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英語には、綴りも発音もよく似ているため、ネイティブでも混同する単語がある。その代表的なものが、complementとcomplimentである。違いはたった一文字。eかiか。しかし、意味はまったく違う。まず、いちばん簡単な覚え方から。complement→complete(完全にする)compliment→praise(褒める)と考えるとよい。実際、complementはcompleteと語源的にも関係があり、「足りないものを補って完全なものにする」
英語のvieは、それほど頻繁に目にする単語ではないが、新聞やノンフィクションではよく使われる。基本的な意味は、viefor...=……を得ようと競う、……をめぐって競いあうである。たとえば、Severalcompaniesarevyingforthecontract.なら、「数社がその契約を獲得しようと競いあっている」という意味になる。Thetwocandidatesarevyingforthetopposition.なら、「二人の候
今日の『風、薫る』はよかった。直美の気持ちが、「家族を失うのが怖い」から「自分で新しい家族をつくる」へ反転する、とてもきれいな場面が描かれた。https://mdpr.jp/drama/detail/4828990小川と結婚すれば、りんたちの家から離れ、家族ではなくなってしまうのではないか。そんな不安を抱く直美に、りんが言う。「お嫁に行ったって、家族なのは変わらないよ」英語にするなら、Evenifyougetmarried,you'llstillbe
逆接ではない“But”――議論を深める「さらに」の用法英語を読んでいると、文頭のButが「しかし」や「だが」といった逆接ではどうもしっくりこない場面に遭遇することがある。たとえば、現在翻訳を進めているカール・ベネディクト・フレイの著書HowProgressEndsの中にも、次のような一文がある。Butthisprocesswasalsoaidedbynewtechnologies,includingJohannesGutenberg’sprinti
「rentier」は辞書だけでは訳せない──Freyの英文が教えてくれる英文解釈JeremyBlackのAShortHistoryofWarを提出し、現在はCarlBenediktFreyのHowProgressEndsとKezaMacDonaldのSuperNintendoの翻訳に集中している。Black先生は文章そのものが難解だった。しかし、Freyは違う。決して悪文ではない。論理は非常に明快である。ただし、経済史や制度史の知識を前提として書かれているため、用語や
JeremyBlack,AShortHistoryofWarの訳稿を提出し、現在はCarlBenediktFreyのHowProgressEnds(552ページ!)とKezaMacDonaldのSuperNintendo(304ページ)の翻訳に集中している。https://press.princeton.edu/books/hardcover/9780691233079/how-progress-ends?srsltid=AfmBOoqL-FXkwA-Of7mK
英語のtheMiddleKingdomを見て、「中王国」「中央の王国」と訳してしまうと意味が通らない。実は、theMiddleKingdomは「中国」そのものを指す歴史的な表現である。もともとは、中国の国名「中国」(Zhōngguó)の英訳で、「世界の中心にある国」という古くからの考え方に由来する。歴史書や中国を扱ったノンフィクションでは、Chinaの代わりにtheMiddleKingdomが使われることが少なくない。たとえば、CarlBenedict
英語のliteratureを辞書で引くと、まず「文学」という意味が出てくる。もちろん、それは正しい。しかし、専門書や論文では、literatureはまったく別の意味で使われることが非常に多い。それは、「その分野の研究文献」「先行研究」という意味である。たとえば、CarlBenedictFreyのHowProgressEndsの脚注には、こんな一文がある。Foranexcellentoverviewoftherecentliterature,see
英語のbiasを辞書で引くと、まず「偏見」「先入観」という意味が出てくる。もちろん、それも間違いではない。しかし、ノンフィクションや経済書、科学論文を読んでいると、biasはむしろ「ある方向へ自然に傾く性質」や「傾向」という意味で使われることが非常に多い。たとえば、CarlBenedictFreyのHowProgressEndsに、こんな一節がある。Itisoftenassumedthataneconomyofprivateenterprisehas
ブラック先生の悪文集(失礼)AShortHistoryofWarをようやく提出した。何度も英文を組み替え、論理を補いながら訳してきたので、正直なところ、しばらくは悪文を見たくないという気分である。だが、休みはない。翻訳したい本、しなければならない本は何冊もある。今はCarlBenedictFreyのHowProgressEndsに集中している。こちらは同じ専門書でも、文章の切れ味がまったく違う。たとえば、こんな一節がある。Recentresearchshows
