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乳癌で乳房を全摘する場合、乳頭乳輪と乳房の皮膚を全て残し、内部の組織だけを切除する方法を、NSM(NippleSparingMastectomy=乳頭温存皮下乳腺全摘術)と呼びます。この術式は、乳癌の状態によって適応できる場合とできない場合があり、全ての患者さんに行える方法ではありません。適応できた場合には、乳頭と乳房の皮膚が温存されるため、整容性の高い乳房再建が実現できる可能性が高い方法です。しかし、NSM後に人工物再建を選択した場合に問題になるのが、再建後の乳頭位置の上方偏移
前回の記事でもご紹介した瘢痕治療にも用いる機器であるフラクショナルCO2レーザー『アンコア』。この機器が木沢記念病院にやってきた日の興奮と嬉しさは今でも忘れられません。上のブログ過去記事の後日談ですが、治療終了から4~5年後、小児科外来の前でかわいらしい奥さんの隣で小さな赤ちゃんを大事そうに抱いた青年にばったり遭遇しました。すっかりパパの顔になってニコニコと幸せそうな彼の顔の傷には、まったく目が行くことがありませんでした。その後、この有益な治療を多くの患者さんに知って頂きたいと
(つづき)「分割切除」とは、一度で切除するには大きすぎる皮膚腫瘍や瘢痕を、2回または3回に分けて切除する方法です。1回目と2回目または2回目と3回目の手術の間は、4~6か月の間を開けます。その間に皮膚に余裕が生まれ、次の切除と縫縮が可能になります。手術の回数は増えてしまうというデメリットがある一方、最終的な傷の長さを短くすることが可能になるというメリットがあります。師匠である市田正成先生の御著書『スキル外来手術アトラス』より、図をお借りします。上の図でご覧頂いたように、1回で切
(つづき)幅のある瘢痕組織や皮膚腫瘍を切除するときに無視ができないのが、『ドッグイアー』いう皮膚の状態です(下の模式図に「イアー」と書いてあるので、「イヤー」ではなく「イアー」と表記します)。直訳すると「犬の耳」ということになりますが、ここでの意味は、「皮膚を切除して1本の傷に縫い合わせたときに、傷の両端に生じる膨らみのこと」を言います。私がこのドッグイアーを患者さんに説明するときにお見せしている模型です。右端の赤い→の部分の膨らみの部分がドッグイアーです。左の
苺状血管腫という生まれつきのアザをご存知でしょうか?「赤アザ」と呼ばれることの多いアザの一種ですが、成長と共に消退することが知られているため、様子をみることが多い疾患でした。現在では、生後早期からレーザー治療をすると最終的な整容性が優れるという見解もあり、レーザー治療の対象となることも多い疾患です。しかし、早期にレーザー治療を行っても、全く跡が残らないわけではありません。特に顔面にあった場合、赤みの消退後に残った瘢痕を改善したいというご相談を受けることがあります。患者さんのご両親の了
上眼瞼(=うわまぶた)のたるみ取りについてご紹介します。上眼瞼のたるみ取り手術は、『眉下切開』(まゆしたせっかい)と呼ばれています。眉下切開で有名なのが、六本木の境先生です。2017年の年末に見学にいった際の記事がこちらです。その後、眉下切開も少しずつ行ってきましたが、最近特に希望者が増えています。そこで今回、眉下切開について記事にすることにしました。下の患者さんは、境先生のところに見学後にしばらくして行った患者さんです。まずは手術のデザインです。そし
数日前のこと、夜中にくしゃみが出だしました。おや、風邪か?と思い、いつものようにビタミンCの大量摂取を開始するも、変化ありません。くしゃみ以外に風邪っぽい症状もなく、変だなと思っていると、今度は目がかゆくなってきました。ん?これは、、、花粉症か??そういえば、今日、診察室で患者さんが「そろそろ花粉症の症状が出だした」って言われていたような。実は私も4~5年前に花粉症を発症したのですが、ある本に書かれていることを実践してから、症状が出なくなっていました。その本がコチラ。
