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古きよき時代のスペオペ・シリーズ最終話E・E・スミス著ジャンルSFスペースオペラシリーズ最終話だ。前作で時間凝固カプセルに、純粋知性体+デュケーヌを封印し、宇宙の果てに飛ばしたシートン。シートンの師匠、ロヴォルから「んなことしたら、いずれカプセルはどこかの星に衝突するよ」という警告が入るところから始まる。ちょっと考えればわかる。いずれはどこかにぶつかるか、破壊されるか・・・。わかっているなら飛ばす前に警告してやれよと、これも突っ込んではいけない。私
古きよき時代のスペオペE・E・スミス著ジャンルSFスペースオペラさぁ、シリーズ3作目ともなってくると、面白さが増すそぉ。新型宇宙船スカイラーク3号で飛び立ったメンバー一行は頭脳連結で師匠を凌駕する天才級になってしまったシートンが、六次フォースを船内で開発。四次フォースは通常エーテルレベルの力(電波や重力や光など)、五次フォースはエーテル以下のレベル波長、サブエーテルで作用する力(超光速レベルと思えばいいか)、そして、六次フォースは精神の力。こ
E・E・スミス著ジャンルSFスペースオペラ■□■宇宙での大冒険を終えたシートン達、金持ちの友人(他に表現はないのか>私)マーチンもペギーと結ばれ、シートン一家、マーチン一家は無事に地球で暮らしていた。それだけでは話は進まない。またも暗躍するデュケーヌ博士。執拗に命を狙われるシートン達を訪れたのは前作で国家紛争を解決してもらった惑星の皇太子。またも「来て欲しい」の要請でこれまた安直に宇宙旅行の開始。前作の戦闘で、シートンは新兵器「力帯域」を開発
E・E・スミス著ジャンルSFスペースオペラ■□■ええい、今日はもうヤケだ。徹底的に古いSF紹介してやるっ。E・E・スミス・・エドワード・エルマー・スミスと言えば、この「スカイラーク」シリーズよりも「レンズマン」シリーズが有名だ。「レンズマン」は日本で劇場版アニメにもなったし、コミックにもなった。いずれも、「なんじゃこれ?」だったが。シリアスな「レンズマン」に比べてこちらのシリーズはちょっと地味、銀河パトロール隊がボスコーン相手に超兵器で艦隊戦して
設定は面白いんだけどなぁ・・・浦浜圭一郎著ジャンルホラーSF本作は2000年小松左京賞の佳作に輝いている。少しばかりホラーに凝った時期に読んだ一冊だが・・・正直、これが佳作かな?と思ってしまった。実を言うと私的にあんまり面白いストーリーじゃない。ホラーなのかSFなのかよくわからないが、一種のシチェーション小説とでも言ったほうが良いかもしれない。どうも、角川書店が気合入れて宣伝している作品で面白いのはないというセオリーが定着してしまうのは私の偏見だろ
ほとんど一気読みの面白さ先日よりお約束の『レッドリバー・セブン:ワン・ミッション』著:A・J・ライアン原題:REDRIVERSEVENジャンル:SFホラーアクションネタ元のユーリさんの記事にリブログさせて頂きました。ユーリさんの記事から、これに登場する7人。(内、死体が一人)は、気が付けば制御不能の軍用艇に居て、6人全員が記憶をなくしている。(艇は自動で航行中)死体の一人は、拳銃自殺したような状況。自分の名前も腕にあるタトゥーだけ、頭や背中に
ペリー・ローダンシリーズ第一号作家K・H・シェール著ジャンルSF以前のアーティクルで、シェール作品の例として『地球への追放者』をご紹介した。これは結構映画化されても治まるような軽いノリの内容だったが、本作『地球人捕虜収容所』は少しシリアス路線だ。シェールらしさが色濃いと言ってもいい。銀河連邦は長い間、トカゲ型宇宙人(シェールって作家は敵方がトカゲが多い)「グリーンズ」と闘い、戦争は膠着状態にある。それというのもグリーンズには優秀な火器管制装置があり、その
