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席を外していたヨンが戻って来た卓の上にお茶を置く「ありがとヨン!」嬉しそうに笑うウンスに優しい笑顔を浮かべたヨンが頷いた「医仙様もその天門を通ってここへ来たのですか?」ウンスはジアの対面に座るその隣にヨンが座った「私は…」チラリとヨンを見るヨンは静かに頷いた「王妃様が高麗に嫁ぐ時に死角に襲われ死の淵を彷徨っていたの…それを助けようと王命で天門をくぐったこの人に連れてこられてここに来たの…で…今はこの人の妻として暮らしてるの」ジアの顔色が変わる「…確か…そうい
「お姉様随分とお待たせいたしましたね…宮廷の絵師及びに希望者に花と鳥の絵を描かせましたお姉様のお好きな画風をお選び下さい」チェ尚宮に指示された女官達が各々絵を持ち並び立つその前を顎に手をやりながら一つずつ見ていく「あっこれ!王妃様!この絵を描かれた方を紹介して欲しいです!」王妃が手をスッとあげるとチェ尚宮が女官から絵を受け取るその絵を王妃に渡している間に女官達が出ていき代わりに呼ばれた絵師が入ってきた体の線の細い綺麗な顔立ちをした人が立っていた「…其方の名を申
陽だまりの人【ヨン・ウンスside】「大護軍、医仙。おれ、トギに振られました」王宮へ出仕する折。俺とイムジャが馬車に乗り込んだところへ、御者を務めるテマンが、俯き気味に報告してきた。「え、振られた??どういう事、テマナ」戸口から身を乗り出してイムジャが問うのへ、テマンは幾分すっきりした顔を向け、「こないだ相談した…あれです。やっぱり、嫌だって言われました。その…気持ちだけでいいって」へへへ、と眉を下げるテマンに、俺とイムジャは思わず顔を見合わせた。「そうだったの……でも、これからも
陽だまりの人【トギside・後編】——家族、か。私もテマンも身寄りは無く、長いことずっと1人で生きてきた。それでも、特に辛いとか困った事は無かった。テマンには大護軍が、私にはチャン先生がいたし。淋しいとか、そんな事を思ってる暇も無かったし。家族なんて持ったら、きっと面倒が増える。子どもなんて持ったら手がかかる。やりたい事が出来なくなるじゃないか。私は何に縛られる事なく、自由でいたいの。だから1人で生きていく。全て己れで責任を持つって……そう決めてたのに。なのに、今私はテマ
陽だまりの人【トギside・前編】いつからだったんだろう……全然全っっっく男として見た事なんか無かったのに。まぁ、それはテマンも同じだろうから、お互い様か。自分でも驚いてる。私は生涯、色恋なんか縁も興味も無い。その自信もあったのに。……だけど、たった一度。1人だけ、想いを寄せた人は、いた。いわゆる初恋ってやつ。それは認める。チャン先生。片想いだったけど、あの人の側で学び研鑽した日々は、とても幸せだった。だけど、府院君の手下の…あいつらに、先生と典医寺の仲間達が殺されて
陽だまりの人【テマンside】いつからだったのかな。そもそも、いつからそこに居たのか、覚えてないくらい、いつも居たからな……大護軍に拾われてからずっと、おれは大護軍と一緒に居た。大護軍の行く所なら、どこへでも着いて行った。だから、一緒に典医寺に行けば、だいたいいつも居たんだ……トギは。トギは口がきけないけど、耳は聞こえてる。だからかな、他の女達みたいに、しつこくないし、やかましくもない。話は通じるし、余計な気を遣わなくていい。むんむんしてないし、おしろい臭くもない。邪険な目でお
悋気の行方【マンボ姐の呟き】ここだけの話、ヨンは女にモテる。なんせ、あの見た目だ。そりゃあ、女たちが囀りもするさ。老いも若きもね。「何よッ!ヨンはアタシが最初に目ェ付けてたんだからッ!!他の女には渡さないわよ〜!」……なんて言う、男か女かわからないのまでいるんだからね。(あ、もちろんウチの白い奴の事さ)ヨンは両班の…いいとこの坊ちゃんだ。本来あたしらみたいな下賤のモンと関わる事の無い、やんごとない生まれさ。ただ、お父上のウォンジク様が……あたしから言わせれば、ほんとに風変わりな御方
