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いまは夏目漱石の絶筆「明暗」をよみかえしているさなか。「明暗」は失敗作だとおもうが、柄谷行人さんが指摘しているように、それまでの漱石作品とは面目を新たにしていることはたしかである。それは、フェミニズムと格差社会の到来から発生してくる社会主義に漱石が敏感に反応している点に伺える。柄谷行人さんは、「マルクスと漱石を等価で読む」と語っているのだが、その意味が了解される一篇である。「明暗」の連載が始まったのは、大正5年=1916年。森鷗外は、同年、史伝「渋江抽斎」を連載。が、山縣有朋政権のブ
先日の記事で「出版区」というYouTubeチャンネルの「本屋、ついて行ってイイですか?」という企画を紹介したんですが、自分も同じように1万円持って好きな本買いまくろうと書店に行ってきました。その時に購入した本がこちらです。「六人目の少女」ドナート・カッリージ「グリーン家殺人事件」S・Sヴァン・ダイン「少女庭園」矢部嵩「スペース金融道」宮内悠介「飛ぶ男」安部公房「穴あきエフの初恋祭り」多和田葉子「江口寿史扉絵大全集」江口寿史ミステリー、SF、純文学、イラスト集
最近、思い浮かべている人や出来事がふいとネット上に出てくるんですよ。この多和田葉子さんもそう。あ、「グローバリズム」というワードに反応したのかしら…。この記事もとってもおもしろいです。ぜひご一読くださいませ。生きた会話を大切に――作家・多和田葉子の目に映る日本とグローバリズム|株式会社リクルート(recruit.co.jp)ここでのテーマは「複雑に多様化する世界で、私たちが見失ってはならないものとは何だろうか」なんですが、先日の【特別番組】日本人はグローバリズムとい
私は、毎朝新聞を読むのですが、1番楽しみなのは新聞小説です。今は、今村翔吾さんの『人よ、花よ、』が連載されており、あと、1週間ほどで終わります。新聞小説は、だいたい一年前後の連載が多い中、なんと一年七ヶ月もの長期間に渡って連載されました。この作品の時代は南北朝時代。主人公は楠木正成の嫡男、楠木正行。日本史が苦手、特に南北朝時代はちんぷんかんぷんの私は、連載初日、楠木正行の愛馬、香黒のシーンから始まった時には絶望的な気持ちになりました。話が全くわからん、、、正直に言えば、つい最近まで登
2024年3月21日(木)朝は細かい雪が降り、屋根がうっすらと白くなっていた。日中も雨模様の薄ら寒い日。マイケル・カニンガム『THEHOURSめぐりあう時間たち三人のダロウェイ夫人』を読む。長い題名だが、表紙にはそう書いてある。原題、翻訳の題名、副題と言ったところだろう。(以下にはネタバレありです)この作品は映画『めぐりあう時間たち』で知った。スティーヴン・ダルドリー監督。この映画は、3つの時代に生きた3人の女性が主人公となるオムニバス。演じたのは、ニコール・キッ
多和田葉子「尼僧とキューピッドの弓」(2010年)という文庫本を読み終えた。前回、初めて読んだ多和田葉子「犬婿入り」という話が最高に面白かったので、もう一冊、多和田葉子作品として大いに期待して読み始めたのが、この「尼僧とキューピッドの弓」というお話だった。期待に反して、同じ著者なのか?とつい疑いたくなるくらい詰まらなかった。面白くなかった。同じ著者の作品なのにここまで2作品の文体が違い、ストーリー展開もスローになり、物語の読感や何もかもまでもが大きく差がついてしまっている。そり
多和田葉子「犬婿入り」(1993年)という文庫本を読み終えた。最近、日本国内よりも、特に海外で評価の上昇している作家である。多和田葉子「犬婿入り」は、私にとっての読書初作品となった。結論から言うとこういう系統は大好きである。実に文体がぶっ飛んでいて、衝撃さえ受けた。この文庫本には二話入っている。「ペルソナ」と「犬婿入り」というお話である。「ペルソナ」は変わっている小説といえばそうだが、別に衝撃的ではなかった。対して「犬婿入り」の文体やストーリーは、今まで読んだことのないような感
