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本論文は、アカゲザルを用いて、アルコールが血液精巣関門に及ぼす影響を検討したものです。F&SSci2025;6:414(米国)doi:10.1016/j.xfss.2025.07.005要約:アカゲザルの初代培養セルトリ細胞をエタノールに曝露し、血液精巣関門への影響を検討しました。1~2杯分のアルコールに相当する濃度(10、60、100mM)を投与し、血液精巣関門(バリア)機能は電気抵抗および透過性アッセイで評価し、48時間後の回復状況についても評価しました。また、セルトリ細
本論文は、不育症における免疫学的治療に関するレビューです。F&SRev2025;6:100099(米国)https://doi.org/10.1016/j.xfnr.2025.100099要約:多くの産婦人科医は、原因不明の反復流産(不育症)の女性を治療する際に免疫の関与を考えますが、免疫学的治療が有効であるというエビデンスは不足しています。確かに、免疫寛容は妊娠の成功に不可欠ですが、現在のところ免疫学的要因と非免疫学的要因を区別することができていません。抗リン脂質抗体を除き、免
アメブロでは、2013.8.29より「いいね」が導入されました。100件以上「いいね」がついた「リプロとブログ記事」を多い順にご紹介いたします。いいね数8702013.5.13「☆マークのついたブログ一覧」5632014.6.18「☆私の目指す生殖医療:ブログ読者のお便りから」4142017.12.31「1年間ありがとうございました」3802016.9.18「日本受精着床学会にて学会賞受賞!!」3702018.2.20「リプロ東京開院1年」3102016.10.2
本論文は、卵子成熟に関するレビューです。F&SRev2025;6:100096(米国)https://doi.org/10.1016/j.xfnr.2025.100096要約:成熟卵を獲得するために、トリガーとしてhCG製剤(HCG、オビドレル)やGnRHアゴニスト製剤(ブセレリンなど)を用いたり、その両者を用います(ダブルトリガー)。卵巣反応の違いによる推奨トリガーを示します。•高反応:採卵決定時の卵胞数18個以上、E2>3,500pg/mL、AFC14個以上、AMH
当院の石川CEOと竹内院長が、アメリカ生殖医学会(ASRM)のSTARAWARDを受賞しました。この賞は、直近10年のうち9年、ASRMで何らかの発表活動を行った医師に与えられるものです。筆者も国際学会に数回参加したことがありますが、「10年中9回」というのはなかなかできることではありません。今年の日本人受賞者は当院の2名のみで、大変名誉なことだと思います。お二人が動画で想いを語っていますので、ぜひご覧ください。ところで、リプロ東京公式インスタは、原則として週2回、月曜日に
本論文は、PGTのカウンセリングに関する検討です。FertilSteril2025;124:964(米国)doi:10.1016/j.fertnstert.2025.06.010FertilSteril2025;124:985(米国)コメントdoi:10.1016/j.fertnstert.2025.09.010要約:PGTを行う患者105名(平均年齢32.2歳)とパートナー97名(33.9歳)を対象に、A)生殖医療専門医によるカウンセリングのみ、B)生殖医療専門
アメブロでは自分のブログデータの解析が可能で、過去1か月間にアクセス数が多かった記事を知ることができます。過去1か月ですから、当然その間の記事が上位にきますが、それ以前の記事もランクインしています。そのような記事は長期的に人気が高いことになります。今回は、過去1か月より前に紹介した記事の中でランクインした上位9位をご紹介致します。12021.5.13「☆hCGの増加率が低い場合」22023.2.17「Q&A3575妊娠中のお腹への衝撃について」32020.10.12「☆判定日の
