『徒然草』は、鎌倉時代の終わりから南北朝時代にかけて生きた吉田兼好によって書かれました。作者の吉田兼好は、激動の時代のなかで、人の世の移ろいと、人の心の不思議を、静かに、そして深く見つめ続けた人です。その随筆集である『徒然草』は、華やかな成功の方法を語る書ではありません。けれども、時代を越えて読み継がれてきたのは、そこに人生の本質があるからです。老いを嘆くな。今という時は二度と来ない。この言葉は、ただ年齢を重ねることへの慰めではありません。これは、生きるということの本質を突きつける、静かでありな