・さすがにに今日は朝からちゃんと勉強した。でも苦痛強すぎ...こんなんなら学校に出向いて勉強すればよかった。・1日家で勉強していたせいか夕方、脚がうずいてたまらなくなった。ねえ、動いてよ。脚動かしてよ、と脚に語りかけられているようだ。なので勉強を中断して近所のカフェに本を持参して出かけた。読みかけの多和田葉子『球形時間』を読み終えた。体の妙なところがくすぐられるような読後感。悪くない。・帰宅後、ソファに寝転んで音楽聴いてたら帰ってきた兄貴に社不扱いされた。おまえ浪人確定だな、と暴
👦🏻ようこそ🧒🏻怖い通り越してあまりにもこれ怖過ぎる「前屈」「雑巾がけ」できない…子どもの運動機能に異変「子どもロコモ」とは?原因は「姿勢の悪さ」や「運動不足」に|BSSニュース|BSS山陰放送「ロコモ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?年齢とともに、立ったり座ったりする機能が低下した「ロコモティブシンドローム」の略称です。大人だけなく、子どもたちにも広がっています。その背景にあるの…newsdig.tbs.co.jpお借り致しましたm(__
『ペルソナ』と『犬婿入り』の2作収録した本を読みました。『ペルソナ』は、ドイツ留学経験のあり、ドイツ在住の作者なだけに、小説の内容はドイツが舞台でした。語学教師の主人公が、生徒さんや、同居の弟さんと、おもに日常的なやり取りをしています。日本人など東アジア人は、儒教の影響で表情が乏しい。そういう言葉にもやっと反応して、主人公はラストに向けた行動に走っていく。同じ作者の『光とゼラチンのライプチッヒ』という小説では、夢に見たほとんど意味をなさない不思議な映像を垂れ流している感じがしました
久々に図書館で借りた本の記録。内容はありません桐野さん、物足りなかった短編集。釜山から帰ってきた後だったので目についた韓国本。多和田葉子献灯使献灯使(講談社文庫)Amazon(アマゾン)↓内容はこんな感じです。丸投げ。ブログでは読んでましたがカータンの介護本2冊目。恩蔵絢子脳科学者の母が認知症になるこちらはいそいそと買いに行ったるるぶソウル地図が好きなのでじっくり見たいんですーもっと悪い妻[桐野夏生]楽天市場${EVENT_LABEL_01_TE
仕事とはいえ、何かしないとおれないから物を書いているだけで、それで裕福になるとは思ったこともありません。ですから、本が売れるか売れないかはあくまでも結果であって、それを絶対視する風潮には抵抗があります。物書きは貧乏と決まっており、高級車を乗り回すというのは、とても僕には理解できません。僕の後輩に今は亡き芥川賞作家の室井光広さんがいました。筆一本で生きようとしたその志の高さは立派でした。千葉県四街道に住んでいましたが、芥川賞作家になる前は、奥さんと一緒に普通のアパートのようなところに住ん
短編集ですが、どの作品にも共通するのが、「眠ってみている夢の話をずっと聞いているような感じ」という作風です。中には「ん!?」と、2度見、3度見して考え込むような、一般人の常識からしたらとんでもないセリフもあり、はっ、とします。油断なりません。目まぐるしく移り行く作者の夢の光景を、作者の案内で地獄めぐりしているような、摩訶不思議な作品集です。大人むけのマザーグース、といったところでしょうか。「日常を離れた大人のポエジー」を味わいたい方に、どうぞ。
腕身に覚えのないアザが!にゃんと!(´゚ω゚`ノ)ノ🤍一生使いたいコスメ🤍...ではなくてツール。CHANELのビューラー!もう廃盤になってしまったんだけどやっぱりこれがいちばん使いやすいカーブがちょうどいい✨ローラ・メルシエのビューラーも良いんだけどシャネルに比べるとすこし平べったくて。🤍お気に入りのもの🤍水面のような、氷面のようなmegumitsukazakiのジュエリーベース静謐な雰囲気でステキ...上のイヤリングもmegumiTsukazakiで、よく見ると
皆さんこんにちは。期末レポートを提出し終わり、春休みに入りました今回の試験のレポートは題材が少し難しく、書くの大変だな〜と思っていたのですが、思ったよりも早く終わってよかったですここからは読書記録を書きたいと思います。今回は多和田葉子さん『献灯使』です。この作品、とっても有名なのでずっと読んでみたかってんです♪災厄によっておかしくなってしまった日本が描かれています。おじいちゃんたちは100歳超えても健康で元気。反対に子供たちは体が弱く、お年寄りが子供を介護しているという興味深い世界で
