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2021.5.4一日一季語柏餅(かしわもち《かしはもち》)【夏―生活―初夏】柏餅三種類あり三種買う鎌田慶子春の初めには、鶯餅、蓬餅そして桜餅。5月が近づくと柏餅をみかけます。粒餡・こし餡・よもぎ粒餡。この三種類が柏餅ではポピュラーな三種類でしょうか。私の実家の方では、よもぎ粒餡よりは、みそ餡。とある地方の和菓子屋さんのホームページでは、こんな案内もあります。定番の「白生地とこしあん」、よもぎの香りも爽やかな「よもぎ生地と粒あん」、餡に一工夫凝らした「黄色生地とみそ
2021.5.26一日一季語冷酒(ひやざけ)【夏―生活―三夏】花嫁の父と交せし冷し酒山田禮子「広辞苑」第七版によれば、「冷や(冷)」は「燗のしていない日本酒。ひや酒」とあり、「冷やす」ことは含まれていない。つまり本来は基本的に「常温」を指すようです。婚礼の挨拶にいった花嫁の実家。堅い挨拶を終え、男同士の会話が始まる。そんな雰囲気を感じました。遠慮は要らない、燗などと、時間はかけずに一升瓶からコップに注ぐ。そんな勢いも感じられました。⇒画像をクリックする
2021.4.11一日一季語藤(ふじ《ふぢ》)【春―植物―晩春】人待つや藤浪に髪濡るるまで北川英子例年4月下旬から5月上旬にかけて見ごろを迎える「藤の花」。都内の名所でも、今年は開花が早いようです。藤の名所で恋人と待ち合わせをしているような雰囲気を思わせる句に感じます。日本では古くから、藤を女性、松を男性のシンボルとしたそうです。藤浪のような黒髪をたたえた女性を想像させられる句だと思います。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.4.10羽
2020.3.31一日一季語木五倍子の花(きぶしのはな)【春―植物―仲春】真つ先に山風捉ふ花木五倍子阿部澄*2020.3.26新宿御苑にて木五倍子の花、これを見たとき、これは一体、花なのか、果実なのか、よくわからなかったです。ぶらぶらと風に吹かれて揺れているのを見たことはあったのですが、特に香りもなく、その名前をすぐ忘れてしまっていました。この句のように、揺れる姿が見ていても飽きないように思います。【傍題季語】花五倍子(はなきぶし
一日一季語2018年04月28日アカシアの花(あかしあのはな)【夏―植物―初夏】花アカシヤ湖に向ひて沐浴する松本澄江*2018.04.26川崎平塚八幡宮にて松本澄江(まつもとすみえ)大正10年3月25日東京生まれ。昭和16年「ホトトギス」初入選。昭和26年「みちのく」創刊同人。昭和29年「若葉」入門、同人。昭和30年「みちのく賞」受賞。昭和60年「風の道」創刊主宰。師系、虚子、風生、梧逸。平成13年「国際文化栄誉賞・社会文化功労賞
2020.4.9一日一季語春の鴨(はるのかも)【春―動物―晩春】こちら向けわれもひとりぞ残り鴨清水基吉*2020.4.7山中湖にてなぜ、残るのか。山中湖などのように、人間の餌付けなど、餌に不自由しないためなのか。この句の鴨は、群れでいるのではなく、一羽だけ、寂しげに残ってしまったようですね。この鴨は横着なのか、旅立ちの決断のできない、お尻の重い人のように、優柔不断なのか。句の中で、われもひとりという呼びかけから、同じような身の上、同情する作者の
2019.3.9一日一季語鷹化して鳩と為る(たかかしてはととなる)【春―時候―仲春】鷹鳩と化して横綱稀勢の里今瀬剛一*2019.3.2横濱にて「対岸」2017年4月号今瀬剛一氏は、自他共に認める「水戸っぽ」江戸の昔より、力士の番付には出身地が書いてあり、場内放送で高らかに出身地、所属の部屋名が詠み上げられる幕の内はTV画面でもおなじみとなっている。怪我を押して新横綱として優勝決定戦を制した直後の句でしょうね。土俵では鬼、鋭い視線だ
2020.4.28一日一季語燕の巣(つばめのす)【春―動物―晩春】今つけし泥濡れてをり燕の巣棚山波朗*2020.4.20栃木にて写生の目の確かな一句だと思います。日本のツバメは地表から木の枝や泥を材料に巣をつくるので、その巣は茶色っぽい色をしています。先日私も雨の中、泥を咥えて一生懸命巣を造っている燕を見つけました。【傍題季語】巣燕(すつばめ)【季語の説明】三~五月に飛来した燕は泥・藁などで人家の梁や軒先などに椀形の巣を営む。
