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私は刀が好きですが、さほどに勉強のような事をしているわけでもありません。ただ、成瀬関次の実戦刀譚はネットで読める事もあり読んでいます。ちょっと文章が古くて読みにくいのですが、刀好きには必読の書ではないかと思われます。↓↓『実戦刀譚』成瀬関次|FINLANDIA-楽天ブログFINLANDIAの『実戦刀譚』成瀬関次のページです。plaza.rakuten.co.jp軍刀修理職人として日中戦争に従軍した成瀬氏の貴重な実戦での日本刀の資料です。日中戦争では日本刀が大
日本刀の焼き入れはよく知られているのでイメージできる人が多いと思うのですが、焼き戻しについては知らない人も多いと思います。少なくとも私はよく知りませんでした。土置きして火に入れて加熱して水で冷やす。これが焼き入れ。よく知られた工程だと思います。このままだと刀身が硬くて脆い状態なので、もう一度火に入れて軽く炙る。これが焼き戻し。都合よく焼き入れから焼き戻しまで写っている動画がありました↓焼入れ後に火で炙ってまた水につけて、という工程まで動画で映されています。
小柄(こづか)と笄について。ざっくりいうと刀の鞘に取り付ける装飾品、ドレスアップアイテムです。せっかく刀を買ったので小柄や笄も取り付けてみたいなと思い少しネットでしらべていました。ちなみに、ネットで「小柄」と検索したら小柄(こがら)な女性向けの服とかそんなサイトもでてきます。今回の小柄は「こがら」じゃなくて刀につける「こづか」です。小柄は刀の鞘に装着する小刀の事です。日用使いするための刃物だったようです。現在の日本でナイフがなくても日常で困る事は
刀剣のコンクールがいくつかあります。毎年開催されるのもの↓現代刀職展(日刀保)刀職技術展覧会(刀文協)お守り刀展覧会(全日本刀匠会)これらの展覧会の受賞者リストを見ていて気になった事があります。日刀保のコンクールで特賞をとった人の刀が同じ年の刀文協のコンクールでは入選止まりだったり、刀文協のコンクールで入賞を重ねる刀匠の刀が日刀保のコンクールでは入選止まりだったり。これらのコンクール。それぞれ審査基準が違うのでしょうか?もちろん刀の出来は一振りごとに異なるも
備前長船助光刀匠に依頼した注文打ち。ついに完成しました。72.6cm・反り18mm以下は鍛治研ぎ後の数値元重8ミリ先重ね5.8ミリ幅は注文通りなら元幅32ミリ先幅23ミリちなみに茎が長めで7寸5分刀身重量が重くて908g鞘を払って1255g色々考えた結果、普通の寸法が一番と思いこういう感じになりました。重ねは少し厚め。そのため長さの割には重たいです。研磨は思う所あって美術研磨の最後の工程の「拭い」「刃取り」をしていません。いわゆる居合研磨です。切
刀が好きな人間としては刀匠から直接なにかを教えてもらうと嬉しくなるものです。それが本やネットには書かれていないような事だと、なんだか「刀作りの真実」とか「業界の真実」の一端を知ったような気になってしまったりします。これは私が作刀依頼に関して助光刀匠と連絡を取り合っていた時に、ついでに色々教えてもらって実感した事です。客観的にみると、こういう体験をした人は日本刀の注文打ちを経験した人や刀匠と個人的に親しいような人であればきっと他の人も経験してきた事なのだと思います。注文打ちを
「斬る」と「切る」読み方はどちらも「きる」同じ読み方だからなんとなく両者の区別がつきにくいわけですが、自分でも感覚的に意味の違いがわかったのは最近です。違う意味の動詞なので字が違う。「斬る」(叩いて衝撃を与えて割る)https://www.touken-world.jp/tips/71968/↑刀剣ワールドの記事ではこのように簡潔に説明されています。↑前にも紹介した事がある動画なのですが、摸造刀で竹を斬っています。叩き折っているという感じ
