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今夜は今年初めての満月だ。ってことは…「来る?」『来るだろうね。今のところ満月でしか自由に動けないみたいだから』「翔くん…その、蒼い月って…その時は人になってん…だよね?」『うん。あれ?言ったことなかったけ?』聞いてはいるけど想像がつかない。どんな感じなんだろう。誰かに似てんのかな?そもそも日本人?『自由に変幻できるみたいだけど、今んとこはお前』「?俺??」『潤に化けて出てくんの』ええっ?俺に化けてんの?見たいような見たくないような。でも大きな魔力を持ったあいつの
東京の夜景を空の上から二人で眺める事にした。キラキラと眩しい地上。眠らない街とはよく言ったもんだ。充分堪能したあと、最終地点である東京ドームへ向かった。「ゴールが見えましたな」「そうですな」前人未到のロングツアー。まだまだ先と思ってたゴールがもう目の前に迫っている。「次で終わりだ」と言うと、潤はうんと小さく頷いた。明日は…いや、今日は、ツアー最終日だ。数時間に会場に足を運んでくれる人達。これまで参加してくれた人達。沢山のファンに届けたコンサートツアーも今日で幕を閉じる事に
「松本さん!やってきました。名古屋です!名古屋の空ですよー」「これで地方のライブも最後だね」「だな」少し寂しそうな表情だ。ここが終われば、あとは東京のみ。そして特番の生放送がいくつかあり最後の最後に年末の歌番組の司会をする翔君は、年内こんなゆっくり空を飛べる暇はないだろう。何か思うことがあるのか、感慨深いのか彼は羽をゆっくり動かし辺りを見渡していた。「ねえ翔君…みんな付いてきてくれるかな」色々なものを解禁し、情報過多にさせてるのはわかってる。今朝だって新しいことを告知したばかり
本来なら今年の8月の誕生日に戻るはずだった俺の羽。忘れていたかったのは、翔君が言ったように青い月の事を信用してなかったのが一番の理由だ。だけどそれだけじゃない。翔君とは正反対の俺の黒い羽。純白の羽を持ってる翔君の前で見せたくない。俺の羽は彼の羽に足元にも及ばないんだから。「…やっぱり黒なんだな」20年も経てば羽の色が変わるかも、なんて。そんな事あるはずないのにな。翔君は俺の胸の内がわかっただろう。黒い羽をせっせと毛づくろい…いや、ブラッシングをしてくれていた。「羽根の色も形
「俺がこうやって抱き抱えるでしょ。で、今から落とすから、頑張って!じゃあ、手を離すよーと言われ「待ってよ!何でだよ!」と叫ぶ。今、俺はホテルの部屋の天井スレスレで羽を出してる翔君から何故か背中から抱き抱えられてる状態だ。真下には大きくふかふかなベットがあり、そこに落とすのだと彼から宣言されてしまった。ありがたいことにこのホテルイチでっかいスウィートルームで、だから翔君も羽を広げる事が出来るんだろうけど。「こんな狭い空間でも飛べる…浮くんだね。超低空飛行じゃん」「うん。まあね。ホテルは
「大阪も、まあまあ寒くね?」トレードマークの唇を尖らせて窓を見てる翔君は、札幌でおろしたと言っていたダウンを片手に持っていた。寒いと言っても前の札幌に比べたらそこまでとは思わないんだけど。ってか、むしろこの時期にしたら気温は高い方なんだけど。ドームの楽屋で「寒い、寒い」を連呼する彼の声を不思議に思いつつも、テーブルに座って黙って聞いていた。メンバーやマネージャーはそれぞれ何処かに行っており、残ってるのは俺たち二人だけ。ってか、最近は気を利かせてるのかなんなのか、ライブ前のこの時間帯
元々寒いのは苦手だ。スキーは好きだし、寒い中食べる鍋も大好物。だから季節としての冬は大歓迎だが、それとこれとは別で。番組で『エルサ櫻井』なんて言われているが、身も心も凍る位の冬なら汗をかきまくる夏の方がまだマシなのだ。だけど。『しゃらしゃらぽん』ライブ終わりに、相葉君に魔法をかけられたよう気持ちになり。で、なんとなく飛ぶ気になったのだ。言ったら絶対反対する。すうすうと眠りの世界にいる潤を横目に窓から飛び出した。が、数十秒後、すぐに後悔する事になる。とにかく寒いのだ。「うう
