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前回の続きです〇ロマン派・シューベルトSchubert意味:ドイツ語で「靴職人(仕立てる人)」Schuh(靴)+würhte(作る人)もし日本名なら:沓澤、靴田*現代のドイツ語で靴屋は「Schuhmacher(シューマッハー)」と言いますが、シューベルトはその古い形にあたります。・ウェーバーWeber意味:ドイツ語「織工(布を織る人)」weben=織る・-er=~する人もし日本名なら:服部、織田・ロッシーニRossini意味:イタリア
作曲家の名前を日本の苗字にしてみます。日本人からするとモーツァルトやベートヴェンは言葉の意味がわからないので、響きだけ聞いてなんとなくカッコ良さそうと感じたりもしますが、実際にその意味を調べてみると、ごく一般的なものだったり、あるいはむしろあまりカッコよい由来とも言えないものもたくさんあります。苗字の由来を探るのは非常に困難であり、1つの苗字に複数の由来があるものも多数あります。またこの記事ですべての可能性を網羅するのは難しいです。例えばラヴェルならラヴェル
前回の続きです。ここから先の話は有名なので記事にするほどのことはないかもしれません。すなわち十二音技法のことですが、そのコンセプトも代表作も既によく研究されていますし、シェーンベルクといえば十二音技法みたいな扱いになっているので既にご存じの方も多いのではないかと思います。しかし自由無調時代の最大の欠点だった長い曲が書けないという問題をどう克服したのかについては触れる必要がありますので、それについて書いてます。ちなみに私個人としては十二音技法よりも過渡期時代の自由無調の方が興味
前回の続きです。■十二音技法までの「実験期(1908–1923頃)」調性の中心が揺らぎ、中心音の統率力が弱体化した結果として現れたのが、1908年以降のいわゆる実験的なfreierAtonalität(フライア・アトナリテート)で、ドイツ語で「自由無調」あるいは「自由な無調性」と翻訳される時代です。これは十二音技法に到達する前の無調音楽を指します。シェーンベルク6つのピアノ小品Op.19シェーンベルク3つのピアノ小品Op.11シェーン
前回の続きです。20世紀の対位法の著者であるHumphreySearleはヴェーベルンの門下だけあって、シェーンベルクにはかなり好意的で、且つ多大なページを割いて書いています。この本のメインコンテンツと言って良いでしょう。対位法の説明の前になぜシェーンベルクがそこに至ったのか?十二音技法がどのように扱われているか?などについても詳しく述べています。私は十二音技法に対して決して肯定的ではありませんが、近現代の音楽における一大潮流であり、これを無視することは出来ませんし、作曲の1
前回の続きです。20世紀の対位法は個人的にとても面白いと思ったので、わざわざ記事にしているのですが、このヒンデミットの章に関しては正直なところタイトル詐欺になってしまっています。ヒンデミットの章には対位法についての記述がほぼ何も書かれておらず、書かれているのはヒンデミットのUnterweisungimTonsatzの理論の説明としてその大要を説明したものと、さらにヒンデミットの理論に対する著者Searleなりの批判です。18ページも割かれていますが、出てくるのはシェーンベルクのフ
前回の続きです20世紀の対位法の著者HumphreySearle(サールとセアールがネット上に混在するので、以下Searleとします)は、バルトークを天才と持て囃しながらも、僅か11ページしかバルトークの対位法についてページを割いておらず、またその内容の大半はバルトークの対位法というよりは、バルトークの曲の紹介のようになっています。これを読んでもバルトークの対位法について得られるものはほとんどないというのが実情で、ぶっちゃけて言うと大したことが書いてないというのが私の正直な感想です
