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——義禁府の獄。暗く湿った、陽の届かぬ息苦しい地下牢…再びここに入る事になるとは思わなかった。以前は、元の断事官によって、直ぐに放免されたがな……此度はそうはいかぬ。私を助けようとする者はいない。私はここで、己が命の終わりと向き合わねばならぬのだ。己れはもはや助からぬ……それなのに、自身でも驚く程、胸の内は凪いでいる。何故だ……?逃げるように高麗を出た後、元でキ皇后の庇護を受け、その時を待っていた。長い刻、息を殺して。ようやく巡ってきた彼奴らへ…私を捨てた高麗への復讐の時。
徳興君——高麗王族でありながら、高麗を元の属国にしようと企み、余を嘲り、王妃を苦しめ……我が子の命まで奪った者。余の叔父であると同時に、この世に息をしている者の中で、最も憎い仇だ。それが、キ皇后の後押しで高麗へ弓引いたのを、チェ•ヨンらが捕らえて、開京へ連れ戻って来ると知らせが届いた。ようやく…ようやくだ。奴を葬り去るに格好の状況。此度こそ、生かしてはおかぬ。彼奴に引導を渡してくれる——王妃にも、あの者の捕縛を伝えた。辛い出来事を思い出させてしまう故、心配であったが、妻は…「
高麗軍勝利の知らせに湧く都に、ヨン達討伐隊が凱旋する——ヨンは総大将として真っ先に帰京、ヒジェさんとドンジュは後から一緒に戻ってくると、我が家にも知らせがあった。心配しながら過ごしていた私達も、ほっと胸を撫で下ろしていたところ…今回のチェ•ユの乱。高麗軍の大勝利、ヨンも無事に戻ってくるって……無敗の将軍だって、信じてはいたけど、良かった……今日にも都入りすると聞き、私は凱旋を出迎えたくて、タムと2人で沿道へやって来た。(一緒に行く、と騒ぐミスとオンはソニ達に預けてきた。すごい人混みだ
俺が援軍を率いて義州に着いた頃には、予想通り、ソンゲら双城からの軍勢が先に加勢していて、ほどなく勝敗は決した。チェ•ユは取り逃したが、徳興君を捕らえた——その報を聞き、俺は急いで天幕へ向かった。「離せっ!無礼者どもめ、私を誰だと思っておる!!」勢いよく捲り上げた天幕の入り口から見えたのは、後ろ手に縄をかけられ、土に膝をつきながら、両脇の兵士に悪態をつく……絵に描いたような悪あがきをしている男。徳興君——……!奴と目が合った瞬間。俺はその胸倉を引っ掴んで、地面に叩きつけていた。……
ヨンが夜明け前に呼び出されて、王宮へ出仕した日。いつ帰って来れるかと、心配でモヤモヤ待っていたら、ヨンは昼過ぎには帰って来て、翌日には出陣するって言って——慌ただしく準備が進む中、私は部屋でヨンが鎧をつけるのを手伝った。「ヒジェ達防衛軍は、日頃からしっかり備えているはずです。双城のソンゲにも知らせを遣りましたから、あいつの方が先に義州へ到着するでしょう」「うん…」私は、出来上がった鎧姿のヨンの背中へ、黙って身体を預けた。ヨンはしばらく動かずにいたけど、やがて身体を捻って私と向き合った
北方で元軍とおぼしき軍勢!その数およそ1万!鴨緑江を越え義州へ侵入、防衛軍が応戦——!!その一報が開京に届いたのは、年も明けた真冬の寒さ厳しい折。大臣達をはじめ、招集された護軍達により軍議がもたれ、王宮内は慌ただしく——「ただちに援軍を!義州が突破されるようなことがあってはなりません!私が参ります!」俺は直ちに王様へ進言した。ところが、朝廷の腰抜けどもは、「相手は元国だぞ!都の護りはどうする?!」「上護軍には都に居てもらわねば」「向こうの将は誰だ?!」「闇雲に援軍だけ送って
