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海江田組、組員達御用達の喫茶店。人で賑わう店内の片隅にあるテーブルに、丈二と洋一の姿があった。あからさまに落胆の表情を浮かべた洋一は、目の前に置かれたホットコーヒーをあおるようにグッと飲み干して深いため息をつく。「あ〜〜〜あ…………こんなコトならアニキの話なんざ聞かなきゃヨカッタよぉ…………」丈二はそんな洋一に対して申し訳ない気持ちも少しはあったが、気遣うそぶりも見せずに「フン!」と鼻であしらった。「だから言っただろーが…………そう上手く行ってりゃいいいんだけどってヨ…………」「そうだ
1981年1月。丈二の2回目のタイムスリップから約1年の時が過ぎていた。山崎組の小さな抗争からしばしの時が流れ、賢治に刺客を差し向けた者の足取りも相変わらず掴めないまま、海江田組の面々は忙しさに追われながら日々を過ごしていた。そして、そんなある日。海江田の組事務所には幹部達が一斉に集まり、「月寄り」と呼ばれる幹部会が行われようとしていた。事務所内にある、会議用に使われている和室の中へ続々と幹部の面々が集まり、並べられた座布団の上に座ってガヤガヤと世間話に花を咲かせている。一方、飾り気
ドン!!拳銃のグリップでデスクを殴りつける音が山崎組の事務所中に響き渡った。賢治は見開いたその目に血管を浮き上がらせ、怒りを隠すことなく露わにしている。「ククク…………ハチ公のヤロー……コケにしやがってぇ~~~!」激昂した賢治から発する空気は凄まじく、周りにいる組員達はそんな賢治に振れることが出来ずに、額に汗を浮かべてただ見守っていた。丈二はそんな山崎組の面々を一歩離れた所から見つめると、ゆっくりとソファーへと歩いて腰を下ろす。そして、おもむろにジャケットの内ポケットから煙草を取り出し
焼き鳥屋で賢治が言っていた不吉な言葉。『渡世の行き違いで俺とオメーが刃を向け合うって未来もあるかも知れネーぞ?』これは直ぐに現実の事となる。山崎組の賭場からの帰り道に、堅気のお客が襲われる事件が起こった。犯人は二代目柳曾組組長である火影によるものだった。火影は賭場での最中に因縁を付けていた男を尾行し、人通りの少ない路地に入ってから襲い掛かった。殴る蹴るの暴行を加え、動けなくなった所で財布を奪い逃走。幸い男は命には別状なかったが、重傷を負い入院する事態となる。覚醒剤で見境の無くなってい
「代紋TAKE2」、「JKからやり直すシルバープラン」、「東京卍リベンジャーズ」、「推しの子」。この4作には転生と言う共通点があり、JKは比較的平穏な作品ですが、後はドロドロとした愛憎劇、復讐劇、代紋と東リベは主人公自ら戦う作品です。推しの子を除く三作は過去へタイムリープする事(推しの子のみ1人が未来へタイムリープ)で未来を変えようと足掻きます。代紋TAKE2原作/木内一雅・画/渡辺潤1989年にうだつの上がらないチンピラだった阿久津丈二は鉄砲玉として拳銃の誤射で死亡する。しかし
快晴の空の下、府中刑務所のグラウンドは囚人達で賑わっていた。1日の中にある限られた自由時間を満喫しようと、気の合う者達で集まり穏やかな時を過ごす。そんな中に賢治と八丁の姿もあった。2人は芝生の上に直に座り、行き交う囚人達を見ながら話をしていた。「オメー...柳曽のオジサンとこの若い衆だったとはネェ...それならそうと早いトコ言ってくれりゃあヨカッタのにヨ?」「いゃあ...アタシもそうしたかったんですがネ?アタシがあの房に入った時...神田さん、懲罰行ってていなかったですし..
