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「陛下の愛情は歳をとっても変わることなく王妃様の元にあり、王妃様がお産みになった二人の殿下もすでに大きく、立派になっておられた。王のご寵愛も、王太子の地位も、決して得ることはできない。その事実に気づかなければ、夢を抱き続けたままある意味幸せでいられただろう。だが女は気づいてしまい、嫉妬に身を焦がした」王妃として王の隣で微笑む姿を見るたび、仲が良く才長けた王子たちを見るたび、女は今の自分を悲観して泣いたという。その姿を、じっと娘は見ていた。「女の嫉妬を王妃様がご存知だったか、それはわからん。
さてさてしばらく超短編を書いてましたが、久しぶりに長めな話を書こうかとなんとか書き終え気付けば1ヵ月以上第1話を下書いてはいたんですが...折れちゃいまして(第1話書くも→途中で折れる→パイロット版書くか。それで1ヵ月以上)パイロット版として、違う話を書くかということで取り敢えずの完成させたのが【ライゲン~黒い部分も⁉しっかり掃除します~】表の顔は、どこにでもある普通の町の掃除屋さん。もう一つの顔は——探偵⁉掃除屋がトラブル、事件に巻き込まれ......時には戦う⁈ついでに黒
ドクリと凪の心臓が大きく脈打った。呆然と目を見開く。殺された?それも、異母妹に?「陛下は殿下の母君――王妃様が大層お好きだった。私に並び立つのは彼女しかいないと公言していたほどに。それゆえに、最初にお子を授かったのも王妃様だった。お子を産めば寵愛がなくなるということも歴代の王の御代にはあったようだが、陛下はそのようなことはなく、ずっと王妃様を愛しておられた。とはいえ、陛下はディーディアの王族として生まれ、王族として育ったお方。王妃様がサーミフ殿下の出産の折にご不調になり、医師からこれ以
「ナギ、私はお前に詫びねばならないだろう。だが、謝ることはできない」母君の話から、どうして自分の話になるのかわからなくて凪は瞬く。そんな凪に侍従長は目を細め、そしてゆっくりと瞼を閉じた。「謝るということは、己の過ちを認め、詫び、二度と繰り返さぬと誓うこと。しかし私はできない。もしも過去に戻ることができたとしても、私は同じ道を選ぶだろう。何度も、何度でも」それが過ちとわかっていて、それでもこの道を選ぶ。だから、口先だけで謝ることはできない。繰り返すとわかっているそれは謝罪なんかじゃない。
きっと歴代の王族ですら羨むような境遇。だが本人たる二人は優秀ゆえか、敏感ゆえか、人々が向ける笑顔の向こうを早々に気づき、表面を取り繕って内心は心の奥底に隠す術を身につけてしまった。まだまだ子供と言ってよい年頃なのに、深い諦念を抱く姿を侍従長は覚えている。母君も心配していたが、大人になってもその諦念が消えることはなかった。「母君の想いを理解し切ることはできずとも、大切にしたいと思われたのだろう。大人になってからも、サーミフ殿下は幾度となくこの絵本を眺めていらっしゃった。まるでそこに託された母君
私の作品ブログ成瀬友葵のクリエイトにて成瀬友葵のクリエイト成瀬友葵さんのブログです。最近の記事は「「よもやま5-3」のオリジナル挿絵制作後記(画像あり)」です。ameblo.jp「いまや、よもやま」新作を『よもやま5-3.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第3話』「覚えていないのかい?寂しいなあ、ヒロコさん」オーナーが口にしたヒロコと言う名前に、私は驚きました。「どうして、その源氏名を?」そう訊いた私に向かい、オ…ameblo.jp公開しました。是非、お読みくださいませ。
今回の話はあるバーでの面接です。これも実話です。場所は、新宿の有名繁華街とそこからは離れた、LGBTの街の間で、どちらかと言うと、LGBTの街に近い街でした。今回の第1話の挿絵そのバーは、箱は大きくはないが、カウンター席がメインでボックス席が数席ありました。花瓶に差した花の絵も飾ってありました。続いて、第2話の挿絵臨時で着いた席で、ヴーヴクリコを入れてくれたお客様と、バックヤードでそれを見て驚くオーナー。この時は、ものの10分も経たないうちにお客様が入れてく
