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*******下倉はまるで執事(しつじ)のように2コール以内に出てくれて、「ご案内出来ますよ。次の土日のご予定はいかがですか?」と、話が早かった。「不動産は、生き物ですから。」確か昔、車を売却した際にも、ディーラーの営業マンが似たようなことを言っていたけれど。多分、下倉とは四回以上は同行をお願いしたと思う。そのうち二回くらいは大祐も付き合ってくれたが、「休みがつぶれるから、一人で行ってきていいよ。むっちゃんがコレ、っていういい家見つかったら、動画でも送って。あとは下倉さんに
人間による表現とは何か。それは、俺は黒人音楽、ブルースにあると睨んでいる。虐げられ、差別を受けた人々が、自作の歌で猛る。アイスクリームを売りながら・・。刑務所に入りながら・・。酒場の前で立たずみながら・・。金にならなくても・・、評価なんて得られなくても・・!一人ぼっちになったりしてしまっても・・!CALLANDRESPONSE・・!!(呼びかけに答える・・!!)それをプロの世界でやれなかった俺は、あえて自分で企画を起こした・・!!それが、『穂乃火CLIMAX』である・・!!
*******チャンさんは、海パン姿の後頭部だけでは、それが大祐だと気付いていない様子だった。血の気がサーッと引いていくのがわかった。あの日、ラオスで。私が日本の母と、病気と向き合っていた時に。ごめん。仕事の重圧から、妻として開放してあげられなくて。支えて、あげられなくて。だけどあの時は私だって、支えて欲しかったんだよ。体の関係は知らない。だけど、ベトナム人の、素直でかわいい女性と、青春時代に帰ったような純粋な恋の時間を過ごしていたことには変わりなかった。夜のレイクビュー
こんにちは。美都です。いつもありがとうございます。ステキブンゲイ、ヒューマンドラマ、で、検索。美都の作品が読める、かも?最新作は、「最後に言いたいこと」です。ステキブンゲイ、純文学、で、検索。美都の作品が読める、かも?前作は、「幸せになるクスリ」です。美都の作品をクリックして、美都の名前をクリックすると、過去の全作品が読めます。一時、百以下位まで落ちたのですが、(約160位)最近、だんだんと上位に浮上してきています。16日現在、23位。上がったり、下がったり
*******西との出会いは、不快なものだった。会社でイヤミな上司に叱られたあとのあの感じ。しかも人前で怒鳴られた時の公開処刑のあの時のような。いくらオーナーとはいえ、高慢な態度で周りのスタッフに接しているし、お客様に対してさえ、会話の端々でなんだか妙~に突っかかってくる。たいていの美容院は、リピーターを増やしたいのか、初回の客には、指名しなくとも店長が担当することが多い気がするが、初めて西の美容院を訪れた後、麦はそんなこんなで胸糞が悪くなり、二度とこんな店来てやるものか、と思い
2009年6月、知人の構成作家の紹介で知り合ったせきしろと共著で自由律俳句集『カキフライが無いなら来なかった』を刊行。これが又吉にとって、初の書籍となった文学好きの変わった芸人がいるという評判が文壇に届き始める中村文則と話す機会を得るなど、他ジャンルの才能豊かな人たちが自身の表現を面白いと評価してくれたことが大きな自信になった『火花』[編集]2015年1月7日、『文學界』2月号に初の中篇小説『火花』(230枚)を発表し純文学デビュー又吉の作品の掲
*******ネットでいい物件を見つけると、問合せボタンを押し続けた。それを扱っている不動産会社から、電話がかかってきては、週末のたびに、見学に出かけた。大祐が同行してくれる時もあれば、時には麦一人で。そんな中、一人の営業マンに出会った。出会ってしまった、とも言うべきだろうか。東陽住宅サービスの下倉だった。とにかく、腰が低く、熱心で仕事が早い。運転はあまり上手ではなかったけれど、客の立場に立って、きちんとその物件のデメリットも伝えてくれた。なんというか、どうせ家を買うのなら、
随想好日僥倖!!『わたしの作品集・5冊で303件ダウンロード』考えもしたことの無い数字。300オーバーですよ300!!直近にアップした夢殿「秋涙」令和六年版ですら一か月足らずで39ダウンロードを頂戴しております。もうね、感謝という言葉では足りないことはわかっているのですが、それしか言葉も見つからず。本当に有り難うございます。てかね~自惚れるわけではないのですが、美しいものを美しいと思える感性であり形にしようとする意思を働かせることが出来る人間に生まれたことも感謝するのだわ(笑)
