子を見てくるだけです」「でも・・・」「すぐに、戻ってきますから」櫻井は頑なに寝てればよくなると言ったが、最終的には「好きにしろ」とだけ言ってまたぐったりと目を閉じた。大急ぎで地下鉄に乗り家へと帰る。昨夜の停電がどのくらい続いたのかはわからなかったけれど、冷蔵庫の中の作り置きは残念ながら断念することにした。「たしか冷凍庫に、あったはず・・・」きちんと整理された冷凍庫の中にはお目当ての鮭の切り身があった。こちらは解凍される
櫻井の部屋に戻り、暖かいタオルを3本作ると寝室へ入る。櫻井は眠ってはいなかったが、先ほどよりもぐったりとして目を開けることもつらい様子だ。「課長、ホットタオル作ったんで、顔とか拭きますね」顔や首筋を拭ってやると、少しだけ険しい顔つきが緩んだように見える。別のタオルに変え、背中や足、脇などを順に拭いていくが、呼吸の粗さまで和らげることはできなかった。「もっと熱が上がるかもしれないから」ポカリを氷と水で少し割ったもので薬を飲ませ、ベッドへ横たえる「・・・はぁ
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--スマホが振動している無視しようと思ったが翔はコール画面に表示されていた名前を見て考え直し、躊躇うことなくスマホをタップした。「……もしもし……七之助くんかい……?……ああ、これは間違いなく潤のスマホだよちょっと俺が、、潤をひどく無理させてしまってね、、……起きられそうにないから、、代わりに俺が電話に出たんだよ潤に何か用かい?急ぎなら、、潤が目を覚ましたら俺が伝えておくけど……そう?じ
「あのー。僕、そろそろお暇しますが・・・、えっ?!」ベッドヘッド側に回って顔を見て、と思ったところなんだか様子がおかしい。「か、かちょー?」「あ゛、ばづもどがぁ・・・」「どーしたんですか!」「ん゛、だんが、がらだ、あづい」声もがらがらなのだが、傍目でも発熱していることが見て取れる。「熱!体温計!」「ばい・・・」「ええ?!じゃあ、冷えピタ!」「ばい。いままで、でづ、だじだごと、ばい・・・」「そ、そんな~」熱を出したことがないと言い切る櫻井もスゴイとおもう
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--「……そうか……そんなことが……」翔は何も言葉を挟まず潤の話に耳を傾けていたが、やがてゆっくりと口を開いた。「……潤、、ごめんな……気づいてやれなくて……」「……そんな!どうしてしょおくんが謝るんだよ……!」話しながらいつのまにか潤は涙を流していて。「……いや、俺が悪い子どもの頃から俺は潤のことを見てきたのに…………潤は仕事を始めたばかりで色々忙しいかと思って、、とりあえず今はお互い
コンコンコン「櫻井課長?」昨夜自分が使わせてもらった風呂場を丁寧に洗い、カーテンレールにかけておいた自分のスーツを着る。かろうじて洗濯に必要なものはそろっていたので自分の下着類は拝借したビニール袋に入れ、バスタオルや課長の服などを洗った。(選択干しに必要なハンガー類は見当たらなかったのとドラム式洗濯機だったので、乾燥までセットした)ノックをしても一向に返事はない。「・・・しつれーしまーす」まだ眠っているかもしれないので少し声を抑え気味にかけて寝室へと入っ
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--「……なぁ潤……」潤の背中に両腕を伸ばした七之助が、後ろから潤の上半身を搦めとるようにバックハグをすると、周りにいる女子たちの色めき立った黄色い悲鳴のような叫び声が教室中に響き渡った。潤はどうでもいいとばかりに七之助にされるがままになっていると、七之助がバックハグの姿勢のまま後ろから潤の耳に唇を寄せて耳打ちをする。「……知ってる?俺ら周りから『付き合ってるんじゃないか』って言われてるんだぜ」