「覚えていないのかい?寂しいなあ、ヒロコさん」オーナーが口にしたヒロコと言う名前に、私は驚きました。「どうして、その源氏名を?」そう訊いた私に向かい、オーナーは少し笑みを見せると、「私は、無精髭のマコトだよ。あの頃は、人生最悪な時期だったし、俺は君の接客に救われたんだ」その言葉で私は思い出しました。私がこの世界に入って慣れてきた頃に働いていたお店で、初めて指名をくれたお客様だったのです。「マコトさん、お久しぶりです。気付かないで失礼しました」私は慌ててそう言今、軽く頭
verse2013夏~2015夏:全7回◎大崎響:おおさき・ひびき/北海道生まれの16歳。地元高校の1年生。3人兄妹の末っ子。◎大崎圭二:おおさき・けいじ/大崎家の二男。響の兄で家業の農業を手伝っている。***入院生活は結局2ヶ月余りに及び、学校に戻れたのは2学期が始まってしばらく経ってからだった。登校初日、再び学校に通えることが嬉しいはずなのに、響の気持ちはどんよりとしていた。きっと入院生活や後遺症のことなどを根掘り葉掘り聞かれる。それが正直鬱陶しいと思っ
「お前が慣れてきてからは任せていたからな。しかしそろそろ私も勘を取り戻しておいた方が良さそうだ」いざという時に使い物にならぬのでは話にならない。凪を指導したのは己であるという自負もあるのだろう。「先程お前は言ったな。あの絵本は何なのかと。事実だけを言うのであれば、あれは母君がお子である王太子殿下とサーミフ殿下に贈られたものだ。おそらくは王太子殿下も大切に保管されているだろう」今は亡き母との思い出。やはりそうかと凪は頷く。しかし多くの者が予想できるであろうその事実だけで、侍従長が先程のよ
「え、っと……」「どうするかはお前から殿下にお聞きしてくれ。きっと、その方が良い」意図を読みきれず困惑する凪に、侍従長はそう言った。それは凪に言っているというよりも自分自身に言い含めているような響きで、凪は思わず侍従長を見上げる。彼は凪ではなく、凪が持つ絵本に視線を向けたまま、やはり懐かしいとも、悲しいとも取れる笑みを浮かべていた。「これが今、お前の目に映った。それもまた運命なのだろう」これはずっと前から、それこそ凪がディーディアに来る前からサーミフの手元にあった。サーミフの側近くで
『ふたりのくうかん』『そらくじら』『あつまり?』『ゆーびん』『きこー』『くさ』『ぎゃくにね!』『ぱーりれいん』『ちょっとがあつまって』『なんでなんでらっこ』『うーんとうえむきに』…ameblo.jp歌うのが好きだ。誰かに歌声を聞いて感動してほしい。そんな邪?な気持ちが私の歌をダメにしているんではないか?なんて最近思ってしまう。何も考えずに荷物を運んでいるときに鼻歌から歌い始めていたとき、なんか皆んなが聞き惚れてくれていた。感情がこもっていたの?普段歌う時は、感情を込めて!と、意識し
「まだ殿下は宮殿にいらっしゃる。私は少し物を取りに来ただけだ」会議が長引いているのだと言う侍従長に、凪はホッとして思わず入っていた肩の力を抜いた。集中するあまりサーミフが帰ってきたという知らせを聞き逃したのかと焦った心臓は、未だバクバクと鳴り響いている。「あの、侍従長。もしお時間があるのでしたらお聞きしたいのですが」そっと覗ってくる凪に侍従長は首を傾げる。構わないと促せば、凪はその手に持っている絵本を差し出した。「これをご存知ですか?片付けようと思ったのですが、これは見たことがない
取った物、取った物を仕分けていたので気づかなかったが、最後のこれは見覚えがない。何だろうと手に取った凪はますます首を傾げた。「ちいさなおうじさま?」子供が見やすいようにだろう、大きな文字でタイトルの書かれたそれは、どう見ても絵本だった。パラパラとめくってみたが、やはり大きなページには可愛らしく温かな絵が描かれており、文章は多くて数行だった。生憎と凪はこのタイトルに見覚えがないため、どんな内容かわからないが、おうじさま、という言葉はサーミフを連想させる。(何か思い出の品なのかな)詳
「研ぎ澄ませてこられたあなたの目を、疑いはしません」その言葉に込められた意味を理解して、男は柔らかに微笑むとサーミフの部屋の扉をそっと開いた。「ありがとうございます。では、その辺りに置いていただけますか?あとは私がやりますから」そっと移動に支障がないだろう場所を指差すと、男は心得たように箱を置いた。本当に手伝わなくて大丈夫かという視線に、凪も無言で頷く。そんな凪に男は苦笑した。「では私は業務に戻りますが、何かあったら遠慮なく声をかけてくださいね。すぐに駆けつけますから」頼って良