本論文は、卵子凍結における採卵数の予測モデルに関する検討です。HumReprod2025;40:2126(英国)doi:10.1093/humrep/deaf165要約:2016〜2023年に英国のひとつの施設で卵子凍結を実施した579名を対象に、ベースライン特性(年齢、BMI、AFC、AMH、FSHなど)を元に採卵数を予測するモデルについて後方視的に検討しました。最も高いAUC(0.7917)を示したのは、年齢、AFC、AMH、FSHから導いたもので、感度は0.7255、特異
今日は年末年始に治療計画を立てるプランについて解説いたします。リプロダクションクリニック東京・大阪では、12/31~1/3まで休診となりますが、培養部は元気に毎日仕事をしており、12/30まで、および1/4からは採卵・移植ともに可能となっております。そこで、12月下旬に月経が来そうな場合で年末年始に治療をされたい場合のモデルプランをお示ししますので、参考にしていただけますと幸いです。【採卵】①月経開始が12/14~12/16D2~5に排卵誘発剤を開始できれば、通常は12/30が採
本論文は、2020年の欧州生殖医学会(ESHRE)におけるART治療(体外受精、顕微授精)成績です。HumReprod2025;40:2038(ESHRE)要約:2020年1月1日〜12月31日に実施された、欧州41か国、1,440施設、人口2億6,800万人に対して、合計923,318周期(前年は1,077,813周期)の不妊治療のデータを集計しました。内訳は、体外受精135,231周期、顕微授精356,408周期、凍結胚移植305,373周期、PGT57,051周期、卵子提
本論文は、正常胚成立への男性因子の関与について検討したものです。FertilSteril2025;124:1006(欧州)doi:10.1016/j.fertnstert.2025.06.029要約:2017〜2023年に実施した採卵5,847周期、合計47,502個の成熟卵を用いて、正常胚への男性因子の関与について後方視的に検討しました。精子は、新鮮精子、凍結精子、精巣精子を用い、ドナー卵子は除外しました。結果は下記の通り(有意差のみられた項目を赤字表示)。
リプロダクションオフィス東京に、採卵周期D18の診察に行ってきました採卵はD14ぐらいにするものじゃないの!?という一抹の不安はありつつ、今回で採卵日が決まると信じています仕事を早上がりし、ダッシュで受付いつも通り、血液検査とエコー検査からの診察です。結果は、、右卵胞が8個、左卵胞が5個。一番大きいもので19ミリ。E2は1100台まで上がっています!!おー結構良いのでは!?と思ったのですが、もう少しだけ様子見た方がよいとの先生アドバイス。また2日後に通院することになりました相変
本論文は、PGT異常胚移植(異数性胚3個)の2個から健常児誕生(双子)に至った症例報告です。FertilSteril2025;124:1016(米国)doi:10.1016/j.fertnstert.2025.06.033要約:妻42歳と夫49歳の夫婦は、7回妊娠、5回出産(男児3名、女児2名)しました。娘1名が溺死事故によって亡くなってから女児出産を希望し、PGT-Aを行いました。初回採卵で正倍数性男児胚が1個得られました。2回目の採卵で異数体女児胚が3個得られました(NGS
11月のアクセス数ベスト10の記事は次の通り12021.5.13「☆hCGの増加率が低い場合」22025.11.5「嬉しい報告:6日目4CBで出産」32025.11.19「☆正常胚移植の理想的な子宮内膜厚は?」42025.11.1「☆人生は5つのボール」52025.11.6「嬉しい報告:1番最後の低グレード胚で出産」62025.11.16「Q&A4476ビタミンDサプリ摂取が過剰でしょうか」72025.11.7「加齢による子宮因子の変化」82025.11.