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--話を振られた七之助はベットにいる潤に向き直る。「……ああ、、うん。。何かあったっていうか…………あのさ……歌舞伎の、、舞台でのことなんだけど……」七之助は潤に気づかれないようにこっそりと上唇を小さく舐め、慎重に話し始める。考えていたことを実行するために。ここからが勝負だ……「俺、、舞台で女形を演じる時、、最近すごく葛藤することがあって……」「葛藤?」「……うん。俺の女形はあくまでも『
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--「……はぁ、、やっぱり進学コースの授業はレベルが高いよな俺教師が何言ってんのか全然分からんかったw」「……まぁ俺たちは勉強なんて二の次でとにかく高校規定の出席日数さえ満たしていればいいっていう先生たちの認識があるからじゃね?芸能コースの生徒はテストが出来なくても最低限の出席日数が大丈夫ならあとはレポートとかで卒業させてくれるし授業に出てさえいればそれでとりあえずはOKなんだよ」潤は勝手に七之助
💜5月2日は潤翔の日💖この記念日を祝して、お話をアップしたいと思います今回のお話は、ルリが読者さまからプロットをいただきまして、そちらを元にして書いたものですプロットを送っていただき、本当にありがとうございますとはいえ潤翔ではなく、いつものように翔潤のお話なのですがプロットの中に潤攻め要素があったということもあり、せっかくなので潤翔の日からお話を始めることにしました登場人物は翔潤と七之助くんで、全員同い年高校生の設定なので、潤くんのビジュは沢田慎のイメージでお願いしますおそらく6
翔との日々は穏やかに過ぎていった。互いの気持ちの確認も、これからのことを話し合う必要もない俺たちは、ただただ一緒にいた。同じものを見て、同じものを聴いて、同じものを食べて、一緒に笑って、愛情を交わす日々は当然心地良くて、このままでもいいのかもしれないと思いそうになるくらい魅惑的だった。そうして夜が明けて新しい1日が始まると別れの時がまた近付いてくる。出立の日をいつにするか散々悩んで、俺はStormのライブの2日後のチケットを取ることにした。延ばせば延ばすほど別れ難くなりそ
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--ああ、、なんか見れば見るほど、、俺の布団も座布団もみすぼらしくて貧相で、、何だか情けないし恥ずかしい…………せめて座布団だけでも、新しいの買っておけば良かったなぁ、、なんて、俺がうじうじしていると、翔くんがおもむろに口を開く。「……うーん……じゃあ、、一緒に寝るとか、どう?」「……へ?一緒にって?」「ん?2人で一緒にこの敷布団使おう、ってこと」「えーっ?この布団、シングルサイズだからち
翌朝。カーテンの向こうに朝の気配を感じて目が覚めた。・・・しかもずいぶんと陽が高くなっているようだ。いつもの自分の部屋と違う方向から感じる外の気配に、ここ、どこだっけ・・・?とぼんやりした頭で考える。昨日の会社からのできごとを順を追って思い出し、ああ、課長の家だ・・・と納得した。・・・そろそろ起きないと、ね。おれがぐっすり眠っていたから、気を使って起こさなかったかもしれない。自分の使っていた毛布をたたんで、リビングのカーテンを開けると、嵐の過ぎ去った後
はじめて泊まるところで真っ暗だと、夜中にトイレ行きたくなった時に困るだろ?そう言って直接の視覚に入らないダイニングの明かりをつけておいてくれた課長。・・・言わなかったけれど暗闇では眠れないおれのために、あえてつけておいてくれたのかも。ソファに横になり借りた毛布を体に巻き付けるようにして、なんども体の向きを変えてみる。もともと枕が変わると眠れないタイプだし、今夜の風雨はいまだおさまらない。(今夜は眠れそうにないな・・・)そんなことを想いながらも、いつしか眠
