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『しょーちゃん、これ、一緒に書こう?』コレ、と雅紀が差し出したのは真っ白な封筒に収まった婚姻届。『うわ・・・まじかよ。』『え?』『俺たちやっぱ、気ィ合うわ』俺は茶封筒を差し出す。中身は同じ。俺らめっちゃ幸せに笑ってる。ふたりで交互に書き込む、婚姻届。ひとつ書いては見つめ合い、また書いてはキスを贈り合う。頬に、こめかみに、唇に。全然進まねぇじゃん、とか何とか言いながら。なんて甘くて幸せな時間なんだろう。これは、俺の願望?時間は移ろう。『これめっちゃよくね?雅紀に似合
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)「俺もさ、、俺のやってる事は意味のあることなのかとか、諦めていいかなって思う時だって実はあります。だけど…決断しようとする時は…。俺のフィアンセで、人としても獣医師としても…尊敬する人の顔が浮かぶんですあの人に恥じない自分でいたいって。だから俺は自分を一生懸命奮い立たせて、歯を食いしばれるんです」「先生…」「こういう命を扱う仕事だから、時には見たくないものを直視せねばいけない機会も何度もあります。右も左も分からない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)ある日のこと。いつもの駅前のカフェではなく、昼間でもなく。初めて夜の時間帯に、『話を聞いて欲しい』と元飼い主さんの自宅に呼び出された。『どうしても、今でないと』って言う。切羽詰まったものを感じて向かったが、いつまでたっても、何だか他愛もない話で。「そろそろ俺、明日も早いんで。これで失礼します」席を立った途端、腕を引っ張られ、部屋の奥、ベッドの上に押し倒された。「…は?」「一度だけで良いから。一人で夜を過ごすのは
もう、いい加減ケジメをつけないとって思った。毎日会いに来てくれる雅紀のこと。そして、俺の頭痛は日に日にひどくなってる。覚悟を決めた今日。ゆっくり雅紀と話したいと思ってたから、彼が病室に来る前にシャワーを浴びに行った・・・のに、あれこれ考えているうちにいつもより結局時間がかかって。「あ、やべ。・・・待たしちゃったか」そのあいだに雅紀は来てしまっていた。ベッドに乗せた腕を組み、小さくて形のいい頭を乗せて居眠りをしていた。疲れてんだろうな。連日の病室通いと当たり前に仕事だろうし。サ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)予想していたよりもずっと早く、新しい機械が搬入された。そのお陰で、これまで二人がかりでやっていた仕事も一人で済み、時間も大幅に短縮する事が出来た。「渡海先生、これなら往診にも手が回るかも…」「ん、だな。」一旦ストップしていた往診も暫定的に復活させ、気になっていた子たちの様子を見ることが出来た。往診で昼間外に出る度、季節の変わり目を肌で感じ。桜が咲き誇る季節には『たつやと一緒に見たいな』って思いもしたけれど、日々がむ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)「雪だって…」テレビの前で思わず呟いた。昨日の昼間は太陽が覗いて、一度は止んだ雪だったが夜半に気温がグッと下がって、また降り出したらしく朝になると雪はやみ、3cmほど積もったとニュースで言っていた。たった3cm…。でも電車、遅れるだろうな。首都圏は雪にめっぽう弱いから……。早めにマンションを出て、駅に向かった。駅の構内も電車内も、いつもより混雑していたが、少し早めの時間に到着駅に着いて、電車を降りた。改札を出ると「
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)暫くすると、ノックの音がして診察室のドアが遠慮がちに開き、双子のどちらかを抱いた、たつやのお父さんが顔を出した。「診察中すまないが…この子が泣いてしまってて…」「あぁ、寝ぐずりだな…イチ先生、ここは任せて良い?」「はい」後は処置だけだから、一人で事足りる。「もう一人の子はすぐ寝たんだが」「ん、こっちに…。よしよし、みや。大丈夫…『絶対大丈夫』だよ」渡海先生に抱っこされトントンされて、みやちゃんは静かになった