健康長寿について、慶應義塾大学医学部「百寿総合研究センター」新井康通先生のお話をご紹介します。医師協Mate2025;347:7(日本)要約:日本には、現在100歳以上の高齢者(百寿者、センチナリアン)が9万人超おられ、その88%が女性です。百寿者も多くの病気を抱えていますが、糖尿病や肥満が少なく、動脈硬化や慢性炎症も少ないという特徴があります。加齢に伴う慢性炎症は、様々な疾患を引き起こすことが明らかになっており、血清アルブミン低下とリンクしています。百寿者の全てが健康長寿ではなく
明日から12月ですね。そして12月2日から、従来の「保険証」は原則として使用できなくなります(実際には来年3月まで移行期間はありますが、あくまで期限切れ保険証を使用するという形式の移行措置であり、4月以降は完全に保険証は費用不可ですので、お早めに移行して下さい)。昨年12月以降、新規の保険証は一切発行されていませんので、転職・就職された方は、すでにマイナ保険証(または代替手段)へ移行済みです。当院を受診される際も、12月2日以降は「マイナ保険証」または「資格確認書」をご持参ください。
先日のリプロダクションオフィス東京での初診で、早速転院&採卵周期に入ることになったのですが・・・勝手にお休み周期だと思い込んで予約していたので、夫ちゃんとベトナム旅行にいってきました気候は温暖で、たくさん歩いて、たくさん飲み食いして完全にグルメ旅でしたベトナムはフォーなどのヘルシー料理が多く、ビールも日本より薄いから?健康的!!↓名もなき屋台のフォー、ハーブいっぱい!300円相当ぐらい笑そして、リプロで処方してもらった薬と注射も毎日こなします海外旅行しながらの採卵周期、初めてです笑そ
今日は11月29日=いい肉の日。ブラックフライデーとともに11月の恒例行事ですね(!?)外来で、患者さんに、「次回の受診はいい肉の日ですね」などと申し上げると、ふっと笑ってくれることがあります。ポッキーには無反応なのに(根に持ってる)よく分からない方は数回前の記事へ。そこで、ふと気になったのが――「じゃあ“いい魚の日”っていつなんだ?」調べてみると、ちゃんとありました。毎月3日〜7日が“さかなの日”、そして11月3日〜7日は“いいさかなの日”という強化週間だそ
本論文は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性において、AMH値は周産期予後と無関係であることを示しています。FertilSteril2025;124:1093(中国)doi:10.1016/j.fertnstert.2025.06.032FertilSteril2025;124:996(ブラジル)コメントdoi:10.1016/j.fertnstert.2025.09.009要約:2016〜2023年に新鮮胚または凍結胚移植周期を受け、初回の単胎出産に成功したP
ERA検査については、前編でも触れたように否定的な見解(論文)が散見されます。もちろん、現段階では「有用性が完全に否定された」わけではありませんし、今後肯定的な論文が出る可能性もあります。ただ、本稿で扱いたいのは「ERAが有用かどうか」ではなく、議論が割れている中で何をどう考えるべきかという点です。(ERA検査の有用性そのものに興味がある方は松林医師のブログをご覧ください)『☆ERA検査の有用性は否定的!?メタアナリシス』本論文は、ERA検査の有用性に関するメタアナリシスを行っ
本論文は、黄体(排卵)数で妊娠初期の血圧と血管抵抗が変わる可能性を示唆しています。2025.7.14「☆黄体(排卵)数で周産期リスクが変わる!?」でご紹介した論文の第2報です。HumReprod2025;40:2078(オランダ)doi:10.1093/humrep/deaf181要約:2010〜2022年にロッテルダムの大学病院で妊娠中の女性1,986名を対象に、妊娠方法別の黄体数と周産期予後について前方視的に検討しました(ロッテルダム周産期コホート)。なお、黄体ゼロ群(ホル
「着床の窓」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。業界用語的には、もともと、implantationwindow(あるいはwindowofimplantation:WOI)と英語で表現することが多かったのですが、ブログで当院の松林医師が着床の窓という言葉をしきりに使い始めて定着した歴史があります。着床の窓の検査は、2011年にスペインで提唱されました。ERA検査と名付けられた検査は現在スペインのIgenomix社が提供しています。一方、当院は、アメリカのCooper