「…さみぃな」「札幌は厳しいんじゃない?超寒いよ」11月でこの気温。景色を見てるだけで寒くなる。「昨日、飛べばよかったなあ…」後悔先に立たず。連日仕事三昧で、いつも以上にタイトなスケジュール。しかもアジア記者会見プライベートジェット一泊三日の旅で、肉体もだが精神的にも疲弊していた。しかも、しかもだ。メンバーが色々あってからの、ライブ初日は若干不安で。とにかく成功することしか頭になかったから、ライブ前に空を飛ぶなんて気には全くなれなかったのだ。「まだ時間があるよ。もうすこ
「あーあ…台風か…」窓の外とテレビの天気予報とスマホでリアルタイムな情報を見比べながら翔君が呟いた。どんだけ調べんだよ。どれだけ見ても天気は変わんねえのに。自宅で夕飯終え、二人でゆったりタイムを過ごしていた。かなりの悪天候。雨雲を抜けてしまえば大丈夫、って訳にはいかないほど最大級のハリケーンだ。羽を広げたり閉じたりしてた翔君は、さすがに諦めたのかスマホを放り投げ、グデっとソファに寝転ぶ。連日のハードスケジュールで若干疲れてたのか、彼はすぐに寝息をたて始めた。仰向けで寝たせいか、
仕事が忙しくなってきた。付き合いの幅も広がり、時間がいくらあっても足りない。だけど飛びたい。20代の頃は暗い空しか飛べなかったから、余計に舞いたいと思ってた。潤は36歳にならないと羽が戻らない。『お前も飛べるようになるから』と口に出来ないもどかしさ。幼い自分が侵した罪の重さに潰れそうな時期でもあった。「また行くの?最近、寝不足なんじゃない?」から、「行ってきていいよ」に潤が変化したのは30代になってからだ。本心じゃない事はわかるから、だから躊躇してしまう。見送る時の寂しそうな表
ヒントを与えてあげる。今のおまえは本当の姿じゃない。待ってるから、だから早く魔法を解いて俺のところへ戻っておいで。スケジュールを調べ、ため息が出たのはまだ寒い頃だった。なんと今年の8月30日、つまりあいつの誕生日はライブの日だったからだ。ツアーの途中とは言え前のステージからはかなり日が経ってたため、彼は朝から…いいや、だいぶ前から忙しくなるなるだろう。36歳の誕生日が近くなってるのに、なんの兆しも異変もないあいつに若干焦っていた。…本当に羽は生えてくるのかな?あの日から先輩として
ちょっとだけ引きずる足で小走りになる翔君を後ろからハラハラしながら見ていたが、心配すると機嫌を損なうので何も言えなかった。「…やっぱりいないね」ロビーにいた人達の中を見渡しても2人の姿はない。「でも俺なら…作品を見て感動したり、感銘を受けたとしたら、この場所をすぐに離れる事はしない。離れがたくなるって言うかさ。あ、そだ!閉館の時間だからここに居づらくなったのかも」翔君の言う通り、館内は人がまばらになってきている。「外出てちょっと歩いたら、休めるようなベンチがあった気がする」「じゃあ、
別に闇雲に心配してるわけじゃない。誰から近づかれるのが嫌だと思ってるわけでもない。ただ、あいつはダメだ。何故なら俺は翔君に似た彼に、ほんの一瞬だけ心を奪われたからだ。「あっ、ここだ」小さく、だけどはっきり呟く男性。その男性が見てるのは、REDASTERがある場所だ。レプリカだとしても、見せたいようで見せたくないあの作品は、光の壁に阻まれて『見たい』と強く願った人だけ導かれるようなシステムにしている。そうか。またひとり、あの場所を見つけてくれたんだな。いつもなら絶対思わ
「…向こうから話しかけられたの?」「いや。俺から話しかけた」ふーっと息を吐いた潤は、背中に刺さる自分に似た彼からの視線を気にしてるようだった。潤によく似た彼は、相変わらず惚けた表情で俺たちを見ている。もしかして驚かせ過ぎたかな?逆だったら俺も同じようになるだろうし。なんか申し訳なかったかも、と少しだけ後悔した。ありがたいことに九州でも個展は大盛況で、入場制限をしてるにも関わらず、多くの客がフロアーを行き交っている。人の波に流れてしまい、彼の姿が見えなくなってしまった。と、同時に
最初は少し…いや、かなり驚いた。だって似てると言うより、そのまんま。作品を眺めてる彼は帽子も被ってるし、眼鏡もかけている。だが、あの手の顔の作りはそれだけじゃ隠せない。俺は純も同じことが言えるのだが。背格好などのスタイルも潤そのまま。だが、彼の方が違う意味で少し派手なのかもしれないな。1人で見にきたのかな。潤曰く、俺に似た『相方』は彼の側には居ない。なんとなくソワソワしてるようにも見えるから、はぐれて探してる最中なのかもしれない。……どうしようかな?話しかけてみようかな。