ローダンシリーズよりもずっと前のシェール著:K・H・シェールジャンル:SF◆◇◆「カール・ヘルベルト・シェール」・・・K・H・シェールと表記したほうが、「あれ?観たことある」と思われる方も多いだろう。『ペリー・ローダン』の第1作を書いているドイツのSF作家だ。この作家に関しては「選民思想が一部見られる」と言う評価が結構多い。言われてみれば確かに作風からもそんな感じがしないでもない。・・・私とシェール作品の出会いは、「ペリー・ローダン」よりもまだ前になる。
「リアル」なウルトラマンの世界小林泰三著ジャンルはハードSFホラー文庫本もでたようだ。■□■書店でこの本が目に付いたのはその帯書の内容だった。「リアルなウルトラマンの世界」と書かれた帯には本作がホラーであることもうたわれていた。私、ホラー小説は毛嫌いしているわけではないが、他に読む本があったならばそちらを優先することが多い。理由は簡単、怖いのはちょっと・・・というだけなのだが。そのくせ、映画でも小説でも観始めると結構平気で観てしまう。怖がりではないだ
じわっと怖いホラー小林泰三著ジャンルホラー本作は以前紹介した『AΩ(アルファオメガ)』の関連で読んだ。「AΩ」が結構面白かったので、ラストに<ガ>と名乗る異種生命体が自分の名前を思い出し、本当の名前は「玩具修理者」だと供述するくだりで、それをキーワードに検索したら、そのタイトルの小説を発見。読んでみたという流れだ。田中麗奈主演でビデオ映画にもなっている。子供たちの間で噂になっている人通りの無い空き地に住む「玩具修理者」、壊れたものはなんでも・
キアヌ・リーブス主演でもうすぐ映画公開される(注:復活記事なので「もうすぐ」ではありません)著:フィリップ・K・ディックジャンルSFもうすぐ、キアヌ・リーブス主演で映画が公開される。「イルマーレ」の方が早いのでもうすぐといってもまだ、少し先だろう。実写で撮影した画像をわざわざアニメに変換しての映画になる。少し前までは『暗闇のスキャナー』というタイトルだったのだが、最近の版では「スキャナー・ダークリー」と映画と同じ名称の表紙になっている。☆☆☆さて、今回は書
ご存知、映画「ブレードランナー」の原作フィリップ・K・ディック著ジャンルSF映画『ブレードランナー』の元ネタだ。原作と言わずに元ネタと言った方がこれに関してはしっくりくる。原作と映画の内容が全然違うのだから仕方が無い。どこをどうやったらあの原作があの映画になるん?と私はずっと思っているが、映画は映画で面白いから「別物」として鑑賞することにしている。アクション性重視の映画の方がある意味とっつきやすいし、元ネタの方はなんだか哲学的というか宗教臭い。あ
某世界最大SF長編シリーズにちょっと似てるかも・・・著:デイヴィッドウェーバージャンル:SF☆☆☆文庫本で500頁を越えるヴォリュームだが、一気に読めてしまった。面白い!!☆☆☆月面調査中のパイロットが月そのものに擬態していた超巨大宇宙戦艦「ダハク」に拉致され、ファーストコンタクト。異星のスーパーテクノロジーの恩恵に預かる・・って出だしはぺりー・ローダンと似ている。そういえば、本書はどことなくK・H・シェール・・選民思想と一部では評判
書店で観たのはハイティーンの頃だったか著:山田正紀ジャンル:SF(伝奇?)◆◇◆高校生も終わりの頃。今からもう50年近く昔。当時はハヤカワからJA文庫と言う名称で、日本SF作家陣の伝奇もの花盛りで書店に並んだ時期があった。「石の血脈」「産霊山秘録」など読み漁ったものだけれど。そんな書店の棚の中でひときわ異彩を放ったタイトルがこれ。「神狩り」・・・山田正紀という作家名も聞いた事も無く、あまりに大胆なタイトルに私は何度も購入に躊躇してしまった。とんでもないタ
最初に読んだ「伝奇」小説著:半村良ジャンル伝奇☆☆☆なんだ、私最近紹介している本はみんな洋書ばっかりじゃないか。・・・って事で、私が高校生の頃に読んだ記念すべき「伝奇」小説の第一号も紹介してしまおう。私はこの頃から日本人作家一辺倒の時期が以後20年以上続くのである。☆☆☆この本、学友が「面白いから読め」と貸してくれた。外国作家のSFばかりにかぶれていた私は日本人作家を正直小馬鹿にしていたきらいがあった。私にこの「電気」でも「伝記」でもない「
