大学の文学部を卒業して、クリニックで医療事務をしている紗良は、浄土真宗の寺院で役員をしている父の関係から、寺の跡取り息子の嫁に推された。暫く考えていたが、実家はその寺の門徒であり、跡取り息子とも旧知であったことから、結婚することになった。浄土真宗では寺の跡取り息子の事を若院と言うが、門徒衆からは若さんと呼ばれている。その妻を若坊守と言うので、紗良は結婚後は、門徒から若坊守さんと呼ばれることになる。紗良は得度しておらず、これから寺の事を学び、将来住職になる夫を助け、お経を読めるようになることを誓っ