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やはりアーティストは顔が命なのです。現在、表参道のエスパスルイ・ヴィトン東京で開催中の『AndyWarhol-SerialPortraits』を観てきました。アーティストが自画像やセルフ・ポートレート写真を作品にするのは珍しいことではりありません。しかしウォーホルとなると話は別です。制作した種類も膨大ならば手法も様々だからです。例えば何重にも像を重ねた作品があるかと思えば、コントラストを高めてほとんど光の中に消え去りそうなセルフ・ポートレートもあります。ウォーホルはマリリ
ようこそ闇市の世界へ。現在、日本橋高島屋S.Cの高島屋資料館TOKYO4階展示室で開催中の『闇市と都市』展を観てきました。※残念ながら写真撮影禁止でした。闇市とは第二次世界大戦直後、各地にできた闇取引の品を売る店のことです。いかにもヤバそうな名称ですが半ば公認でもあったようです。私もあまりその実態を知らなかったのですが今回の展覧会で概要を知ることができました。そもそもなぜ闇市ができたかというと空き地があったからです。戦争中火災の延焼を防ぐため建物疎開という大義名分で住宅の解体が行わ
クリスマス・ホリディにアートの贈り物はいかがでしょうか。現在、横浜のHideharuFukasakuGallery&Museumで開催中の『YokohamaHolidayArtMarket展』を観てきました。本展は「アートからクラフトまで、暮らしに寄り添う多彩な作品と雑貨を展示販売」する展覧会です。アートと書いたのですが本展は上記にあるようにどちらというとハンドメイドの雑貨が充実している展覧会です。どこがアートと違うかというと単に飾るだけでなく実用性もあるということです。
昭和にタイムスリップしてきました現在大手町プレイスで開催中の『OTEMACHIタイムスリップ2025昔懐かしいあの頃へ』を見てきました。本展は昭和100周年を記念して行われているイベントです。といっても2畳ほどのスペースにフォトスポットがあるだけなんですけどね。でもこのスポットがエモいんです。ご覧のように昭和のお部屋が完全再現されています。うちの家もこんな感じでした。テレビはもちろんブラウン管です。その下にはピッチングマシンがあります。ゴミ箱の向こうのやけにデカい電灯は確かにどこの
年末年始のお子様連れ映画はこの映画に決まりでしょう。現在公開中の映画『ズートピア2』を観てきました。様々な動物たちが仲良く暮らす世界、ズートピア。新米刑事うさぎのジュディときつねのニックのバディは手柄をたてようと奮闘するのだが・・。※以下の記事ではネタバレはしていないつもりです。ただし映画の内容に触れる部分もありますので未見の方はご注意ください。ディズニーがこの映画に込めたメッセージは明らかです。異なる動物同士が済む世界、姿形や考え方に違いはあっても、同じ動物(人間)同士、仲良く共
建築も爆発していました。現在、岡本太郎記念館で開催中の『TAROの空間』を観てきました。今年は万博ありタローマンありと何かと岡本太郎さんにスポットライトがあたる出来事が山積みでした。さまざまな領域で活躍された岡本さんですが、建築まで手掛けられていたとは。その本展の目玉はかつて表参道にあったという「マミ会館」です。フラワーデザイナーであるマミ川崎さんが主催するマミフラワーデザインスクールの拠点として1968年に竣工されました。さすがに岡本さんが設計図面を書いたわけではありませんが、建物
年末も押し詰まってきました。師も走り回る季節ですが、ここいらでちょっとひといきいれてみませんか。ということで虎ノ門ヒルズのmagmabooksで開催中の『ちょっとひといき展』を観てきました。本展は「がんばりすぎてしまう日常」に、ほんの少しの“ひといき”を届けたいという想いから」生まれた展覧会です。ほっとひといきいれたくなるような野立てのスペースに「ちょっとひといき」いれたくなるようなメッセージがおかれています。一例をあげてみると仕事では起きた時は寝る前より疲れている遅く寝て遅く
