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お立ち寄りくださりありがとうございます。こちらのブログは、商業アニメの制作過程において得た知識を元に書いてます。アナログ(セル画)時代の仕上げ作業を経験した後、主にサンライズ、東京ムービー、東映動画系の下請けスタジオを転々としつつ動画の仕事を続けてきました。(たまに仕上げの仕事も)その後は長いことスタジオジブリの仕事に関わっていました。その間に、セル画からデジタル仕上げになり、ジブリ制作部解散後は、また、多くのスタジオの仕事に関わらせていただくことになりました。ジブリとは使って
「デジタル動画においてのセルフォルダ/ファイルについて」を加えました。『デジタル動画においてのセルフォルダ/ファイルについて』紙動画の時は、仕上げや撮影に渡されるファイルについてはあまり気にすることはなかったと思いますが、デジタル動画が増え、それまで仕上げさんがどういうフォルダ/ファ…ameblo.jpまた、「線合成と綿合成」の説明に、実際の彩色では目の周りも「親セルの方で塗れるだけ塗ってしまう」という説明を加えました。『線合成と面合成』今更ですが、「線合成」と「面合成」について書
字ばかりでは分かりにくいと思うので、今回は絵をつけて説明します。クミ線(組み合わせ線)には大きく分けてセルクミとBG・Bookクミがあります。このようなカットで、テーブルがAセルだとします。(レイアウトにはbookクミと書いてありますが、セルだと思ってください。)人物はBセル。体はAセルの奥にあり、手とカップは手前なので、セルクミが発生します。デジタル仕上げでのセルはアンチなし(ドット絵)状態なので、ペイント時にAセルに合わせてきっちり塗れます。けれど、テーブルがBG
私は、輪郭線と影やハイライトなどの色トレスの太さを変えてます。グラスや髪の色トレスなどのようなものは輪郭線(実線)と同じ太さですが、影やハイライトなど、塗り色と同じになる色トレスは実線より細めにしてます。理由はこちら↓
一部変更以前は、「線合成と面合成の混合は不可」と書いてました。それは、そういう注意事項の会社が多かったからですが、実際にペイントマンを使ってみたところ、合成作業にほとんど違いはなく、仕上げさんに聞いても、混合不可の理由が分からなかったので、混合して描いても問題なし、としました。ーーー追記合成親は、「合成①、合成②…」というように通し番号で表記しましたが、仕上げ時には、Aセルの合成親は「Ago_001、Ago_002…」、Aセル、Bセルに合成がある場合は「Ago_00
最近、動画注意事項に「色数が多い時は硬質ピンクやオレンジも使用可能」というのを見かけるようになりました。硬質ピンクやオレンジって、二値化したら赤になっちゃうんじゃない?大丈夫なの?という不安を感じるので、検証してみました。(硬質ピンクは、正しくは「硬質ももいろ」、硬質オレンジは「硬質だいだい」と思われるので、表記が混ざることがあります。ご了承ください。)このように、手持ちの色鉛筆を並べてスキャンしました。(硬)は硬質、三菱色鉛筆7700のシリーズ。ひらがなは、同じく三菱
線合成と面合成に加え、今回は別セルも加えたお話。面合成は、「別セルと同じように考えればいい」とも言えますが、いくつかの点で「同じとは言えない」部分があります。請求枚数や、合成伝票の有無、色々ありますが、合成なら可能でも、別セルでは出来ない処理というのも存在します。例えば、壁に貼られたポスターを剥がす、という演技。こういう原画があった場合、動画は<Aパターン(線合成)>線の途中から繋
今、この話を書いても意味ないとは思いますが、セル画時代の合成の仕方について書いてみようと思います。セル画時代、実線部分はトレスマシンという機械を使って、カーボンで複写してました。鉛筆のタッチが活かされるので、迫力のある画面を作ることができました。色トレスはアニメ用の絵の具を使って、ペンで手描きです。間違って線を引いたらセルに傷が付いてしまうので、長い線を引くのにはかなりの技量を必要とします。★トレスマシンで実線を複写する。<手順1>