↑助光刀匠の弟子:見習いホーリー氏の兜割チャレンジ『鉄兜が届いたのですが、、、』兜割りに使えるかなと思い、日本軍の鉄兜をヤフオクで購入しました。正式名称90式鉄帽、お値段15000円。昔の本物をリペイントして、内部の革や紐と表の偽装網は現…ameblo.jp↑以前ヤフオクで買ったもので、助光刀匠の所に伺った時にお土産に持って行きました。機会があればぜひ兜割をやってみて欲しくて。『刀匠に会いに行ってきました』昨日は注文打ちの打ち合わせをしに備前長船助光刀匠のところに伺いました
「日本刀は曲がりやすい。畳表巻き一本斬るだけでも刃筋が通っていなければ曲がる」こんな風に聞いた事があります。試斬をする武道家が書いていたと思います。これは事実なのだと思います。ただ、それは研ぎ減りや金属疲労で曲がりやすくなっていたからなのではないかと思われてならないのです。新作の刀とか、曲がった後に熱処理をして補強した刀であればそんなに簡単には曲がらないのでは?と思ったので、ちょっと書いてみようと思います。・・・・・日本刀で試斬をする時に、新作刀を使用する事は稀だと思いま
日本刀の切れ味について、さほど刃物に詳しくない人には誤解があると思うんですよ。詳しくない人ほど日本刀の切れ味を過大に思っているような気がします。日本刀は家庭用包丁ほど切れません。これはどんな名刀でも例外なくです。日本刀は紙や野菜を切るような刃付けをしていないからです。本当に斬れるの?本物の日本刀で試し斬りしてみたら想像以上だったw★チャンネル登録はこちらhttps://www.youtube.com/channel/UCaminwG9MTO4sLYeC3s6udA?sub
注文打ちの大脇差が完成しました。以下は打ち下ろし直後に刀匠から頂いたコメント↓寸法は、刃渡り59センチ、800gです。元3.3センチ、先3センチ元重7.8ミリ、先6.8ミリになります。先重ねを薄くすると,必然的に幅は狭くなります。大切先なので、先幅が無いと、もやしの様に細くて頼りない切先になりますから、先重ねが厚いのはご理解ください。試し斬り刀が2尺4寸で750g、居合刀が700gな
日本刀を見ると、樋(刀身に掘られた溝)のある刀と、樋の無い刀が有ります。私の店では、圧倒的に樋の無い刀が多いです。何故かと言うと、私自身が斬るからです。知識と言うよりは、経験則なのですが、樋の無い刀は、刀が曲がっても、研師さん等のプロに任せると、ほぼ完全に真直ぐに戻してくれます。しかし、樋のある刀は、曲げてしまうと、捩れが生じやすく、捩れるとプロの研ぎ師さんでも完全には元に戻せなくなります。なので、斬る人は、樋の無い刀を使う事が多いのです。刀が曲がると言うと、「あんな堅
・日本鍛冶宗匠といって刀匠の一番トップであった刀匠が作った刀が、決闘の現場で木刀で叩かれて折れている。・古い記録の中には、馬から落ちた時に腰の大小のどちらかが鞘の中で折れた。・犬を棟打ちしたらぽきんと折れた。藤安将平刀匠講話4-建勲神社kenkun-jinja.orgその一方で実戦で刀が折れる事は無かったというお話もある。成瀬関次著『実戦刀譚』-日本刀は折れない-FINLANDIA:楽天ブログ日本刀は折れない世の刀剣家の十人が十人まで「こうした刀はこれ
使わないけど使える刀が欲しい。そんな所から色々調べて注文打ちで刀を作りました。過去に書いた事も合わせて、一度まとめておきたいと思います。刀身・鞘・柄について。基本的にはすべて伝統的な素材・製法で、お金を払えば入手可能な範囲で。今回は刀身刀身に関しては刀が好きな人はそれぞれに考え方にこだわりも強いので書くのが難しいです。一応はじめに言っておきますが、以下の記述は言うまでもなく私の妄想です。・・・・・結論をはじめに書いておきます。複数人
鞘が工作から返ってきました。刀剣画報に申し込むため、改めて大脇差の紹介。紹介文名前トトメス@totomesu0330物心ついた頃から刀剣類が好きで22歳の時に初めて刀を買いました。2020年に縁あって助光刀匠に大小の作刀を依頼。大刀はごく普通の姿にしたので脇差は思い切って好き嫌いが大きく分かれるようなものにしようと考え、これを作ってもらいました。おそらく造りの大切先