元の首都•大都——紅巾の乱以降、荒れに荒れた国内は、現皇帝•順帝の力も弱まり、いつ何時、何が起こるか分からぬ状況にあった。とは言え、元は大国。そもそも、高麗ごとき小国が、刃向かっていいはずがないのだ。現高麗王(恭愍王)は、順帝とキ皇后の後押しを得て玉座についた。それなのに、即位した途端、ここぞとばかりに反元政策を推し進め……恩を仇で返すとは、まさにあの王のことを言うのだ。その愚かさの為に、府院君(キ•チョル)をはじめ、キ皇后のお身内は粛正され、この私…チェ•ユも同様、高麗を追われ、元
賑やかな客間を後にした私は、子ども達が寝入っているのを確認してから、ひとり寝室へ入った。ベッドにとすん、と腰を下ろして、大きく溜め息を吐く。チョン先生を初めてお招きした時もそうだったけど——今夜もとんでもない集まりだった……歴史に名を残す名将チェ•ヨンと、李氏朝鮮の開祖イ•ソンゲ。教科書に載ってる偉人チョン•モンジュ。そこへ今夜は、チョン•ドジョンまで加わって——モンジュの友達なんて、絶対有名人だろうとは思ってたけど、やっぱり教科書に載ってる人だった!モンジュと同じく、詳しくは覚え
イムジャが客間を去ってしばらく。みな良く呑み、よく喋った。モンジュとドジョンは、馴染らしい賑やかな遣り取りをし、ソンゲはゆらゆらと舟を漕ぎ出し、ドンジュはそれを気にしつつ、モンジュとドジョンに気を配っている。そんな酒の席でも話題に上るのは、近頃の王様と朝廷の様子——「…王師(ワンサ)?」「はい。興王寺で王様をお救いした僧侶の事、上護軍もご存知でしょう?」「ああ…」アン内官の死で開いた御心の穴を埋めるように、王様はあの者…遍照(ピョンジョ)をお側近くに置くようになっていた。その上“
ヒジェは、10日程を我が家で過ごすと、ひとり安州へ戻って行った。別れ際のヒジェら家族の様子——人目を憚らず泣き崩れたソニを、ヒジェが娘を抱えながら抱き寄せ、その娘…ソヨンも幼いながらに感じ取っていたのだろう…父親の胸に、ぎゅ、としがみついて、なかなか離れようとせず……その光景はあまりにも——皆(みな)承知の上ではあったが、見守る事すら切なくて……イムジャなどは堪えきれず、俺の背に隠れて泣いていた。我が家の子ども達…タムはさすがに理解していたようだったが、ミスとオンは元気よく「ヒジェアジ
私とソヨンをチェ家に預けて、ひとりで安州へ帰る——夫から突然そう言われた。安州へ嫁いで、ソヨンが生まれて、母•スンオクが亡くなって……あっという間の4年だった。その間、チェ家の旦那様や奥様をはじめ、マンボさんたちや、双城のイ将軍様まで……たくさんの方々に気遣っていただいて。何のご恩返しも出来ずにいたのが、やっと都を訪ねて、直接お礼をと思っていたのに——来て早々に、夫と喧嘩になってしまった。その上、勢いでチェ家を飛び出してしまい……でも、行く当てといったらここしかなくて。「姐さぁん
「え、ヒジェさんがそんな事を?本当に??」「はい。うちでソニとソヨンを預かって欲しいと」夫婦の閨。俺はヒジェからの頼まれ事を、イムジャに話した。もちろん、イムジャは否とは言うまいが……大きな目を瞬きながら、真っ直ぐ俺の顔を見ていたイムジャは、小さく息を吐きながら頷いた。「安州は国境の近くだもの……都(こっち)に居た方が安全よね。紅巾が攻めて来た時も、心配したもの」「ヒジェには承知と伝えました。良いでしょう?」「もちろんよ。離れも改築した事だし……ソニは了承済みなのよね?」「それ