私の作品ブログ成瀬友葵のクリエイトにて成瀬友葵のクリエイト成瀬友葵さんのブログです。最近の記事は「よもやま5-2.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第2話(画像あり)」です。ameblo.jp「いまや、よもやま」新作を『よもやま5-2.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第2話』そんな経緯で急遽、私は接客することになりました。カウンター席に座るお客様から見て右側に立ち、「いらっしゃいませ。しばしの間、ご一緒してもよろしいでしょうか…ameblo.jp公開しました。是非、お読みく
私の作品ブログ成瀬友葵のクリエイトにて成瀬友葵のクリエイト成瀬友葵さんのブログです。最近の記事は「よもやま5-2.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第2話(画像あり)」です。ameblo.jp「いまや、よもやま」新作を『よもやま5-2.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第2話』そんな経緯で急遽、私は接客することになりました。カウンター席に座るお客様から見て右側に立ち、「いらっしゃいませ。しばしの間、ご一緒してもよろしいでしょうか…ameblo.jp公開しました。是非、お読みくだ
そんな経緯で急遽、私は接客することになりました。カウンター席に座るお客様から見て右側に立ち、「いらっしゃいませ。しばしの間、ご一緒してもよろしいでしょうか」とお伺いを立てました。「ああ、構いませんよ」お客様の許可をもらい、まずは一安心です。それからは自然の流れに任せて、会話を楽しみました。そのお客様との会話の流れで、誕生日の話になり、私の誕生日が近いという話をしたところ、何と、そのお客様がヴーヴクリコを入れてくれたのです。席に着いてから10分も経っていませんでした。
「ナギ殿が言ったように、私は職務上知っています。今回の件も、長年のことも。けれどだからこそ、今を不思議だとは思いません。もちろん殿下とて人間ですから罪悪感も持つでしょう。でも、それだけであなたに何もかもを許すような愚かはしませんよ。あの方は、一国の王子なのですから」だからこそ、あなたの立つ場所が証明となる。「…………」与えられた言葉を、凪はひとつひとつ胸に収める。何を返してよいかわからなくて、凪は無意識に己の手を見つめた。与えられた今、凪は何を持っている?答えはもうすぐそこまで
「……あなたは後進に託されたとしても何もしない方ではない。ならばきっと、今回何があったかをご存知のはず。殿下は……きっと、罪悪感を抱かれているだけです」自分の命令でヒバリにつけたことはもちろん、何よりも凪を長年疑い続けたことに。彼は凪よりもずっと長くサーミフの側にあり、その役割上、彼の疑いや懸念を誰よりも耳にしていただろう。ならばわからないはずがないと凪は視線を向けるが、彼はキョトンと瞳を丸くさせていた。「そりゃぁ、あるでしょうね。罪悪感を抱かないほど、殿下は冷徹になれなければ、記憶力
きっとサーミフの母君の趣味なのだろう。よくよく見れば柱の一つ、小さな調度品に至るまで全てが質の良い物だとわかるが、それを主張しているわけでも無い。あの宮殿を見慣れて仕舞えば、こちらは――取り繕わずに言えば、質素であるようにも感じる。こぢんまりとした空間を広く使うため最小限の家具がちまっと置いてあるだけ。必ずしも必要ではないが数多く置かれているのは生花の活けられた花瓶くらいだろうか。宮殿が豪華ならば、この離宮は静謐だろうか。生まれ育った兎都の屋敷もどちらかと言えば豪華であった。そんな凪に
彼は、元とはいえ影の者だ。幾度か凪も話したことはある。サーミフが凪を疑っていたのなら、あの幾度かの接触は凪を探るためのものだっただろう。彼だけではない。突如国王の夫人になった女の息子を、彼らは持て余したに違いない。いくら主人が引き取ると言ったからとはいえ、その胸の内は決して穏やかとは言えなかっただろう。そんな彼らが、凪を心配していたと言ってくれた。もちろん、それが単なる社交辞令である可能性も高いだろう。だがなんとなく、それは本当のことのように思えた。「共に殿下に仕える仲間ではありませんか