先日から何度か日記で取り上げさせていただいているMrs.GREENAPPLEの代表曲の1つに、『インフェルノ』という曲があります。Mrs.GREENAPPLE-インフェルノ(Inferno)2019.10.2(wed)リリース4thFullAlbum「Attitude」より、3ヶ月連続先行配信第1弾「インフェルノ」(MBS・TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”TVアニメ「炎炎ノ消防隊」オープニング主題歌)配信リリース。The“FireForce”
ここ2ヶ月、遅々として進まなかった講談社児童文学新人賞の応募作の改稿作業。やっと84枚に到達。やっとです。ほんと、やっと。1日、50枚の新作パートを書けるのに、何でやねんと思うけど、これでも、ほんと精一杯で、奇跡的に感じました。苦しいこと、この上なし。でも、削ったり、付け加えたりで、元原稿の300枚が今、カウントすると、400枚に増えています。笑規定は、300枚だから、現状でも100枚削らないといけない。でも、まだそのうち、現状の3倍、たぶん240枚近くの推敲作業がまだ
*******ライチを食べ過ぎると熱が出る。私が暮らすレジデンス近くのブォイ市場では、六月~七月頃、たった一、二ヶ月ほどの旬ではあるが、生ライチが出始める。枝付きのまま束ねられた赤っぽい実は、1㎏4万ドン(約二百円)ほど。日本ではこうはいかない。マンゴーであれパッションフルーツであれ、高価な南国フルーツがたらふく食べられることは、駐在生活の特権であると言えよう。発展途上国での駐妻生活は、私にある勘違いを起こさせた。自分があたかも〝セレブ〟であるかのような気分になってきたのだ。1
こんにちは。美都です。いつもありがとうございます。ステキブンゲイ、ヒューマンドラマ、で、……美都の作品、下の方に流れてしまっていて……しょぼ。最新作は、「最後に言いたいこと」なんですが。ステキブンゲイ、純文学、で、……前作、「幸せになるクスリ」なんですが、これも下の方に流れていってしまって……しょぼ。このごろ、なかなかアップせずに、下の方に流れていってしまってます。……しょぼ。けど、めげずに新作、書いてます。今回はちゅうでんに投稿する作品です。なかなかエン
*******西の二つの眉がほころんだように少しだけ開いた。たしか眉を上げる仕草は、手話では〝質問がある〟という意味だっけ。「どれくらいぶりなの…?」西は、胡坐をかいた上に麦を乗せたまま尋ねた。「え、あ、うん…正直に言うね。驚かないでよ?」「ははぁ…」なぜか殿様のような深い返事のあと、「ヨッと。」西が話を遮るように、腰に回された華奢な両腕に少し力を入れ、麦の体ごと片腕で持ち上げたので、結合部を外されるのかと咄嗟に麦は体重をのせ返してしまった。西は少し笑って優しいほうの右手で幼
芥川賞受賞中村文則=2005年=土の中の子供又吉直樹=2015年=火花中村文則(なかむら・ふみのり)1977年、愛知県生まれ。小説家。福島大学卒業。2002年「銃」で新潮新人賞を受賞し、デビュー。04年『遮光』(新潮社)で野間文芸新人賞、05年「土の中の子供」(新潮社)で芥川賞、10年『掏摸』(河出書房新社)で大江健三郎賞を受賞。14年、アメリカでデイビッド・グディス賞、16年『私の消滅』(文藝春秋)でドゥマゴ文学賞受賞。小説はほとんど読んでなかった
睡眠というトンネルをぬけるとそこは雪国だった雪積もりましたねすぐやみましたねすぐ溶けましたねタバコを買いに11時頃出かけた時は「え?雪?降ってないよ、夢でも見たんじゃない?」と街が言っていましたお昼を食べて、短編『永遠に0』の続きを執筆しました実は毎日付け焼き刃のごとく、原稿用紙に二枚ずつ書いているんです校正は紙ではしないで、スマホで入力する時にノリで直しています何故かアナログで書いた文章の悪いところが、デジタルだと見えてくるんです15歳で初めてPCに触った時は、信長の野望