BOOKSHOPTRAVELLERで、可愛いカバー付きで購入した多和田葉子の『献灯使』。読んでみたら、素晴しかった。献灯使(講談社文庫)大災厄に見舞われ、鎖国状態となった日本。文明が逆行したかのような日々の中老人はいつまでも健康で、子どもはボロボロに弱っている。一種のディストピア小説、なのだろう。私は、作家なら、東日本大震災と福島原発事故後について書き、発信する義務があると考えていた。多和田葉子は、それをやってくれてたんだ、と思っ
太極拳のお仲間さんから一冊の本を紹介されました。その時にね、「<はっかくりょうし>という本を知っていますか?太極拳の型がタイトルになっているんですけど」と、聞かれたのですが、なんのことか、わからなかったのです。この本は、「白鶴亮翅」という字を書きます。<はっかくりょうし>とルビがふられていますが、太極拳の型としては中国語の発音にちなんで<パイポリャンチ>と言っているので、日本語の読み方では、わからなかったんですね。白鶴亮翅Amazon(アマゾン)
図書館で「白鶴亮翅」を借りたこれは朝日新聞で連載されたもので新聞でも毎日読んでいたがなにか腑に落ちないところがあって読み直してみたいと思っていた本だ新聞で読んでいるときとりとめなくて出来事がどんどん横にひろがっていきどこに向かっているのか作者のテーマがなんなのかわからなかった「Mさん」の扱いも主人公は急に興味をなくしたりして理解できなかった話の内容は「わたし」がドイツで暮らしていること元夫のことMさんのこと異民族東プロイセンプル
この旅のエッセイの著者多和田葉子は、ドイツ語と日本語で文学作品を発表しています。日本の大学を卒業して間もなくドイツで働き、そのまま今もドイツで暮らす作家です。彼女が40代半ばの2005年春~2006年末のあいだに訪れた都市にまつわるエッセイです。ここに登場した年だけを考えても1年半ほどの間に48ヶ所。激しい移動です。しかもただの観光旅行ではなく、後援会やら朗読会やら知人に会いに行く目的ありきの移動です。ここには登場していない都市も訪れているといいますから、すごい移動エネル
アンブレラアカデミーシーズン3Netflix<YouTubeでの予告編><世界の滅亡を予感させる>実は、12月31日のおせちづくりで忙しいので、全部を見終わっていない。しかし、今年の最後を飾るのに相応しいかなと。ブラックホールに飲まれて世界がついに滅亡してしまう話だ。世界の滅亡を救おうとアンブレラアカデミーの奮闘もむなしく、世界は滅亡へと突き進む。<アンブレラアカデミーの最終章>かと思ったが、シーズン4があるらしい。さて、シーズン3では、世界がブラックホー
多和田葉子「犬婿入り」ノーベル文学賞受賞の可能性があると言われている多和田さんの芥川賞受賞作品。多和田さんはドイツに住み、日本語と外国語の違いという言語的なことで、自己の存在感を考察しているような作風。この本に収録されている「ペルソナ」というのは、ドイツに留学する姉弟の物語。姉を主人公にしていて、母国とは何かというような疑問感を呈しています。表題になっている「犬婿入り」で芥川賞を受賞されてます。主人公は学習塾を開いている女性。彼女は品のないような話を子供たちにします。それを聞いた母親たちは
多和田葉子著「献灯使」講談社文庫2017年8月9日発行読了「献灯使」「韋駄天どこまでも」「不死の島」「彼岸」「動物たちのバベル」5編の短編集である多和田葉子さんはドイツのベルリン在住の作家で日本を出て母国を憂えているような小説だと感じた世界一長寿国であり、少子化が進んでいる日本3.11の地震により核発電所の事故による日本土の汚染添加物だらけの食糧品東京中心の巨大化した首都10年後、20年後、50年後の日本の子供達の事を心配し、憂えてい
