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《雅紀》美容室に行くから今夜は早く帰ると、昨日から10回は言っていた。「なのになんでこんなギリギリまで仕事が詰め込んであるんだ」「申し訳ありません」「わかってる。どうせ母さんだろ?面白がって茶々を入れるあたり……いや、もういい。佐々木さんが悪いわけじゃないのは、ちゃんとわかってるんだ」「ありがとうございます。雅紀様。あの何度もお願いしていますが……」「ああ、呼び捨てろって事ね。善処します」「あと、この先しばらく渋滞しておりまして、予約の時刻に到着するのは難しそうです」「ここで降り
*未読の方には是非読んで頂きたいシリーズ。これを書いた頃、眞白は櫻井君が刑事の役を演じている事すら知りませんでした。*『バディ』と『黒翼の天使』は、同じ事件を通した別視点からの作品で密接に繋がっています。両方とも読んで成り立つ物なので、続けて読んで頂けるとわかりやすいと思います。一見日々は穏やかで、とても静かに過ぎていた。しかし、その静けさは、まるで古いレコード盤の上に針を落としたみたいに音の無い序章を奏でて、翔とマサキを、否応なく“あの日”へと運び始めていた。opening