「王妃様!私に絵師を紹介してくださいませんか?できればあの人(ヨン)には内緒で!」定例となりつつある王妃の検診後のお茶会で卓に手をつき体を前のめりにしながら告げた側で控えていたチェ尚宮の眉がピクリと上がり自分以外の者を静かに下がらせる王妃はウンスとチェ尚宮に視線を這わせた「お姉様…お聞きしてもよろしいでしょうか?」王妃が飲んでいた器を静かに卓の上に戻しつつ尋ねる「大護軍に内緒…とは…チェ尚宮にも大護軍には秘密にして欲しい…ということでしょうか?」ウンスは王妃とチェ
今年もでんべ様企画【シンイで年越し2024】に参加させていただきます😊✨でんべさん、ありがとうございます‼️お題『家族』で3本の予定です。拙作のスピンオフなのですが…🙇♀️すみませんぜひ読んでやってください。スピンオフでなく違うお話も間に合えば参加したい…(希望)さて、以下は個人的な事で恐縮なのですが…師走らしい寒さと慌ただしさ…嫌いじゃないんですけど、今年は個人的にバッタバタで💦ご心配いただいた皆さま、本当にありがとうございました😭嬉しかったです😭いい事とあんまりそうでな
……いつか慣れる日が来るんだろうか。ヨンとセッ…肌を合わせる事、もう数えてもいないけど——高麗へ戻って来てから、都へ戻って来てから、結婚して避妊をやめてからも。離れていた時間を埋めるように求め合って満たされるからまた求めて満たされてもまた、求め合って……本当に私の月の障り以外……毎晩とは言わないけど、ほとんどの夜をそうやって過ごしている。互いにしたくてするんだけど、結局いつも、彼の熱情に巻き込まれて、翻弄されて終わるパターン。……あの艶を含んだ瞳(め)で見つめられると、もういけな
「へぇ〜……その、キム上護軍?アン・ジェさんの上官って言った?…居たかも。鷹揚軍の健康診断に行った時、やたら偉そうなブサ…イケメンじゃない人が」「え、貴女が診察を??」「あ〜……ううん、あの人には当たらなかったわ。他の人は…何人か診たけど」「………」「ねぇ、貴方が嫌がるのもわかるけど、私は医者なの。そんなおかしな気持ちで診察してないから安心して」「心配なのは貴女ではなく、男どものほうです。良からぬ事を考えるやも」「あらあら。困った旦那様ね」イムジャは、腰掛けた椅子ごと俺に身体を寄
イムジャと婚儀を挙げ、俺達は正式に夫婦となった。婚儀を挙げる前から夫婦同然に暮らし、妻だ妻だと公言してはいたが……やはり、他の誰のものでもない、この方は俺の奥だと、胸を張って言えるのは嬉しい。「——チェ大護軍は、嫁取りをしてから弛んでおるのではないか?注視すべきは、妻の顔色より元国の顔色だろう」……嬉しいが、そこへ何かと難癖つけたい輩もいるもの——「キム上護軍(サホグン)。私に何か手落ちでも?」「手落ちがあってからでは遅い、と言う事よ、チェ大護軍。其方の腑抜け様に当てられて、皆の士気が
恭愍王(コンミンワン)と魯国公主(ノグクコンジュ)——お2人の歴史を私は覚えてる。そこの記憶は霞んでない。だから、回避する為の行動はしてもいい——そういう事でしょ?お2人にお子を——もちろん、私自身も早く授かりたいから、王妃様と一緒に妊活するわ。王妃様はお身体が強くはないから、心配は尽きないし、私だって高齢出産になるかもしれない。もしかしたら、同時期に出産……なんて事になるかもしれない。だから典医寺の強化は重要よ。ユン先生をはじめ、典医寺の有能な人材を育てる。私が教えられる事は
「ぅぅ……にがぁ……」私は朝のルーティン——トギ特製サプリメントを飲み干した。……飲み下した、という表現の方があってるかもしれない。私の為の処方…必要なのは誰よりも分かってる。分かってるけど苦い……凄く苦いぃ。「奥様、お口を」器を受け取ったソニが、すかさず蜜飴を私の口に放り込んでくれる。「ありがとう、ソニャ」「毎朝拝見してますが、本当に苦そうな……ご立派です、奥様」器の底に残った群青色の筋を見て、ソニが眉根を寄せて言う。私は口の中で飴を転がしながら、「あはは……ソニもちゃんと
「えっ、医仙様??」「どちらへ??」何も言わずに突然駆け出した私を、護衛に立ってくれていた武女子2人が、慌てて追いかけて来る。私は、はた、と立ち止まって、「ねぇ、ヨ…主人は何処かしら?あなた達、知ってる??」迂達赤(ウダルチ)の兵舎かしら?それとも王様の所??「さ、さぁ…私達には……」私の剣幕に気圧されて、オロオロと顔を見合わせる2人。いいわ。居そうな所を片っ端から……そう思い定めた私の視線の先に、なんと当事者の1人が——「〜〜っ!!テマナッ!!!」「あれ?医仙。