2019.02.17一日一季語馬酔木の花(あしびのはな)【春―植物―晩春】馬酔木咲く金堂の扉(と)にわが触れぬ水原秋櫻子*2019.2.16六本木ヒルズにて主宰誌「馬酔木(あしび)」で虚子の写生観を批判,新興俳句運動の口火をきった秋桜子。俳句に、みずみずしい抒情世界、短歌的抒情を導入,感動を調べで表現する清新典雅な自然諷詠に新風を樹立しました。夜行列車を利用し、たびたび奈良・京都へ吟行に出かけたそうです。この句は、大和の秋篠寺での句ということになっています。
2021.10.28竜淵に潜む(りゆうふちにひそむ)【秋―時候―仲秋】らうめんの淵にも龍の潜みけり青山茂根銀化という結社らしい句に思いました。先日、秩父神社に行った際、左甚五郎作、つなぎの龍。を観てきました。創建2100年奉祝事業である本殿の改修事業(彫刻の塗り直しが主)が2018年より約5年間かけて大規模に行われていて、極彩色を取り戻していました。この彫刻のいわれは以下のように秩父神社の解説があります。その昔、秩父観音霊場札所十五番である少林寺の近く
2020.5.23一日一季語蛇苺(へびいちご)【夏―植物―初夏】汚名着て雨に耐へゐる蛇苺曽根久順*2020.5.22御殿場にて沖風という、沖の結社内の句風を表現する言葉があった。この句には、沖の精神が宿っている。能村登四郞の師である、秋櫻子の自然詠中心で「きれい寂び」と呼ばれた美意識に、俳句は生活そのものとする波郷の人間くささを加えた登四郎独自の世界。年齢と共に変幻自在の句風を確立した登四郞の俳句の世界。自分自身に引きつけて俳句を詠む。季語との取り
2018.04.23一日一季語藤(ふじ《ふぢ》)【春―植物―晩春】明治慶応此の茂る藤の老木なり荻原井泉水*2018年4月21日赤塚公園にて荻原井泉水(おぎわらせいせんすい、1884年(明治17年)6月16日-1976年(昭和51年)5月20日)尾崎放哉や種田山頭火らを育てた。麻布中学の頃より俳句を作り始める。1911年(明治44年)新傾向俳句機関誌「層雲」を主宰。河東碧梧桐もこれに加わる。この年、谷桂子と結婚。1914年(大正
2021.4.4一日一季語入学(にゅうがく《にふがく》)【春―生活―晩春】、入学の子に見えてゐて遠き母福永耕二福永耕二は、代表句に「新宿ははるかなる墓碑鳥渡る」などがあり、青春性、叙情性を湛えた句風であった。高校在学中に俳句に魅せられ、その当時俳句の第一人者、水原秋櫻子のもとで俳句を学びたい一心で、能村登四郞の推薦もあり、1965(昭和40)年に千葉県の私立市川高校へ転任します。多忙ながら家族をこよなく愛し、愛息をよく吟行に同伴したという。子供や妻へのいたわり、
2021.4.16一日一季語満天星の花(どうだんのはな)【春―植物―晩春】天に星地に満天星の花咲けり折井紀衣「道教の神である太上老君がお住いになられた仙宮で薬を練られていた時のこと、傍らに置いていた玉盤に入れた霊水を誤ってこぼされてしまいました。この水が、飛び散った先にあったドウダンツツジに降りかかり、水が枝に集まって壺状の珠になり、満天の星のように輝いて見えた」という中国の伝説から、ドウダンツツジが満天星と言われるようになったのだという。こうした故
2020.5.15一日一季語鉄線花(てっせんか《てつせんくわ》)【夏―植物―初夏】白衿にとほす生涯鉄線花岡本差知子「留袖・振袖・訪問着」などのフォーマルの着物では白半衿が正式となるのだという。句に出てくる白襟は、格式や、外見をキチンと正している作者の生き方が表現されているようにも感じます。鉄線花は、室町時代には日本に中国から渡来したとされています。洋風な見た目から感じにくいですが、約400年もの長い間、たくさんの人々に親しまれてきた植物です。この句の芯の太い生き方、伝統
2021.5.18一日一季語風薫る(かぜかおる《かぜかをる》)【夏―天文―初夏】風薫る文に切手といふ翼櫨木優子いつもは会えていた方に新型コロナウイルスの影響で、会えなくなった、会いづらくなったという方も多いと思います。このようなご時世だからこそ、気持ちを伝える手段として言葉の表現と手紙がより素晴らしい相乗効果を生み出します。手紙は、相手に想いを伝える幸せのアイテムメールやSNSを多用している今だからこそ、真心が伝わる手紙で、相手に想いを届けてみませんか?