丈二と宮下は警察の手を逃れ、何とか山崎組の事務所へと戻った。2人は息を切らせながら大粒の汗をこぼし、賢治の待つソファーに座ると、組員達も一斉に丈二達の周りを囲む。丈二と宮下の顔を見れば、一悶着あったことは明白だ。それによって事務所の中の空気は緊張感で重々しくなり、一同は固唾を飲んで宮下の話に聞き入っていた。「.....それでオヤジ...どうやらウチを狙ってる奴らって......柳曽組らしいんスよ...」その言葉に組員達は声をあげて互いに顔を見合わせる。そんな中、賢治は眉間にシワを
裏路地の街灯に妖しく照らされた丈二は、不敵な笑みを浮かべてはいるものの、その眼差しは鋭い。そんな丈二の纏った空気を敏感に感じたのか、角刈り男は蹴られた腕を庇うように逆の手で抑えながら額に汗を滲ませていた。「あの2人をこんな短え時間で片付けるとは.....テメー...只者じゃネーな...」「イヤ...俺りゃそんな大したモンじゃネーよ!そんなコトより...盛り上がってるトコ悪いケドよ...俺の方から先に相手してもらうゼ...?」「ドッチが先だろうと同じコトだ。なんなら2人同時に来
「宮下の兄さん...アニキはああ言ってたケド...ホントに心当たりとかネーんすか...?」「それが本当にネーんだよ。そりゃあウチを潰してぇって思ってる奴はゴロゴロいるだろうさ...しかしこのご時世に抗争してまでとなるとなぁ...まぁ、このご時世っツーてもウチはヤルとなったらサツのコトなんざ考えずにトコトンやるけどヨ...それだってそれなりの理由は必要になる。ただ単に気に入らねーぐれぇでイチイチ抗争してたら直ぐサツに目ェつけられて潰されチまうし...そんなことばっかしてたら
山崎組に正面から喧嘩を売ってきた者がいる。そんな事実よりも2度の人生で経験のない出来事が起きている。その方が丈二にとっては脅威に感じていた。そこからなし崩しに歴史が変わってしまうのではないか。コツコツと積み上げてきた物を根底から壊されるのではないか。額に汗を滲ませ宙を見つめる丈二だったが、はっと我を取り戻して賢治の方へと視線を向ける。賢治は眉間にきつくシワを寄せてはいたが、丈二が思ったより冷静だった。その姿を見て丈二も次第に冷静さを取り戻して行く。「アニキ...どこのどいつが喧
自分のバイブルになってる漫画はある?▼本日限定!ブログスタンプあなたもスタンプをGETしようやっぱり代紋TAKE2これは海外時代買い揃えちゃんと持って来てまだ持ってます代紋TAKE2超合本版(1)(ヤングマガジンコミックス)Amazon(アマゾン)3,300円${SHOP_LINKS}代紋TAKE2超合本版(13)(ヤングマガジンコミックス)Amazon(アマゾン)2,640円${SHOP_LINKS}あとは課長時代から読んでる島
人気のない深夜の裏路地。パンチパーマにジャンバースーツをまとったヤクザ風の男が、息を切らせながら必死の形相で走っていた。もう若いとは言い切れないその身体からは、まるで雑巾を絞るように汗が噴き出し、その顔は何者かに殴られた痕がくっきりと浮かんでいる。左腕も恐らく骨が折れてるであろう。アドレナリンが男の体内に充満しているお陰で痛みはそれ程気にならなかったが、思うように動かない左腕に右手を添えて抱えるようにして走り続ける。そして。「ハァハァ」と掠れた息を吐きながら振り返ると、そこには自
夕焼けに包まれた海江田組のビル。西日の差し込む事務所の中で、大西がデスクに座って眉を顰めながら書類に目を通していた。そして、時折「う〜〜ん」と困ったような声を発し、首を傾げてため息を付く。そんな大西の前を、モップを握りしめて左右に行き交う丈二の姿があった。丈二は掃除をしながら大西を見つめ、しばらく様子を伺っていたが、やがて堪えきれずに声をかける。「カシラ...?さっきからムズかしい顔してますケド...なんかあったんスか....?」「ん...?なんだ丈二か。って言うかオメー.