空?俺もつられて見上げるも……さっきより厚くなった雲が陽を遮り、日中(ひなか)とは思えない、うら淋しさだ。そうしているうちに、案の定——「あ、降ってきた……」ちらちらと舞い散るような雪が、だんだんと数を増し、降り注ぐように落ちてくる。イムジャが嬉しそうに手を伸ばし、それらを受け止めながら「今日は冷え込むから、きっと雪になるって……ねぇ、これって初雪よね?」「初雪?」「今年初めて降る雪の事。ね、そうでしょ?」「……はい。おそらくは。それが?」「ん?ふふふ」——いいのよ。気
※【永遠に凪ぐ】本編から外れた短編です。東方神起の楽曲からイメージしたお話です。許していただける方、よろしくお願いします。▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎▫︎『ぱーとなーになって』『毎日この時間に、ここで会うのはどう?』あの時、何故あんなに胸が高鳴ったのか……今ならわかる。俺は、あの方に堂々と会える口実が出来たことが嬉しかったのだ。『行ってらっしゃい』あの方はそう言って……俺に手を振って花のような笑顔を向けた。そこから…俺は目が離せなくて。——
私は改めてトギに向き直って続けた。「赤ちゃん……なるべく早く欲しいなと思ってるの。私ももう若くないし、いろいろと……体力的にも、ね」(…そうだな。早いほうがいいと思う)「それで、避妊はやめたんだけど、今度は妊活しようと思って」(にんかつ?子作りの事?)「ん〜、妊娠しやすい身体づくり、ってとこかな。それでトギにまた、アレコレお願いしたくて」(……いいよ。私に出来る事なら)「ありがとう、トギ〜!」(ああ〜、もうっ。わかったからっ)私は、忙しいトギに抱きついて煙たがられた。(そうい
『アメンバー募集について』✨当ブログのアメンバーについて✨アメンバーになっていただいても、限定記事を書く予定は未定、内容は不透明です´д`;ごめんなさい🙇♀️それでも申請いただけ…ameblo.jp皆さま、一気に寒くなりましたね😵お元気でお過ごしでいらっしゃいますか☺️ビビです。いつも貴重な時間を割いて、拙作を読みに来てくださり、ありがとうございます‼️新章スタートしていきなりのアメ限…ですが、艶話でもない、読み飛ばしても本編には障りのない範囲のお話です。ほんのちょっと内容があ
※『とわになぐ』こちらは、拙作『菊花恵愛』『相聞歌』からの続編です。そちらを済まされてからお読みいただけると、お話が繋がります。よろしくお願いいたします♡(^人^)◆凪ぐ(和ぐなぐ)……心が静まりおさまる。穏やかになる。なぐさむ。なごむ。風がやみ海面が静かになる。風波がおさまる。[広辞苑より]............................................................朝。目覚めた時に、一番に見たい顔。一番に聞きたい声。一番に
今日、また虹を見ました🌈ひと月程経ち、ヨンとウンスは海辺の新しい屋敷での生活にも慣れて来た。使用人達は四人居た。夫婦者でスリバンだ。テピョンとアイシャギアンとテスだ。四十位に見えた。事情は、マンボに聞いていたのが、とても仲睦まじいご夫婦で、たまに、一人で縁側に座って、物憂げな感じがする奥様を直ぐに見つけると旦那様は、そっと肩を抱いて、何も言わずに寄り添っていた。美しい絵のようだった。ご夫婦は、釣りにもよく行かれた。海を見た時の奥様は、それは綺麗だったと言い。
そうかい…辛かったね?ウッウッ…ほら?泣く時は、大きな声を出していいって、言ったでしょ?ヨンの胸に飛び込みワンワンと泣いた。忘れる事等、しなくていいのです。そうだよ?その首飾りがご両親だ!いつも此処に居るよ!って言ってるんだよ。は…はい…。それでだ。屋敷に物を用意してくれないか?馬車3台!わかった!わかった!叔母上には、ユ・ウンスを族譜に載せてくれ!とだけ、言ってくれ!わかったよ。こっちも説明のしようがない。使用人も用意するよ。その手じゃ、大変だよ!ああ