2019.2.19一日一季語鶯(うぐいす《うぐひす》)【春―動物―初春】鶯や香焚くひとの眉静か西島麦南仏教では、香を焚くと不浄を払い心識を清浄にするとされ、供養の基本としている(「香華を手向ける」という言葉がある)そうです。茶道でも、お客様を招く際に、香を焚くことが基本なのだとか。この句の作者も、改まった気持ちで、香を焚いているのでしょう。そんな心が落ち着いた所へ、鶯の初音が聞こえてきたのだと思います。眉静かの表現で、こんな心の内が見えてくる。静寂、
2021.7.5一日一季語心太(ところてん)【夏―生活―三夏】心太北アルプスの水を引き成澤桂助長野県の諏訪地方は寒天の名産地。茅野市を中心に、諏訪エリアは寒天の生産が盛んで、生産量は日本一。寒天の原材料は海藻のテングサ。海のない長野県で海藻を原料にした食べ物が名産のわけは、寒天づくりにはこの地方の気候がピッタリだったからです。海藻からそのまま寒天をつくるわけではなく、海藻でつくったところてんがベース。ところてんを凍結・乾燥させたものが寒天なのだそうです。この凍結
2021.3.26一日一季語茎立(くくたち)【春―植物―三春】葉牡丹の古代紫茎立ちぬ瀧春一とう立ちの「とう」は「花茎(花を咲かせる茎)」のことで、花を咲かすための花芽のついた花茎が伸びてきた状態のことを「とう立ち(薹立ち)」または「抽苔(ちゅうだい)」というそうです。植物には、自分の体を大きくする「栄養成長」と、子孫(種)を残す「生殖成長」の、2つの生育段階があります。とう立ちは、生殖成長が始まったサインなのだそうです。トウ(薹)とは、「花茎」のことで
2018.04.17一日一季語松の緑摘む(まつのみどりつむ)【春―生活―晩春】緑摘む池の中より梯子立て青柳志解樹青柳志解樹(あおやぎしげき、1929年1月24日-)は、長野県出身の俳人。。1953年、林邦彦を知り、加藤楸邨の「寒雷」に投句。1957年「鹿火屋」に入会、原コウ子に師事。1979年「山暦」を創刊・主宰。1992年、句集『松は松』で第32回俳人協会賞、2014年『里山』で第3回与謝蕪村賞を受賞。2018年『冬木の桜』で第5
2021.4.6一日一季語雛罌粟(ひなげし)【夏―植物―初夏】咲くまではうなだるばかり罌粟の花箕輪カオル雛罌粟の、毛の生えた蕾は、初めは下を向いているのが、次第に上を向き、花を咲かせるときには、真上を向いています。この花の特徴そのものを一句にした句。うなだる。この擬人化の表現が、この句を昇華させているのだと思います。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2015年昭和記念公園にて【傍題季語】虞美人草(ぐびじんそう《ぐびじんさう》)、芥子の花
2021.4.19一日一季語青梅(あおうめ《あをうめ》)【春―植物―晩春】梅の実の競ひ合ひたる青さかな松嶋一洋狭庭の梅も、実を付け始めました。梅で有名な和歌山県では、青い梅の収穫が6月上旬頃から、そして黄色い梅が6月中旬から下旬にかけて、ということが多いようです。一方、北関東になる群馬県の農家では6月中旬から梅の収穫が始まるとのこと。今年は暖かいので梅の収穫も早まるかもしれません。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。【傍題季語】梅の実(
2021.6.10一日一季語蜥蜴(とかげ)【夏―動物―三夏】熊野みち光る蜥蜴に導かれ小田元蜥蜴は、古くから竜神の転写した姿だと云われ「神の遣い」として、大切に扱われてきました。熊野は、川や滝、巨岩に神が宿るとして崇める自然崇拝を起源としています。蜥蜴という有史以前から地球にいる生物に導かれれるのは、、神様に歓迎されているというメッセージかもしれません。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.6.7ニホンカナヘビ(蜥蜴ではないようです)