(つづき)タトゥーの施術に関してはタトゥーショップでも行われています。タトゥーショップでタトゥーアーティストの方が施術を行うことに関して、個人的には何の意見も持っていません。アートを追求したい方が自己責任で行う分には、トラブルが起きても自己責任の範疇だと思います。しかし、乳房再建の患者さんはアートを追求しているわけではなく、病気を治して普通の生活を取り戻したいだけという方がほとんどです。ですから、乳房再建という「治療」の延長であり、最後の仕上げである乳頭乳輪タトゥーにおいて、新たな健康被害
前回、乳頭乳輪へのタトゥーに使用する新しいマシンについてご紹介しました。施術のクオリティを高めるためには、マシンの性能はとても大事だと思います。一方で、安全性という意味では、マシンよりも、むしろずっと体内に残る「色素」の方が重要だと考えています。色素の安全性を考えた時、「MRIを撮影する場合の火傷のリスク」と「色素によるアレルギーのリスク」という問題が出てきます。まず、火傷のリスクについてですが、タトゥーを入れた方がMRIを撮影し、軽い火傷が起きたという事例は存在するのですが、乳頭
乳頭乳輪のタトゥーに関しては、私自身が思い描く治療レベルになかなか到達できず、ずっと模索を続けています。これまでに木沢記念病院で使用したタトゥーマシーンはPerMark社とBioTouch社のものでした。こちらがPerMark社のマシン一式です。過去のブログ記事でもご紹介しました(⇒記事はこちら)。PerMark社のタトゥーマシーンは、日本の病院で多く導入されているのではないかと思います。その理由は、アメリカの病院で広く使われていたことです。そもそも、タトゥーマシーンは日本で
前回も記事にした二重まぶたの施術についてですが、現在最もポピュラーな方法は、やはり「埋没法」です。術後の腫れなどのダウンタイムを考えると、手術で切開するのはハードルが高いと感じる方が多いというのがその理由だと思います。では、切る方法以外で、埋没法が最も優れているのかというと、どの方法にも必ず一長一短があるものです。今日は、手術と埋没法以外で二重を作る手段をご紹介します。まずは、通称「ビーズ法」こと、抜糸式重瞼術です。いちだクリニックに勤務していた時に経験させて頂き、私もその良
今回は、埋没法の症例紹介です。モニターさんは、20代の女性の方です。毎朝アイプチを行っていたそうです。埋没法は2点止めを行いました。施術1週間目の状態です。アイプチが不要になり、朝がとても楽になったと喜んで頂きました。このモニターさんは中学生の頃から毎朝アイプチを行うようになったそうです。きっかけは、目つきの悪さを学友に指摘されたことだそうです。朝のアイプチに1時間もかかることもあったそうでが、絶対に毎朝欠かさなかったそうです。学友の心ない言葉にど
先日、このブログの読者の患者さんで、木沢記念病院に美容治療に通われている患者さんが、ブログに掲載されていた「眼瞼下垂術後の経過の写真」を見て驚いたとおっしゃいました。「あの腫れ方を見ると、ちょっと手術は躊躇する。」とのこと。そのお気持ちはとてもよく分かります。その記事がコチラです。確かに腫れます。ただ、眼瞼下垂の手術というのは、整容的な配慮も最大限に行ってはいますが、機能回復を第一の目的としたれっきとした『疾患の治療』です。機能回復のためには、ある程度の腫れはやむを得ないと
乳頭乳輪の3Dタトウーについては、BioTouch社の講習会のことなどをご紹介してきました。また、つい先日の記事では、4名の患者さんのご協力で、3Dタトゥーの写真を掲載しました。(⇒2019年1月23日の記事はこちら)そして今回、施術が完了してから6か月が経過した方が経過を見せてくださいました。さっそくご紹介したいと思います。【写真】⇒こちらのページでご覧ください。(乳頭乳輪の写真はすぐに削除されるため、別のサイトに掲載してあります。)いかがでしょうか。私
先日、医療機器メーカーのJMECの方が面談に来られ、表彰して頂きました。JMEC取扱いの日焼け止め『プラスリストア』の売り上げが、なんと、岐阜県で1位!、全国でも12位!とのこと。おそらく、他のクリニックさんでは何種類か取り扱っているのに対し、木沢記念病院では日焼け止めはこの1種類しか扱っていないからでしょうか。それに加えて、病院の職員さんが家族の分までたくさん買っていくからでしょうか。どちらにしても、それだけの商品数が出ているのに、きちんと対応してくれている形成外科
