愛知県北設楽郡段嶺村大字豊邦字笠井島の十歳ばかりの少年が、明治四十年ごろの旧九月三十日の神送りの日の夕方に、家族が餅を造るのに忙しい最中、今まで土間にいたと思っていたのが、わずかの間に見えなくなった。最初は気にもしなかったが、神祭を済ましてもまだ姿が見えず、あちこちと探したが、見つからず。行方知らずということで近所までの大騒ぎとなった。方々を探してみて、家の中も最後探してみたところ、天井の上にドシンと何かが落ちた音がした。驚いて梯子を掛けて登ってみると、少年は倒れている。抱いて下に連れてみると、