こんばんは!いつもお立ち寄りくださり、ありがとうございます!只今再掲中の、Only_you☆プレーリードッグな櫻葉♡ですが、145話が再掲されていないこと(こんなストーリーが146話の前にあったのでは、とお話の内容まで憶えていてくださった〰️(ᵕ̩̩ᵕ̩̩)🙏✨️)を、読者様に教えていただき、確かに!!!!!と調べましたら、以前、お話をアメンバーに移す作業をしていた際に、誤って消去してしまっていたことが分かりました。アメブロにはもう残っていなかったのですが、むかーしとって
相変わらず出勤前と、仕事が終わってから面会時間が終わるまで、雅紀はずっと俺のそばにいる。けど・・・まじで生活、大丈夫か?家族とか。恋人・・・とか。こないだ言ってた、ブレスレットくれた人って、それって、そういうヒトなんじゃねーの?でも、雅紀ならカノジョいたら連れてきそうなもんだよな。『しょーちゃん、オレのカノジョだよ、仲良くしてくれる?』とか何とか言いそうじゃん。うわ。想像したらすっげぇ具合悪くなった。ってか、想像すらしたくねぇし。頭いてぇし、吐きそうになる。なんだよこれ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)「オレは今回の件で非常に迷惑している」渡海先生はプレーリードッグの双子と一緒に降りてきて、開口一番、たつやのお父さんに苦々しい口調でそう言って続けた。「本来三人で回してたところを急遽二人で回さなければならない。しかも医院長の仕事まで肩代わりして。…プライベートもクソもあったもんじゃない」渡海先生、そんな不機嫌丸出しな感じで大丈夫だろうか?たつやのお父さん、怒って帰ってしまったりしないかな?ハラハラしていたけれど、渡海先生は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)「……これで良しと」ドアの外に[診療中]の札を下げ、ふと見回すと風に乗って小粒の雪がチラチラ舞っている「風花……寒いわけだ」昨夜から預かっている、雅紀くんのとこの双子たちも見たかな?「渡海先生~」呼びながら階段を登って、宿直室のドアを開けた。渡海先生はソファーに座っていて、膝の上の双子たちに絵本を読んでいた「外、雪が舞ってますよ」「…寒いわけだ」「ね。」「見てみるか?雪」渡海先生は双子達を抱っこしたから
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・※ご注意ください⚠️🙇♀️いつもお立ち寄りくださり、本当にありがとうございます。こちら142話も、前半は引き続きオトナの夜の表現のお話になります。苦手な方は、どうぞ無理されませんよう、よろしくお願いいたします🙏・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)「ン……」ふっと目覚めて部屋の中はまだ薄暗く。「なん…じ」布団から這い出て立つと、さすがに腰がふらついてよろけ、壁に手をついた。…いつもは自分を一歩引いてしまうような
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・※ご注意ください⚠️🙇♀️いつもお立ち寄りくださり、本当にありがとうございます。こちら141話も、引き続きオトナの夜の表現のお話になります。苦手な方は、どうぞ無理されませんよう、よろしくお願いいたします🙏・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)俺が泣き終わるまで、たつやは黙って抱きしめてくれていた。「…ふっ…うっ…ごめ…ん…」「ううん。これは僕だけに許された、大切な大切な役目」優しくてあったかい声。大きな手の
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・※ご注意ください⚠️🙇♀️いつもお立ち寄りくださり、本当にありがとうございます。こちら140話も、引き続きオトナの夜の表現のお話になります。苦手な方は、どうぞ無理されませんよう、よろしくお願いいたします🙏・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)痛くは無い、痛くは無いのだけど。突かれるたびに…その圧迫を受け止めきれず、俺の身体はずり上がってしまう「…もうすこしだけ」低く呟かれて頭をぐっと抑え込まれた「んっ…
雅紀の手首でキラリと輝くアクセサリーの存在に気づいた。始めは何気なく見ていたつもりだったが、どうにも目が離せなくなっている。しまいには雅紀に声をかけられても気づかないほどに凝視していた。「しょーちゃん!」「・・・あっ、ごめん、なに?」「なにじゃないよ、何度も呼んでるのに全然反応してくんなくて・・・怖かったよ」「あぁ、ごめん・・・あのさ雅紀、それ、かっこいいな」さりげなく光るホワイトゴールドのブレスレット。シンプルなチェーンで、強い主張はないが、確かな存在感がある。すっげぇ高そう。
