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2020.6.8一日一季語栗の花(くりのはな)【夏―植物―仲夏】山門や栗の花散る右左寺田寅彦*2020.6月板橋区にていかにも俳句らしい、写生の句。「天災は忘れたころにやってく」といったのは寺田寅彦さんです。言わずと知れた物理学で多くの業績を残された科学者です。俳句との出会いは、熊本の五高に在学中(明治32年、卒業)に英語の講師として赴任してきた夏目漱石と出会い、漱石から俳句を学んだことからだという。寺田寅彦の俳句は独自の世界を持つ独創的な情緒溢れる句
一日一季語2018年4月29日都忘れ(みやこわすれ)【春-植物-晩春】都忘れみかど遠流の御所の跡岡部六弥太岡部六弥太(オカベロクヤタ)大正15年5月福岡県生まれ。初心を河野静雲に学び、高浜虚子、野見山朱鳥、福田蓼汀に師事。福岡市で俳句結社「円」主宰。菜殻火賞、蓼汀賞、福岡市文学賞、福岡俳人協会賞、福岡市文化賞、福岡県教育文化表彰受賞。平成22年逝去。著書に句集『道化師』『土漠』『神の竪琴』『鰤雑煮』『夜須野』『松囃子』『厚
2018.06.18一日一季語白粉花(おしろいばな)【夏―植物―三秋】白粉の花ぬつて見る娘かな小林一茶*2018.06.16港区六本木の路上小林一茶は、1763(宝暦13)年、長野県の北部、北国街道柏原宿(現信濃町)の農家に生まれ、本名を弥太郎といいました。20歳を過ぎたころには、俳句の道をめざすようになりました。一茶は、葛飾派三世の溝口素丸、二六庵小林竹阿、今日庵森田元夢らに師事して俳句を学びました。初め、い橋・菊明・亜堂ともなのりまし
2021.3.27一日一季語山吹(やまぶき)【春―植物―晩春】道灌にゆかりの小江戸濃山吹佐々木新蓑ひとつなき貧しさを山吹に例えた少女の差し出す濃山吹。この話で山吹は一層有名になった。八重山吹の特に黄色が鮮やかなものを「濃山吹(こやまぶき)」と言うそうです。山吹と太田道灌の逸話を取り合わせた句だが、小江戸濃山吹という言葉に深さを感じました。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.3.26新宿御苑にて【傍題季語】面影草(お
2018.06.23一日一季語南天の花(なんてんのはな)【夏―植物―仲夏】南天の花こぼるゝよ腹のうへ松窓乙二*2018.06.21松本市内にて撮影松窓乙二(しょうそうおつに)/本名=岩間乙二(いわまおつに)修験者の血を引く漂泊俳人松窓乙二。与謝蕪村に「後世の俳譜この人より起る」と言われた。与謝蕪村に私淑し、最初の注釈書「蕪村発句解」をあらわした。松尾芭蕉をこよなく慕い、芭蕉が「おくのほそ道」を旅したように諸国を行脚し
2021.4.4一日一季語入学(にゅうがく《にふがく》)【春―生活―晩春】、入学の子に見えてゐて遠き母福永耕二福永耕二は、代表句に「新宿ははるかなる墓碑鳥渡る」などがあり、青春性、叙情性を湛えた句風であった。高校在学中に俳句に魅せられ、その当時俳句の第一人者、水原秋櫻子のもとで俳句を学びたい一心で、能村登四郞の推薦もあり、1965(昭和40)年に千葉県の私立市川高校へ転任します。多忙ながら家族をこよなく愛し、愛息をよく吟行に同伴したという。子供や妻へのいたわり、
一日一季語2018年04月28日アカシアの花(あかしあのはな)【夏―植物―初夏】花アカシヤ湖に向ひて沐浴する松本澄江*2018.04.26川崎平塚八幡宮にて松本澄江(まつもとすみえ)大正10年3月25日東京生まれ。昭和16年「ホトトギス」初入選。昭和26年「みちのく」創刊同人。昭和29年「若葉」入門、同人。昭和30年「みちのく賞」受賞。昭和60年「風の道」創刊主宰。師系、虚子、風生、梧逸。平成13年「国際文化栄誉賞・社会文化功労賞
