これは去年のクリスマス・イヴの出来事である。この話を信じるかどうかは読者の方々に委ねようと思う。去年のイヴは雨が降っていた。日中は雨が降り続いていて、外出するのも億劫だったが、夕方以降は小康状態になった。いつものように夜、近所を散歩していると、とある小路に20代後半と思われる女性がビニール傘をさしてうずくまっていた。僕は他意もなければ、下心もなく何とはなしに「大丈夫ですか?」と声をかけたところ、その女性は「大丈夫です」とか細い声で返答してきた。だが見るからに大丈夫とは言えない状態だった。傘をさし