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一簣之功「一簣之功」という言葉があります。「簣」は竹や藁などで編んだ籠の一種で、工事を行なう際には、土や石を運ぶのに使われました。中国の歴史書『書経』には、高い山を築くにも、最後に簣一杯の土が足りなければ完成しない、といった内容の記述があります。そこから、一簣之功は、仕事をやり遂げるための最後のひと踏ん張り、積み重ねる一つひとつの努力の大切さを指します。時間をかけて取り組んでいる仕事でも、もう一息というところで安心し、そうした油断が失敗につながることもあるかもしれません
台所の変遷皆さんは一本の鉛筆で、どれくらいの長さの線が書けるのか知っていますか。新しい台所に立った際、使い勝手の良さ感心したことはないでしょうか。近代になって、台所に変革の兆しが見えてきたのは、大正デモクラシーの頃でした。台所の改善論議がなされ、台所改善運動が起こったのです。当時の台所では、竈や盥にうずくまる姿勢で作業をしていました。その不便さを改善し、立ったままで調理を行なえるようにすること、併せて、電気・水道・ガスの近代設備を整えることが求められたのです。
上司の持論営業部のTさんは、「先日、訪問したお客様との商談がまとまりません」と、上司に相談しました。上司は「人間の顔には目が二つ、耳も二つ、鼻は一つ、口も一つ。どうしてだろうね?」と問いかけました。続けて「これは私の持論だけど、話すための口は一つ、それに倍するほどに、よく見る、よく聞くために目と耳は二つあるんだと思うんだ。T君は、先方の話をじっくり聞いてるのかい」と諭されたのです。その瞬間、Tさんは営業先で、お客様の話を遮り、自分の意見だけを述べている姿が頭をよぎりました
ちゃんとする大人は子供を躾ける際に「ちゃんとしなさい」と言いがちです。しかし、そう言っている大人が「ちゃんとできている」かというと、できていないことが多いのではないでしょうか。ある日、約束を破ったMさんの娘が妻に叱られていました。なかなか素直になれない娘に対し、Mさんは「約束はちゃんと守らないとね」と優しく言いました。すると娘から「お父さんも約束守らないでしょ。お菓子を買ってあげると言って、買ってくれない。公園に連れて行ってあげると言って、連れて行ってくれない」と次
何のために働くのかこの春から新入社員として働いている人も多いでしょう。また、異動によって新しい環境に身を置いた人もいるかもしれません。令和4年度の内閣府の世論調査における「働く目的は何か」の回答は、「お金を得るために働く」の割合が最も多く、60%以上を占めました。それに次いで、「生きがいをみつけるために働く」が14.1%、「社会の一員として、務めを果たすために働く」が11%、「自分の才能や能力を発揮するために働く」が6.7%となっています。生活の基盤となる金銭を稼ぐこと
道の発展江戸時代に入ると、江戸と各地を結ぶ重要街道として東海道、日光街道、奥州街道、中山道、甲州街道の順に、五街道が整備されました。その五街道の起点は日本橋です。今日、「東京まで○○キロメートル」の標識を運転中に見かけますが、多くは日本橋までの距離を示しています。従来の物流手段であった水運(河川や海)に加え、陸路からも多くの物産が集まった当時の江戸は、日本橋を中心に市場が大賑わいをみせたといいます。一説によると、1800年代に入り、江戸の人口は120万人にも達し、ど
気力の源「感謝の心があって始めて、物を大切にする気持ちや人に対する気持ちや人に対する謙虚さ、生きる喜びも生まれてくる」とはパナソニックの創業者・松下幸之助の言葉です。Aさんは、ここ数年実行していることがあります。それは感謝の気持ちを積極的に言葉にすることです。「ありがとうございます」「おかげさまで」「助かりました」などの心に思うだけでなく声に出して伝えるようにしています。続けていくと、気持ちが前向きになり、仕事に対しても積極的に取り組めるようになりました。周囲からも「明る
自愛手紙やメールの末筆に、相手の健康を気遣って「ご自愛ください」と書き添える人も多いのではないでしょうか。この「自愛」には、自分の言行を慎む、自重する、という意味もあるのです。『老子』の第72章には、「自愛不自貴」という一説があり、「自らは愛しても、自らを貴ばず」と書き下すことができます。「自らは愛しても」は、自分の内的な感覚の基準は自分にあり、気分の浮き沈みを含め、自分が得た感覚は大切なものだ、というような意味です。それに対して「自らを貴ばず」は自分の感覚だけで
変化を楽しむ時代の移り変わりが早いことを指すたとえに「十年一昔」という四字熟語があります。10年を区切りとして、それ以前は昔のように思われるという意味です。しかし昨今では、この移り変わりのペースが上がり「一昔」が10年ではなく、5年や3年、中には1年などという論調もあるようです。次々に提示される新しい考え方や物事に対して、人間のほうが追い付いていないような状況ですが、中には変化に対応しなければ法によって罰を受けたり、大きく損をしたりすることもあるでしょう。慣れ親しん