前回の続きです。ミヨーの章は対位法の説明というよりも、ポリトーナルとそれをミヨーがどう扱っているのか?の説明であり、対位法の説明としてはやや薄いです。ポリトーナルとは?その起源は?みたいなことが最初にざっくり浅く書かれていますが、調の違う複数のメロディーを並べるとポリトーナルとしての対位法になり、ミヨーがそれをどう扱ってきたのか?というのがこの章の説明になります。■室内交響曲第4番第1楽章よりSymphoniedechambre(室内交響曲)とかLittle(
前回の続きです。20世紀の対位法においてHumphreySearleはストラヴィンスキーの対位法技法に関して、彼の知名度や影響力を認めつつ、やや辛口・辛辣な批評をしています。本文を一部だけ抜粋してみます。ストラヴィンスキーは卓越した対位法的作曲家であるとみなされてきているが、しかし彼は確かに和音の面からよりも、線による表現をより考慮しているとはいえ、彼の対位法は固執反復音(Ostinato)的楽型の使用――疑いもなくロシアの民族音楽独特な語法の暗示による用法――を広範な基礎としている
前回の続きです。今回も感想というか、近代的な対位法を勉強している方のために私なりの解説をしてみます。第2章の半音階的対位法の発展で述べられていることは大きく分けて2つあり、1つはバロック時代から始まった調性音楽が後期ロマンに向けて徐々に半音階化していった歴史の解説、もう1つはそれと対位法の関係です。古典時代から後期ロマンにかけて半音階化が進歩しましたが、それは同時に対位法の復権とリンクしています。この章は「半音階が対位法を生んだ」のでも「半音階=対位法」なのでもなく、「半音階化によって
【お詫び】2025年6月以降にメールでのご連絡をくださった方へ平素より当ブログおよび作曲レッスンのご案内をご覧いただき、誠にありがとうございます。このたび、当方が使用していたお問い合わせ用メールアドレス(info@uyuu.jp)において、2025年6月頃から2026年2月初旬までの間、メールサーバーの容量超過により、一部のお問い合わせメールが正常に受信できていなかった可能性があることが判明しました。そのため、この期間中に・作曲レッスンのお申し込み・音楽やDTMに関するご質問・ご
前回紹介した記事の20世紀の対位法が結構面白かったので、第1章から(私が途中でくじけなければ)おおよその概要を簡単にまとめてみたいと思います。今回は第1章の序論について読んだ感想とまとめです。■前提後期ロマン派までの音楽は、一応のところ調的な古典和声的な分析が通用します。しかし近代に入って、シェーンベルク、ストラヴィンスキー、バルトーク、ミヨー、ヒンデミットなどの音楽が台頭してくると、それまで音楽の共通言語であった古典和声が通用しなくなります。しかし作曲の学習者や演奏家
晩年のベートーヴェンの作風は古典派音楽を超えて、ある部分ではロマン的になり、別の部分ではバロック時代のバッハのような対位法的なスタイルになっていきました。ピアノソナタ第28番は、まさにその典型です。ベートーヴェンのピアノソナタはよく前期・中期・後期に分けられますが、竹を割ったように突然作風が変わるのではなく、グラデーションのように「過渡期」とも呼ぶべき時期が存在します。個人的には、前期と中期の間に過渡期を、中期と後期の間にも過渡期を入れて、5期に分けたいと思っています。そういう
前回のドビュッシーから学ぶSDMと準固有和音の拡張の続きで今度はアッパーストラクチャーについて書いてみます。「アッパーストラクチャーってジャズの概念ではないの?」「ドビュッシーの時代には、まだ存在しなかったのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かにアッパーストラクチャーという名称自体はジャズ由来のものですが、ハーモニーの組み立て方そのものは、すでにドビュッシー(あるいはそれ以前の作曲家)の作品の中に見出すことができます。もちろんジャズとまったく同じ
ポピュラー理論や古典和声では、サブドミナントマイナー、あるいは準固有和音は、基本的にナチュラルマイナーからの借用として教えられます。KEY=Cのときに、C–F–G–Cのような進行をC–Fm–G–Cにするわけですが、基本的にコード・スケールはⅣmであればドリアンです。なぜドリアンかというと、KEY=Cm(ナチュラルマイナー)のⅣ度を借用しているからです。しかし後期ロマン派、近代フランス音楽になると、この枠を超えて、サブドミナントマイナー、あるいは準固有和音において