形成外科では、『陥入爪・巻き爪』(以下、まとめて「陥入爪(かんにゅうそう)」と呼びます。)の治療も多く行っています。形成外科での治療方法としては、保存的治療で改善が見込める場合には、コットンの挿入やテーピング指導、爪の切り方指導などを行います。改善の見込みがない場合は、ワイヤーによる矯正か手術(フェノール法や爪床形成術)を行います。しかし、これらの治療で陥入爪が根治できるのは、後述する一部のタイプの陥入爪のみであり、治せないケースや再発を繰り返すケースも実際には多いのです。多くの
たるみ改善を希望された患者さんの経過をご紹介します。以前にも書きましたが、たるみに対しては総合的なアプローチが必要だと考えています。具体的には、溶ける糸(受け入れ可能なら溶けない糸)、ヒアルロン酸注入、ボトックス、HIFUやRFなどの機械系治療を必要に応じて組み合わせることが必要です。そこで今回は、「溶ける糸のリフト」と「ヒアルロン酸」を組み合わせた患者さんのご紹介です。下の写真で、赤い線が「溶ける糸」、青い部分が「ヒアルロン酸注入」(ボリューマ1本、ボリフト1本)で
今日は、眉の位置に左右差がある場合の眼瞼下垂の症例です。患者さんは50代男性です。視野の不良と額が重いと感じる症状、そして頭痛とがありました。術前の状態では、左右で眉の高さが異なります。左の眉のほうが低く、その影響で左の方が多く皮膚がかぶり、左右差の原因となっています。このように眉の位置に左右差がある場合、左右同じように眼瞼下垂の手術を行っても、術後に左右差が残る可能性があります。また、眼瞼下垂の手術を行うことで眉の位置が変化する可能性もあるのですが、その変化を前も
今回は、最近行った埋没法(2点止め)の症例をご紹介します。(写真掲載のご承諾を頂いた皆様、ありがとうございました。)まず、おひとり目。30代前半の女性の方です。毎日アイプチで二重を作っている影響で、皮膚にかぶれとタルミが生じています。つづいて、おふたりめ目。30代後半の女性の方です。この方は、おひとり目の患者さんのお姉さんなのですが、これまでアイプチは行っていなかったそうで、妹さんのような皮膚のたるみは生じていません。アイプチを行うことが、いか
今回は、乳頭縮小術のご紹介をします。乳頭縮小術に関しては、いちだクリニックに勤務していた時代から手術をさせて頂いていました。その後は乳頭再建で健側から乳頭を採取した場合に、同じような手順で採取側を仕上げる手術を行っていました。最近、純粋に整容的な改善を目的に受診された患者さんがいらっしゃいましたので、ご承諾を得て記事にしたいと思います。乳頭を縮小する場合、①高さの縮小、②直径の縮小、③高さと直径両方の縮小、のいずれかを行うことになります。多くの場合は③の高さと直径の両方を小さくし
ちょうど昨年の今頃、乳頭乳輪にタトゥーを施術する新しい機器が木沢記念病院に導入されたのに合わせて、タトゥーの講習会に参加する機会がありました。その時の記事がこちらです。この講習会の後、何名かの患者さんにご協力いただき、ご紹介できる症例が増えてきました。そこで今回、その症例をご紹介したいと思いますが、例によって、乳頭乳輪の写真は削除されてしまいますので、別のサイトにあげました。【写真】は⇒こちらのページでご覧ください。ご協力いただいた患者さん方には改めて御礼申し上
前回、溶ける糸でリフトを行った方をご紹介しましたが、施術の1か月後にヒアルロン酸注入を行い、さらなる改善を図りました。使用したヒアルロン酸はボリューマ1本とボリフト1本の合計2本です。下の写真のように注入しました。向かって右側、モニターさんの左側のタルミが強かったため、左側のリフトアップポイントにもボリューマを追加しています。ボリフトは、法令線をなめらかにするためと、あと上口唇のシワにも少量使用しました。糸の施術前の写真と比較します。偶然同じ服ですが、施術後の写真