『三尺刀入荷しました!!!』なかなかに大迫力のお刀です。作者は、慶正刀匠、無鑑査刀匠松葉國正刀匠の門下と成ります。新作刀展での優秀賞など、既にその優れた技量が世間にも…ameblo.jpありがとうございます。これは出品刀の影打ちとして作成したものの一振りです。こうして日の目をみさせてあげられたのは嬉しいですね!しかしまだ短刀やら刀やら未完成で残っているのでこれ等もなんとかしてやりたいと思っています。—冨岡慶正(@yoshimasa_sword)April
昨日、岐阜県関市のある居合刀メーカーの社長と話をしていました。時々、工作をお願いするのですが、その督促と、今後の見通しについてです。刀を作るときは、一般に、刀匠が刀を打つ↓研師が下研ぎをする↓白金師がハバキを作成する↓鞘師が、柄と鞘の下地を作る↓塗師が鞘を塗り、柄巻師が柄を巻く↓研師が仕上げ研ぎを行う↓完成というのが、関辺りでの一般的な流れかと思います。
焼入れ時に刀身が反るのは土置きをするからだと思っていたのですが、土置きをしなくても焼き入れで反るそうです。大橋刀匠が教えてくれました。大橋刀匠は土置きをしない焼き入れの刀を作製されています。「ズブ焼き」とか「裸焼き」と呼ばれる技法です。中世にはよく行われていたようで、有名な山鳥毛はこの裸焼きだといわれています。山鳥毛↓江戸時代以降は全く作られていなかったのですが、平成期に杉田善昭刀匠という人がこの方法を再発見?して盛んにこの裸焼きの刀を作りました。現在、大橋刀匠がこ
こんにちは、久津間です。前回の『踏張』迄で時代推定で使用する見所は紹介致しましたので、今回は別の見所を紹介しましょう。製作年代の推定の重要性について造込,反,身幅,切先,踏張,刃長という姿,体配から製作年代を推定した後、どうしましょうか。中心を見ない入札鑑定の場合であればさらに絞り込みたいですし、鑑賞をしている際は更なる見所を知りたいでしょう。そこで今回紹介するのは『地肌(じはだ)』です。まずは刀がどのように造られるのかを「ざっくり」見ていきましょう。造る
「現代刀はもろい」「現代刀は折れる・折れやすい」よく聞く言葉です。短刀を落としたら刃がパリンと割れてしまったとか、電気スタンドに当あたった時に刃が欠けてしまったとか、真偽不明ではありますが見かける話です。他にもこういう実例を挙げてくれている人もいます。『刃こぼれする現代刀』所持している現代刀で直径2㎝の青竹を斬っただけで刃こぼれしたものがあるけど、写真の様にビスケットみたく欠けた。新刀や古刀だと直径6㎝だろうが10㎝だろうが刀が…ameblo.jp>RT初めて買っ
杉田善昭刀匠を偲んでいつもブログをご覧頂き感謝いたします過去のブログで皆様によく見て頂いているのが杉田善昭刀匠の記事です杉田善昭刀匠が亡くなって今年で10年杉田善昭刀匠のことをもう一度思い出して欲しいとの思いから杉田氏の鍛冶場を訪問し春霞刀苑に投稿したものをもう一度掲載しました在りし日の杉田善昭刀匠をご覧ください杉田善昭刀匠の鍛冶場見学行平成20年5月3日、かねてから広島県支部が計画をしてい
現代刀の年間製造本数制限とそこで生じる問題点|松田次泰|テンミニッツTV刀匠松田次泰/『名刀に挑む』(PHP新書)の著者である松田次泰氏は、日本刀一筋40年、現代の刀匠として名人の誉れ高い刀鍛冶である。その松田氏が、現代刀の年間製造本数制限とそのことで生じる問題点について語る。(全3話中第1話)10mtv.jp↑ちょっと興味深い記事をみつけました。日本刀の製作数の制限について文科省に問い合わせたという話です。参議院議員が文科省に「年間24本というのは、どういうことです
