パントゥン・スンダは,本稿でこれまでに触れた例が全てそうであるように,ケンダン・ガルー時代からパジャジャラン時代に至る時代々々の王や王子に纒わるストーリーが殆どで,詩歌調とはいえ,本来的に大衆に語り聞かせたものでありました。大衆の識字率が伸びたのは,インドネシアでは20世紀になって学校教育の普及が計られて以降のことでありましたから当然といえば当然でありましょうが,読者が限定された古い時代のスンダでも,文学性の高いものが書かれなかった訳ではありません。有名なものに,前に触れた「ブジャンガ・マニク」