前から読みたかった本著:コードウェイナー・スミスジャンル:SF☆☆☆本作は著者のライフワークと言ってもいい、「人類補完機構」の最大長編。もう、かなり前に著者は残念ながらお亡くなりになってしまった。このシリーズ、未完のまま。かの「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する人類補完計画という謎のプロジェクト名称はここから取られていると言うのも有名な話で。私はこのシリーズ、「鼠と竜のゲーム」から読み始めた。☆☆☆壮大な叙事詩ではあるけれど、なにせ翻訳される順番が短編主体
人類保管機構が何故設立されたか著:コードウェイナー・スミスジャンル:SF☆☆☆表題作の「第81Q戦争」はわずか文庫本で10ページ程の超短編。これが著者14歳の時の処女作だと言うのだから驚きだ。150世紀を超える物語の最初の最初・・22世紀の地域限定戦争のお話だが、長い叙事詩の最初の一こまに後から編纂されたのだろうと思う。補完機構などという言葉はかすりもしないのだから。私が大阪の実家に持っている一連の初版本には確かなかったような気がするが、重版本以後は米国の有名
胸が痛くなる珠玉の中編4作著:コードウェイナー・スミスジャンル:SF☆☆☆「人類保管機構」のシリーズの中で唯一、再読ではなく今回初に読んだ作品がこれ。私はこれが出版されたのを数年間知らず、気付いた時には既に第一次絶版となっていた。「ノーストリリア」の中でも、地球の底の底の面々が話の中にさかんに言う「ド・ジョーンの物語」。彼ら、下級民の話からどんな悲劇があったのか、おぼろげながら想像がつくけれど、実際のド・ジョーンの殉教が詳しく物語られているのは、本書に収録され
あまねくSFの中でこれほど華麗な世界観はない著:コードウェイナー・スミスジャンル:SF☆☆☆著者、コードウェイナー・スミスに関しては、私は別途記事にしたい。このスミス氏と「虎よ、虎よ!」に代表されるアルフレッド・ベスターだけは、数あるSF作家の中でも別格扱いだ、少なくとも私の中では。どちらも天才以上と言っていい。どうやったら、言葉をつむいでこれほど華麗な世界観をだせるのか。もはや、魔術師と言わせて貰おう。もう、20年以上前に私は本書、「鼠と竜のゲーム」を読んだ。
さらに・・読め!絶対、読め!!この本は面白い!著:ロバート・チャールズ・ウィルスンジャンル:SF◆◇◆ここ最近、50を過ぎてからの方が本当に「ぱい印オススメ」と言える海外SF作品に出くわしている。常連さんのオススメもあり~の、今まで喰わず嫌いで無いにせよ距離を何故か持ってしまったSF作品に果敢にトライしている自分が居る。本書「時間封鎖」も以前から存在は知っていたものの、分厚い作品であることと重々しいタイトル、それにご覧のような(→)カバーで、敬遠していたのが今
読め!是非、読め!!著:ロバート・チャールズ・ウィルスンジャンル:SF◆◇◆まだ上巻しか読みきっておらず現在は下巻の半分ぐらいまで読んだところ。(注:ゾンビ復活記事なので勿論全部読んでいます)いやもう、さすがにヒューゴー賞受賞作品と言ってしまえば月並みだけれども・・。これはたいしたSF小説だと久々にぱい印絶対確信お勧め。小説世界の設定はいとも簡単。仮定の知性体とされる仮定体、正体も不明ならば意図も何もわからない「何か」によって、ある夜を境に地球の夜空から星
ドック・スミスの遺族の許可までとった日本製レンズマン古橋秀之著ジャンルSF「レンズマン」と付いている限りは、”アノ”レンズマンなのだ。しかも日本人作家の!よくまぁ、E・E・スミスの遺族がこの名称で書くことを許したものだと感心する。世界中からレンズマンのオファーが来てもまずがんと首を縦には振らないらしい。そう、本書はレンズマンの物語だが、私的にはドク・スミス以外のレンズマンを認めるワケにもいかず、レンズマンであってレンズマンではない・・・・「アナザ