雅紀は甘いな、と思う。なんでこんなに俺を甘やかすんだろう。ただの偶然で、たまたま俺のお節介でこうなっただけなのに。でも、そのおかげで、こんな風に空気が馴染む相手がいるってことを知れた。会話らしい会話はしなくても、ただただゆったりと流れる時間が心地いい。不謹慎にも退院したくないなんて思ったことは秘密だ。そうして過ごすうち、俺は気づいたことがある。頭痛の頻度が増えているのだ。そして、発生するパターンもわかって。たぶん、頭痛のトリガーは雅紀。雅紀と一緒にいると、うっすらと頭痛の気配が
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・※ご注意ください⚠️🙇♀️いつもお立ち寄りくださり、本当にありがとうございます。こちら139話も、引き続きオトナの夜の表現のお話になります。苦手な方は、どうぞ無理されませんよう、よろしくお願いいたします🙏・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)部屋の奥の間には、布団が並べて敷いてあって二人で倒れ込んだ。軽く湯あたりしたのかも。。身体がだるく、力が入らない。仰向けになって、現代では貴重な一枚板の天井の造りをボン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・※ご注意ください⚠️🙇♀️いつもお立ち寄りくださり、本当にありがとうございます。この辺りのお話は、コオ先生が日本を発つ前に、イチ先生と愛を深める...というお話のブロックなのですが、この138話を含め、オトナの夜の表現が142話まで続きます。苦手な方は、どうぞ無理されませんよう、よろしくお願いいたします🙏・・・・・・・・・・・・・・・⋯・・・・・・(イチ先生side)「たつや・・・」いっぱいキスしたい。けど、こんなグズグズじゃぁなぁ…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)翌日たつやと東京駅で待ち合わせした。会った途端にまさかのギュッてハグされ、びっくりして『公衆の面前だろ』って押し返した。「ごめんね、つい嬉しくて」特に気にした風でもないたつやから差し出されたチケットには、「長野?」東京→長野と印刷されていた「そう、新幹線で」「長野に?何しに?」「スキーと温泉。楽しもうね」「え?スキーと温泉!?楽しむ?普通に余暇ってこと?」「ふふふっ、デートだよね」たつやは笑って頷いている
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)「じゃぁな」「お疲れ様でした」渡海先生を見送り、病院の玄関の鍵を掛けた。外はもう真っ暗だ。足どりも重く、コオ先生の待つ二階に上がった。「あ、施錠ありがとう」「はい。下の電気も全部消してきました」「ん。いちととゆっくりするの、久しぶりだね…はい、どうぞ。今日もお疲れ様」そう言って、湯気の立ったコーヒーを微笑んで差し出してくれた。「お疲れ様です。器具破損の件、、申し訳ありませんでした」自戒を込めて、たつやではなく
頭痛の原因はわからないままだ。雅紀を助けて階段から落ちた時、頭を打った。それがコトの始まりってことは、もちろん理解している。だからそのための検査もさんざんやった。腫瘍だとか、頭のどこかが出血してるとか、そういうんじゃないってことは検査で十分確認してる。だからもうこれは人体の不思議としか思えない。医学的に説明できる原因がわからない。心因的なものと言われたらそうなのかもしれない。実際にそういう説明を受けた。「翔さんが頭を打つ前の出来事や精神状態が影響して頭痛を引き起こしていると考えられ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)翌日の診療時間の終了後、コオ先生のいない間の対応について、渡海先生とレクチャーを受けた。「二人には負担を掛けてしまって申し訳ないですが、その間に関する事をこちらにまとめあので、目を通して頂けますか?」「ん」「はい」「緊急に判断を要することは、僕に相談していては間に合わないので、二人にデリゲートします」「了解」「承知しました」「何か困った時には、先日お世話になった佐伯清剛先生や、師匠の徳丸善次郎先生、その他、僕の知り合い