2021.4.6一日一季語雛罌粟(ひなげし)【夏―植物―初夏】咲くまではうなだるばかり罌粟の花箕輪カオル雛罌粟の、毛の生えた蕾は、初めは下を向いているのが、次第に上を向き、花を咲かせるときには、真上を向いています。この花の特徴そのものを一句にした句。うなだる。この擬人化の表現が、この句を昇華させているのだと思います。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2015年昭和記念公園にて【傍題季語】虞美人草(ぐびじんそう《ぐびじんさう》)、芥子の花
2020.5.17一日一季語橡の花(とちのはな)【夏―植物―初夏】天辺は県境にして栃の花浜福惠先日、足柄峠に行く機会があった。神奈川側には朝陽を反射する相模湾とそこに浮かぶ江の島、静岡側には頂きに雪を冠する富士山を見ることができる景をこの句の、県境に感じました。私が橡の花を見つけたのは、峠から下りたところで有ったが、見たばかりなので、この句が印象的に感じました。【傍題季語】栃の花(とちのはな)マロニエの花(まろにえのはな)【季語の説明
2021.4.11一日一季語藤(ふじ《ふぢ》)【春―植物―晩春】人待つや藤浪に髪濡るるまで北川英子例年4月下旬から5月上旬にかけて見ごろを迎える「藤の花」。都内の名所でも、今年は開花が早いようです。藤の名所で恋人と待ち合わせをしているような雰囲気を思わせる句に感じます。日本では古くから、藤を女性、松を男性のシンボルとしたそうです。藤浪のような黒髪をたたえた女性を想像させられる句だと思います。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.4.10羽
2020.4.10一日一季語躑躅(つつじ)【春―植物―晩春】湖を象り燃ゆる山躑躅堀北久子湖を象(かたちど)る、この句のヤマツツジの色は朱色で鮮やかなものでしょう。花の形は、径3-4cmの漏斗形で5中裂するという。この形の湖なのか、躑躅を刈り込んだ形が湖と同じような形なのか。それでは違うように思います。湖の形のようになって咲いているという意味ではなく、湖をくつきりと浮き上がらせる、このような意味になるのかと解釈しました。2020.4.7三
2021.6.23一日一季語青芒(あおすすき《あをすすき》)【夏―植物―三夏】近道を許さぬ構へ青芒岡崎伸山の中、或いは、草むらなのか、青芒が生い茂っていて、通ることができないもどかしさを感じます。私が小学校の頃は、道なき道のような田んぼ、山道を二キロほど歩いて学校まで通っていました。この句の情景がよくわかります。擬人化の技法で、青芒がまるで通せんぼをしているようです。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。【傍題季語】青薄(あおすすき《
2018.04.26一日一季語蔦若葉(つたわかば)【春―植物―晩春】強まりし師弟の絆蔦若葉川口襄*2018.04.24大井町にて撮影川口襄(かわぐち・じょう)爽樹俳句会代表俳号・孤舟(こしゅう)平成4年小澤克己氏に師事、俳誌「遠嶺」創刊に参加、同誌編集長、幹事長(平成22年同誌終刊)。同年俳誌「爽樹」創刊に参加、編集長。26年より代表。俳人協会会員。NHK文化センター講師。句集「王道」「マイウェイ」「蒼茫」自註現代俳句シリーズ「川口襄集」
2020.4.25一日一季語汐干狩(しおひがり《しほひがり》)【春―生活―晩春】潮干狩遠くなりゆく夫の帽谷口知子*2016年のお台場海浜公園付近子供が汐干狩で遠くへ行ってしまうようならば平凡な句になるでしょう。ここでは、夫。童心に戻って、夢中になってしまっているのでしょう。【傍題季語】汐干貝、潮干貝(しおひがい《しほひがひ》)、潮干籠、、汐干籠(しおひかご《しほひかご》)、潮干狩(しおひがり、しほひがり)、汐干(しほぼし)、潮干船(しほひ
2019.2.19一日一季語鶯(うぐいす《うぐひす》)【春―動物―初春】鶯や香焚くひとの眉静か西島麦南仏教では、香を焚くと不浄を払い心識を清浄にするとされ、供養の基本としている(「香華を手向ける」という言葉がある)そうです。茶道でも、お客様を招く際に、香を焚くことが基本なのだとか。この句の作者も、改まった気持ちで、香を焚いているのでしょう。そんな心が落ち着いた所へ、鶯の初音が聞こえてきたのだと思います。眉静かの表現で、こんな心の内が見えてくる。静寂、