Kiloheartsから出ているDISPERSERは帯域ごとの位相を遅らせて音を作るという特殊なプラグインです。既に国内外を問わずたくさんのブログなどが紹介してみますが、私も扱ってみます。なかなか面白い音が作れます。KiloheartsDisperser-MagicAll-PassFilterThefamouseffectusedbymanyproducersandsounddesignerstoaddthatspecialsomethi
前回の記事でKiloheartsのPhaseplantについて述べました。今回はKiloheartsのultimateを購入したので「Multipass」と「SnapHeap」の便利な使い方というか、セールスポイントについて述べてみます。「Multipass」と「SnapHeap」ってどんなソフト?と思われるかもしれませんが、これは一言でいうと「複数のエフェクトを入れる便利で色々できる箱」です。KiloheartsMultipass-CustomMultib
KiloHearts『PhasePlant』を購入しました。今まで使った中で一番自由度が高く、様々な音作りが出来るシンセなのでずいぶん気に入りました。-YouTubeYouTubeでお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。www.youtube.comSERUM、VITAL、AVENGER、SPIREなど色々なシンセがありますが、音作りの自由度とシンセ内での完結という意味ではこれが一番かもしれま
昔SWAMのV2を使っていたのですが、パソコンを新調した際にAudioModelingを再インストールしようとしたところ、なんとdiscontinuedproductになっており、インストールできないことがありました。AudioModelingは、バージョンが上がると古い製品はインストールすらできなくなってしまうという、大変厳しい手法を用いています。現在であればV3ですが、将来V4になっても今のパソコンに正常にインストールされているなら(アップデートなどはなくなりますが)既存のバー
バルトークの最も有名な作品の1つであるアレグロバルバロのアナリーゼを行ってみます。■この作品の立ち位置アレグロ・バルバロはバルトークが若かりし頃、当時のハンガリーの楽壇において前衛的と見なされ、社会的な評価を得られなかった時代の作品です。彼の最も人気のある作品の一つであり、比較的若い頃の作品ではありますが、晩年の円熟した技法の萌芽をすでにアレグロ・バルバロに見ることができます。作曲自体は1911年(30歳)ですが、出版されたのは1918年(37歳)で、元々は単に「嬰ヘ調のアレ
バルトークについて調べるためにいろいろな本を読んでいるのですが、面白そうなバルトークのインタービューを見つけたので紹介します。大作曲家が何を考え、どのように作曲しているのか?を知ることは同じ作曲家ならみなある程度興味を持ってもらえるかもしれません。作曲習慣について尋ねられたとき、彼はこう答えています。質問:「いつも規則的に作曲されるのですか?」回答:「私は、仕事を混ぜるのが好きではないのです。いったん何かを始めたら、それが終わるまで、私はただそれのために生きます。」質問:
ヒンデミットの作曲技法とアナリーゼという本を書きました。Amazon.co.jp:ヒンデミットの作曲技法とアナリーゼ上巻eBook:井原恒平:KindleストアAmazon.co.jp:ヒンデミットの作曲技法とアナリーゼ上巻eBook:井原恒平:Kindleストアwww.amazon.co.jp上巻・下巻の2巻構成で現在下巻は執筆中です。上巻ではヒンデミットのUnterweisungimTonsatzで述べられている基本的な作曲語法の原理を紹介し
ブログにきてくださってありがとう♡今日の一枚「気分転換しながら作業する」です。なにかのきっかけになれたら幸いです【リーディング】続けられるように工夫をすることを楽しめるでしょう。完全に不安はなくならないとしても、今まで頑張ってきたことに対して意識を注ぎましょう。あなたは常に応援されている存在だと思い出しましょう。日常について、必ず幸運が待っているので、バケーションに出かける、冒険に出かけるつもりで取り組んでみましょう。びっくりするような出来事、ショッキングな出来事を体験したとき