本論文は、男性の肥満と妊活に関するミニレビューです。HumReprod2025;40:2027(米国、ブラジル)doi:10.1093/humrep/deaf180要約:肥満は男性の生殖機能にも重大な影響を及ぼします。肥満は内分泌と代謝の恒常性を乱し、精子の質を低下させ、妊娠率と出産率の低下と関連します。このメカニズムとして、テストステロンからエストロゲンへの変換による肥満関連性腺機能低下症、精子形成およびセルトリ細胞機能の直接阻害、過剰な脂肪組織による陰嚢高体温、脂肪組織内へ
判定日後ちょっと生理の調整しました。仕事で採卵不可な日があったのできてほしい時期にするために2回分だけホルモン補充を続けました。エストラーナテープかプレマリンのうちどちらかとウトロゲスタンとルトラールのうちどちらかを続ければ生理は来ない、遅らせられるということで、プレマリンとウトロを2回分使いました。判定日の夜にプレマリン3錠とウトロ1錠、翌日朝にプレマリン3錠とウトロ1錠。(本来は朝晩2錠ずつのウトロでしたが、前院では、朝昼晩一錠のウトロでしたので、最低限の量として、朝晩一錠ずつに自分で決
本論文は、不妊治療のホルモン検査において、毛細血管採血と静脈採血の比較を行ったものです。FertilSteril2025;124:1124(米国)doi:10.1016/j.fertnstert.2025.06.025要約:大学病院で不妊治療を行っている46名の女性を対象に、従来の静脈穿刺による血液と、TAPMicroSelect採血装置(YourBioHealth,Inc.)を用いた毛細血管採血による血液の、E2、P4、LH、FSH、hCGを同時に測定し比較しました。
こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。今回は、カップル間のコミュニケーションのすれ違いとしては鉄板的な「察する」ということについて、フィクションのやり取りを通してお伝えしたいと思います。採卵当日、採取できた卵子数が予想より少なくて、家に帰ってきた彼が慰めてくれると心の中ではなんとなく待っていた夜、と設定します。「え、なんで?昼間、LINEで、ショックを受けていることは伝えているのに、なんで普通にしているの?慰めてくれないの?一緒の気持ちでじゃないの?今週期は採卵
リプロダクションクリニック「大阪」「東京」は毎日診療をいたしております。12月の松林の診察日については、下表をご覧下さい。診察日を記載していますので、お間違いないようお願いいたします。12/15は、クリニックの診療はAMのみです。12/30は、16:30が最終枠です。12/31〜1/3はクリニックの診療はありません。ただし、採卵も胚移植も年内は12/30まで、年明けは1/4から実施可能です。当院は、高度な診療を行うため、常勤と非常勤を合わせて、現在生殖医療専門医が23名
リプロダクションオフィス東京での初診の続きです大量の血液検査とエコー検査を終え、かなり待った後で再度D先生から診察室の呼び出しです。すぐに結果が出たものだけ説明!!夫ちゃん、精液検査は大きな異常なし濃度が異常値に高い(溜まっていたよう、、)。DNA損傷率が少し高いぐらい。私、ビタミンDが29と少し低い(30が基準なので一般的には問題ないけれど妊娠を目指すには、というレベル)ぐらい。夫婦でサプリを勧められましたその他、夫婦の血液検査による染色体検査の結果等は後日ということでした。
本論文は、中隔子宮と正常子宮の子宮収縮の違いに関する検討です。FertilSteril2025;124:728(イタリア)doi:10.1016/j.fertnstert.2025.05.159FertilSteril2025;124:655(米国)コメントdoi:10.1016/j.fertnstert.2025.06.040要約:2023〜2024年にイタリアとオランダで、中隔子宮57名と正常子宮71名を対象に、月経周期の様々な時期で子宮正中矢状断面における4
このブログは、基本的に同じ医師(生殖医療専門医・指導医)が書いていますが、あえて名前は出していません。知っている方には分かるのでしょうが、少しだけ“匿名の余白”を残しておきたいのです。日常の記事では「私」や「筆者」を使いますが、医療解説ではできるだけ「当院」「私たち」と表現しています。個人の技量より、クリニックとしての姿勢や考え方を伝えたいからです。大学時代、学習塾でバイトをしていたときに、よくこんなことを言われました。「“先生”と呼ばれるのは、あなた個人ではなく、“組織の看板を背