こりゃ、ダンテだラリィ・ニーブン著ジャンルSF本作はそのタイトル通り、ダンテの『地獄篇』のSFバージョンと思えばいい。いや、SFでもないがハヤカワSF文庫から出ているので便宜上「SF」とした。SF的な描写は一切無い、そのまま「地獄篇」だが、地獄篇もまた考えようによってはファンタジィ文学なので違和感は無い。ご存知の通り、『地獄篇』は詩篇の形態をとっている。これは物語の形態をとっているだけだ。「私」が謎の男の案内で地獄世界を見て廻る物語・・
もし、古書店で見かけたら「買い!」の一冊クリス・ネヴィル著ジャンルSF本作は一言「探した」。もう、探しまくった。さすがはインターネット時代である、ネットで探せば比較的容易に情報が見つかるのに今までハヤカワの文献書籍などで、いわば時代遅れの方法で探していて見つからなかった作品だ。勿論、入手は困難極まりないが、もし、古書店などで見つけたら「絶対に買い」の一作だ。『ベティアンよ、帰れ』を読んだのはちょうど高校受験を控えた中学3年の頃、いやもう35年も経ってし
これを解決するアンサー小説があったような・・トム・ゴドウィン他ジャンルSFアンソロジーこの『冷たい方程式』を知らないとSF通を語ること無かれと言われる程にメジャーな作品のようで。ようで・・・って、正直なところ私は去年まで知らなかった。うはははは!友人から「ぱいさん、読んだ事無いの?!信じられへん、モグリや!!」と、ついに”モグリ”の烙印を頂戴してしまった。はいはい、知りませんでした。全然知りませんでしたとも。モグリでもモーロックでもいいのだが、早速いつ
言語の持つ力をテーマにした風変わりなSFサミュエル・R・ディレイニー著ジャンルSF本作「バベル-17」はちょっと異色なSFだ。舞台設定はスペースオペラ風だが、波乱万丈荒唐無稽な派手な宇宙戦が展開されるわけでもなく、テーマは『言語』という、・・・おそらくはこのテーマで書かれた作品はこれ一作じゃないだろうか。ヒロインは宇宙を駆け回る”天才言語学者”だ。お供の乗組員も一風変わっている、獣人に霊人(霊体人?)、このトリオで様々な事件にあたるのだが・・・。
E・E・スミス作品のパロディストーリーハリイ・ハリスン著ジャンルSF本作は誠に珍しい、「レンズマン」「スカイラーク」のパロディSFだ。E・E・スミスの作品をパロったものは私たちが知らないだけで結構あるのだろうが、文庫で日本語訳されているのはたぶん本作だけだろう。結構用意周到にパロっているのでそのまますんなり読めてしまう、つまり、パロディだとわからない人も多いのではないだろうか。私ほど「レンズマン」や「スカイラーク」にのめりこんだスペオペ好きは、これを観
30年ぶりぐらいで再読してみた。著:ジェイムズ・ディプトリー・ジュニアジャンル:SF■□■私はこの著者、ごく最近まで男性だとばかり思っていた。この本が邦訳された時には既に高齢で、しかも認知症になったご主人を射殺し、自身も拳銃自殺するという事件があったそうな。よく読むと、ちゃんと訳者のあとがきにその辺の事も書いてある。なんで、男性だと信じていたのか…今もわからない。言われてみれば、テンポがいいのとダイナミックな展開で、女性とは思わなかったんだろう。『たったひとつの
知る人ぞ知る「ピープル」シリーズゼナ・ヘンダースン著ジャンルSF本作を読んで思い出すのは、クリス・ネヴィルの名作『ベティアンよ帰れ』だ。「ベティアン・・」はたった一人地球に残され、自分が宇宙生命体だとも知らずに育てられた女の子の物語だが、こちらは取り残された「人々」となる。太古に地球に降りて来た宇宙人の子孫・・・「ピープルシリーズ」の第一巻だ。『ハリー・ポッター』SFバージョンと言ってもいいかもしれない。自分たちの「力」をひた隠し、「村」(殆ど隠れ
全力でお勧めできる珠玉の一作!!ケン・グリムウッド著ジャンルファンタジーSF本作は、ちょうど7年前、私が43歳の時に読んだ。そしてこの本には色んな事を教わってしまった。第14回世界幻想文学大賞受賞作、まぎれもない名作だ。(注:サルベージなので「今」から25年前)人は誰でも、勿論私も、もう一度人生をやりなおせたら・・・と一度は思う。しかも、自分勝手に今の記憶や技術や経験ををもって昔に戻れたらどんなにいいか・・・と思ってしまう。あの時の失敗をやり