ブログ記事387件
猫たちが戯れる中、アリスは鏡を通り抜けてその向こうに広がる世界へと入っていく。そこに広がる世界には、もちろん鏡の外にあるものがあるが、外からは見えていなかったところには至る所現実にはなかった者どもが跋扈している。自然の風景の中の広大なチェス盤の上で白のポーンとしてアリスは歩む。その中でハンプティ・ダンプティに出会ったり(第6章)やライオンとユニコーンの闘いに遭遇したり(第7章)と奇妙奇天烈な冒険をしていきながら、アリスは8マス目で女王になることを目指していく。興味深いのは昏々と
イギリスの有名な推理作家アガサ・クリスティーの代表作の1つ『オリエント急行の殺人』。冬場にヨーロッパ大陸を横断する寝台列車「オリエント急行」はこの時期混み合うことはない。しかし、どういう訳か、イスタンブール発の寝台車は満席である。乗り合わせた「ワゴン・リ社」重役ブークは、この場面を小説にしたら面白かろうと述べる。「・・・まだ誰も書いたことがないと思いますよ。だが――おもしろい小説になることでしょう、友よ。あらゆる階級、あらゆる国籍、あらゆる年齢の人が集まっている。これから三日間、
👑ノルドール王家の家庭事情第6章フェアノールと鎖から解き放たれたメルコールのこと前編フィンウェとフェアノール父子エルダール(上のエルフ)の3種族がヴァリノールに集められメルコールが鎖につながれていた《3期の間》が至福の国ヴァリノールの最盛期✴であった輝かしい時代は月日にすると長い期間続いた❇❇❇物質を支配する工人アウレ一族はノルドール族を愛ししばしば訪ねたのでノルドールエルフは知識と技を増大⤴️ノルド達は知識欲が強くやがて多くの点で師を凌駕するに至
Milne,A.A.Winnie-the-Pooh.1926.PuffinBooks,2005.誰もが知っているプーさんの原作Winnie-the-Pooh。子ども向けの本ではあるが、実際に読んでみると興味深い点がいろいろとある。Poohの物語の始まりは、少年ChristopherRobinのお気に入りのクマのぬいぐるみ‘EdwardBear’である(3)。語り手はChristopherのためにそのぬいぐるみが生きていたとしたらという物語を語って聞かせるのであ
Middlemarch著:ジョージ・エリオット(GeorgeEliot)訳:廣野由美子Originallypublishedin18712020年7月20日初版発行光文社古典新訳文庫株式会社光文社堺市立図書館より貸出4月からの新しい朝ドラの「虎に翼」にすっかりハマってます。オープニングの曲も映像も良いし、フェミニズムを全面的に押し出しておりテンポも良いのでお薦めです。ミドルマーチも佳境となる3巻を読了しました。3巻には第5部死の手と第6
「ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース」柴田元幸翻訳叢書あらすじ【柴田元幸翻訳叢書シリーズ待望の第5弾!】11名の作家による、英文学の名作中の名作を選りすぐった贅沢極まりないアンソロジー。好評既刊『アメリカン・マスターピース古典篇』の姉妹編となる一冊。著者紹介ジョナサン・スウィフトメアリ・シェリーチャールズ・ディケンズオスカー・ワイルドW.W.ジェイコブズウォルター・デ・ア・ラ・メアジョゼフ・コンラッドサキジェームズ・ジョ
「少女、女、ほか」バーナディン・エヴァリストあらすじ今日はアマの演劇がナショナル・シアターで上演される初日。黒人として女性として日々受ける差別に立ち向かってきたアマが、50代になってついに栄光をつかんだのだ。記念すべき今宵、家族や友人たちが集う。演劇界を共に生き抜いてきた戦友、母の希望とは異なるがしっかりした自分の意見を持つ娘をはじめ、不遇をかこつ者、努力して社会的成功を手にしたエリートなど、時代も背景も多様な12人のキャラクターが、人生を振り返っていく。子ども時代