2020.5.5一日一季語こどもの日(こどものひ)【夏―行事―初夏】竹細工教室混みぬ子供の日都筑智子こどもの日の遊びでは、紙兜をかぶった子がみんなを追いかける役。誰かにタッチしたら頭の兜を渡して交代する。鬼ごっこのような遊び、新聞紙を縦に丸めて筒状にしたのを刀にみたててのチャンバラごっこなど、書かれているものがあります。元気な成長を祈る。もともとは、男の子が強く育つように祈りを込める日なので、こうした遊びが似合います。この句の竹細工については、こうした子供
2020.4.30一日一季語母子草(ははこぐさ)【春―植物―晩春】菩提寺へ母の手を引き母子草富安風生母子草は何処にでも咲いている雑草である。菩提寺への墓参に、母の手を引いて足元を気遣っているのでしょうね。そんな足元をみると、この母子草が、春の陽を浴びて咲いている。黄色が鮮やかに見えることでしょうね。【傍題季語】鼠麴草(ほうこぐさ)、ははこ、父子草(ちちこぐさ)ほうこ、御形蓬(ごぎようよもぎ、おぎようよもぎ)【季語の説明】路傍や田畑で
2018.06.04一日一季語糸取(いととり)【夏―生活―仲夏】生(き)のひかり繰りて糸引女の月日平井さち子*世界遺産登録された富岡製糸場(2017,12月頃)平井さち子(ひらいさちこ、1925年8月31日-)は、東京都出身の俳人。東京市日暮里(現荒川区)生。1946年、夫の恩師である中村草田男の「萬緑」に入会。1956年、夫と大学の同級であった高橋沐石の勧めで「子午線」に参加。夫の留学や赴任に伴いアメリカ合衆国、ついで
2021.5.30一日一季語卯波(うなみ)【夏―地理―初夏】あるときは船より高き卯浪かな鈴木真砂女51歳で銀座に小料理屋を開き、店の女将と俳人という二つの道を歩んできた。店の名前は自作の句「あるときは船より高き卯浪かな」から取った「卯波」。2度の結婚と離婚、40年にわたる恋愛など真砂女は正に波多き人生を送ってきた。俳句を心の支えに歩んできた96年の波乱の人生を語る。NHKアーカイブスあの人に会いたいより引用https://www.nhk.or.j
2021.6.10一日一季語蜥蜴(とかげ)【夏―動物―三夏】熊野みち光る蜥蜴に導かれ小田元蜥蜴は、古くから竜神の転写した姿だと云われ「神の遣い」として、大切に扱われてきました。熊野は、川や滝、巨岩に神が宿るとして崇める自然崇拝を起源としています。蜥蜴という有史以前から地球にいる生物に導かれれるのは、、神様に歓迎されているというメッセージかもしれません。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.6.7ニホンカナヘビ(蜥蜴ではないようです)
2020.7.16一日一季語蜜豆(みつまめ)【夏―生活―三夏】蜜豆や美女といはれし婆二人清水保甘味処へは、老いも若きも女性の姿なら似合いますね。私にとっての、蜜豆の記憶は、缶詰を開けて食べた子供の頃の思い出。姉と半分づつにして食べるくらいの、めったに食べられない贅沢品。さくらんぼは一つしか入っていない。色の付いた寒天とともに、いつも取り合いになったように思います。*2020.7上野にて【傍題季語】餡蜜(あんみつ)【季語の説明】賽(さい)
2018.04.17一日一季語松の緑摘む(まつのみどりつむ)【春―生活―晩春】緑摘む池の中より梯子立て青柳志解樹青柳志解樹(あおやぎしげき、1929年1月24日-)は、長野県出身の俳人。。1953年、林邦彦を知り、加藤楸邨の「寒雷」に投句。1957年「鹿火屋」に入会、原コウ子に師事。1979年「山暦」を創刊・主宰。1992年、句集『松は松』で第32回俳人協会賞、2014年『里山』で第3回与謝蕪村賞を受賞。2018年『冬木の桜』で第5
2021.5.23一日一季語老鶯(ろうおう《らうあう》)【夏―動物―三夏】老鶯や峠の宿の露天風呂池田節先日泊まった宿の朝、老鶯の鳴き声が響いていました。この句の、露天風呂の開放感、峠の宿という山の中の景に憧れます。老鶯の鳴き声を欲しいまま浴びたいです。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。【傍題季語】老鶯(おいうぐいす《おいうぐひす》)夏鶯(なつうぐいす《なつうぐひす》)乱鶯(らんおう《らんあう》)残鶯(ざんおう《ざんあう》)
