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クラスの男子のソワソワした様子からもうすぐバレンタインだというのを思い出していた。クスッ…沢山もらえればもらえるほどそれでステータスが決まる。モテる男は一目置かれるが、嫉妬も激しい。俺はその点お得だった。〔松本はいいよな…。〕<上級生が可愛いって言って騒いでるもんな。>成長しきっていない俺の評価は可愛いぼくちゃん。カッコいいだと嫉妬されても可愛いだとそれほどの被害もない。俺はニッコリと微笑んだ。「よくないよぉ…男だって思
新しい校舎は中学生の時とそれほど大差ないモノだった。ロッカーは十分な大きさのものだし、特に分からない事もない。違うと言えば高校では新たに加わった芸術専攻クラスに振り分けられた事だけだった。必要最低限の教科は履修はあるが、後はそれぞれの進路に合わせたものになる。『大野って留学とかしないの…?』「ホームステイって事?」『それもあるけど…絵の勉強とか…?』「それは考えてない。」『どうして…?』「海外って嫌いなんだ。」応えた途端、青木が
放課後、クラブのない日は本当にすることが何もない。俺は体育倉庫の裏で漫画雑誌をを開いてぼやいていた。「マンガだと、こういったところに不良がいるんだよな…。」『ははは…確かに。』「大ちゃんはクラブ行かないの…?」『今日は定休日。』定休日って…ない日だってこと…?それともさぼり……?『バスケやればいいのに…。』「え…。」『嫌じゃないんでしょ…?』「…。」図星だ。野球より興味があるだなんて自分でも意外だった。や
広いグランドを駆けっていた。クラブの持つそれは十分な広さがあるものだった。学園の野球部でも差し支えはなかったが、規則が気に入らなかった事が大きくて外部のクラブに所属していた。同じような考えの奴は他にいて、何人か同じ学園の子どもが入会していた。「あれ…高田は…?」いつも柔軟でペアーをくんでる片割れの姿が見えない。〔さあ…見てないな…。〕俺は高田と同じ学校に通ってる奴に聞いた方がいいのか…?この時期辞める奴がチラホラ
無言のまま静かな時間が過ぎていた。不意に側に来たかと思うとピッタリと背中を合わせてすり寄って来る。初対面の時とは正反対な甘えた様子に戸惑いながら最近は慣れて来ていた。ほんと、甘えん坊さんだな…そこが何だか可愛い。俺たちは何を話すわけでもなく同じ空間で漫画を読んでいた。◇ジュージュー火が舞い上がったが一瞬の事、蓋をして軽く蒸せば出来上がり。『ホント、お前すげーなっ。』料理の腕前の事を褒め
お母さんは死んだんだと思って生きてきた。その事で、心の全てが哀しいに覆われてしまいそうになるのを、無理矢理よそへと追い遣るよう努めてきた。小さかった和也。兄である自分が守ってやるんだと歯を食いしばってきた。それから…それから、家には新しいお母さんがやってきて…智くんが…そして……頭が混乱してどうしようもない。座っている自分の膝に、ポタポタと何かが落ちていた。<ごめんなさい。驚かせてしまったわね…。>横山さんの…いや、お母さんの本当に申
届いたピザやサイドメニューのチキンやポテトに智くんが目を丸くする。『食べきれるかな…。』「あまったら明日の朝食にしようよ。」『そうか…。』納得したみたい。俺だって注文し過ぎかな…っとも思ったけど足りないよりいいかな、と思い直したんだ。定番のマルガリータに新しい新商品。色んな味を楽しめるように一枚に何種類かの味がセットになってるのを頼んだ。「これ美味しくない…?」トッピングがうますぎるっ。『うん…好きかも…