カオリがホテルで吉村に会う少し前。丈二と佐山はキリトリの仕事を終えて新宿の街を歩いていた。一仕事終えた満足感からか、佐山は上機嫌で丈二に話しかける。「...にしてもオメー...ほんっっとに口が達者だよナ。機転がきくっツーか如才がネーっツーか。でもヨ。ホント、オメーのお陰で上手く行ったヨ。」「イヤ...た、たまたまだヨ。あのヤロー結構な狸オヤジだったから俺もどうなるかと思ったケド...まぁ、なんとかなってヨカッタ、ヨカッタ。」「そんで...どーなんだよ?賢治サンとはよ?ま
新宿のとあるホテル。その中に、高級感のあるゴシックなテーブルとソファーが並べられたカフェがあった。カフェの中では沢山の人々が食事やお茶を楽しみ賑わっている。そして、そのカフェの入り口から離れた一番奥の席に、人を避ける様に一人の男が座っていた。高そうなブランド物のスーツを纏いモデルのような体型、誰が見ても疑う余地のない程の甘いマスクを持ったその男は、憂いを纏ったその目を細めて窓の外を眺めている。男は周りからの視線を常に意識しているのか、隙のない所作で目の前に置かれたホットコーヒーを一口啜
賢治とのいざこざから数日後。顔の腫れもすっかり引いた丈二は、今にも倒れそうな古い雑居ビルの一角にある山崎組の入り口に立っていた。至る所の塗装が剥げた鉄製のドアが、この奥で紡がれてきたであろう山崎の歴史を語りかけて来るように感じ、丈二は思わず襟を正してその背筋を伸ばす。そうして一つ大きく息を吐いてからノブに手を掛けた。建て付けの悪くなっているドアはギギギと鉄が軋むような音を立てて開いていく。すると、歴史を感じずにはいられない独特の匂いと空気が丈二の体を包んだ。山崎組の事務所は10坪程の
賢治が丈二に銃を向けたことによって、部屋の空気は重く張り詰めていた。賢治は身内だろうと自身の意にそぐわない者に対して容赦はない。そのことを前の人生の経験から痛い程分かっていた丈二だったが、その表情に恐れや不安の色はなかった。むしろ、その眼光の色を強めて賢治を見据える。ーー俺が今日ココで賢治と相対してるコトは江原もタカシも知っている。だから俺がココで殺されたり...攫われて行方不明になったとしたら...その犯行は賢治によるモノだと断定されるだろう。そうすれば...オヤッさんやカシ
真夏の午後。寺の境内にある大きな木からセミの声がやかましい程に鳴り響く中、喪服を着た佐山と丈二が法事の間に凝り固まってしまった体をほぐす様に背伸びをしながら歩いていた。額に噴き出す汗を佐山はハンカチで拭うと、上着を脱いでふぅと息を漏らす。「真夏の法事はたまんネーな...本堂にゃクーラーとか付いてねぇんだモンなぁ。あんな中でじっとしてお経聞いてンのはまるで拷問みてぇだゼ...」その言葉に丈二も苦笑いを返す。「俺も汗で背中ビショビショだヨ...御斎(食事会)の前にシ
丈二が江原達と話した数日後の夜。賢治と宮下は新宿の街を2人で歩いていた。時折りニヤニヤと笑みを浮かべ、意気揚々と談笑しながら歩く先。2人の目的地は高級ホテルの中にあるフランス料理の店だった。その品のある飾りが一面にあしらわれたドアを宮下が開けると、正面にはホテルのフロントの様なエントランスがあり、そこにはタキシードを着た店員が涼やかな表情でこちらを見ている。そしてその店員はニコリと微笑みを浮かべてから深々と頭を下げた。「いらっしゃいませ...」宮下はその様子を見て合わせ
府中刑務所の重々しい鉄製の門の前。海江田組の組員たちはその扉を囲むようにして集まり、その時を待っていた。賢治の存在感は組の中でも際立っており、それを知る者達はそれぞれ様々な表情でその場に立つ。山崎組の面々は待ちに待った日が訪れたとはしゃぐ様に談笑し、氏家組の面々は碌に話もせず、お通夜のように押し黙ってその場にいる。そして、そのなんとも言えない空気の中に、一際真剣な表情で門を見据えながら立つ丈二の姿があった。丈二は誰とも言葉を交わさず、押し黙って扉を睨みつける。その雰囲気は側にいる者が
丈二たちが経営するノーパン喫茶の盛況ぶりは相変わらず、日々店内は人で溢れていた。入り口は行列が出来、そこにいる男たちは学生からサラリーマン、果てには老人の姿まであり、その雑多な男たちの群れは側から見ると異様な空気を醸していた。「関係者で〜す。はい、チョットごめんなさいよ〜」人でごった返す狭い入り口の隙間を縫う様に買い物袋を抱えた丈二は店内へと入ると、そのまま厨房へと歩いて行く。人が数人入ればすれ違うのも厳しい程の狭い厨房の中には、フライパン片手に忙しなく料理を作る正人と、横でその様子を