たるみ治療のアプローチについて、先日から書いてきました。繰り返しになりますが、たるみに対しては総合的なアプローチが必要だと考えています。具体的には、溶ける糸(受け入れ可能なら溶けない糸)、ヒアルロン酸注入、ボトックス、HIFUやRFなどの機械系治療を必要に応じて組み合わせることが必要です。そこで、今日は、溶ける糸によるたるみ治療についてご紹介します。この施術は、東京のセミナーに参加して(その時の記事はコチラ)学んだことを実践したものです。行った施術は、溶ける糸4本を使用
今日は、PRP(多血小板血漿)療法についてご紹介します。PRPとは、Platelet-RichPlasmaの略で、日本語では多血小板血漿、つまり血小板が多く含まれる血漿成分という意味になります。その言葉通り、自分の血液を採取し、特別なスピッツと遠心分離器を用いて、血漿成分の多く含まれる血漿成分を分離し、その液体を注射することで、様々な若返り効果を期待する治療です。PRP療法については、過去に私のもうひとつのブログで詳しく記事にしていましたので、是非そちらも併せてごらんく
少し前に「法令線にも効果的なボトックス」という記事を書きました。その患者さんの笑った表情をした時の法令線への効果が今一つ物足りなかったので、追加でボトックスを注射することにしました。追加して効果をより追求したり修正したりすることを『タッチアップ』と言います。まずは笑った顔。初回のボトックス後はやや効果が物足りませんが、タッチアップ後ははっきりとした効果が出ています。続いて、静止時のお顔です。こちらもさらに改善しています。患者さんによると、追加でボ
昨年、大阪で行われたオンコプラスティックサージャリー学会で、京都府立医科大学形成外科の素輪善弘先生が、乳頭のボリュームを確保・維持するための手術方法の工夫を発表をされていました(素輪先生のご紹介ページはコチラ)。これはよいアイデアだと直感的に感じ、早速取り入れてみましたので、素輪先生のご承諾のもと、その工夫を紹介をしたいと思います。その前に、局所皮弁による乳頭再建の問題を再度ご説明したいと思います。それは、①再建できるボリュームに限界があること②再建した乳頭の高さが長期にわたり
以前から栄養療法に関しても度々記事にしてきました。栄養療法に関してはまだ広く知られていないこともあり、理解を得にくい場合が多くあります。誰にでも理解を得られる訳ではありませんし、診療時間の制約もありますので、必要と思われる方にだけ簡単にお話しすることにしています。そんな中、最近、「これからもなるべく沢山の患者さんに勧めていこう。」と強く思う出来事がありましたので、ご紹介したいと思います。先日、ある形成外科疾患で何年にも渡り診察を続けていた患者さんが、形成外科疾患が安定し、美容治療に移行
当院では二重の埋没法も行っています。下の写真の患者さんは、当院で私が7~8年前に二重の埋没法を『市田法』で行った患者さんです。右だけ、糸がはずれて、一重に戻ってしまいました。埋没法については、私がいちだクリニックで働いていた時に、市田先生から教えて頂きました。この『市田法』と名付けられた方法は、一言でいうと、超難しいです。取れにくいというのがこの方法のメリットなのですが、一方、手技が煩雑であることに加え、腫れや内出血が強く出やすいこと、糸の絞め方によっては、二重の始まりがク
日本女性の多くが気にするのが「法令線」です。もちろん、たるみとは無縁な若い方でも、構造的に法令線が深い顔立ちの方もいます。法令線が深いからと言って若々しく見えないかというとそうでもなく、むしろチャームポイントになっていたりもしますので、何が何でもとにかく法令線は消せばいいというものではないと思います。しかし、たるみによって目立ってきた法令線は、老け顔の原因となるので話が別です。法令線を目立たなくする方法には色々ありますが、ボトックスもその手段のひとつです。実際には、ボトックスだ
今回は眼瞼下垂の症例のご紹介です。患者さんは50代の男性の方でした。視野が悪いということで眼科から紹介された患者さんでしたが、術後には視野の不良はじめ諸々の症状が改善されて喜んで頂き、写真の提供もご快諾頂きました。改めて御礼申し上げます。この患者さんは、手術の翌日でも比較的腫れが軽度でした。術後2週間の時点ではまだ腫れがありますが、経過がとても良好な症例だと言えると思います。(また2か月後の経過写真をご紹介できる予定です。)下の写真は、手術中の写真で