停電は復旧したらしいのが雨はまだ止まないらしく、雨脚の強い中再びずぶ濡れになる覚悟ができなかったのと、「夜遅くなったから泊まっていけよ」という課長の言葉に甘えることにした。「さすがにベッドをお借りするわけにはいきません。僕はソファで十分です」「シーツは変えるから大丈夫だって。それとも、一緒に寝る?」「寝ません!」クリーニングされていた毛布を渡され、恐縮しながら「クリーニング代は払う」と伝えても、「将来有望な部下が遭難しなくてすんだから気にすんな」と言って課長は寝室の扉
「……翔くん……」「……なんだよ」俺が近付いても翔くんはそっぽを向いたままだ。正面に回るとやっと俺のことを見てくれた。俺はいままで悩んでいたいろんなことが思い出せなくなるくらいどうでもよくなっていた。ただ、目の前にいるこの人に想いを告げたいと思った。「俺、翔くんが好きなんだ」言葉に出してみると、どうしてこれまで言わなかったのかと考えてしまうくらい自然なことのように思えた。俺の気持ちは俺のもので、他の誰かが翔くんを好きだろうが、もっと言うと翔くんが誰を好きだろうが関係ないんだ。「
櫻井課長の家の冷蔵庫には食糧品と呼べるののがほとんど入ってなかった。「ええ?!水と酒しか入ってないじゃないですか!」「オレ全く料理しないし、普段は仕事帰りに食べてから帰ってくるからな。家、出たくなかったらデリバリーもあるし」「とは言ってもさすがに今日は無理ですよ!」これしかないや、と差し出されたのはカップラーメン。「イケメンが、高級マンションでカップ麺食べてるなんて・・・」「イケメンっつったら松本もだろうが」「そんな、」「ラーメン、タンメン、僕イケメーン!」
今日は久々に5人で飲み会をした。大体最後は俺たちの中で一番広い部屋に住んでいる翔くんの家で飲んで終わることになっていて、今日も2次会から彼の家にみんなで来ていた。翔くんの部屋はモノトーンでまとめられていてかなりカッコいいんだけど相変わらず物がとっ散らかっていて、みんなで荷物を部屋の端に寄せることから始まるのもお決まりで懐かしかった。今日はこのまま朝までという流れになったので買い出しジャンケンをすることになって翔くんが負けた。彼はこういう時の勝負にめっぽう弱い。そういえばあの
クローゼットを開けてみるとここも何やら乱雑にものが詰め込んである。自分の家なら考えられない、と思ってしまったがここは見えないふりをして新品の下着やらTシャツなどをゲットし身に着けた。着替えた後、ひとまずリビングへと戻ってみたものの、他人の家での居場所は限りなく少ない。先ほど見かけたペットボトルをゴミ袋にまとめ、部屋の隅の新聞は、昨日と今日の分を残してみつけたビニールひもで縛りあげた。「ああ、悪い悪い。ソファーに座って待っててくれてよかったのに」櫻井課長が風呂をあがってリビン
Still…の途中ですみません💦久々にアオゾラペダルのPV見て悶えました。翔潤すぎますよね笑「お先に失礼しまーす」できるだけ小さな声で言い、素早くドアを開けて身体を滑り込ませる。ドアが閉まる瞬間に名前を呼ばれたような気がしたけど、気のせいということにしてそのままバイト先の居酒屋を後にした。追いかけられているわけでもない。この後用事があるわけでもない。それでも、通行人の誰よりも早足で家に向かう自分に思わずため息をつく。(……何してん
※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。--頭も良くて見た目もカッコいい翔くんとともだちだなんて、何となく引け目を感じちゃう俺なんだけど……。。「……??潤、どうかした?」翔くんがキラッキラした「ん?」って表情で、黙り込んでしまった俺の顔を覗き込むから。「……いや、、そのあの、えっと、、」俺は落ち着きなくもじもじしてしまって。そうだ、と話題を変えてみた。「……しょおくんて、フレンチトーストが好きなの?さっき、職場の販売規格外のパンを貰