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《雅紀》櫻井さんの住むマンションは、想像したよりずっと質素で、パッと見て美容師が住んでいるとは思えない、お洒落とは程遠い建物だった。これじゃあ、ちょっと大きな声を出したり、ガンガンえっちな事なんてしようものなら、近所に丸聞こえだな。「うーん……」「雅紀様、部屋の外に出て下さい。チカが彼を着替えさせてくれるので。どうせ今、ロクなこと考えてないでしょう?」「すみません」何故男同士なのに出ていなければならないのだろう?と一瞬思ったが、俺だって小林さんが着替えるのを見たりはしないと思う。
《翔》「美味しい!ものすごく美味しいです。焼き魚定食最高ですね。だけど誕生日のお祝いがこれで良かったんですか?」湯気の向こうの相葉様の食べっぷりを見ながら、俺の頬が緩んで行く。いい食べっぷりだし、お箸の使い方が綺麗だなあって見惚れてしまった。「相葉さんと食べたい物を考えたら、家庭料理しか浮かばなくて……地味でしたね」「いえいえ、それは嬉しいです。ありがとうございます。こんなに美味しい焼き魚って、初めて食べたかもしれない。あの……」「はい?」「俺、真面目に貴方のこと口説いてます。だから
*少し続きますm(__)m《雅紀》秘書の佐々木が気を利かせてくれていたお陰で、俺は好きな人の誕生日を一緒に過ごすと言う、サプライズみたいな幸せを味わっていた。櫻井さんのリクエストした行きたい店と言うのは、焼き魚が旨いと最近話題の店で、俺も行ってみたいなと考えていた店だった。美容室のキャンペーン中と言う事もあり、今日の櫻井さんは指名が多くて疲れたようだ。綺麗に鯖を食べ終わると、ぬるいほうじ茶をゆっくり飲み、にこにこしながら無口になって行く。そのうち目がとろんとなって来たので、帰り
《雅紀》美容室に行くから今夜は早く帰ると、昨日から10回は言っていた。「なのになんでこんなギリギリまで仕事が詰め込んであるんだ」「申し訳ありません」「わかってる。どうせ母さんだろ?面白がって茶々を入れるあたり……いや、もういい。佐々木さんが悪いわけじゃないのは、ちゃんとわかってるんだ」「ありがとうございます。雅紀様。あの何度もお願いしていますが……」「ああ、呼び捨てろって事ね。善処します」「あと、この先しばらく渋滞しておりまして、予約の時刻に到着するのは難しそうです」「ここで降り
《翔》パソコンの画面を確認しては、彼からの予約が入っていなのを見て、大きな溜め息を吐く。1月の15日を過ぎても、まだ相葉様からの予約は無い。問題はそれより、予約が入っていない事にガッカリしている俺自身だ。これじゃあ、まるで俺が彼を意識してるみたいじゃないか。いや、意識してる事に違いは無いか。たった一度会っただけの、ほとんど何も知らない、しかも同性だって言うのに。俺は同性が好きなわけじゃなかったのに、何故彼の事は自然に好ましく思ってしまうんだろう?キスされた時だって、本当は嫌じゃなかった。
(BL妄想小説/💙💛&💜❤️&💚❤️)(15)大好きな恋人と朝まで過ごした王野智志少年は、かなり眠かったが気持ちは明るく踊りたいほど高揚している。学校の授業を受けるために廊下を歩いていると、少し前を親友の松元准が、歩いているのが見えた。「おはよう♡」軽く走って、松元の背中を叩いて挨拶するが返事がない。「……?准君?」「……おはよ」俯いたまま、王野の顔も見ないで、松元が挨拶を返してくれた。「どうしたの?何かあった?」「……
《雅紀》「雅紀、貴方魔法でもかけてもらったの?」家に帰った俺を出迎えた母さんは、酷くなっていた俺の髪を知ってたから、かなり驚いたようだ。当の俺が絶句するぐらいの最高の仕上がりだ。無理もないだろう。「たまたま入った美容室が当たりだった」と、母には話したが、当たりだったのは美容室ではなく美容師だと思う。あの日から2週間。つまり櫻井さんのスペシャルトリートメント2種類とカットを受けた髪は、とても良い感じになって、会う人から褒められる事が増えた。「櫻井翔さんだって」毎日のように彼のこと