不良少年とキリスト/坂口安吾1948年6月13日、情死した太宰治への追悼文。歯痛の愚痴から始まり、太宰の死を冷静に見つめながらも、随所に熱い思いが垣間見えます。同じ時期に活躍した文豪「太宰治」の死を聞かされた『無頼派』坂口安吾が、彼の死について独自の感性で記した作品です。彼の死を単純に悼むだけでなく、生きることに対する強いメッセージで締められています。また日本の敗戦や原爆についても、当時の生々しい感性で綴られています。おれはこの作品については、たしか角川の『堕落論』に収録されていたも
*******「この、ボロ屋敷っ!」階下から今朝も聞こえてきた。ガラガラ、ガッ、カッカッ、ドンドン、パキッ、ガ、ガ、ガラッ、ガーー、ガラッ、キーッ、パシン、シャッ。雨戸、網戸、レースのカーテン、そのあとに、麦の声。スヌーズ機能なしには起きたためしのない三回目のアラーム音が、その後半部分から不協和音となって耳にキンキン振動を与え続けるものだから、珍しく大祐は起き上がっていた。まだ底冷えのする、二月の朝。「窓開いてるよ」トントン…と書きたいところだが、残念ながらミシミシッ…と階段を
芥川賞と直木賞の選考基準芥川賞対象作品:新進作家による純文学の短編・中編作品選考基準:文芸性(文章表現の美しさ、独創性、芸術性など)新しさ(新しい視点やテーマ、表現方法など)普遍性(時代や文化を超えて共感できるテーマなど)直木賞対象作品:新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本選考基準:読みやすさ(ストーリー展開、人物描写、文章表現など)娯楽性(読者を飽きさせない面白さ、エンターテインメント性など)文学性(文章表現の美しさ、独創性、芸術性など)選考方法芥川
昨日から佐藤究による、最新作”幽玄F(河出書房新社、写真)”を読んでいました。直木賞受賞後の第一作になります。読みやすく、面白い物語だったので、一気に読んでしまいました。純文学のようでもあり、エンタメ小説のようでもありました。本作では、超音速戦闘機のパイロットだった自衛隊員・透が主人公です。彼が心因性の病気のために自衛隊を除隊して、バングラデシュでプロペラ航空機のパイロットに就きます。そこで事件が起こり、透が再び超音速戦闘機を操ることになります。航空機や戦闘機のマニア、ミリタリーもの
『完全犯罪の恋』田中慎弥冴えない中年作家田中は、静と名乗る大学生と出会う。静は、田中の高校時代の同級生、真木山緑の娘だと言う。静の求めに応じ、田中は緑と過ごした日々を語り始める。田中慎弥さんは、とても気になる作家さん。「好きな」でもあるけど、「気になる」がより正確な気がする。『共喰い』で芥川賞を受賞された際に、「もらっといてやる」発言が脚光を浴び、その個性にも注目が集まった。高校卒業後から引きこもりのニートで、作家デビューするまで就労経験はなし。スマホ、パソコンの類は持たず
3分で簡単にわかる芥川賞と直木賞の違い!どちらの賞が格上?おすすめ作品も文学好きライターがわかりやすく解説–Study-Zこの記事では「芥川賞」と「直木賞」の違いについてみていきます。どちらもよくメディアで、授賞式の様子を目にするよな。違いはズバリ選考の対象となる作品の種類のようで、芥川賞は「純文学」、直木賞は「大衆小説」に贈られるなど調べてみるといろいろ違いがあるみたいです。今回はそんな読書好きなら知っておきたい「芥川賞」と「直木賞」の違いを、作品の種類を確認しつつ、…study-
多和田葉子「犬婿入り」(1993年)という文庫本を読み終えた。最近、日本国内よりも、特に海外で評価の上昇している作家である。多和田葉子「犬婿入り」は、私にとっての読書初作品となった。結論から言うとこういう系統は大好きである。実に文体がぶっ飛んでいて、衝撃さえ受けた。この文庫本には二話入っている。「ペルソナ」と「犬婿入り」というお話である。「ペルソナ」は変わっている小説といえばそうだが、別に衝撃的ではなかった。対して「犬婿入り」の文体やストーリーは、今まで読んだことのないような感