物事の成就「○○でありますように」と神社仏閣なので、願い事をすることがあるでしょう。このような願い事は、「理想の自分になりたい」というもので、現実とは異なる理想の自分の姿や状態に思いを馳せることになります。そこで、願いがすでに成就したものとして「○○になりました」と具体的にそれが実現した様子を思い浮かべて言い切ってみましょう。さらに、成就したという前提で「ありがとうございます」と感謝の言葉を加えれば、願いは深まり、現実に近づけるのではないでしょうか。「祈るときすでに
水を飲んだら水源を思えある関西の鉄工所には、筆で大きく書かれた「父」「母」「兄弟」の字が掲示されています。これはベトナムなら技能実習生として働きに来た従業員が書いたもので、離れて暮らす家族のことを思いながら仕事に励む様子がうかがえます。ベトナムの有名なことわざに、「水を飲んだら水源を思え」があります。水には必ず水源があるように、今の自分がいるのは家族や祖先のおかげなので、感謝の気持ちを忘れないように、との意味が込められているのです。「飲水思源」という四字熟語がありま
探し物の時間文具メーカーのコクヨの調査によると、一日の書類を探す時間はおよそ20分でした。これを一年間に換算すると、約80時間に相当します。そのほか、物品の探し物などの時間を入れれば、さらにその時間は多くなるでしょう。会社員のNさんは、任される仕事が増えるにつれ、整理整頓を〈あとでいいや〉と先延ばしにすることが増え、机の上には書類が乱雑に積まれていました。そのため、次の作業に移る度に資料を探したり、前回の作業の進捗状況を思いだしたりと、余計な時間を取られ、さらに切羽詰まる
新たな試み1874年の本日、「第一回印象派展」がパリで開催され、クロード・モネやポール・セザンヌなど、30名の芸術家が出展しました。印象派の作品は、戸外制作、光の描写、斬新な構図、大胆な筆致など、従来の写実主義とは異なるスタイルで制作されています。それにより、瞬間の印象や感覚を捉え、絵画に動的な要素を取り入れることを可能にしました。これは美術史において重要な転換点となり、後に続く画家、芸術全般に大きな影響を与えたのです。しかし、その斬新さ故に当初は理解が得られず、批
予期せぬ出来事ある日、Aさんは家族と共に車で出かけました。途中、高速道路を利用しようとした時、予期せぬ出来事が起こったのです。「開くはず」のETC(電子料金収受システム)専用レーンのゲートが開かなかったのです。そのため、Aさんは慌てて急ブレーキを踏むことになりました。幸い、同乗していた家族に怪我はなく、また後続車がいなかったために大きな事故にはなりませんでしたが、後味の悪さだけが残りました。ゲートが開かなかった原因は単純で、Aさんの「思い込み」にありました。車
錯視私たちは何か物を見た際に、正しく見ているつもりでも、実際とは違って見てしまうことがあります。このような目の錯覚を「錯視」といいます。代表的な錯視として、「ミュラー・リヤー錯視」があります。日本の同じ長さが違って見えるという図を見たことがある人もいるでしょう。実際には同じ長さの直線が、矢印の向きが違うだけで印象がまったく異なります。これは図を見た際の脳の働きにその原因があるとされています。こうした錯視以外にも、日常生活で見間違いや思い違いをしてしまうことがあります。例
ゼリーフライ埼玉県行田市のB級グルメに「ゼリーフライ」があります。この料理を知らない人は、料理名からゼリーを油で揚げたものを想像するかもしれません。「ゼリーフライ」とは、おからやジャガイモをベースに、ニンジンやネギなどを加えて、楕円に近い形に整え、油で素揚げしてソースで味付けした料理です。地元ではスーパーマーケットや給食で出されるなど親しまれています。名前の由来は諸説あるものの、小判に似ていることから「銭フライ」と呼ばれていたのが変化し「ゼリーフライ」に定着したようです。
話すことの効用仕事のプレゼンテーション、地域行事のスピーチや昼食時間のおしゃべりに至るまで、日常の中には「言葉」が溢れています。私たちは、「話す」ことを通して、お互いの考えを伝えあってコミュニケーションを図りますが、その効用は意思疎通のほかにもいろいろとあるようです。例えば、就職時のおしゃべりなどは、適度なストレス解消になるだけでなく、相手とのつながりが深まり、幸福感が高まります。また、会議での仕事の説明や、スピーチなどを行なう際には、普段は考えないことについて思い