《雅紀》初めて見た瞬間から、この人にときめいていた。顔と言い声と言い、その立ち振る舞いと言い、何もかもが好みだった。彼は最初、俺のことは意識してなくて、髪の毛ばかり見ていた。それは美容師だから当然と言えば当然なのだが、仕事に対する意識の高さを窺わせた。そして、リリちゃんを教えた時の笑顔と、その後の対応は、素晴らしいものだった。アニメキャラかと馬鹿にすることは一切なく、真剣にそのヘアスタイルを俺に似合うよう、人に合わせて落とし込んで行く。しばらくして俺は、リリちゃんカットの何倍もカッコい
2025.12.13あれは、クリスマスのイルミネーションが街を埋め尽くす、とても美しく寒い夜のこと。俺が勤める美容室【クロノス】の受け付けの締め切り間際に、その客は滑り込みでやって来た。ギリギリとは言え、ちゃんとセーフだから店内に入ってもらってはみたものの、今からこの客を施術しようなどと考えるスタッフは誰も居ない。殆どのスタッフは既に担当した最後の予約客の背中を見送り、片付けの作業に追われていた。普通こんな日に予約もせずに来る客はいないし、俺だっていつもなら丁重にお断りするところだ。し
(ON&AS&MS・BL妄想小説)(14)授業が始まる時間。可愛い恋人の王野智志を送り出した管理人の二之美谷は、外出の用意をしていると誰かがやって来た足音がした。ノックの音に無視を決めていると、勝手に扉は開いて立っていたのは藍波先生だった。「おはよう。あの子は授業?」「朝から、アンタも授業じゃないの?」「俺、今日は暇なの」「俺は忙しい」「冷たいなあ。あの子がやきもち焼くからでしょ?」「それ以外、理由ないでしょ。真面目なんだから、意
(ON&MS&AS・BL妄想小説)(これまでのお話)恋人は管理人さんでヴァンパイア|黄色♡おはなし保管庫苺チョコさんのブログテーマ、「恋人は管理人さんでヴァンパイア」の記事一覧ページです。ameblo.jp(13)目が覚めたら、真夜中だった。たくさんキスしあって。抱きしめ合って。たくさん触って……触られて。こんな時間になってしまった。年上で魅力的な恋人には、触れずにはいられない。「……ニノ」狭いベッドで、裸
*未読の方には是非読んで頂きたいシリーズ。これを書いた頃、眞白は櫻井君が刑事の役を演じている事すら知りませんでした。*『バディ』と『黒翼の天使』は、同じ事件を通した別視点からの作品で密接に繋がっています。両方とも読んで成り立つ物なので、続けて読んで頂けるとわかりやすいと思います。一見日々は穏やかで、とても静かに過ぎていた。しかし、その静けさは、まるで古いレコード盤の上に針を落としたみたいに音の無い序章を奏でて、翔とマサキを、否応なく“あの日”へと運び始めていた。opening
★20241126の作品です。翔「雅紀、アドベントカレンダーって知ってるか?」雅紀「アベドントカレンダー?」翔「アドベントカレンダーだよ」雅紀「アイドントカレンダー?」翔「そりゃお前はカレンダーじゃねえな。て、なんかもう、わかんなくなって来た」雅紀「ん?アドベントカレンダーがどうかしたの?」翔「おい、なんで普通に言えてんだ?」雅紀「今日買って来たんだよ」翔「えっ?これって、オレと同じじゃん」雅紀「ほんとだ。でもさすがに2個はいらないよね。あ、そうだ!ちょっと待っててね、翔ちゃ
【翔】相葉君の家に泊まり込んで1週間。結局俺の部屋のエアコンは修理不可能で、まるっと新しいものに交換してもらった。なので、もう帰らなきゃと思うんだけど、御礼を言って帰ろうとしたら、玄関先で後ろから相葉君に抱きしめられてしまった。あまりにドラマティックなシュチュエーションに、俺の頭の中ではラブソングが流れている。勇気を出して振り向くと、「好き」と囁きながら、合間に何度も唇を喰まれた。「あ、いば、く、んっ……」見つめると、思い詰めたような眼をして、今度は正面から俺を抱きしめる。その真
【雅紀】友達に恋愛相談してたら、その間に当の本人からメッセージが送られて来てて、俺は慌ててバイクで夜の街に向かった。『急で悪いけど、今晩泊めてくれない?』こんなの、あの人らしくない。それに、メッセージが来てからもう1時間近く過ぎてる。頭の良い彼の事だから、とっくに俺の事は諦めて、他の奴を当たっているだろう。だから急いであの人のマンションに行ってみようと思った。そしたら、ちょうど駐輪場から自転車を押して出て来た彼を見つけて、事情を聞いた俺は、有無を言わさず自分の部屋に彼を連れて帰る。行く