丈二の予想を超えて、ノーパン喫茶のブームは爆発的に広がっていた。3店舗同時に開店したことが功を奏したのか、2度目の人生で経営した時よりも口コミでどんどんとお客が集まって行く。連日店の前には行列が並び、予想外の大盛況さに丈二を始め携わる者たちは休む間もなく対応に追われるのだった。しかし、丈二はノーパン喫茶だけやっていればいい訳もなく、隙を見てはローンズエバラにも足繁く通わねばならない。10年後の知識をフルに取り入れて顧客管理のシステムを一新し、スタッフ達の処理能力を飛躍的に向上させ、そして
こんにちは。こまちです。あまりにも更新遅れてしまい申し訳ありませんです。リアルが忙し過ぎなんです。時間とか曜日とか関係ないお仕事をしていまして、昼夜急に電話鳴って仕事が入ったりするんですよ。まるで小説など書くな!と言われてるようなタイミングで入って時間が空かないんです(笑)お茶入れてお菓子持ってきてこれから書こう~♪とルンルン気分でいると必ず仕事入る(-_-;)代紋TAKE3は自分の頭の中で既に完結していますので、おいおい続きを書きます。お待ち頂いてる方いらっしゃい
私は漫画ってほとんど読まないんですけども。子供の頃は、先日亡くなった水島新司さんの野球漫画だったり『あしたのジョー』とか『がんばれ元気』とかのスポ根もの手塚治虫さんや赤塚不二夫さん、あだち充さんも読みましたが大人になってからは、ほとんど読まなくなっちゃって…でも、この『代紋(エンブレム)TAKE2』は読んでたんです。うだつのあがらないチンピラヤクザの阿久津丈二が抗争で死亡…ところが、10年前にタイムスリップして生き返ったことによりヤクザとしての人生をやり直す(TAKE2)という
丈二の知る2回目の歴史と、この3回目の歴史は今の所そう大きく変わってはいなかったが、丈二を取り巻く環境は確実に変化を見せていた。その中でも1番大きい変化は宿敵だった江原慎吾と致命的な敵対をしていないと言う所だ。ただ、それは今の所と言うだけであって、今後江原がどう言う動きをするかによって簡単に崩れてしまうだろう。2回目の時のように江原が山崎を殺害しようと企めば、簡単に今の関係は崩れて元のように敵対せざるを得ない。つまり、未来はまだ何一つ約束されてはいない。ちょっとした解れからまた2回目の
黒川組との一件から数日後。丈二は山崎に呼び出されて事務所へと来ていた。デスクにどんと構えて座る山崎の周りには、仲西、佐山、石田が囲む様に並び立ち、山崎の隣のデスクには若頭の大西の姿もあった。丈二はそんな面々の間を通って山崎の前へと歩み寄って頭を下げる。そして顔を上げて山崎を見ると、いつになく穏やかな表情で微笑んでいた。「丈二。黒川組の一件、ご苦労だった。良くやり遂げたな。」「いえ...今回は俺のせいで...オヤッさんに余計な思いさせてしまって...申し訳ありませんでした。」
黒川組の応接室は張り詰めた空気に覆われていた。期待していた石田からの助けが来ないと悟った丈二は、改めて自分を落ち着かせて周りを見回す。目の前に矢野欣也がナイフを持って立ち、自分の左右に1人ずつ若い衆がいる。そして、背後に3人。それぞれがドスを抜いている。部屋の出入り口は左奥に一箇所。窓は自分の背後にあった。丈二は瞬時に腹を決めて「ふぅ」と息を吐くと、欣也を見てニヤリと笑みをこぼす。そして次の瞬間。丈二は右側の男の方を向いてドスを振り上げた。「うおおおおらァ
人通りの少ない夜の裏路地。チンピラ風の男は鼻から血を流し、額に大量の汗を流しながら身構えていた。そして、その前に余裕の笑みを浮かべた丈二が仁王立ちして男を見据えている。丈二は明らかに若い衆風貌のチンピラなのにその威圧感を漂わせ、男はまるで触られてもいないのに後ろに下がりたくなる衝動にさえ駆られる。「ナメやがって!このコゾーがぁぁああ!」男は、そんな丈二から漂う空気に飲まれない様に声を張り上げて己の恐怖感を抑え込み、思い切り握りしめた拳をふりかざす。ブン!しかし。渾身の力を込めた
その日の夕方。黒川組での一悶着を終えた丈二は、ふらっと立ち寄ったゲームセンターでテーブル筐体のTVゲームに座り、気を紛らすかのように黙々とゲームをプレイしていた。すると、そこに正人が現れて丈二の前に不自然な程優しげな表情で近づいて来る。「丈二...♡元気だせよ!丈二...」「ああ.....?」丈二の置かれた状況を心配した正人はテーブルの向かいに座って穏やかな口調で再び話し出す。「相手は黒川の矢野欣也なんだろう.....?そりゃしょうがねェワ!」「あん...?」丈二がキョトンと
事務所での話を終えた丈二は新宿の街を1人歩いていた。人混みの間を、その流れに逆らう様にゆっくりと進みながらぼんやりとこれまでの人生を思い返す。ーーそういや...忘れそうになってたケド、黒川って言えば最初の人生の時、鉄砲玉にされたんだっけな...だから2度目の人生のこの時は欣也にビビって黒川興業へ行くのに足が重かったんだよなぁ。.....流石にあれから俺もヤクザとして場数だけは踏んでるし、この揉め事も結果を知ってるから黒川も欣也も全く怖くねーや。でも.....そんなコトより...