その夜、母屋から戻って来たソニは、思い出し笑いをしながら俺を見て言った。「ソヨン、ぐっすり寝てたわ。坊っちゃま達にたくさん遊んでもらったから……ふふふ、あなたも見てきたら?それはそれは癒される光景よ」すっかりタム達に気に入られたソヨンは(おもちゃみたいにされてたけどな)、「ソヨンといっしょにねるの!」というミスの強い要望と、更にそこへタムもオンも乗っかって、今夜は母屋の子供部屋で、4人並んで寝ているらしい。俺にだってそれくらいの想像は出来る……けど、目の前のソニのあまりにも嬉しそうに笑っ
高麗の王太子であるモニノ王子の、トルチャンチ(満1歳の誕生日のお祝い)が盛大に執り行われた。赤子が無事に育ち、年を重ねていく事は簡単ではない…それ故に、王様王妃様はもちろんの事、王太后様の喜びようはとりわけ大きく……祝いの品が、内官女官、下働きの者にまで、くまなく下賜された。王妃様も産後のお身体を厭われ、日々健やかに過ごされていて、イムジャ達、典医寺の面々も、ほっと胸を撫で下ろしているところ。……刻が経つのは早いものだ。昨年は、興王寺の変でアン内官が亡くなり、王子様のご誕生、その間にヒ
「ねぇねぇ、ヨン。ソンゲは次いつ来るの?」イムジャがくるくると、俺に纏わりつくようにして、瞳を輝かせながら言う。3人の子の母となっても、少女のような愛らしさは変わらない……歳を取らないのか、俺の妻は……そんな事はおくびにも出さず、にやけそうになる口元を引き結び、俺は精一杯呆れ顔で答えた。「またソンゲに荷を預けるおつもりですか?来たとしてもすぐには帰りませんよ。都へ来たら来たで、彼奴も忙しいのですから」「えー…」当たり前でしょう、と返すと、弾ませていたものを、すぅ、と収めたイムジャが(
小春日和の昼下がり。私は王妃様と王子様の診察を終え、坤成殿(コンソンデン)での女子会中。東屋で、温かいお茶とお菓子をお伴に、私と王妃様が眺めている先に居るのは——綿入れでくるんだ王子様を抱っこして、嬉しそうに陽だまりを歩く恵妃様の姿。もちろん、恵妃様の分のお茶も用意されているけど、それはもうとっくに冷めてしまっている。王妃様が、そんな恵妃様の姿を、優しい目で見つめながら、「恵妃の王子贔屓には目元が緩みます。いつも我が子のように接してくれて、有り難いことです。——恵妃にも授かると良い
ピョンジョ様は、あたしの恩人。ふた親が早くに死んじゃって、あちこち、たらい回しにされたあたしは、いよいよ年頃になると、女郎になるか、金持ちの妾か……危うく身売りさせられそうなところを、ピョンジョ様が「寺で働かぬか」と、あたしを救い出してくれたんだ。あたしは、寺の下働きとして一生懸命働いた。決して豊かではなかったけど、毎日ごはんが食べられて、屋根のあるところで寝られて……有り難いったらなかった。何より、ピョンジョ様の側に居られることが、幸せだった。普段は愛想の無いあたしだけど、(その自
母は玉川寺(オクチョンサ)の奴婢。父は知らぬ。貧しさの中に生を受けた。だが幸いにも、奴婢か坊主か……私にはそのニ択が許されていた。どちらも大して変わらないなら、坊主のほうが断然いい。食いはぐれる可能性は低いし、上手くすれば、民達の役にも立てるだろう。御仏に仕えるのは、なかなかに骨が折れることだったが、それでも私は真っ当に努め、僧として日々精進を重ねた。そんな中、私は天から与えられた才があることに気づいた。“気”を操ることが出来るのだ。肩や膝が痛むという村人の患部に、私が手をかざす