ファサードの書は磯崎隼士さんの作品です。一風変わった展覧会を観てきました。日本橋小伝馬町で開催された展覧会『混沌熟視』です。この展覧会のどこが一風変わっているかというと開催された場所です。ごくふつうの小さなオフィスビルなのです。ギャラリーでもなければレンタルスペースでもありません。オフィスビルのエントランスというかエレベーターホールがそのまま展示会場になっているのです。一応エントランスに仕切りというかパネルが立ててあるのですが、それも米沢柊さんの作品です。その更に奥に進むと吉田
本当に白壁ばかりでした。現在、SOMPO美術館で開催中の『モーリス・ユトリロ展』を観てきました。ユトリロは20世紀初頭から活躍した画家です。主にパリまたはパリ近郊の風景画を描きました。本展に展示されている作品もほとんどが風景画です。「ほとんど」というか、風景画ではない作品は、この妻のために描いた花瓶の絵一点だけです。ここまで潔い画家も珍しいでしょう。初期の頃の風景画は取り立ててどうという作品でもないのですが、建築物の描写には、はっとさせられる部分があります。たとえばこの絵ですが柵
ワタリウムがストリートアートになりました。現在開催中の『オスジェメオス+バリー・マッギーOneMore展』を観てきました。オスジェメスはブラジル・サンパウロ出身の双子のアーティスト。バリー・マッギーはサンフランシスコ生まれのアーティストです。二組の共通点はどちらもストリートアート出身ということです。まあ言ってみれば壁への落書きですよね。なので本展ではワタリウム美術館の壁一面を使って二組のストリートアートが繰り広げられているというわけです。Youtubeで公開されている本展の制作
ほんとうに躍動してました。現在、国立新美術館で開催中の『第16回躍動する現代作家展』を観てきました。本展は空間芸術TORAMが主催する国際公募展です。今回は国内外から約350名の作家から約400点の作品が集まりました。本展はキャッチフレーズに「現代アートのワンダーランド」とあるように、絵画あり彫刻あり刺繍あり立体作品ありと非常に多彩な展覧会になっています。そうなっているのには応募条件というか参加資格に仕掛けがあります。例えば平面作品は(小)は100センチ角のものから神山レイジ《カヌ
誰ですか!村田沙耶香さんの小説を映画化しようなどという危険極まりないことを考えたのはっ!ということで現在公開中の映画『消滅世界』を観てきました。ほとんどの人間が人工授精で生まれる世界。家族も愛もセックスも性すらも消えてゆく世界で、雨音がとる選択は。※この記事は極力ネタバレなしで書いていますが一部内容に触れる部分もあります。映画未見の方はご注意ください。私は村田さんの小説が好きで殆どの作品には目を通していると思います。もちろん「消滅世界」も読んだことがあります。このブログでも紹介し
中学校の職員室に忍びこんできました。飯田橋の学校跡地で開催中の展示『あの職員室』を観てきました。本展は「15年前に閉校したとある中学校の職員室をなるべく当時の姿のまま再現した」という展示イベントです。いかにも学校という長い廊下の先に職員室があります。扉の向こうはやはりいかにもな職員室です。どこの学校でも中学校の職員室ってこんな感じではないでしょうか。机の上も今まさに授業が行なわれていたかのようにリアルに雑然としています。教科書や参考書のほか、学級ノートやファイル、テスト用紙など
久々に絵を観て素晴らしい作品だと感動しました。DAIKANYAMAGARAGEで開催された大宮エリーさんの回顧展『生きているということ』を観てきました。大宮エリーさんはコピーライターとして活躍し、作家・映画監督・画家など多方面で活動された方です。2025年4月23日になくなりました。享年49歳でした。本展はその多才な活動を振り返る回顧展ということになります。私が行ったDAIKANYAMAGARAGEは絵画、写真、書籍などが紹介されていました。このほか池尻のCAPSULEでは挿絵や陶器
言うほど悪い映画じゃないですよ。現在公開中の細田守監督・脚本の映画『果てしなきスカーレット』を観てきました。父親を殺されたスカーレットは一人、復讐を誓うのだが・・。※注:以下の文章では極力ネタバレしないように書いているつもりですが、作品の内容に関わる部分もあります。映画未見の方はご注意ください。某映画サイトの口コミレビューの点数がドン引きするぐらい低いので一瞬見ようかどうか躊躇ったのですが、やはり作品は観てなんぼ、ということで鑑賞しに行きました。結果、点数ほどひどい映画ではありませ