「では、殿下のお部屋まで運んでいただけますか?一緒に行きますから」そう言えば、男は納得したように笑みを浮かべて頷いた。ゆっくりと、もう慣れた手つきで凪も車椅子を動かす。「そういえば、先程から思っていましたが少し顔色が良くなりましたね」無言で歩くのも、と思ったのだろう。男がそう声をかける。存外穏やかな声に、凪は思わず男を見上げた。その視線に気づいたのだろう、男は肩をすくめてほんの少し笑う。「皆、心配してたんですよ。会う度にどんどん顔色が悪くなっていくから、もしかして容体が悪化している
今日は、皆さんに大切なお知らせがあります。このたび、念願だった小説家としての第一歩を踏み出しました📖✨これまで私が作ってきたオリジナル楽曲とMVから、新たに10作品の「MV連動小説」が生まれました。────────────────────■歌だけでは描ききれなかった物語私はこれまで、子育て、自己成長、人間関係、心を守ること、生きづらさなどをテーマに、音楽とMVを制作してきました。曲を作るとき、私の頭の中には、いつも登場人物の物語があります。この人は、どんな夜を過ごしてきたのだろう。
「確かに殿下が大切になさっているものですね。さほど量はないですし、私が片付けておきます」怪我をしているとはいえ、凪はサーミフの側に控えていることが多い。最も近くにいるのは侍従長だろうが、次点は凪だろう。ならば凪が管理して、聞かれたらすぐに答えられるようにするのが最善だ。そう思って凪は箱を受け取ろうと手を伸ばした。ひと抱の大きさであるが、中にはさほど物は入っていないので膝の上に乗せて移動することはできるだろう。見たところ、割れ物もないので万が一があっても平気だ。しかし男は眉を下げたまま渡そうか
私の作品ブログ成瀬友葵のクリエイトにて成瀬友葵のクリエイト成瀬友葵さんのブログです。最近の記事は「よもやま5-1.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第1話(画像あり)」です。ameblo.jp「いまや、よもやま」新作を『よもやま5-1.ある繁華街のバーの面接で(全3話)第1話』昔から夜の世界で働いていた私ですが、一時期、裏方に回って経営に関わり、勉強したいと考えた時期がありました。そんな時、運良くそのような求人を見たので、早速面…ameblo.jp公開しました。是非、お読みくだ
昔から夜の世界で働いていた私ですが、一時期、裏方に回って経営に関わり、勉強したいと考えた時期がありました。そんな時、運良くそのような求人を見たので、早速面接に向かいました。そのBARは有名な繁華街から少し外れた場所にありました。求人内容はBARのマネジメントです。開店は20時の店で、私の面接は19時過ぎから始まりました。面接官はこの店のオーナーでした。こちらから一通り経歴を伝え、さあ、佳境へ。と意気込んでいたところに、お店の扉が開いて、来店を知らせるベルが鳴りました。
「ナギ殿、いらっしゃいますか?」扉の向こうから聞こえた声に凪は瞼を開く。聞き慣れた声にどうぞ、と応えば、静かに扉が開かれた。「すみません、ナギ殿。少しお力を借りたいことが……」身体を休めている時に申し訳ないと、これ以上ないほど眉を下げた壮年の男が入ってくる。以前はサーミフの目となり、耳となるために隠密活動をする影であったが、最近はその役目を後進に託したのか堂々と姿を見せてサーミフの側で働く彼は、ひと抱えほどある箱を手に近づいてきた。「宮殿から運び込んだ荷物はあらかた片付けたのですが、
日曜日の朝、結月ときゅうはハナおばあさんの家を訪ねた。三軒先。歩いて一分もかからなかった。「ここ?」「ここだって言ってた」小さな平屋だった。玄関先に鉢植えが並んでいて、赤い花が咲いていた。表札には「花田」と書いてあった。「ハナおばあちゃん、花田さんなんだ。花がいっぱいだね」きゅうがインターホンを押そうとして、届かなかった。背伸びしても、指先がぎりぎり届かない。「……ゆづき」「はいはい」結月が代わりに押した。少しして、中からゆっくりした足音が聞こえた。ドアが開いた。「あら、き