翌日、マンボ兄妹が、こっそりと来た。ヨン!ヨンはいるのか?くそっ!何だってこんな日に来るんだ!慌てて、着物を羽織ってでた。ああ、師叔、早かったな。お前、何だ?その身なりは?起きたばかりか?あ、ああ、まあ…。お前…天女を手籠めにしたって本当なのか?な、何で知ってるんだ!!はぁ〜っ。まさかと思ったけど、本当だったのか?都では、その噂で持ち切りだ!はっ?チェ尚宮がプジャンに聞いたら、とても美しい天女を傷ものにしたと!王はお前を罷免した。ああ…一生償うし、そんな想いじ
八日経ち、チェ・ヨンとチャン侍医とウンスは、海辺の家に居た。スリバンの宿屋に居る時に鳩が来た。メヒとベンの事が書かれていたが、不思議とそうだったのか…と思っただけだった。気になるのは、俺には、都に帰ってくるな!と言う言伝だった。侍医が用意した家には、何もなかったので、交代で、住めるようにと物を用意した。刃物は、わからない所に隠した。食事の支度をする時の包丁も都度隠した。相変わらず虚ろな目をしたウンス殿が何をするか?わからなかったからだ。明日、抜糸とやらをしたら、
皆さま、今日もお疲れ様です!!いつも当ブログを読みに来てくださって、本当にありがとうございます‼️シンイ落ちして最終回にモヤモヤ、幸せな2人を求めて二次小説にハマり…自分でも書き始めて、ようやくここまで来られました。大切なものを置き、かけがえのないものを得てきた2人。けっして全てがハッピー♡では無い中で、最善の(自分達に後悔のない)選択をしてきた2人。我が家のヨンとウンスは、そんなこんなで夫婦になりました。それでですね、実は、ビビの思う2人のゴールは結婚ではないのでして……色々と回
翌日。鉄原の皆さんにお礼とお別れを言って、私達は開京への帰路に着いた。来た時と同じように、辺りを警戒しながら、馬車のメンバーも入れ替わりながら……それでも、行きとは違って、誰もが柔らかい安堵の表情を覗かせながら、都までの道中を過ごしていた。「お帰りなさいませ!旦那様、奥様!」「ご無事でよろしゅうございました」「お疲れでございましょう。風呂が沸いております。どうぞ!」チェ家の…我が家の門前に着いた時から、ギチョン達が飛び出すように出迎えてくれて……自分でも驚いたんだけど、私は思わず泣い
ヨンが帰って来たら、十日後に婚儀だ!メヒは、今か今かと焦っていた。その頃、師叔の所に鳩が来た。婚儀は取り止めだ!子細はチュンソクに聞け!と書いてあった。その方がいいな…マンボはそう思った。ヨンが元へと王を迎えに行っていたこのひと月余り…メヒは、ベンと仲良くしているのを見ていた。ムン・チフは、忠恵王に刺されたが一命を取り留め、今は山奥で隠居していた。時々、様子を見に行ってたが、ヨンとメヒの婚儀には反対していた。メヒでは駄目だ!の一言だった。それゆえに、七年経っても二
こんばんは!秋、秋は何処〜💦というくらい、昼夜の寒暖差がすごい…もう10月も終わりですね😌いつも当ブログを読みに来てくださってありがとうございます‼️いよいよ拙作【相聞歌】もエンディングが近づいてきました😌2人の婚礼も初夜も無事に済み…またもや色々と、以前のお話が絡んだ感じになっております。ご案内だけさせてくださいね🙏✨ヨンとウンスの、言え、言わない口喧嘩の回⬇️『相聞歌19〜犬も喰わない〜』「……いつまで握ってる。離せ」“握手”という天界式の挨拶だ、と、医仙に手を握られ、好きに
ヨンに頭を撫でられるのは、とても気持ちがいい……私はうっとりと瞬きしながら、大きくて優しい手の温もりと、愛しい声に耳を傾けていた。「不思議な事?」「はい。貴女の帰りを待って……俺は北へ行く度に、刻が許す限り、あの樹の下で過ごしていたのですが……元への援軍から戻る途中でした。ソン・ユの高祖父の日誌を読み、貴女が高宗の時代に居られたと確信したものの、成す術も無く……樹の下でぼんやりと、貴女の事を考えていた時です。『オディケシムニカ?(どちらにいらっしゃいますか)』と空に向かって呟いたら…
私がモゾモゾと下着を着けて夜着を羽織っているのを、布団の中から肘枕のヨンが、呆れ顔で眺めていた。夜目の利かない私でも、今夜は月が明るいから……見えるのよ、その顔。新婚初夜なのに…ムードもへったくれも無いって、言いたいんでしょ。私だって、今夜はこのまま、ヨンとくっついて一晩中……と思ってたのよ。でも、ふと我に返ってみたら、ちょっと…ねぇ。「……ほら貴方も着て。風邪引いちゃうわよ」「確かに冷えてきましたね……」言いながら、まだ動こうとしないヨンに、私は散らばったヨンの…いろいろ集めて、