まだ道の途中なのです。昨日渋谷のO-EASTで開催されたchilldspotの5thonemanlivetour"midway"を観てきました。本ツアーは9月24日にリリースされた3rdアルバム「handmade」を引っ提げてのライブツアーです。chilldspotのライブに参戦するのは今回が5回目です。そんなに好きなのですが、何が魅力なのか、説明するのがなかなかに難しいのです。まあミュージシャンとその音楽のどこが良いか言語化するのは難しいのですけど。歌詞にしろ曲にしろパフォ
身につまされました。現在公開中の映画『平場の月』を観てきました。印刷工場で働くバツイチの青砥は、ふとしたことがきっかけで中学時代の同級生、須藤と再会するのだが・・。原作は朝倉かすみの同名恋愛小説。例によって私は未読で望みました。監督は「花束みたいな恋をした」の土井裕泰さん。「花束」が若者の恋愛映画だとするならば、この映画は大人の恋愛映画です。言ってみれば「花束」で別れた二人が、何十年後に再会したら、というような映画になっています。この映画の中では、その大人の恋愛事情が描かれるわ
研鑽と研究の成果が現れていました。現在、平成記念美術館ギャラリーで開催中の『藝術の模索』展を観てきました。本展の副題は「東京藝術大学平成藝術賞受賞作家8人の現在」です。平成建設が支援する平成藝術賞の過去5回の受賞作家たちの現在を紹介する展覧会です。鷲野愛未《メンブクロウ》大きく翼を広げたフクロウです。剥製と見紛うほど本物そっくりですが、これは実は寄木彫刻です。羽の一枚一枚も精巧にできています。ここまで迫真の作品を作るためには、相当時間フクロウを観察したものと思われます。この作品は彫
お化け屋敷ではありません。現在、アーツ前橋で開催中の展覧会『ゴースト見えないものが見えるとき』を観てきました。本展のディレクターを務める南條史生さんはゴーストを「もうひとつのノイズ」と定義します。私たちは日常的にさまざまなノイズに触れています。ふだんそれらを意識することはありません。しかしそれらは確実に存在していて、ある時ある瞬間に私たちのまわりに忽然と立ち現れるのです。本展はそうした「目に見えないけど存在している何か」に目を向ける展覧会です。例えば丹羽良徳さんの《モスクワのアパー
世が世ならトレパク疑惑で炎上してます。現在、太田記念美術館で開催中の『歌川広景お笑い江戸名所』を観てきました。歌川広景って誰?ご安心ください。私も知りません。本展ホームページにも「知られざる絵師」と書かれています。一応、二代歌川広重の弟子、らしいです。まあ知らないのも無理はありません。なぜかといえば下手だからです。描く線は拙いし背景の風景は適当です。技量からいえば申し訳ないですが、一流とはいえないでしょう。そんな広景の展覧会の何が面白いかといえば、絵が面白いのです。本展はその広
ボーッと見ているとガンダーさんに叱られます。現在、ポーラ美術館で開催中のライアン・ガンダーの展覧会『ユー・コンプリート・ミー』を見てきました。会場に入るとまず巨大な黒いボールが否応でも目につきます。ボールには「Canyoubelonelyandhappy?」と書かれています。寂しくて幸福になれる?といった意味でしょうか。ボールははた迷惑なことにカフェのど真ん中にも置かれています。明らかに邪魔ですよね。なぜこれほどまでに巨大化というと、あとの展示に伏線になっているのです。地
これが画材です。とても廃材から描いているとは思えないほど美しい絵です。11月17日で終了してしまいましたが、渋谷PUXで開催されていた綾海さんの個展『廃材から描く展2025』を見てきました。綾海さんの作品は以前にも紹介したことがあります。2023年に原宿のデザインフェスタギャラリーで開催されていた「廃材から描く展2023」です。以降も綾海さんは全国をキャンピングカーで駆け巡り、作品をつ作り続けていたようです。では作品を見てみましょう。《太陽に向けて》茶褐色のモノトーンで描かれた
2回で終わるつもりだったのですが、もう少し書き足したいことがあるので3回目をお届けします。現在ポーラ美術館で開催中の『ゴッホ・インパクト』展です。本展の後半は現代のアーティストとゴッホのコラボです。森村泰昌さんはお得意のなりきりゴッホです。これは絵ではありません。ゴッホのコスプレをした森村さんです。迫真の出来です。映画ではこの姿のままで登場します。ただし下半身は元絵がないので普通にスーツ姿なのが可笑しい。これも絵ではなく写真です。ゴッホの黄色い部屋を完全再現してます。実物を
