ドラマ史における社会派エンターテインメントの系譜において、2010年に放送されたNHK土曜ドラマ「チェイス〜国税査察官〜」は、極めて特異かつ強固な足跡を残した一作である。本作は、それまで映像作品において地味な事務作業と捉えられがちであった「税務調査」という題材を、国際金融というマクロな視点と、人間の業というミクロな視点を交錯させることで、一級のクライム・サスペンスへと昇華させた。脚本家・坂元裕二が「Mother」や「それでも、生きてゆく」といったヒューマンドラマの金字塔を打ち立てる直前に手掛けた