2021.9.3一日一季語秋の雨(あきのあめ)【秋―天文―三秋】武甲山なほも削られ秋の雨野村重子8月の暑さは何処に行ったのか、ここ数日は、秋雨・大雨の恐れもあるという。秋の空気と夏の空気の境目にあたる秋雨前線が本州付近に停滞しました。北海道から関東は秋の空気に覆われました。、日中の気温の方が低くなりました。この句では、そんな秋の雨が、削られ続ける秩父「神の山」武甲山に降り続ける景。セメントの採掘のために北側斜面が削られ、本来の姿を失った代わりに特徴的で象
2021.6.19一日一季語捩花(ねじばな《ねぢばな》)【夏―植物―初夏】回しつつ削る鉛筆捩り花青木民子捩花、このらせん状の花の描写、俳句でよく見かけるのは、螺旋階段があります。多くの句が、この花と螺旋階段で詠まれていそうです。この句に出てくるのは、えんぴつ削り。それも、えんぴつの方をくるくると回す、小学校時代に、筆箱に入れていた、簡易なタイプ。なるほど、えんぴつの方を回していくと、らせん状の削れる削りカス。この発想は面白いと思いました。⇒画像をクリックす
2020.4.24一日一季語藤(ふじ《ふぢ》)【春―植物―晩春】藤の花大樹を抱きのぼりたる石脇みはる*2020.4.23板橋区赤塚公園にて藤の花は神の降臨する依代(よりしろ)として神聖視され、家紋や様々な意匠などに使われているそうです。山野に自生する藤は他の樹木に絡みついて上方に成長しています。杉などの大木に絡みつき樹冠いっぱいに藤の花が咲いている光景は、遠くからもよく見える季節の彩りです。この句は、そんな大木に絡みつき、花を咲かせている景の写生
2021.7.8一日一季語燕の子(つばめのこ)【夏―動物―三夏】燕の子大口開けて道の駅坂根宏子群馬県の昭和町の道の駅でこの景を見ました。燕の巣の下には、ベニヤ板が置かれたり、貼り紙がありました。子ツバメの姿は、訪れる方にも癒やしを与えてくれます。最寄駅では、7月になって、ようやく子ツバメが巣から口を出している姿を見せてくれています。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.7.6最寄駅の子燕【傍題季語】子燕(こつばめ)親燕(
2020.4.18一日一季語春キャベツ(はるきやべつ)【春―植物―仲春】奈良井宿雪に届いて春キヤベツ小澤實*2020.2月居酒屋にてトンカツなど、洋食につき物の生キャベツは「日本の洋食」の現象らしい。西欧では生のキャベツはもっぱらウサギの餌だという(ちくま文庫『身近な野菜のなるほど観察録』)。句にある、奈良井宿は、中山道六十九次の中で、東海道と共有する草津・大津宿を抜いた純粋な中山道六十七宿中(板橋から守山まで)、奈良井宿は江戸側の板橋宿から数え
2020.5.12一日一季語新樹(しんじゅ《しんじゆ》)【夏―植物―初夏】新樹の夜猫の集会あるらしき清水基吉猫の集会というと、ミュージカル、キャッツを想像しました。就職した80年代に就職先の先輩に誘われてみたのと、昨年の二回観たことがあります。昨年観たのが5月だったので、正に新樹の夜でした。『CATS(キャッツ)』は、世界で興行的に最も成功したミュージカルのひとつ。初演はイギリス・ウエストエンド。その後、アメリカ・ブロードウェイにて公演。人間が一切出
2020.10.31一日一季語ハロウィーン【秋―行事―晩秋】ハロウィンに都心縮んでゆきにけり稲畑廣太郎渋谷のハロウィンは、毎年陽気なお祭りムードで包まれます。今では、仮装した人々が集まり、お祭り気分を味わうのが東京の風物詩となっています。ハロウィン目当ての人出もあいまって、若者の自由さを代表するエリアでもある渋谷の名所でもあるスクランブル交差点には、ピーク時には1日100万人を超える人が集まるとも言われています。一方で暴徒化したりするこの行事。この句では、騒