王子様のペギルチャンチ(100日祝)が盛大に終わって、明るい雰囲気が漂っている王宮。そんなある日、なんと、オレに王様からのお召しがかかった。……!!?……何だろう?何かしたかな??身に覚えはないけど……あぁ〜戦々恐々と康安殿(カンアンデン)へ行ってみると、「チョン武官、来たか。早う入れ」と、王様の弾むようなお声が——どうやらお叱りではないらしい……それでも恐る恐る中へ入ると、そこには先客が居た。目に入ったのは、大柄な体躯に、法衣と袈裟——オレはとりあえず、黙ってその
高麗を継ぐ王子様が、無事にお生まれになった——ここ最近沈みがちな出来事ばかり……それもあってか、おめでたい知らせは、瞬く間に国中へ広まった。市井は喜びに沸き、臣下達は祝いに駆けつけ……宣仁殿(ソニンデン)で、大々的に王子様のお披露目がなされた後。有り難い事に俺は改めて、坤成殿(コンソンデン)でのお目見えの機会を得ていた。誰もが心待ちにしていた…赤子の泣き声が響き渡る宮は、福々しい気で満ちている。「…赤子というのは全くよく泣くものだな。ははは、元気な証拠だ。そうであろう?チェ•ヨン」
夏の日差しが眩しくなる頃、安州のヒジェさんとソニの間に、無事に娘が生まれたと知らせが届いた…!母子ともに経過も良いとの事、本当に何よりだわ。しかも、そのうち都見物に連れて行く、だって……きゃ〜♡「会えるのが楽しみだわ〜!ソニは高齢出産だから心配したけど、本当に良かった…スンオクも、おちおち寝込んでられないわね。可愛い孫のお世話があるんだもの」「そうですね。以前より元気になるやもしれません」「うん!きっとそうね」春先、スンオクが体調を崩していると、ヒジェさんから知らせを受けて
康安殿(カンアンデン)——取り次ぎの内官が、王様へ俺の来訪を告げた。少し待たされたが、無事に中へ通される。康安殿の中庭。その中程へ据えられた大岩に、主君がこちらへ背中を向けて静かに座っていた。肩は力なく落ち、背中は緩んで丸みを帯び……俺の目に映るその姿に覇気は無く、常より一回りも二回りも小さく見えた。王様をお慰めする……果たして、俺にそんな気遣いが出来るとは思えないが——王様が気落ちされている理由はもちろん、どんなご気性なのかも、分かっているつもりだ。だから何を言っても…どんな言
——駄目よ。このまま落ち込んでても、何も変わらないわ……小一時間ほど悶々と悩んだ挙句、当たり前の答えに辿り着いた私は、掻きむしってボサボサの頭のまま、机の前に座った。今、私に出来る事は——紙を広げ筆を取り、がむしゃらに書いていく。下手くそでもいい。忘れないうちに。覚えてる事を全部。年号も時系列もだいぶあやしい……それでも、とにかく書いて書いて——私はもう一度、秘密の天の書ノートを作った。いつのまにか、辺りはすっかり陽が落ちていた。はた、と気づく。あれ、オンは?ミスは?タム
興王寺での…キム上護軍による、王様を狙った謀反は未遂に終わった。危惧していた通り、寺は怪しい輩の巣窟になっていて、キムの息がかかった者が大勢……僧や下男はもちろん、僧もどきの連中まで——捕えた者達を取り調べたところ、首謀者はキムで、強力な後ろ盾がいたようだ、という事までしか出なかった。そのキムの…首をはねられた遺体は、寺の裏手の山中で見つかった。頭は、倒れている胴から離れた、茂みの向こうに転がっていたそうだ。曲がりなりにも上護軍だったキムを、一太刀で……斬った奴が相当に腕が立つのは間違