元々ブログを書かれているのですが、最近アメブロでも書きはじめられました。私が敬愛する備前長船助光(森光秀)刀匠。まあ、この記事とか他の記事を読んで頂ければわかると思いますが、かなり危ない思想の人です。まさに令和の危険人物。狂気の刀匠です。そして、そんな刀匠が作る刀も相当ヤバいわけです。こんな時代に、美しい刀より頑丈な刀、斬れる刀、人間を殺すための刀を作るために心血を注ぐ刀匠です。かつて玉砂利を切って石斬丸と呼ばれた刀がありますが、刀匠の刀は玉砂利どころ
刀の原料には不純物がたくさん含まれています。その不純物の部分が熱せられると空気の層を作って鍛え疵・鍛え割れを作るようです。↓こういうのこういう鍛え割れとか、ふくれが破れたものを埋金で目立たなくする事もあるようです。上手い埋金は埋金されている事が全くわからなくなるほどだそうです。でも、本物の無傷無欠点の刀を有難がる風潮が強いですので埋金された刀は嫌われる傾向にあるようです。物打ちから先の刃先に埋金があると、斬った衝撃で埋金がポロっとはがれてしまったりする
使わないけど使える刀が欲しい。そういうコンセプトで色々調べて注文打ちで刀を作りました。過去に書いた事も合わせて、私が調べた事や考えなどを一度まとめておきたいと思います。刀身・鞘・柄について。基本的にはすべて伝統的な素材・製法で、お金を払えば入手可能な範囲で。『刀の柄』使わないけど使える刀が欲しい。そんな所から色々調べて注文打ちで刀を作りました。過去に書いた事も合わせて、一度まとめておきたいと思います。刀身・鞘・柄につ…ameblo.jp『鞘について』
杉田善昭刀匠を偲んでⅡいつも日本春霞刀剣会広島県支部のブログをご覧頂き感謝いたします。過去のブログで皆様によく見て頂いているのが杉田善昭刀匠の記事です。杉田善昭刀匠が亡くなって今年で8年、杉田善昭刀匠のことをもう一度思い出して欲しいとの思いから、杉田氏の鍛冶場を訪問し春霞刀苑に投稿したものをもう一度掲載しました。在りし日の杉田善昭刀匠をご覧ください。
前に、古代の直刀ってどうやって作っていたんだろう?焼入れで反るはずなのになぜ真っ直ぐなんだろう?という内容の記事を書いた時に、助光刀匠から以下のようなコメントを頂きました↓刀の焼き入れは、今の玉鋼でも同じ様に焼き入れして、反る時、反らない時、逆に内反りになる時がランダムであります。上古刀時代は、研師が言うには、かなり柔らかいそうなので、反っても簡単にふさると思います。なので、内反りは困るので、反らせる気持ちで焼き入れして、叩いて伏せるのが効率的です。それより、火造りで,
たぶん、普通サイズの日本刀の原価は7〜10万円くらいだと思います。備前長船助光刀匠が過去に炭鉄代で八万円と書かれていたので。失敗作:備前長船助光作刀奮闘記失敗作でも、試し斬りに使えない刀は切断される運命になります。今回の件で自分の身の程がわかりました。後一歩で何かを掴めそうですが、引き際が大切です。今年度に入ってから、まだ1振りも注文の刀が成功していません。失敗した刀を材料費以下で売る事が続いてblog.livedoor.jp鍛冶場の維持費を含めて原価を一振り10万円で計算してみます。
日本刀の製作数・作刀数の制限は存在しない!?|日本刀とか趣味のブログ(ameblo.jp)↑先日書いた記事ですが、日本刀の作刀制限は存在しないのではないかという驚きの記事。ここに登場する参議院議員の山田宏氏にメールで問い合わせてみたのですが、なんと山田議員の事務所から返事がきました!役所からの返事のPDFファイルを送ってくれました。ちゃんと太刀・刀・薙刀等は15日以上、脇差・短刀等は10日以上と公文書に記載されていたわけです。でも、まさか返
春らしい話題を一つ長船兼光と長義、どちらも南北朝時代に備前伝に相州伝を加味した「相伝備前」という作風を創作しました。その両者の刃文の形の違いから、梅の花と桜の花に例える事があります。刃文の頭の形が丸いのと切れ目があるのとで呼び分けているようです。昔の人達は、感性が豊かですね。長義の刃文は、人間の耳みたい形とされ「耳形の刃文」とも呼ばれます。