……なんか、やな感じの話。教育Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}すみません、わたし芥川賞取るタイプの作家さんって、さっぱりわからなくって……。読みながら「結局、セックスと暴力が純文学ウケいいのかね~?」と思ってしまいました。なんらかの暗喩なのかな??と思いつつ、あんまり深く考えるほど物語に魅力も感じず。といって、読むという行為自体が気持ちいいほどの良さも感じず。純文って、こうなのかね~??と、なんやよくわからん気持
こんにちは。美都です。いつもありがとうございます。ステキブンゲイ、ヒューマンドラマ、で検索。美都の作品が読めます。最新作は、「最後に言いたいこと」です。あなたは、自殺しようとしている人に対して、どんな言葉をかけますか。そんなことを真剣に考えた高校生のお話です。美都の作品をクリックして、美都の名前をクリックすると、美都の作品がずらりと出てきます。ヒューマンドラマの他に、純文学、児童小説でも、美都の作品が読めます。「最後に言いたいこと」ヒューマンドラマで、一時人気
現役書店員芸人カモシダせぶんの日曜に、一冊、読んでほしい本今回はー、AppleBooksで見つけた短編小説芥川龍之介の毛利先生主人公が中学の時、短期間だけ英語を教えていた毛利先生凄まじくおじいちゃん、かつビジュアルが変すぎて、生徒たちが授業中笑ってしまう確かに行動は読んでいても中々ウケるただ大人になった主人公は当時を振り返り真剣に授業をしてる人を笑ったのは良くなかったのではないかと後悔するめちゃくちゃ生徒に舐められてしまった毛利先生、自分が正義だと疑わない生徒たちなんとも
*******"もう、今日でやめよう"そんなこと言葉にしなくても、お互いがわかっていた。痛いほど。定住地を決めるという事が、家という大きな買い物をするという事が、どれだけ大きな決断かという事は、下倉が一番。これだから、桜の花はいけない。純愛だったから、いけないんだと。二人は、握手でもしたいけれど、もう笑顔を合わせただけで、抱擁を越えていた。ライチ熱が冷めない。重症化してる。そんな時期に、出会うべき人ではなかった。そうなのだと。「時々さ、すごく優秀な人が、こんな小さな会社で?って
*******あの日は大雨だったから。ソファーを一瞥(いちべつ)する。目が合う。どうして。ニットのタイトスカートからはデニール120の分厚いタイツが伸び、全然そそられないはずなのに。ずるい。こんな寒い日に私だけ剥がされていく。家具付き物件とはいえ、こんなにも粗末なソファーの上で。「だめ。ここはやだ」「ここは?」どこならいいの、という意味で、意地悪そうな、本当に困っているような下倉の声が、やはりでも流石にうわずっていた。自分のものでも相手のものでもないソファーの上でだなんて、申し
部屋から見る月は昨晩も輝いていましたブログを読んでくださっている方はご承知かと思いますが最近、文学作品特に純文学を読む私理由は論文や学術誌の読み過ぎで柔らかな言葉や芸術性のある言葉を発せなくなっているのではないかという思いそして、純文学はあまり読んでこず『芥川賞』受賞作については話せるようにという2つの思いからということで、この『芥川賞』を有名にし社会的な論争を巻き起こしたというこの作品石原慎太郎『太陽の季節』を購入これから読み進めていきますちなみに『ハンチバック』は
随想一夕『わたしだけの夢殿』漂泊の画家不染鉄展~理想郷を求めて~奈良県立美術館2月27日の大阪は冷たい風が吹きすさぶ中、朝から霙まじりの雨が横から吹き付けるという重い天気。それでも所々みせる雲の切れ間からは柔らかな陽射しも顔を覗かせてくれていた。それは夢殿にみる南の空の雲を割り、横一条の輝きを齎した様にすら思えたものだった。生憎、膵臓の痛みが引かず背中から鳩尾にかけて痛みが走っていたことから余程延期しようかとも考えたのだが、この状況であればいつ何時見られなくなる~書けなくなるやもし
うーん、なんと言ったらいいものか。「純文学を読んだ」としか言えないなあ。今日日流行の「伏線回収」なんて全く気にせず、とっとこ物語は進みます。最後にすこーしほろりとするくだりもあるけれど、その後はあっという間にエンディング。なんとも奇妙な読後感です。恩田陸さんの「ユージニア」とはまた別のじわじわ来る感がありますね。世界観全体を繰り返し考えてしまう、みたいな。からりと乾いたお話を読みたい方にお勧めです。