麗春の候「麗春の候」は四月下旬から五月上旬の立夏まで使われる時候の挨拶です。「麗春」は、春から初夏に赤やピンクなどの鮮やかな花を咲かせる、ヒナゲシのことで、「虞美人草」の異名としても有名です。これは、中国の武将、項羽の愛した虞姫が自害したのち、この花が墓に咲いたという故事に由来します。中には夏目漱石の小説のタイトルを思い浮かべる人もいるでしょう。『虞美人草』は漱石が朝日新聞社に入社後、初めて紙上で連載された作品です。また、フランスでは「コクリコ」と呼ばれます。歌人の
ジャッキー・ロビンソンデー1940年代のアメリカでは、人種差別の風潮が根強く残っていました。メジャーリーグも、現在は様々な国・地域の選手が活躍していますが、当時は白人以外の選手は一人もいませんでした。そんな中、近代メジャーリーグ初の黒人選手となったのが、ジャッキー・ロビンソンという選手です。デビュー当時、ロビンソンは観客から野次を浴びていました。そんな中でもひたむきにプレーする姿は、次第に周囲の人々の心をつかんでいったのです。ロビンソンの活躍は、野球界のみならず、社
体の機能と向き合う還暦を迎えたM氏は、嗅覚と味覚が衰えていることに気づきました。これまで、家の玄関を入ると花の香りに癒され、食事をする際、食べ物のおいしさを感じていましたが、そうした感覚が半年前からほとんどしないのです。このことに気づいて不安に思ったのは嗅覚でした。M氏は、魚の鮮度や果物の旬の状態を匂いで判断していたからです。そのほか、就寝前の戸締りでガスコンロの状態をチェックする際も、匂いで確認をしていたのです。M氏は、耳鼻咽喉科を受信し、治療をすることになりました。治
預かりものF氏が故郷の父親に、住宅の購入を検討していると電話で報告したときのことです。父親は「契約内容など、もう一度よく確かめてから話を進めなさい」と言った後、こう付け加えました。「私たちの地域では、昔から山林も土地も家も自分のものではなく、神様預かっているものだと皆が考えていたので、それらを売買する時は、必ず氏神様にお参りし、報告したものだ」と言いました。F氏は大切なことを教えられたと感じました。父親に感謝すると共に、今まで「自分で得たものはすべて自分のもの」という意識
ハインリッヒの法則重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の状況に遭遇することを「ヒヤリ・ハット」体験といいます。アメリカの存在保険会社の安全技師、ハインリッヒは、労働災害の発生する確率を「ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」として発表しました。この法則では、「一軒の重大な事故・災害の背後には、29件の軽微な事故・災害があり、その背景には300件の異常がある」、としています。私たちの職場においても、異常とも捉えられるヒヤリ・ハット
聴き切るKさんの勤める介護施設には、様々な人が入居していて、その中には認知症の人もいました。働き始めて数カ月のKさんは、徐々に仕事には慣れてきたものの、認知症のBさんへの対応には、苦手意識を拭えずにいました。こちらの意図が伝わらず、相手が何を伝えようと思っているのかも理解できないことに、もどかしさを抱いていました。それ故に、無意識にBさんとの接触を避けるようになっていったのです。Bさんとの関係性を築けていない現状を先輩に相談すると、「理解できなくてもまずは聴くことに徹して
苦言を受け止める素直さは人が成長していくうえで大切な要素です。顧客や上司などからクレームや注意を受け、気分が落ち込むことは誰でもあるでしょう。その際、いつまでもそれを引きずることなく、早めに切り替えられるかどうかが、自分のその後の成長の岐路となります。苦言を呈された時に、ふてくされたりせず、〈大事なことを教えてもらった〉と謙虚に受け止めることは、素直さの好例です。たとえ自分にとって耳の痛い内容でも、まずはそのまま受け入れ、考え方は行動をどのように改めるか考えることは
どんな日でも「天気が悪いんじゃない、着ている服が悪いだけ」。これはノルウェーに伝わることわざです。スカンジナビア半島の西岸部に沿って縦長の億度を持つノルウェーでは、雪や雨の日が多く、悪天候を理由にしたら何もできなくなってしまいます。こうした考えは子育てにも生かされています。北欧では、赤ちゃんに屋外で昼寝をさせて、外の新鮮な空気を吸わせることで健康に育つと考えられています。そのため、氷点下になる真冬でも、赤ちゃんにはウールのセーター、ダウンのロンパース、帽子などの防寒
専門用語と略語各分野には、それぞれ独自の専門用語が存在します。これらの用語の意味や概念を理解するためには、用語の意味を正しく捉えることが必要です。Aさんは経営学のマネジメントに関する試験のために勉強していました。参考書を開くと、多くの専門用語が並んでいます。例えば「OJT」(OntheJobTraining)は、職場の中での実践を通してスキルを学ぶこととあります。それに対して「OFF.JT」(OfftheJobTraining)は、実際の業務から離れて学習する