【翔】朝から蝉時雨のうるさい、茹だるように暑い7月の終わり。何の前触れもなく、フツと俺の部屋のエアコンが止まった。「…………嘘だろ?」取扱い説明書を見て、一通り書いてある事を試してみるが、エアコンからは冷たい風が出て来る事はない。と言うか、何の音もしない。念の為、あちこち調べてみたが、フィルターは汚れてないし、室外機も特に何も無い。わかった事は、俺に何とか出来る範囲ではないと言う事ぐらいで、俺は管理会社にメッセージを送って状況を説明した。多分返事が来ても、まず見に来る日の打ち合わ
昨日会ったばかりなのに、目が覚めたら、もう会いたい。俺は欲張りになったのか、それとも甘えたになってしまったのか。これが堕落と言うのなら、俺がそうなったのは恋をしたからに他ならない。だけど、自分の足りなさを相手のせいになんてしたくはない。目が覚めて、最初に会いたいのはアイツで。眠る前、最後に会いたいのもアイツで。「…………くそっ!!」寝起きの髪をセットする時間も惜しくて、陽が昇り始めたばかりの街へ飛び出していた。街一番のパン屋の、焼き立てパンの匂い。踏切の向こうからは、珈琲の香り
2025.01.05.0922*何か聞こえる。何だっけ?この音?昨日設定を変えたばかりの、スマートフォンの着信音。布団の中で探し出した四角いそれの画面には、『翔さん♡』と大きく表示されている。一瞬ふにゃっとなった顔を引き締め、なるべく落ち着いた感じで電話に出た。「もしもーーーー」『遅い!!』「はい?」『電話に出るのが遅えんだよ!』「すみません」『玄関を開けろ!』「へ?げんかん?」『いいから早く開けろ!』へっ?まさか、もしかして、そうなのか?ベッドを抜け出し、ほんの数
*BL小説につき、苦手な方はご遠慮下さい。2024.11.04付き合い始めて、男同士だからって言う葛藤を乗り越え、大人の関係になってしまうと、悩む事はそんなに無いだろうと思っていた。ところが、これが意外とそうでもない。何故なら、今、まさに俺はその問題に直面しているからだ。俺だって男だ。したいなと思う事だってある。ただ、自分からそれを言うのが恥ずかしい。てか、誘い方がわからない。『ねえねえ、しようよ♡』と誘って、『何を?』で終わる気がしなくもない。かと言って、せっかくのお家デートな
和菓子屋の跡継ぎ相葉雅紀キャスター櫻井翔和菓子職人(先輩)大野智ゲームクリエイター二宮和也パティシエ松本潤このシリーズを書くきっかけになった作品。『熱視線SHOWTIME!』*この作品は『俺の恋は上手く行かない』の元になったお話で、読者の方から頂いた『言葉』を使って書いています。紫陽花、桜、花、乙女椿、虹、青空風、凪、空、宇宙、翔…ameblo.jp上の設定を元に書いた本編。『俺の恋は上手く行かない1』*読者の方から言葉を募集して書いた、読み切り作品の『熱視
(ON・BL妄想小説)(12)窓の外を管理人の二之美谷が見ていると、誰かが手を振っているのが見えた。「……」一瞥して窓を閉めようとする二之美谷の細い手首を、先ほど下で手を振っていた男が握った。瞬時の移動は、明らかに人間ではない動きだった。「管理人君?さっき見えてたよね?冷たくない?」ニコニコした男は、二之美谷の首筋をぺろりと舐める。冷たい目付きで男を見つめて、抵抗もせず黙ったままの二之美谷だ。「寂しいんじゃない?俺が相手してあげようかと思
ふわん、ふわん。今日も今日とて毛が抜ける。❤️フッフッフッ(悪い顔もう慣れたもんね!この茶色の夏毛が抜けたら、白い冬毛のキュートなオコジョに戻るんだ!❤️抜けろ抜けろ〜!!がしがしがしがし(ブラッシングしている💚楽しそうで何より(笑数日後、俺は二宮動物病院に来ていた。💛ブラッシングのやり過ぎです。何ヶ所か円形脱毛症みたいになってますよ。ほどほどにしないと本当に全身ハゲますから、気をつけて下さいね。❤️ガーンガーンガーン(ショック💛確かに今頃は換毛期ですし、ブラッシングもしてい
飛行機ってすげえ。あっと言う間にグアムに着いて、あれよあれよと言う間に、慌ただしくデビューイベントが終わった。俺達本当にデビューしたのかな?日本のテレビ番組が観られないから、全然リアル感が無くてわからない。イベントを終えた俺達は、ホテルに帰ってからはフリータイムなんだけど、泊まっているフロアからの移動は禁じられていたので、俺は息抜きに海の見えるベランダに出ていた。そこから、イベントに使った大きな船が見えるのが気に入って、俺は携帯で写真を撮っていた。だけど、この携帯じゃあ全然綺麗に撮れない