今日の南関東地方はぁー、どしゃ降りだぁーーねぇーー。昼前からぁー、どしゃ降りだぁーーねぇーー。傘が大活躍のーー、日だぁーーねぇーー。朝はパラパラなのにーー、ザーザーだーーねぇーー。さみーー。(;゚Д゚)ということで、どうも皆さんこんにちは。帰りは足元がびしょびしょだったキッカです。帰りってどこの帰りなの?というかそもそも僕、どこ行っ
💞メリアン💞中つ国に来る前はローリエンに住み庭園の木々の世話をしていたマイア彼女の行く処まわりで小夜啼鳥が歌った🎶ヴァーナとエステに仕えていた↑ヤヴァンナの妹ヴァーナ↑第6位のヴァリエエステローリエンの主イルモの妃第4章シンゴルとメリアンのことメリアンはヴァリノールの庭園ローリエンで働いていたがエルフ達が来たときには中つ国西端のベレリアンドに移り住んでいたやっと会えた~テレリ族を率いたエルウェ&オルウェ兄弟は他より遅れてようやくベレリアンドに入った
最近読んだ本です。「月のケーキ」ジョーン・エイキン三辺律子訳東京創元社ジョーン・エイキンの短編集、3冊目です。タイトルになっている短編を含め13の短編が入ったもの。タイトルが魅力的ですが、ここに集められた短編は、前に読んだ2作よりファンタジーの要素が強い印象でした。月のケーキAmazon(アマゾン)
2024年1月に出版された、アリソン・ウォルシュの『世界の名作文学からティーパーティーの料理帳』を読み終わりました。ナルニア物語からクマのプーさんなどイギリス文学を中心に、話の中で登場したお菓子を再現し、紹介した本です。写真の配置のせいなのか、少々地味目な印象。ブレンドティーや、その他の飲み物についてのページもありです。世界の名作文学からティーパーティーの料理帳Amazon(アマゾン)
『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』崖下で…死に際の奇妙なことば昔から題名(中身も🙊💦)が大好きな作品その後ボビーの住む牧師館に転落死した男性の妹夫婦を名乗るアメリアとレオ・ケイマン夫妻が訪ねてくる根掘り葉掘り聞いてくるどこか怪しいふたり😒↓実はこれの参考にとエヴァンズドラマをスケッチしたのですが🙊短編『教会で死んだ男』この落書きのまま載せることにしました✨色を塗りましたやはり牧師館に男の姉夫婦を名乗るふたり組が来るどう見ても男と系統の違う品のない夫婦で
最近読んだ本です。「ルビーが詰まった脚」ジョーン・エイキン三辺律子訳東京創元社10編の短編集です。前に読んだ「お城の人々」が面白かったので、読んでみました。原文では「お城の人々」10編とこの本の合計20編で1冊の本になっていたのを2冊に分けて翻訳したそうです。こちらの10編の方が不思議度が高いように感じました。ルビーが詰まった脚Amazon(アマゾン)お城の人々Amazon(アマゾン)
前回のブログでジョーン・エイキンの「お城の人々」を読んだと書きました。「お城の人々」ジョーン・エイキン三辺律子訳東京創元社作者の紹介に、生涯にわたって100冊以上の本を出版したと書いてありましたが、私は初めて聞く名前だったので、ちょっと調べてみました。JoanAiken(1924~2004)エイケンと表記されることも多いようです。イギリス人作家で児童文学のジャンルで著名。おおかみ年代記、アラベルとモルティマシリーズが有名らしく、岩波の子供向けシリーズにたくさん邦
エルフ達が最も尊崇する星々の造り手ヴァルダ最高位のヴァリエ長上王マンウェの妃陽の昇らぬ年に、かの人の光る手で、星々は空にまかれた…おお、エルベレスよ!ギルソニエルよ!(末つ森でフロド達が聞いたヴァルダを称える歌の一部)第3章エルフたちの到来と虜囚となったメルコールのことヴァラールはアマンの地に山脈や都,それぞれの居城を造ったマンウェとヴァルダ夫妻は中つ国の様子を見渡せるようにペローリ山脈の頂上に宮殿を建てた女王ヴァルダは愕然とする❗まもなくエル