前回は、線合成と面合成について書いてみましたが、仕上げさんに聞いてみると、「線合成とか面合成なんて言葉を知らない」とか「どっちも同じ」というような話を聞きます。アナログ(セル画)からデジタル仕上げに移行した際に、仕上げサイドからの要請で「線合成と面合成」というものが出来たのだと思っていた私としては不思議な話でした。現時点(2018年)、多くのアニメスタジオで仕上げ作業に使われてる彩色用のソフトはRETASですが、あいにく、デジタル仕上げに移行した時期に私が所属していた所では違うソフトを使って
今更ですが、「線合成」と「面合成」について書きます。仕上げさんに聞くと、「作業の仕方に違いはない。」との事ですが、動画時の説明には都合がいいので、この名称を使わせてもらいます。ちなみに、面合成を「かぶせ合成」という所もあります。ざっくり言うと、「線合成」…線で囲ってから塗る。「面合成」…塗った面を重ねて(かぶせて)完成。合成は口パクでよく使われるので、わかりやすい「横顔口パク」で説明します。↑このような原画があった場合、動画ではまず、このような描き方があります
硬質、軟質、アーテレーズ、色々な色鉛筆でスキャンしてみました。ついでに、消しゴムで消した跡がどの程度出るのかも。左側のAIRINHARDは普段使いの消しゴムで消したもの。右側のCP10やPURESLIMはいずれも色鉛筆がよく消えると言われる消しゴムで頑張って消したもの。HB,B,2Bに関しては、消しゴムは使ってません。(基本的に、どの消しゴムでも消えるので)これを、2値トレース設定でall100で2値化してみたもの。↓緑系は「きみどり」より「えめらるど」の方が良い
近年、硬質色鉛筆が消えにくくなってると思われます。特に赤。なので、私は軟質が許されてる時は、軟質の赤を使うようにしてます。こちらは、普段使ってる消しゴム(AIR-INHARD)と、色鉛筆が消しやすいと言われる消しゴムの比較写真です。見辛いかとは思いますが、エメラルド色で囲ってるものが、比較的消しやすいと思われます。硬質水色は、どれも似たようなものですが。CP-10は、硬質赤では全然消えませんでしたが、軟質ではかなり威力を発揮してくれました。
★原トレについて(追記)動画は、基本的には原画や作監修正の絵を忠実にトレスすべきですが、下記のように、原トレした絵を並べた時に、全体の軌道から外れている絵がある場合、そのカットで求められてる動きを考えて、軌道から外れている4の絵を赤で示した位置にずらすべき時もあります。極端な例を言えば、、奥から歩いてくるキャラクターの頭の位置は軌道上にあるけれど、ベルトの位置だけがずれていて、途中で胴が短くなったり長くなったりしてしまうとか。「中割りについて」で触れてる事と真逆に思えるかもしれませ
同じく、安藤さんが描いた「中2枚の走り」の参考です。
★歩きについて原画に両詰めの指示が入ってることが多いですが、進行方向への移動に関しては、ほとんど均等割りで構いません。手や足の動きだけ両詰めにしてください。(極端な両詰めではなく)上下動は付けすぎないように。絵の大きさや動きの幅によって上下動の高さが違ってくるので、どれくらい、というのは説明が難しいですが、付けすぎるくらいなら、少なめの方がマシです。膝は伸ばしすぎず、原画の1枚前の絵は、原画と同じ足の角度にならないよう気を付けてください。勿論、作品やキャラクター、
提出前に★A1~ラスト、B1~ラストと下から順番通りに並んでいるか確認を。動画だけでなく、原画も動きの流れに合わせて順番に並べます。★合成親は、単純にA3~5の親なら「A3の下」のように一番若い数字の下に入れます。多重合成など複雑な合成なら、合成親だけをまとめて、動画の一番上に乗せます。★裏塗りの忘れがないか、動画の表だけでなく、裏側もパラパラめくって確認します。そうすることで、影の線抜けなどを見つけられることもあります。「塗り抜けの多い人=裏塗りの確認をしな
