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長調・短調問わず♭Ⅶ度の和音がⅤの前に用いられるのは後期ロマン期以降にはよくあり、特にフォーレやラヴェルなどの作曲家には幾らでも例を見出すことが出来ます。フォーレヴァイオリンソナタ1番1楽章フォーレはごく当たり前のように長調でも短調でもⅤの前のⅣやⅡmの代わりに♭Ⅶを用います。これはフォーレが長調と短調を混合したような和声法を用いるので納得がいきますし、弟子のラヴェルもよくやります。ブラームスなどでも見かけますが、これは古典和声へのアンチテーゼと解釈することが出来ます
バッハの最高傑作は?と問われれば意見は色々でしょうが、教育的な作品、芸術的な作品、宮廷勤務時代の貴族の娯楽的作品、そして宗教的な作品などに分けて分類することができ、宗教的な作品としては何といってもマタイ受難曲がバッハの宗教的な作品群の中で規模も内容も特に優れています。ルター以降の音楽修辞法に加えて、バッハ独自の様々な描写表現を駆使したマタイ受難曲は非常に興味がそそられる箇所が多く、現代人が作曲する上で伝統という意味と純粋な技法という意味で大いに価値のある作品であると言えます。今回
今回はミックス初学者の方へのアドバイスです。音楽制作においてエフェクトに何を求めるかは個人の趣味嗜好や方法論などによって千差万別ですが、ここでは大雑把に⓵ミックスにおいて馴染ませたり全体のバランスを取るためのエフェクト②掛け録りまたは音色作りのためのエフェクトの2タイプに大別してエフェクトの意義を考えて使い分けることについて述べています。生徒さんなどで両者をごっちゃにしてしまってミックスのクオリティーが上がってこない方をよく見かけますのでまとめてみました。■前置き⓵
SONIBLEのTRUE:BALANCEの体験版を試してみました。アナライザー系は複数持っているのですが、3バンドごとのレベルとステレオの広がりを確認出来るという現時点(2022年11月)では競合製品のないタイプでしたので気になった次第です。TRUE:BALANCEの詳細情報ページSONIBLE社製プラグイン・エフェクト「TRUE:BALANCE」の製品詳細情報ページです。sonicwire.com競合製品としてiZotopeのTonalBalance
CableguysShaperBox3にアップグレードしました。ShaperBox3にアップグレードしても2バージョンはそのまま使えます。KICKSTARもバージョン2になっていましたので合わせてアップグレードしました。Cableguys|ShaperBox3CableguysShaperBox3(VST/AU/AAXplugin)-NinepowerfulCableguyseffectsinoneplugin.Formodernmixes
前回VSXの記事を書いたのでよく質問されるヘッドホン選びについてどなたかのお役に立つかもしれないので簡単に記事をまとめてみます。どんなヘッドホンが良いのかは用途によります。まず大前提としてヘッドホンにはオープンバック(開放型)とクローズバック(密閉型)が存在します。〇解放型の特徴開放型は色々あります。これはAKGのK702です。解放型のメリット・得意分野・イヤーカップに穴があるのでそこから音が抜けてカップ内に圧力が溜まらないため密閉型と比べるとスピーカーに近い音を再現
まだまだ普及しているとは言い難いMPE(MIDIPolyphonicExpression)ですが、PitchInnovationsからリリースされているFluidPitchはMPEに対応していないDAWでも疑似的にMPE的なピッチベンドが出来るプラグインで気になったので記事にしてみました。FluidPitch|株式会社ハイ・リゾリューション3つの超能力をもたらすMIDIプラグインMIDIキーボードにスマートなピッチベンド・ホイールとマイクロ・チューニング、M
前回の続きです。まずはざっくり和声の骨格を抜き出して見ます。もっと単純化出来ますが、簡単に還元すると以下のような感じになります。還元スコアMP3はこちらで聞けます。原曲のスコア弦楽四重奏的なテクスチャーを残しつつ和声の骨格を抜き出して単純化してみました。原曲の楽譜とよく比較してみましょう。MP3をご用意しましたが、始まり方はまるでドビュッシーを彷彿とさせる平行和音です。こうやって単純化出来れば誰でも自分の曲で応用するのは簡単ですが、個人的に面
そこまで大好きというわけではないのですがちょっと気になるシマノフスキの曲をアナリーゼしてみたいと思います。カロル・シマノフスキ-Wikipediaja.wikipedia.org近現代の作曲家なら誰によらず、最初は古典やロマン期の作曲家の直接的な影響を受けてそれらしい作品を作り始めるところからキャリアが始まります。正式に作品として残しているかどうかは別とすればほとんど全員の作曲家がそうでしょう。シマノフスキも例に漏れずまず古典やロマンの音楽の方から始まりま
もう10年くらい愛用しているViennaEnsemblePro(現在ver.7)ですが、今後導入を検討なさっている方のために良い点とあまり取り沙汰されない不便だなぁと個人的に思う点を挙げてみます。便利な点こちらのメーカーの公式で製品紹介では便利な点について色々述べられており、また色々なサイトでも利便性が述べられていますが、私がよく使う、または個人的に便利だと思うのは下記の点です。今後購入なさる方の参考になれば幸いです。ちなみに誤解しないで欲しいのですが私はアンチではありま