ブロンテ,ハーディ,ドラブルを中心にFirstWaveFeminismandChangingWomenintheNovelsofBronte,HardyandDrabble著:風間末起子2011年8月10日第1刷発行世界思想社ドラブルの「碾臼」を読んだので「碾臼」を読みたいと思ったきっかけを与えてくれた本を再読しました。この本は昔偶然本屋さんで発見して購入したのですが、私の人生に非常に大きな影響を及ぼした本です。この本で私はドー
ヒックとドラゴンシリーズの続き2新海の秘宝、3天牢の女海賊を読みました。登場人物に親近感が湧いてきました。ヒックとドラゴン2深海の秘宝(HowtoTrainYourDragon(Japanese))Amazon(アマゾン)ヒックとドラゴン3天牢の女海賊(HowtoTrainYourDragon(Japanese))Amazon(アマゾン)1の読書記事は以下です。『「ヒックとドラゴン1伝説の怪物」クレシッダ・コーウェル小
Saki.“TheUnrest-Cure.”ThePenguinBookoftheBritishShortStoryVolume1:FromDanielDefoetoJohnBuchan,editedbyPhilipHensher,PenguinBooks,2016,pp.457-62.二人静かに暮らす中年の兄妹J.P.Huddleとその妹は、静かな生活のルーディンが僅かに乱されるだけでとても動揺してしまう。家に帰る列車の中、Hu
TheMillstone著:マーガレット・ドラブル(MargaretDrabble)訳:小野寺健Originallypublishedin19651980年10月4日初版発行1980年11月4日再版発行河出書房新社堺市立図書館より貸出出産を機にずっと読みたかったドラブルの碾臼を読みました。このタイミングで読めたので非常に共感を覚えました。ロンドンに1人暮らしをしているロザモンド・ステイシーは交際していない男性との一度の性交渉で妊娠しま
最近読んだ本です。「ヒックとドラゴン1伝説の怪物」クレシッダ・コーウェル小峰書店ネットでドラゴンのイラスト本を探していたら、Howtotrainyourdragon、CressidaCowellという本を見つけました。あなたのドラゴンのしつけ方、なかなか魅力的なタイトルです。日本語版を検索して出てきたのがこの本です。2003年にイギリスで出版され、日本では2009年出版です。こんなに子供向けの本とは想像していなかったのですが、とりあえず読んでみることにしました。
デュ・モーリア、ダフネ『いま見てはいけないデュ・モーリア傑作集』務台夏子訳、東京創元社、2014年。ダフネ・デュ=モーリアによる短編小説集。本書はミステリアスな雰囲気を漂わせた物語を5編収録している。どの作品にも奇妙な事件、不可解な符号などが含まれるが、そのすべてが超常的な訳ではない。表題作「いま見てはいけない」では娘を亡くした若い夫婦がイタリア旅行にやってくる。そこで偶然に双子の姉妹に出会うが、そのうちの一人は盲目で霊感のある人物だ。この二人に娘クリスティンがそばにいることを聴き、妻
放送日:2023年9月NHK名著133「シャーロック・ホームズ・スペシャル」-100分de名著www.nhk.jp今年のお正月は予定日より一週間遅れの出産で慌ただしく過ごしておりました。新生児との暮らしにも慣れてきました。入浴後、寝る前に少しだけ読書をするのが日々の癒しの時間です。なかなか読書の時間がゆっくり取れませんが、少しでも本に触れる時間を持ちたいです。昨年放送され録画しておいた100分で名著のシャーロックホームズスペシャルを漸く見ました。テレ
ダフネ・デュ=モーリアによる短編集。デュ=モーリア作品の中でも一風変った作品が多く収められている。どこか神秘的で、奇怪な印象をもたらす物語がいくつかある。例えば、表題作「人形」の主人公「僕」が恋をする相手レベッカは等身大の人形ジュリオを何よりも愛する女性として明らかになる。また、冒頭の「東風」は文明から隔離された島における夫婦の悲劇が語られるし、夢の中で理想の場所を見た「彼女」が結婚後に現実にその場所を見つけることになる「幸福の谷」がある。その一方で、恋愛の破綻が主題となる小話もいくつ