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)シンシンと寒さが降り積もるような夜。星明かりさえ凍てつきそうだと、零れた小さなため息は白く流れたカナダ…。カナダか……時差はどれくらいあるんだっけ日本が朝の時刻、カナダは夜だよね。それに、トロントか、バンクーバーかで三時間くらい違ったはず。それから、今の気候。めっちゃ寒いんじゃね?日本とは寒さの質が違うって聞いた事がある。そうだ、治安。たつやのお父さんが選んだんだから、きっと安全な場所なんだよね?たつや
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)急な機械のトラブルで業者さんに来てもらっていたら、すっかり遅くなってしまい、『とりあえず、近くのいつものお店に行こっか』って、ビールを頼んでつまみを頼んで今日診察した子たちの話しをした。そして、三杯目を頼む前にふっと間があいた。呼吸を整える気配がして「あのね」たつやが口火を切ったから、ドキンとしてピッと背筋が伸びた。「僕さ…」その声をかき消すように、ドヤドヤと団体が入ってきた。年齢も性別もバラバラで、花
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)気合いで何とか持ち直し、動物病院に戻った。もういつもの時間になってたから…いつもと変わりなく、いつもと同じようにたつやと渡海先生に挨拶して、仕事を始めた。だけどお昼休憩はここに居たくなくて。「俺、駅の方で用事済ませてくるついでに、食べて来ますね」って、一人外に出た。どこに行こうふっと道端で立ち止まると、ジュエリーオオノって看板が目に入った。俺は誘蛾灯に吸い寄せられる虫みたいに、フラフラとお店の前に立っていた。「…こんにち
だんだん調子は良くなってきた。そもそもの階段落ちによる身体の痛みはもうほとんどない。ただ、時折、気を失いそうなほどの頭痛が起こり始めた。これが非常にやっかいだ。痛みのせいかなんなのか、実際に気を失ってしまうこともしばしば。そこら辺で倒れたことも何度かあって、そのたびにどこかに身体をぶつけたりする。ある時は低いところからだったけど、また階段から落ちた。そしてその時はついに雅紀を泣かせてしまった。「しょーちゃん、頼むからもう怪我しないでよ・・・オレもう、心配で病院から離れられなくなる」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(イチ先生side)お父さんからお願いされた話って何?離れている間、お互い頭を冷やせってどういう事?喉まで出かかった質問は、「心配しないで」って、たつやの言葉と微笑みを前に、凍結せざるを得なかった。それでも、「…でも」って食い下がったけど、バタンって騒々しくドアが開いて、「すみません!うちの子が誤飲して!」って飼い主さんが駆け込んで来て一気に臨戦態勢になったから、結局その先は聞けずじまいになってしまった。・・・・・・・・・「..
・・・・・・・・(イチ先生side)「父さん、いらしてたんですか。すみません、お待たせしてしまって」たつやがお父さんを見とめると、表情がサッと変わり、声質もいつもの柔らかさが消えた「いや、近くまで来たものだから。例の件も正式に頼むことになったから。今日辺りメールが入ってると思う」「は…決まったんですか」「うん、よろしく頼むよ」「…はい…」お茶を入れに二階に上がったから、その後の話は聞けなかったけど…たつやの声は、なんだかよそよそしくて、たつやのお父さんの声は、あまり相手を気に
何かが頬に触れて目を覚ました。すると、目の前に愛おしい人が微笑んでいて、翔一も微笑む。「……これから特攻するって言うのに、こんなに幸せだなんて。君のおかげだな」掠れた声で伝えると、雅人は目を細めて翔一を見つめた。愛しくてならないと、瞳がそんなことを物語っている。「何か食べますか?今朝はお茶でいいかな?」「良いものだな。心を許せる相手が居ると言うのは……」「貴方の口からそんな言葉が聞けるなんて、俺、思い残すことはありません」「なあ?生まれ変わりって、信じるか?」「昔は信じてなかった
翌日の朝、翔一は本部からの重要な命令を受け取った。『明日、日の出と共に特攻せよ』たったそれだけ。他には何の言葉もない。もっと他に掛ける言葉があるだろう。そんな事も思い付かないのか、それともそれすら無駄だと言うのか?此処に集まった兵達は皆、家族を残し、仕事や勉学など、志し半ばでこの戦場に来ている。そのどちらも叶わないばかりか、ここに来て特攻とは。「了解であります」それ以外の返事は許されない。勿論命令に背くことも許されない。万が一ここから逃げ出して故郷に帰ったとしても、犯罪者扱いで極刑