レッスンで生徒さんにシャランの和声課題集のスタイル和声編である「Melodiesinstrumentalesaharmoniser15:Debussy,Instrumentsetpiano」(和声実習のための器楽的旋律15:ドビュッシー、独奏楽器とピアノ)をスタイル和声ご希望方に課題として出しているのですが、誤植?と思われる箇所が何ヵ所かあり、独学で学んでいる方のためのヒントになるかもしれないので一応記録に残しておきたいと思います。アカデミアミュージック/M
クラシックデジタルリバーブとして特に評価の高いLexicon224はUAD-2に限らず色んなメーカーからプラグインがリリースされており、愛用なさっている方も多いと思いますがかくいう私も個人的に大好きだったりします。実機のLexicon224Lexicon®224DigitalReverbプラグイン|UADAudioPlugins|UniversalAudioTrackandmixwiththelegendaryLexicon224Dig
IKのAmplitubeはアンシミュ業界の老舗であり、現在でも新作をたくさん発表しバージョンアップも繰り返している素晴らしい製品なのですが最近はPluginAllianceのアンプの方が音が良いのでそちらの方にかなり傾いています。アンプの種類やコスパでは圧倒的にIKの方が強いですが音色という側面から見た時に(Brainworx製の)PluginAlliance製品の方が頭一つ抜き出ているような気がしています。AmplitubeのDualRectifierIKMul
フーガは対位法と和声法の両方の技術を必要とする音楽の中で比較的難しい曲であり、一般には難しく捉えられがちですが、個人的にはちゃんと勉強していけばそうでもないと感じています。今回は全曲を完全にアナリーゼする、というよりは独学で勉強なさっている方のためにフーガのアナリーゼのやり方や作るためのヒントをご紹介してみたいと思います。■□■□■□■□■□■□このシリーズのインデックスその①この記事ですその②主題と対旋律の作られ方その③和声還元その④音型の考察その⑤フレーズアナリー
IKから新作のHammondB-3Xがリリースされたのですが、単体で購入するのではなく最新のTOTALSTUDIOMAXにアップグレードすればついてくるとのことですので、アップグレード検討の一環としてこのソフトを試してみたので思ったことを書いてみたいと思います。IKMultimedia-HammondB-3XHammondB-3X-ThefirstrealHammondorganforMac/PC.www.ikmultimedia.comハ
楽曲分析(アナリーゼ)のやり方(下巻2)が出ました。Amazon.co.jp:楽曲分析(アナリーゼ)のやり方(下巻2):~演奏家と作曲家と指導者・教育者のためにeBook:井原恒平:KindleストアAmazon.co.jp:楽曲分析(アナリーゼ)のやり方(下巻2):~演奏家と作曲家と指導者・教育者のためにeBook:井原恒平:Kindleストアwww.amazon.co.jp下巻2(最終巻)ではロンド形式、ロンドソナタ形式、バロック・古典・ロマンのそ
DTMの世界で最も遅れている楽器音源はなんと言ってもエレキギターで次いでアコースティックギターです。ドラム、ピアノ、ストリングスやブラスなどはかなりの精度でリアルなものがリリースされています。物理モデリング音源が珍しくなくなって久しいですが、2021年4月の段階ではエレキギターは万能且つリアルなものがなかなか出てきません。理由は単純で難しいからだと思われます。昨今は物理モデリングのエレキギターもぼちぼちリリースされていますが、サンプリングのギター音源に対して物理モデリングはそもそも選
日本ではいまいち盛り上がって切っていないTONE2のシンセなのですが、個人的には大好きなので幾つか所持していたシンセからのアップグレードとしてCompleteBundleを買いました。強烈なFMシンセであるNemesisが欲しかったのとSERUMやAVENGERのような現代的ウェーブテーブルシンセであるIcarus2が欲しかったからです。支払い方法やインストールなどどなたかたの参考になるかもしれないので記録を残しておきます。Tone2NemesisTone2I
WAVESJ37Tapeを購入しました。山ほどテーププラグインが存在する昨今はメーカーも鎬を削っている状態で、様々な付加価値を持ったテーププラグインがありますが、WAVESJ37TapeはAbbeyRoadStudiosにおいて1965年に購入され、1969年に新しく別の8トラックテープレコーダーが導入されるまではほぼすべての録音にこのJ37が使用されていたそうです。現代人からみるとAbbeyRoadStudiosのヴィンテージサウンドの典型とも言えるものです。デジタル