フルートの奏法の続きで今回はホロートーン(バンブートーン)についてです。ホロートーンやバンブートーンと呼ばれる奏法はくぐもったような、虚ろな音色を得る特殊奏法でこれはベーム式のフルートで敢えてやる必要のないクロスフィンガリングによって得られます。これは現代音楽でよく使われる奏法でその目的とするところはフルートの音色の拡張やピッチの不安定さによる効果です。○クロスフィンガリングとはガチフルート奏者よりもフルート経験のないDTMerの方がこの記事を読まれることが多いと思う
前回のフルートのハーモニクス奏法研究の記事の続きです。ある生徒さんからフルートの最低のオクターブ以外はそもそもハーモニクス奏法なのに、特別にハーモニクス奏法として記譜されるものとはどう違うのか?という質問を頂きました。前回の記事でもそのことについては触れていたのですが、せっかくなのでどう違うのか?を書いてみます。ただ私自身はフルート奏者ではなく、フルートに触った経験はごく僅かしかありません。あらゆるハーモニクスを自由に、且つ上手に出せる熟練のフルート奏者ではなく、あくまで私のフ
今フルートを駆使した自作の曲を書いているのですが、今までなんとなくフルートのハーモニクス奏法を使ってきましたが、厳密にどのようなことが起こっているのかに興味が沸きました。現代音楽で用いられるフルートのハーモニクス奏法は普通の奏法と出てくる音色が違いその魅力的な音色から度々用いられるものですが、具体的にどのような現象が起きているのかを知ることが今回の記事の目的です。○ちょっとだけ前置きフルートは現代音楽の時代になってから様々な特殊奏法が研究され、今では色々な変な?特殊奏法がた
コントラバスなどで行われるサブハーモニック奏法について検証してみます。サブハーモニック奏法とは弓で弦を押さえつける力を通常よりも強くして「開放弦より低い音を出す方法」のように説明される特殊奏法ですが、本当に開放弦より低い音が出ているのかどうかは個人的には疑問だったので調べてみました。この動画の方は冒頭でソ→レ→ラ→ミの順番で開放弦を通常の奏法で音を鳴らし、次にサブハーモニック双方で同じことをしています。今回はA弦の音をスペクトラムで検証します。○普通の
牧神の午後への前奏曲のアナリーゼ本を書きました。Amazon.co.jp:大作曲家の作品アナリーゼ③~牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)~作曲家と演奏家のために:作曲家と演奏家のためにeBook:井原恒平:KindleストアAmazon.co.jp:大作曲家の作品アナリーゼ③~牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)~作曲家と演奏家のために:作曲家と演奏家のためにeBook:井原恒平:Kindleストアwww.amazon.co.jpいつも
長調・短調問わず♭Ⅶ度の和音がⅤの前に用いられるのは後期ロマン期以降にはよくあり、特にフォーレやラヴェルなどの作曲家には幾らでも例を見出すことが出来ます。フォーレヴァイオリンソナタ1番1楽章フォーレはごく当たり前のように長調でも短調でもⅤの前のⅣやⅡmの代わりに♭Ⅶを用います。これはフォーレが長調と短調を混合したような和声法を用いるので納得がいきますし、弟子のラヴェルもよくやります。ブラームスなどでも見かけますが、これは古典和声へのアンチテーゼと解釈することが出来ます
バッハの最高傑作は?と問われれば意見は色々でしょうが、教育的な作品、芸術的な作品、宮廷勤務時代の貴族の娯楽的作品、そして宗教的な作品などに分けて分類することができ、宗教的な作品としては何といってもマタイ受難曲がバッハの宗教的な作品群の中で規模も内容も特に優れています。ルター以降の音楽修辞法に加えて、バッハ独自の様々な描写表現を駆使したマタイ受難曲は非常に興味がそそられる箇所が多く、現代人が作曲する上で伝統という意味と純粋な技法という意味で大いに価値のある作品であると言えます。今回