ゴッホが日本の美術界に与えた影響を探る『ゴッホ・インパクト』展。後編をお届けします。日本人が初めてゴッホを知ったのは1910年代のことでした。雑誌「白樺」などで複製図版が掲載されたのが始まりです。1911年2月の「白樺」では早くもゴッホの手紙の翻訳が掲載されています。当初から絵だけでなく、人生や生き方も含めての紹介だったことがわかります。とはいえ本物のゴッホの絵を見るなど夢の夢という時代です。ヨーロッパでもゴッホはようやく再評価され始めた頃です。ゴッホ美術館ができるのもずっと後です。そ
日本人みんな大好きゴッホです。現在、ポーラ美術館で開催中の『ゴッホ・インパクト―生成する情熱』を観てきました。本展はゴッホ・インパクトと銘打たれているように、ゴッホがいかに日本の美術界に影響を与えたかを辿る展覧会です。なのでゴッホご本人の絵は少なめです。とはいっても飾られている数点はゴッホのそれぞれの時代の特徴をよく表しています。ですので本記事ではゴッホ編とインパクト編の2回に分けてレポートをお送ります。今回はゴッホ編です。まず最初にオランダ時代の3点の作品が掲げられています。いずれも暗
ついに主役になりました。現在公開中の映画『プレデター:バッドランド』を観てきました。若く未熟なプレデターのデクは、一人死の星で最強の獲物の狩りに挑む!私たちの目の前にプレデターが初めて登場したのは1987年の映画『プレデター』でした。そのあまりにも醜い風貌と情け容赦のない強さは私達に強烈な印象を残しました。以来すっかり人気シリーズとなり、本作は単独作としては6作目にあたります(ほかにエイリアンと戦った2作、アニメ1作があります)。ただ続き物というわけではありません。この1本だけで十分
ここから新たなプロダクトデザインが生まれるかもしれません。11月7日から9日の間、日本橋三井ホールで開催されていたイベント『alter.2025,Tokyo』を観てきました。本イベントは「日本のプロダクトデザインに革新を促す」というふれ込みの展覧会です。初開催となる今回は11組59名のデザイナーが参加しました。本展の特徴は参加するアーティストに事前に資金を提供し、それぞれが「これからのプロダクトデザイン」のあり方を作品にしていることです。全て新作というわけです。既存の条件や概念に縛ら
やはりどこか文化祭ぽいのでした。11月8日から10日の間、科学技術館で開催されているアートフェア『EASTEAST東京2025』を観てきました。本展は一言で言えば複数のギャラリーやアーティストが参加するアートフェアです。それだけならば巷によくあるアートイベントですが、本イベントのミソは場所が科学技術館であることです。なにしろ元々は科学と技術の館です。天井も低くアート作品の展示にはあまり向いているとは言えません。にも関わらずこの場所を選んだのは、恐らくですがレンタル料が安いからだと思われます
未知の既知との遭遇です。現在、渋谷公園通りギャラリーで開催中の『アール・ブリュット2025巡回展既知との遭遇自伝的ブリコラージュの世界へようこそ!』展を観てきました。タイトルにある「ブリコラージュ」とは、手元にある材料やありあわせの道具で物を組み合わせ新たな意味を獲得する手法を指します。例えば武田拓さんの場合の「手元にある材料」は「わりばし」です。ある日突然、武田さんは牛乳パックの空き箱に割り箸を差し込み始めたそうです。次から次へとわりばしを継ぎ足し突き刺していくと次第に巨大化し、本
いったいどこへ流れつくというのでしょうか。現在、アーティゾン美術館で開催中の『ジャム・セッション石橋財団コレクション✕山城知佳子✕志賀理江子漂着』を観てきました。さて本展はアーティゾン美術館が開催する展覧会にしては珍しく全面写真撮影禁止です。このため残念ながら内部の模様をお見せすることができません。どうしてそうなっているかというと、本展の展示が山城さんにしろ志賀さんにしろ、きわめて体験展示に近いからです。最初の山城さんの作品、というかインスタレーションは「Recalling(s)