太極拳を何十年もしている友人、浜のテティスさんが読んだというので私も読んでみることにした。ドイツに住む多和田葉子の本は、『地球にちりばめられて』など、何冊かすでに読んでいる。彼女は、長い歴史の中で大国に征服されたり、吸収されたりして消えていった民族や言語に興味があるのではないだろうか。多和田葉子の文章はとりとめがなく、地についていないような浮遊感があり、夢と現実が錯綜している感がある。文章が幹からふわっと枝葉のように広がっていき、その枝葉が全体を形作っている。忘れてしまうので、やはりメモる
みあたらなかった読書メモがでてきた。コーヒーでいい云々、というはなしのタイトルは「ゆずる物腰/ものほしげ」(57頁)。なんだか早口言葉のようで面白い。なになにでいい、には、あきらめと譲歩のにおいがすると多和田さんはおっしゃる。どうせほしいものをいっても面倒だろうしないのにむりじいすることにもなりかねないと遠慮あきらめ譲歩の結果だという。カタコトのうわごとAmazon(アマゾン)定価税込1980円也
図書館で借りて返したばかりの本。気が付いたことをメモしておいたのだが、どこかへ行ってしまった。残念。タイトルは出版社でつけたそう。(あまり気に行ってはいないような口ぶり)カタコトのうわごとAmazon(アマゾン)ノーベル文学賞に一番近い日本人作家(彼女は日・独両方の言語で作品発表するという)だとおもうが。芥川賞はすでに受賞済み。第108回芥川賞/多和田葉子:犬婿入り<重版帯>Amazon(アマゾン)アメリカ、非道の大陸これも読んでみたい。Q15サイン
最近読んだ本です。「文字移植」多和田葉子河出文庫この本を読むのは3度目。電車の中で読む本がないと携帯ばかり眺めてしまうので、薄くて軽い文庫本で、読む気が続く本を家の本棚から探して持っていきます。これはそういう本の一冊。文字移植、翻訳のことなのですが、翻訳のちゃんとした文章になる前の逐語訳のような文と、実際のストーリーの文が交互に現れます。私も小説の翻訳を少しやっていたので、ざっと訳してから日本語になるまでの言葉の狭間や、逐語訳風の、切れ切れの、つながりが歪んだ文も面白いと思い
小野正嗣さんお薦めの小説である、多和田葉子「雪の練習生」は、ホッキョクグマのわたし、トスカ、クヌートの三代にわたるファンタジー小説。サーカスの花形から事務職、文筆家を経て「自伝」を書き始めるホッキョクグマのわたし。サーカスで女曲芸師ウルズラと伝説の芸「死の接吻」を成し遂げた娘のトスカ、その息子でベルリン動物園の人気者になったクヌート。ホッキョクグマが擬人化されて人間のように語る姿が愛らしい。その一方で、ソ連や東ドイツの共産圏の話、ロシア語とドイツ語と英語の言語間障壁、移民や亡命
ドイツの首都ベルリンには偉人の名前を冠した通りがたくさんある。カント通り、カールマルクス通り、マルティンルター通り、ローザルクセンブルク通り・・。主人公の<わたし>はそんなベルリンの10の通りを散策して、道行く人とたわいもない世間話をしたり、お店に入ったり、夢想したりする。多和田さんの文章は、若者が書くようなポップな文体で、歯切れがよく、日本語とドイツ語の言葉遊びが随所に溢れていて、こちらまで、軽やかにベルリンの街を歩き回っている気持ちになる。<わたし>はベルリンのどこかにいる「あ
先月読んだ本をまとめます~。色々読みましたが、読了したのは以下です。なお、映画はひとつも観られませんでした~。そういえばノーベル文学賞のヨン・フォッセ氏、全然知らない人でした『地球にちりばめられて』多和田葉子『話の終わり』リディア・デイヴィス『二十億光年の孤独』谷川俊太郎『恋しくて』村上春樹(編訳)『赤と青とエスキース』青山美智子『田舎医者/断食芸人/流刑地で』カフカ『カフカ短篇集』『電気人形』F.T.マリネッティ(『未来主義と立体主義』より)
天気の良い3連休初日。何も予定がない(苦笑)(天気も良くて)ちょっと散歩したくなったので、久しぶりに早稲田にある村上春樹ライブラリーへ。今回で、、、たしか?4回めかな?予約していなくても入館できるようになり、はじめて予約せずに行きました。ライブラリーの奥の演劇博物館。こちらも、(古くて床がギシギシなるけど)よい展示会を開いてくれる博物館です。さて、目的の村上春樹ライブラリー。入口には、はじめて見た!「開館しています。ご自由にお入りください」の文字。来る時に、電車の中で「ガ