Coppard,A.E.“OliveandCamilla.”ThePenguinBookoftheBritishShortStoryVolume1:FromDanielDefoetoJohnBuchan,editedbyPhilipHensher,PenguinBooks,2016,pp.647-66.短編「オリーヴとカーミラ」(“OliveandCamilla”)は、20年もの間、寝食を共ににした未婚の婦人オリーヴとカーミ
英国の怪談に纏わる短編集。『吸血鬼ドラキュラ』の作者として有名なブラム・ストーカーや「吸血鬼カーミラ」で知られるレ・ファニュを含む様々な作家たちによる19の短編が収録されている。なかでも印象に残ったのは最初の短編A・N・L・マンビーの「霧の中での遭遇」である。ある山の中で道に迷った人が地図を携えたある老人に会う。親切なその老人に渡された地図を頼りに山を抜けようとすると断崖から転落して死んでしまう。後に亡くなった人が持っている地図が古地図であり、現在は断崖となっている場所にかつて道が通っていたこ
duMaurier,Daphne.RuleBritannia.1972.Virago,2004.ダフネ・デュ=モーリアによる最後の長編小説。舞台はコーンウォール地方、引退したある往年の大女優Madam(愛称‘Mad’)が孫娘Emmaと、6人の養子の子どもたち、元ドレッサーのDottieと共に暮らしている。平穏な日常を送っていたこの家族のもとに、ある朝非日常が襲来する。突如としてアメリカ軍が現れ、怯えきって混乱した農家の犬が撃ち殺されてしまう。後に、イギリス政府が経
昨日は「ター/TAR」のレビューを書きましたが、今日は主人公ターがクリスタから贈られた本「挑戦(challenge)」の著者、ヴィタ・サックヴィル=ウエストに関する映画、「ヴィタ&ヴァージニア」のレビューです。「ヴィタ&ヴァージニア」(2018)1920年代のロンドン。ヴィタ・サックヴィル=ウェストは幸福な結婚生活を営む一方で、女性との恋愛にも熱心であった。そんなある日、ヴィタは気鋭の小説家、ヴァージニア・ウルフと出会った。ヴィタはウルフの謎めいた魅力にすっかり惹
112月の初頭に、藤原歌劇団主催のプッチーニ歌劇「ラボエーム」を観てきました。舞台は19世紀パリ。若い芸術家達の青春と切ない恋物語がテーマ。テノールとソプラノの主役二人の美声に非日常を堪能しました。イタリアオペラは情熱的でダイレクトに歌詞の言葉が魂に刺さります。1年半続けた「NHKまいにちイタリア語」を再開しようかなと思いました。次は大切な人と一緒に観に行きたいです。ラボエームの公演から1週間が経ち感動が冷めやらず、プッチーニの音楽を休日にかけています。私のプッチーニ体験は、E.M.
どうやら世間はクリスマス・イブらしいですね。知らんけど。そんな引きこもりの私ですが、めずらしく季節に合わせた本を読みました。ケチで冷酷な老人、スクルージはかつての仕事仲間であったマーレイの幽霊と、彼がよこした3人の幽霊に出会ったことがきっかけで改心し、優しい人になる…。あ、全部ネタバレ。しかし、この物語はネタバレうんぬんは大した問題ではないです、たぶん。大事なのはスクルージが心を入れ替えるまでのプロセスですよ。特別奇抜な展開はないのですが、じっくりと心の
著:富山太佳夫2008年5月16日第1刷発行株式会社岩波書店堺市立図書館より貸出本書は英文学者の著者が「英語青年」などに投稿していたエッセイや論文などを纏めた本です。イギリスにサバディカル留学時の話や作品論、批評理論への考察などが掲載されています。「描出話法」や「読者反応論」など知らなかった批評理論を知るきっかけになりました。作品の分析では「ファニー・ヒル」が特に興味深かったです。19世紀のポルノグラフィーとは異なり。当事者間の同意に基づく性行為