ドレミファソラシドという音名の起源については有名な話なのでご存じの方も多いと思いますが、今回のお話を理解するための前提になるのでちょっとおさらいしてみましょう。ドレミファソラシの起源はグレゴリオ聖歌の「洗礼者聖ヨハネの誕生」の中の「聖ヨハネ讃歌」が由来になっています。「聖ヨハネ讃歌」これは現代の私たちの知るヘ音記号で読めます。すなわち上から2本目の線がファの位置になります。UtqueantlaxisResonarefibrisMiragestorum
前回の記事でエコーチェンバープラグインであるWAVESAbbeyRoadChambersについて述べましたが、今回は同じAbbeyRoadCollectionの中にあるAbbeyRoadReverbPlatesについてです。当時のAbbeyRoadStudiosでは3つのエコーチェンバーを運用しており、そのプラグイン化が前回の記事のものですが、複数あるミキシングルームのスケジュールが競合することが多く当時はこの3つしかないエコーチェンバーの取り合いがしばしばあったそ
WAVESのAbbeyRoadシリーズプラグインは結構学ぶところがありまして、今回は単なるプラグイン紹介ではなく1940年~1976年代くらいのabbeyroadstudiosにおいてリバーブを付けるためにどのような手法が用いられていていたのか?そしてそれを現代のプラグインで再現するにはどうすれば良いのか?などを述べてみたいと思います。abbeyroadstudiosはEMIの関連スタジオとして潤沢な資金をバックボーンにアーティストやエンジニアにの要望に答えてオーダーメイ
生ドラムではなく、電子ドラム(というかリズムマシン)として最も有名なものはTR-808(1980年)とTR-909(1983年)で、このTR系リズムマシンは現代でも根強いファンがたくさんおり、実機のリメイクやプラグイン化などDTMをやっていれば必ずと言ってお世話になることのある機種です。同じく1980年代に一世を風靡しつつも現代ではすっかり忘れ去られた電子ドラムのSIMMONSDrumを今回は紹介したいと思います。音楽は00:59~からなんというかレトロな1980年代
今回はあまり日の当らないLA-3Aについてその用途を考察してみたいと思います。FETでは1176、真空管ではFairchild670が一番有名ですが、光学式ではなんと言ってもLA-2Aです。UAD-2TeletoronixLA-2ALA-2Aは光学式特有の優しい、柔らかい、ヌルいとも言えるようなコンプの掛かり方と回路後段のアンプゲインに真空管を使っていることからアナログ的な歪みを加わるということで特に人気があり光学式コンプの代表みたいに言われています。光学式特有のコ
比較的初心者向けのアドバイスなのですが、最終的に2ミックスが完成した際に市販品に比べて音像がぼやけていたり、透明感が損なわれる理由の一つとしてミックスバスが破裂しているというケースが存在します。ドラムグループ、ギターグループ、シンセグループ、ボーカルグループ、あるいはマスターバス(マスターフェーダー)何でも構いませんが、バスに集合するたくさんのオーディオシグナルが一つ一つのトラックでは割れていなくてもバスに入った時点でトラックに対して、あるいはバスコンプやトーンコントロール用のプラグインに
PluginAllianceのセールスポイントであるTMT機能をまだ使ったことのない方のためにGIFを作ってみました。この機能が出て久しいのでご存じの方も多いと思いますが、TMT機能とはToleranceModelingTechnologyの略で直訳すると許容範囲内の誤差をモデリングした技術という意味になり、つまるところコンソールなどの同じモジュールがある複数ある場合に1つ1つの個体をモデリングしたものです。1chごとに個別にモデリングしているのがTMT機能です。マス
前回の続きです。音楽のブログ烏有さんのブログです。最近の記事は「SSL4000EのEQ比較①(画像あり)」です。ameblo.jp〇実際に比較してみます。SSLコンソールは幾つかのメーカーがプラグイン化していますが、今回はWAVES、PluginAlliance、UAD-2の3つのSL4000Eプラグインを用います。WAVES製PluginAlliance(Brainworx)製UAD製同じEシリーズでもEQのローバンドのノブ
実機はChrisLord-AlgeやBobClearmountainを始めとして世界的に著名なエンジニアが使用し、プラグインとしてもWAVESやUADをPluginAlliance始め複数のメーカーからリリースされている説明不要なほど有名なSSLのコンソールですが、今回はEシリーズのEQ特性の違いをちょっと比較検討してみたいと思います。SSLのコンソールはヴィンテージか?というとちょっと微妙な年代で1950年代のPultec、1960年代のREDDやAPI、1970年代のNEV
以前の記事でデジタルEQの決定版は当面DMGAudioのEQuilibriumがお気に入り云々ということを書きましたが、アナログ系ではPultecのEQP-1AとMEQ-5が特に気に入っています。もちろんほかにもNEVEやAPIを始めたくさんのイコライザーがあるのでケースバイケースで色々使うのですが、Pultecタイプのイコライザーがなぜこんなにも人気があってクローン製品がたくさんあり、またたくさんのメーカーがプラグイン化しているのかが最近わかってきました。好みや用途はあるもの