興王寺の奥の……僧が暮らす庫裡(くり)だろうか。オレ達はそこで、刻が過ぎるのを待っていた。ここからだと、剣戟の様子はかなり遠くに聞こえる。例の謎の僧と一緒に、畏れ多くも玉体を左右から抱え込み、逃げ込んだ小部屋。小さな机と行李に布団。灯りは机の上の燭台のみ。書棚には、いくつかの書物と硯などが置かれている。飾り気のないその質素な部屋で、僧とオレは膝をついて俯き、ただ黙って控えていた。王様はオレ達の目の前を、狭い部屋の中、行ったり来たり…忙しなくされていて。「ドチは…ドチは、無事に逃げおお
何故だ…こんなはずでは——チェ•ヨンに斬られた腕の痛みが、夢ではなく現(うつつ)だということを、否が応にも知らしめてくる。わしは流血する腕を押さえながら、闇の中を逃げ、駆けていた。いつからこうなってしまったのか——王様とアン•ドチと……元で共に耐え忍んだ長き日々。耐えて待って…ようやく叶った祖国への帰還。即位された現王の側近として、栄華を極めるはずだったのに。——あの男が。名家に生まれながら、わざわざ赤月隊などという胡散臭い集団に身を投じ、あげくその仲間を見捨てて時の王に擦り寄
オレは結構必死で、キム側の兵士達と交戦しながら先へと進んでいた。オレはどちらかというと、作戦とか根回しとか、頭で勝負するほうだから…皆んなみたいに、武闘派じゃないから……大護軍にはもちろん、足の速いテマンさんやジホ達に大いに遅れをとりながら、オレはようやく薬師堂に辿り着いていた。息を整えつつ目を凝らしてみると——ああ…やっぱり。大護軍と刀を交えるキムの姿——想像はしてだけど、やっぱりそうなのか…と残念にも思ってしまう。キム上護軍…信用出来ないし、人として全く尊敬も出来ない。でも
王様と薬師堂へ入った私は、ひとつしかない燭台の蝋燭へ火を灯した。薬師如来像の有り難いお姿が、ぼぅ…と、ゆら闇に浮かび上がる。主の祈りの邪魔にならぬよう、後ろへ下がって控えようとすると、「——ドチャ。よく聞け」王様は祈りを捧げるでもなく、私を振り返り、低く抑えたお声でお話になる。不思議に思った私はお側に寄り、「何でしょうか?王様」「余はここが正念場だと思う」「は?何のでございますか?」蝋燭の灯が龍顔を揺ら揺らと照らし、恐ろしい程に澄んだ両の眼が、ちらりと光ったように見え……私は
興王寺の門前。王様一行は何事も無く到着し、僧侶達に迎えられ中へ入って行く。寺に一番近い林の中に身を潜め、暗闇の中、俺達はその様子をうかがっていた。「どうする?旦那」「オレ達、ここで待機か?」「…少し待て」ジホとシウルを黙らせた俺は、見聞きしてきた疑念を思い返していた。王様を狙うとしたら、人目につかない寺までの道中かと思ったが……では寺の中か?だが、寺の警護は万全だ。兵士の数も増やし、チュンソク達も居る。そこで事を起こすのは、容易ではない。夜陰に紛れて賊どもが現れる、そんな
新月の夜。数多の松明で、煌々と照らされている巨大寺院……王室の仏事を司る興王寺(フンワンサ)。その門前で、立派な身なりの僧侶が、数名の僧を引き連れ、ひとりの貴人を出迎えていた。「お待ち申し上げておりました、王様」「うむ。住持も変わりなかったか?」「はい。変わりなく精進と祈りを重ねております」「有り難い事だ。今宵は無理を言うて済まなかった。どうしても参りたくてな」「キム上護軍より伺っております。警護の数も増やして、万端整えてございます」広い本殿では、国母である王妃の健やかな出産を祈