何かが頬に触れて目を覚ました。すると、目の前に愛おしい人が微笑んでいて、翔一も微笑む。「……これから特攻するって言うのに、こんなに幸せだなんて。君のおかげだな」掠れた声で伝えると、雅人は目を細めて翔一を見つめた。愛しくてならないと、瞳がそんなことを物語っている。「何か食べますか?今朝はお茶でいいかな?」「良いものだな。心を許せる相手が居ると言うのは……」「貴方の口からそんな言葉が聞けるなんて、俺、思い残すことはありません」「なあ?生まれ変わりって、信じるか?」「昔は信じてなかった
翌日の朝、翔一は本部からの重要な命令を受け取った。『明日、日の出と共に特攻せよ』たったそれだけ。他には何の言葉もない。もっと他に掛ける言葉があるだろう。そんな事も思い付かないのか、それともそれすら無駄だと言うのか?此処に集まった兵達は皆、家族を残し、仕事や勉学など、志し半ばでこの戦場に来ている。そのどちらも叶わないばかりか、ここに来て特攻とは。「了解であります」それ以外の返事は許されない。勿論命令に背くことも許されない。万が一ここから逃げ出して故郷に帰ったとしても、犯罪者扱いで極刑
*今回は読者の方が参加して下さいました。のんさんありがとうございました♡❤️ふんふんふん(腰を振っている❤️るんるんるん(手を振っている💚「フカフカさん?……それなに?雨乞いの踊りか何か?」おかしいw❤️『よくぞ聞いてくれた!いちご狩りに行く喜びのダンスなのだ♡』💚「いちご狩り?翔ちゃん馬鹿になったの?」❤️『ち、がーう!!ビニールハウスに行くんだよ。秋いちごって言うのがあるんだって〜楽しみ♡』にこにこ*秋いちごは架空で、本当は夏秋いちご💚「で、誰と行くの?俺は聞いてないけど?」
雅人は左肩から腕にかけて10数針も縫い、数日の安静を余儀なくされた。しかし、ある意味タイミングはとても良く、その翌日から7日間の休戦となった。この休戦が終わったら、次は決着がつくまで終わらない気がした。そして、どちらの加勢している国が負けるかは、誰も口に出さないだけで、本当はもうこの頃には見えていた。けれど雅人は、この予想外のひと時に心から感謝した。櫻井大佐ではなく、翔一と言う1人の若者と話す良い機会だと考えたからだ。「すまない。ノックするのを忘れていた」ドアを開けてから気付いたのだろう
消灯時間を過ぎ、静寂に包まれた艦内を二宮和太郎が歩いていた。彼は目当ての部屋に着くと、ノックもせず部屋に入って行く。「こんばんは、櫻井さん。例の薬、お持ちしましたよ」「ありがとう先生。助かります」差し出された紙袋を受け取り、翔一は和太郎に椅子を勧める。それから用意しておいた飲み物を手渡した。「私の為に?ありがとうございます。微かに甘い……これはホッとしますね」「飴玉を入れてみたんだ」穏やかに微笑む横顔が、心なしか痩せたように見えるが、それは気のせいではないだろう。実際、翔一の食事摂取
「櫻井大佐と大野軍曹が出来てる?」ビラを見て相葉雅人は首を捻っていた。あの2人が、そんなに簡単に恋仲になるだろうか?雅人はあまり、こう言う色恋沙汰に気が利く方ではない。しかし、本気になると途端に鼻が利く。櫻井大佐から、大野軍曹に対する恋心は、全く感じられないのだ。親しみを持っていることは分かるけれど、それは仲間として、ぐらいでしかない。だから大佐が厨房に立ち寄った時、思わず尋ねてしまったのだ。それは、大佐に今夜の煮物を味見してもらっている最中(さなか)だった。「うまい。何だか懐かしい
翌日の早朝。料理班の相葉雅人は、朝食の準備の為、眠い眼を擦りこすり、一人甲板で体操をしながら身体を解していた。朝食の担当者は、料理班以外にもう一人居るのだが、この時間だとまだ眠っているだろう。寝起きが良いとは言えない雅人は、指先まで身体をしっかり目覚めさせてから厨房に向かう。でないと、うっかり指を切ったり、大切な食材を落としたり、下手をすれば大きな失敗を起こしかねないからだ。身体が温まって来て、ようやく雅人が厨房に向かおうと立ち上がった時、反対側の甲板に人影が見えた。この艦内で自分より早く