2021.4.19一日一季語青梅(あおうめ《あをうめ》)【春―植物―晩春】梅の実の競ひ合ひたる青さかな松嶋一洋狭庭の梅も、実を付け始めました。梅で有名な和歌山県では、青い梅の収穫が6月上旬頃から、そして黄色い梅が6月中旬から下旬にかけて、ということが多いようです。一方、北関東になる群馬県の農家では6月中旬から梅の収穫が始まるとのこと。今年は暖かいので梅の収穫も早まるかもしれません。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。【傍題季語】梅の実(
2021.6.9一日一季語花菖蒲(はなしょうぶ《はなしやうぶ》)【夏―植物―初夏】むらさきは業平の色花菖蒲林いづみ「いずれ菖蒲か杜若」。どちらも優れていて選択に迷う、あるいは似ていてまぎらわしい、という意味で用いられる言葉です。この言葉の基になったのは、源平盛衰記や太平記などに記される源頼政と菖蒲前の恋物語なのだそうです。また、平安時代の歌人、在原業平が八橋に咲くかきつばたに愛しい女性の面影を見た『伊勢物語』の東下りの一節などにより、あやめやかきつばたは「恋の花」のイ
2021.7.8一日一季語燕の子(つばめのこ)【夏―動物―三夏】燕の子大口開けて道の駅坂根宏子群馬県の昭和町の道の駅でこの景を見ました。燕の巣の下には、ベニヤ板が置かれたり、貼り紙がありました。子ツバメの姿は、訪れる方にも癒やしを与えてくれます。最寄駅では、7月になって、ようやく子ツバメが巣から口を出している姿を見せてくれています。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.7.6最寄駅の子燕【傍題季語】子燕(こつばめ)親燕(
2021.5.21一日一季語竹の皮脱ぐ(たけのかわぬぐ《たけのかはぬぐ》)【夏―植物―三夏】竹皮を脱ぐやこどもはいつも旬辻美奈子初学の頃、沖にて一緒に学んだこともある辻美奈子氏。彼女の接している職業柄か、命を大事にし、生命力を感じられる句には秀句が多い。この句からも、季語の持つ成長していく力と子供を対比させ、生命力溢れた句に仕上げている。俳句はわび、さびの世界、美しい物を詠む、などだけの世界では無い、普段目にする、触れ合う事からも、生き生きとした句は生まれるのです
2020.5.11一日一季語著莪の花(しゃがのはな《しやがのはな》)【夏―植物―初夏】著莪の花塵ひとつなき平林寺齋藤朋子*2020.5.8静岡県平和公園にて平林寺境内林は、武蔵野の面影を残す雑木林として、1968年(昭和43年)国指定天然記念物になっています。道向かいの「睡足軒の森」を含め、約43ヘクタールもの広さがあります。元は乾いた荒れ地だった武蔵野台地が、玉川上水や野火止用水の整備によって潤ったということです。塵一つ無きという措辞から
2021.5.22一日一季語夏薊(なつあざみ)【夏―植物―三夏】靡き癖つきたる岬の夏薊伊藤美音子風に草靡く=風の吹くままに、草がなびき従う意から、人民が権力者の言うがままになる、また、小人が有徳者に服することなどのたとえにいう。などという言葉の意味を含んだ句ではなく、風の強い岬。そこに咲いている夏薊を写生しているのでしょう。擬人化した表現により、言葉の持つ意味を勘ぐってしまいました。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。【季語の説明】
2018.04.10一日一季語雛罌粟(ひなげし)【夏―植物―初夏】雛罌粟に日波風波あそびゐし館岡沙緻舘岡沙緻(たておか・さち)昭和5年5月10日、東京都江東区生まれ。42年「春嶺」入門。45年第9回春嶺賞受賞。63年春嶺功労者賞受賞。平成4年「朝」入会。10年2月「花暦」創刊主宰。*2015年の昭和記念公園です。【傍題季語】虞美人草(ぐびじんそう《ぐびじんさう》)美人草/ポピー*4月7日の大宮にて【季語の説