英語には、一語で豊かなイメージを表す単語がある。proteanもその一つだ。/próʊṭiən/と発音する。語源はギリシャ神話に登場する海神Proteus。彼は敵から逃れるために、自由自在に姿を変えることができたという。この神話に由来して、proteanは、「姿や性質が絶えず変化する」「変幻自在の」「きわめて多面的な」という意味で使われるようになった。変化が激しい人や組織、技術、社会などを表すときによく用いられる。単に「変わりやすい」というだけではなく、「多様な姿を見せ
ブラック先生の本の訳稿はすでに提出済みだが、もう何度か気になったことを書いておく。https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12974535671.html--------------------------------------ジェレミー・ブラック,ALittleHistoryofWarも、いよいよ最後の章までたどり着いた。ところが最後になっても、ブラック先生は期待を裏切らない(?)。問題の一文はこちらである。Thisthesis
tellingは「話している」ではない英語には、一見やさしそうなのに、実は意味を取り違えやすい単語がある。その一つがtellingだ。もちろんtellの現在分詞なので、「話している」「伝えている」という意味で使われることも多い。しかし、形容詞や副詞として使われるtellingやtellinglyは、まったく違う意味になる。ポイントは、「話す」ではない。事実や出来事そのものが、何かを雄弁に物語るという意味なのである。たとえば、Thisisatellingexa
先日、2026年7月28日の朝日新聞「天声人語」で、さくらももこさんのエッセイ集『さるのこしかけ』に収められた「いさお君がいた日々」のエピソードが取り上げられた。いさお君は、今の言葉で言えば特別支援学級に通う少年だった。周囲の子供たちから笑われたり、からかわれたりすることがあっても、彼は決して怒らず、泣きもせず、ただ静かにそこにいた。小学生だったさくらさんは、そんないさお君の揺るぎない「存在感」に強く惹きつけられていたという。私は、ヴィクトリア・ロイド=バーロウの小説『すべての小さな鳥の心』
JeremyBlack,AShortHistoryofWarはすでに8月1日に若い編集者のYさんに提出した。この記事はその前に書いたものである。------------------------------------ジェレミー・ブラックのAShortHistoryofWarも、いよいよ終盤に入ってきた。ここまで訳してきて、改めて強く感じることがある。この本は、原稿の段階でも、ゲラの段階でも、十分なチェックを受けていないのではないか。もちろん、内容そのものは非常に
ブラック先生の本の訳稿はすでに提出済みだが、もう何度か気になったことを書いておく。https://ameblo.jp/getupenglish/entry-12974535671.htmlシャーマン将軍の焦土作戦を論じたこの段落は、本書の中でも屈指の悪文である。Thepreviousyear,GeneralWilliamT.Sherman,towhosearmythesongreferred,havingcapturedAtlanta,hadthec
ようやく、JeremyBlack,AShortHistoryofWarの訳稿を出版社に提出した。昨年8月29日に翻訳のお話をいただいたものの、すぐに取りかかることはできなかった。すでに、ロブ・シェフィールド『テイラー・スウィフトなぜ彼女は、全世界を魅了し続けるのか?』(作品社)、ジョディ・レベンソン『映画「ハリー・ポッター」シリーズ公式ストーリーボード・アート集』、リズ・マーチャムほか『MARVELSTUDIOSCROSS-SECTIONSマーベル・シネマティック
本日は、非常にシンプルながら、決定的な瞬間やクライマックスで使われる力強い口語表現"Thisisit"を取り上げる。直訳すれば「これがそれだ」となるが、文脈によって「いよいよだ」「ここが正念場だ」「これで決まりだ」「まさにこれだ」といった、運命的な瞬間や後戻りできない最終局面に直面した際の決まり文句として頻繁に使われる。このフレーズと聞いて、多くの方が思い浮かべるのは、マイケル・ジャクソン(MichaelJackson)のThisIsItではないだろうか。2009年に公開され
本日は、ネイティブの日常会話や小説、映画などで頻繁に登場するものの、日本の英語学習者には少し馴染みの薄い口語表現"Don't(you)start!"を取り上げる。直訳すると「始めるな」となるが、相手が小言や文句、お説教などを「言い始めよう」とした時に、「その話はよせ」「ぐちゃぐちゃ言うな」と制止する際によく使われる決まり文句。『リーダーズ英和辞典』には、以下のように的確な定義が記載されている。Don't(you)start!《口》文句を言うな、(ぐちゃぐちゃ言うのは)やめな
sucktheairoutoftheroomあるいはsuckalltheoxygenoutoftheroomを直訳すると、「部屋の空気(酸素)をすべて吸い出す」となるが、これはどういう意味だろうか。AIに聞けばそれらしき意味を教えてくれるが、信頼できる辞書で「裏」を取りたい。どこにもないと思っていたところで、研究社オンライン・ディクショナリー(KDO)のEV(追加語彙)にこのすばらしい定義があった。https://kod.kenkyusha.co.jp/serv