ああ、やはりよく似ている。彼に似た彼は俺が造った作品を見ていて、俺は少し離れた場所からその横顔を眺めていて。好きな人に似てる彼はもはや他人とは思えず、なんとも不思議な気がした。「翔君、ほら…あの人。海辺の絵を眺めてるのが…ってアレ?」すぐ隣いるのは愛する彼。ではなく、マネージャーのニノだった。少し薄笑いしてる顔が、なんともムカつく。「翔さんなら、さっきどっか行きましたよ」なんだよ!さっきまで横にいたのに。少し目を離すとチョロチョロと動き回るんだから。「んな事、俺に言われ
「大丈夫か斗真?」「だ〜いいじょうぶですって〜。ほら、ちゃんと歩いてるでしょ〜」「・・・全然大丈夫じゃないな。でも、潤も酔っ払っちゃたか二人は面倒見れないし・・・」「だいじょうぶ!ですから!せんぱいたちはタクシーでかえっっちゃってくださいよ」ちょっとだけ今夜は飲み過ぎでしまったみたいだ・・・先輩はいつまでも気にしているが、いつまでもぐだぐだしているとオレの方の諦めがつかなくなってきちゃう。「じゃあ、悪いけど帰るな。家着いたらちゃんと連絡くれよ?」「しませんよ、オレ、
ずっと、好きだったんだぜ・・・だけど君が一番綺麗に笑う場所はずっと、好きだったんだぜ・・・櫻井先輩の隣だってことに一番始めに気がついたのは、多分オレだから、いつまでも一番綺麗に笑っていて欲しいから、その場所をいつまでも守り抜いていて欲しい「せんぱ〜いい。俺が結婚して潤のガード役を離れちゃったら困りません?100パー全部で守ってやれませんよ?」「は〜〜〜〜???どの口が言ってんだ?!」「だいたいさ、オレが先輩と潤をくっつけたようなもんじゃないっすか?感謝してくださ
「斗真に口説かれたりしてない?だいたい二人で個室なんて変じゃね?そーいう柄でもなかったろ、オマエ」櫻井先輩の手厳しい意見。はい、確かに。「違うよねぇ?とーまは結婚の報告してくれるから個室を選んでくれたんだよね?」え?俺そのこと、まだ君に言ってないんですが???「今日、後輩の子が教えてくれたんだ。別の会社の子だけど、今度結婚するんだって」・・・はい、おっしゃる通りです多少の下心がないとは言えませんが、私、この度・・・「ふ〜ん」と櫻井先輩はいう
ずっと、好きだったんだぜ・・・なんでも言い合える仲だと思っていた。ずっと、好きだったんだぜ・・・お前がやめるなんて思ってなかった。転勤などで一時的に離れてしまっても、同期会とか出張のついでとかでいつでも会えると思っていたんだ。「潤」「なぁに?とーま?」酒によって舌ったらずなっている潤が、ほんのり顔を赤らめてケラケラ笑っている。言えるかな、言って良いよねそんなことを思っていたら急にガラリと個室の襖が開いた。「じゅん」「あ、翔さん!」途端に潤の笑顔
午後は次のプレゼンについての最終まとめとアドバイスを貰いながら資料を作っていった。「かなり時間を使ったかと思ったけど、いい感じの時間になったね」「ここまで資料まとめれたから、今日はいいか。あと細かなところは追加して資料を送るわ」「了解」毎度打ち合わせの後は飲みにいくのが定番だ。少し前にオープンした海鮮系の居酒屋が、個室もあって食べ物が美味しいと社内でも好評だったから、潤のお眼鏡にも叶うだろう。個室を予約していたので少し奥まった席へと案内されている間、潤は物珍しそうにあちこち
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。それでもデカい駐車場がある店だから、店舗の入り口から離れた場所ではあるものの駐車する場所を探しだすことができた。「じゃ、行こっか」潤と一緒に買った並べて歩き、店の中に入ったらカートをキープ。正直、俺には何が必要で不要なのかイメージがつかない。特にキッチン用品や食器類は潤に任せるしかなくて、売り場を歩いて適当に見繕ってもらう。「・・・この白いお皿、シンプルで使いやすそう」「うん」「じゃ
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。潤はそう言ってから少し困ったような顔をして、「荷物を取りに戻るもの嫌って言うか、早く忘れたいんです・・・あの部屋の空気も・・・アキラくんのことも。考えてみたら・・・いい思い出なんて一つもないし」淡々と言葉にしたけれど、その間の潤の目は現実を見ていないかのように虚ろで俺は逆に心配になる。「そっか」「・・・あ、ごめんなさい!こんな話しちゃって!」俺の一言に我に返ったように慌てて謝られて、「