枚数の多いカットや、締め切りが近いカットを手分けする場合について★そのカットの責任者となる「親」を決めて作業します。親がシートを付け、すべての動画が終わった時、他の人が描いた部分も合わせて、全体の流れや描き残しがないかなどのチェックをしてから提出すること。★影やヌリ分けなどの色はカット内で統一します。線の太さなども。★カット袋には、動画のどの部分を誰が担当したのかわかるように書きます。(例)A,B相川C,D井上とか各セルの枚数の横に名前を書くとか。個
★原画に詰め指示がある場合はそれに従います。シートと原画の中枚数が違う場合は、シートに準じて詰め方を考えましょう。原画に中2枚のツメ指示があるのに、シートでは中3枚になってる場合は、というように、全体的に同じような印象になるようにします。難しいのは、下図のような中2枚のツメ指示があるのに、シートでは中1枚になってる場合。間をとって均等に割るのではなく、のように、前後の動きから考えて、先詰めか後詰めにします。★詰め指示が入ってなくても、シートや原画で動きの流れを見て
クミ線(組線=組み合わせ線)について背景や下のセルに描かれてるものより奥にあるが、隠れている部分を描かずに、背景などより手前に絵を乗せる場合に使います。★セルクミ、BG(背景)クミ、BOOKクミ、いずれも、色トレスで書きます。(大抵は裏から。稀に、セルクミは表から、という作品もあります。)セルクミの場合は、セル番号も書いてください。「Aセルクミ」ではなく、「A1クミ」というように。複数のセルと組になる場合などは、別の色を使用します。(例)Aセル組は赤、Bセル組
主な会社では仕上げ作業にRETAS(ペイントマン)を使ってると思われるので、それをベースに書きます。★線合成、面合成、どちらも使えます。混在させては駄目、という注意事項も見かけますが、実際にペイントマンを使って作業してみたところ、線も面も合成作業の仕方にほとんど違いはないので、問題ありません。面合成の上セルと下セルが入れ替わるのもOKです。ただし、完成形としてどういう絵が必要なのかが後の工程の人に分かるように描きましょう。重なる線を消すのは可能ですが、線が足りな
★「きいろ」はハイライトや透過光にのみ使用。「みずいろ」は影色にのみ使用。瞳のハイライトは、塗らなくていいです。(複数の色のハイライトがある場合はともかく)★ヌリ分けは、すべて紙の裏に描きます。原画だけでなく、中割りの動画も全て塗ってください。仕上げさんに分かりやすく、というのも勿論ですが、自分が描いているものが何なのか把握するためにも必要な作業です。★紙の裏であっても、ぐりぐりと濃く塗るとスキャンに反応してしまう可能性がありますが、薄すぎても影色と気づいてもらえない事も
★原トレ(原画トレス=原画清書)は、ただ、線をなぞるのではなく、質感など、原画のニュアンスを残して清書します。★原トレ後は、すぐに中割り作業に入るのではなく、まずは原画だけを重ねて動きの流れを見るとともに、部品の形や大きさが著しく変わってないかチェックしましょう。例えば、服のボタンの位置や大きさ、大きな動きがないのに突然消えるシワ、鼻やあごの形や目の大きさ等々。全体の流れを見て不自然に変わってるところがあれば、そのまま中割りせず、前後の原画に合わせて修正してから中割り作業に入ってく
シートの読み方は「撮ま!」さんのweb(http://satuma.grupo.jp/)でダウンロードできる「アニメーターのための撮影基礎知識」のP5,P39を参考にしてください。ここでは主に、動画マンがシートを付ける時に気を付けてほしい点について書きます。★動画番号は自然数[+(プラス)の正数]で書いてください。1の前にもう1枚必要になったからと言って、0(ゼロ)や-(マイナス)や0.5のような小数点は使えません。アルファベットやカナ、記号も使えません。★原画シートに「く