来た。ジェレミー・ブラック先生、フルスロットルである。BritishcapabilityrestedmoredeeplyontheuniqueWesternexperienceofcreatingaglobalnetworkofempireandtrade,whichwasbasedonadistinctivetypeofinteractionbetweeneconomy,technologyandstateformation,
ジェレミー・ブラックを訳していると、しばしば考え込んでしまう。今回の段落も、その典型だった。Theseandotherfactorshelpprovideageographicalcontextforfighting,butthemilitary(aswellasirregularforces)arenopassiverecipientofinfluence.Instead,thereisalsoanimpacton,andf
ジェレミー・ブラックを読んでいると、「これは本当にネイティブが書いた英語なのか」と首をかしげることがある。今日出会ったのは、この一文だ。Terrainfeatures,suchashills,valleysandslopeprofiles,survivemostclearlyfrompastphysicalgeography,butcombatantsalsorecallotheraspectsofgeography,bothphysical
運が悪いことは重なるというか、ジェレミー・ブラックの本が終わりつつある中、急いで訳している三島由紀夫に関する英文随筆にも首をかしげてしまう英文がいくつもある。これもそのひとつだ。ここでは三島由紀夫の短篇「憂国」およびその映画について論じているのだが、次のような一節が出てくる。Theoriginalwritingwasanexploration,forwhichwecanassumetheactualprocessofwritingheightenedaner
立教大学で学んだ4か月7月16日、立教大学「異文化コミュニケーション学からの学び/実践翻訳講座」の14回の講義を終えた。4月16日に始まり、約4か月にわたる講義であった。毎週木曜日、朝8時50分から始まる1限の授業であったが、毎回多くの学生に参加してもらった。学生の皆さんと一緒に英文を読み、訳し、ことばについて考え、たくさん話ができたことは、わたしにとってもかけがえのない時間であった。★★★この4か月は、翻訳、編集、著者インタビュー、講演、ラジオ出演、自由学園明日館での
『風、薫る』が泣ける。ここ数日はジェレミー・ブラックの悪文対策ばかりを書いてきたが(だが、当ブログへのアクセスが革命的に増えている)、今日は先週の文さんと直美の最後のやり取りを英語にしてみよう。主人公の一人である直美は、赤ん坊の頃に横浜の教会に捨てられた。だが、周囲の支えと本人のたゆまぬ努力により、立派な看護婦(看護師)へと成長した。一方、さまざまな苦難の人生を歩んできた女性・柳川文(ふみ)は、実は直美の実の母親だが、直美にはその事実を隠したまま、密かに娘の成長を見守っている。自身の死期を
ジェレミー・ブラック(JeremyBlack,1955–)は、イギリスを代表する歴史学者・軍事史研究者である。1955年ロンドン生まれ。長年、イギリス・エクセター大学で歴史学教授を務め、現在はアメリカ・フィラデルフィアのForeignPolicyResearchInstitute上級フェローを務めている。専門は18世紀イギリス史、外交史、軍事史であるが、その研究領域は驚くほど広い。世界史、戦争史、帝国史、地図史、歴史理論など多方面にわたり、著書は180冊を超える。Goodread
現在、ジェレミー・ブラック著AShortHistoryofWarの翻訳と格闘している。原書と向き合うなかで幾度となく突きつけられるのが、「歴史書なのに、こんな書き方をしてよいのか」という大いなる疑問である。非常に単純な事実を、最大限に難しく表現する。それがこのブラックという歴史家の持ち味とはいえ、原書の出版社(編集者)はなぜこれを止めなかったのか。「簡単なことを最大限に難しく書く」。これはまさに翻訳者泣かせの極みである。なぜ原書の編集者はこの文章にメスを入れなかったのか。翻訳にあたっ
JeremyBlackのAShortHistoryofWarを読んでいると、「内容は簡単なのに、なぜこんなにわかりにくく書くのだろう」と思う箇所に何度も出会う。今回取り上げる英文も、その典型である。いや、それどころか、本書の中でも屈指の悪文と言ってよい。内容自体は決して難しくないにもかかわらず、抽象名詞と曖昧な表現を幾重にも重ねることで、論理がすっかり見えなくなってしまっている。Thisfactorlookstowardsthemodernfortificati
ジェレミー・ブラックの文章で苦労する理由は、難しい単語が多いからではない。話の流れが途中で何度も横道に逸れ、視点まで切り替わるからである。これもウルトラミラクルな悪文だ。Earlycastlesweregenerallysimpleaffairsofearthandtimber,butstonewasnotvulnerabletofire,aswoodverymuchwas.Moreover,thestrengthofthedefenc