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。「すみません、奢ってもらってしまって」結局、カフェでの代金は櫻井さんが払ってくれた。「だから、生活が落ち着くまで面倒みるって言っただろ?」櫻井さんはそう言ってくれたけれど実際のところ、サブキャストとはいえ人気があった俺には十分な収入があって、仕事と部屋さえ見つかれば自活することが難しくないレベルで貯蓄はある。でも、ここは櫻井さんの厚意にに甘えておくべきかなと判断して素直に言うことを聞くこと
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。「・・・はい」怒られるのかなと思って少し身構えつつ櫻井さんを見ると、「年上の潤にこんなことを言うのは心苦しくはあるんだけれど、俺はお前を躾け直す」キッパリとそう言われてポカンと何も返せないでいる。・・・躾。そんなにもお行儀が悪かったのかなと思ってしょんぼり気分で俯くと、「悪い、躾は言い方が悪かった。矯正・・・でもないな。んー・・・あ、そうだ」櫻井さんは適切な言葉を探すように腕ぐみをし
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。前にホストクラブのマネージャーにも言われたらしいけれど、黙っている潤の第一印象は【クール】とか【ワイルド系】で間違いないと思う。けど今、目の前にいる潤はどっちかっていうと可愛い系で、やっぱ言動とか表情とかの情報が印象に与える影響力の大きさを実感する。潤のこのギャップはプライスレスだ。「櫻井さん?」見惚れつつそんなことを考えていたら手が止まっていたのか、潤に呼ばれて俺は我に返った。「あ・・
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。「本当?・・・本当にいいんですか?」「あのさ、潤。俺は嫌なことは嫌だとはっきり言う性格だから言葉は額面通りに受け取ってもらって構わないよ?その点は安心していい・・・それからさ」「・・・?」言い淀む俺に目を真っ赤にした潤が顔を上げて小首を傾げるから、「お前・・・もう少し自信を持て。お前の人格とか色々否定する奴と長年一緒に生活してきて、自己肯定感を根こそぎ削ぎ落とされたんだろうなっていうのは理
「バレたくないんでしょ?早く早く!!」車から降りて、ニノに急かされつつ車を降り建物の中に入った。俺がここから入ったとして、作者ってわかるだろうか?裏口だから関係者なのは間違い無いし、確かにリスクはあるかもしれない。作家同士の付き合いもあるし、俺自身の身元が全くバレてないわけじゃ無い。公式に写真等を載せたく無い。マスコミは芸能人や有名人はもちろん作家だって公人になった途端、書き立てることがあると聞いた。翔君に迷惑をかけたく無い。ただそれだけなのだ。関係者専用の駐車場だし、平日のし
妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。今回は遠出込みだし細かいタイムスケジュールを決めるのは無理だから妥協した。そう説明すると、「俺は構いませんけど・・・櫻井さんっていつもこんな感じですか?」キョトンとした顔を向ける潤の言葉の意味が分からなくて、「こんな感じって?」素で聞き返したら、「いえ・・・何でもないです。櫻井さんって面白い人ですね?」悪戯っぽい笑顔を返されて困惑する。「おい、どういう意味だよ?」「何でもないです
今日ここに訪れた事に特に意味はない。単に偶然近くを通ったからだ。懇意にしてる陶芸家さんに会いに行った帰りに、なんとなく思いついた。車を運転してるニノに「ちょっと寄ってみようよ」と横から声をかけると、「…気になります?レプリカでも」との返事。レプリカでもREDASTERから生み出されたものに間違いはない。そしてレプリカはこれしか存在しないのだから、もちろん大切だ。だけど行こうと言った理由はそれだけじゃなく、彼からが今日あたり来るんじゃないかって予感がふとしたんだ。「寄ったら遅くなる