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このたび、トマ作曲のグラントペラ《ハムレット(アムレット)》の音源を解説することになりました。これまで本当にいろいろなオペラを解説させて頂きましたが、この《アムレット》は、自分が最もよく内容を把握している作品の一つなのです。《アムレット》の原作はもちろん、シェイクスピアの『ハムレット』ですが、筋立ての端々に違いがあります。というのも、間に大デュマの翻案が入っているからです。オペラの大臣ポロニウス(ポローニアス)は最後まで生きていますし、王子の母ジェルトリュード(ガートルード)は先王暗殺に加担
《カルメン》のいろんな映像を見比べる講演会の席上で、「エスカミーリョ役の理想的な歌手は誰でしょうか?」というご質問が出ました。これが、実は、結構難しいのです。例えば、超有名指揮者、超人気指揮者が振っている場合、特に、彼らは実は「耳の真実」をあまり気にしていなかったりします。つまりは、発音が酷くてもそんなに気にならないようなのです。そういうのは、見た目は役に相応しそうでも、一回聴いたら心が萎えてしまうのですね。といって、花形闘牛士となると、美声でもあまりに太っていると、「次の試合でダメになる
について短い文章を書かねばならず、もちろん、心を込めて書かせて頂きます。シミオナートの録音では《アイーダ》のアムネリスや《ラ・チェネレントラ》のヒロインが特に好きです。この2つはまったく対照的な役柄ですが、歌いまわしの彫りの深さに痺れます。アムネリスの猛々しさは、本来は遠慮がちなシミオナートが長年のキャリアで築き上げた経験値の上に花開くもの。一方のチェネレントラは、もともとの彼女が持っていた控え目な姿勢を端的に表すものでしょう。マリア・カラスと共演した時(ベッリーニの《ノルマ》)、アダル
私は、時々、翻訳の仕事を引き受けることがあります。つまりは、ご依頼を頂いて訳すということです。訳したもので字幕を作ることもあります。この場合、ただ、頼まれたものを訳すのみで、ひたすら一所懸命訳します。オペラ全曲の台本を訳した経験は、ドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》とマスネの《ウェルテル》、ヴェルディの《椿姫》の3作だけですがー《ウェルテル》と《椿姫》は、その訳稿をもとに字幕を作成しましたーアリアなどの歌詞対訳は結構、ご依頼が来たりします。あと、それを字幕化する作業も、たまにご依頼
上演中のMETライブビューイング《ラ・ボエーム》で、素晴らしい新進ソプラノに出会いました。アルメニア出身のジュリアナ・グリゴリアン。ムラのない響きで澄んだ音色ですが、中低音域に強い翳りがあり、篤い心を感じさせてくれます。こんなに若くてこんなに完成度が高いとは。ひたすら励んできたのでしょう。他人と自分を比べることもないようです。自分と自分を日々比べているのでしょう。役柄に傾注し、若い娘役を本物の若さで演じ切っていました。肉体的な若さではなく、フレッシュな精神力で。十年先、彼女はどん