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日本刀の切れ味について、さほど刃物に詳しくない人には誤解があると思うんですよ。詳しくない人ほど日本刀の切れ味を過大に思っているような気がします。日本刀は家庭用包丁ほど切れません。これはどんな名刀でも例外なくです。日本刀は紙や野菜を切るような刃付けをしていないからです。本当に斬れるの?本物の日本刀で試し斬りしてみたら想像以上だったw★チャンネル登録はこちらhttps://www.youtube.com/channel/UCaminwG9MTO4sLYeC3s6udA?sub
刀に取り付ける「笄(こうがい)」ネットで調べると説明書きには、「マゲを結うために使う」とか「櫛のようなもの」とかそんな感じで書かれているのですが、イマイチ使い方がよくわからなかったんですよ。まあ、そんなに本気で調べてもいなかったのですが昨日何かの記事でみた使い方で腑に落ちたというか納得できた感じがします。「髪型を崩さずに頭を掻く時に使う」そう書かれていました。これは納得です。マゲのようにきっちり髪を縛ってしまうと手で痒いところを掻いたら髪
鍛疵とか鍛割れといわれる刀身のキズ。↓こういうの棟でも鎬地でも刃でも、どこにでも出ます。ネットで調べると「鍛錬が不十分な場合に出来る」という意味の事が書かれている事もあるのですが、実際はどうも違うようです。備前長船助光刀匠の話では、鋼に含まれる不純物が原因で出来るもので鍛錬技術とは無関係だそうです。現代的な工業生産の鉄鋼と比べると、たたら作りの玉鋼というのは比較にならないくらい不純物が多く含まれていて性質も不安定です。そんな鋼に含まれる微細
「古刀再現」現代刀匠の目標としてよく見かける言葉です。ただ、これについて前々から思っている事があります。「150万円で古刀に似た現代刀が作れたとして、誰が買うんだろう?」古刀が好きな人は「古刀に似た現代刀」ではなくて古刀を買うのでは?と思われてならないのです。観賞レベルの刀の注文打ち価格は概ね100~200万円くらいです。この価格帯だとそれなりのレベルの古刀が買えてしまいます。「古刀再現」は現代刀匠にとってとても崇高な目標だというのは理解しているつもりです。でも、それが実
備前長船助光刀匠に依頼した注文打ち。ついに完成しました。72.6cm・反り18mm以下は鍛治研ぎ後の数値元重8ミリ先重ね5.8ミリ幅は注文通りなら元幅32ミリ先幅23ミリちなみに茎が長めで7寸5分刀身重量が重くて908g鞘を払って1255g色々考えた結果、普通の寸法が一番と思いこういう感じになりました。重ねは少し厚め。そのため長さの割には重たいです。研磨は思う所あって美術研磨の最後の工程の「拭い」「刃取り」をしていません。いわゆる居合研磨です。切
道具は目的に対して作られるものです。巻藁(畳表巻)を切るなら薄くて幅広にカミソリのような刃の刀が良いでしょう。竹を斬るなら分厚くて重い刀が良いでしょう。でも、刀って人を斬るための道具のはずなので、そういう刀でモノを切るってのも何か本筋ではない気がするんですよ。竹を斬るのに最適な刀は持ち歩くには重すぎるし、巻藁を切るのに最適な刀は強度が足りないわけです。居合は武道なのだから人間を斬るのに最適な刀で巻藁とか竹を斬って修練するから意味があるのではないのかな?と思うのですが
前にも少し書きましたが、短刀くらいの長さの刀に脇差サイズの鍔と鞘の外装を合わせた刀を何度か見た事があります。↑まさにこんな感じの刀です。刃長に対して鞘は長すぎて鍔は大きすぎる。納刀状態だと普通の脇差にしか見えないのですが、抜くと短刀。脇差を買えない貧乏な武士の工夫かと思っていたのですが、違うようです。以下、助光刀匠から頂いたコメント↓「脇差サイズの鞘に短刀が入ってるのは、抜こうとする手を抑えられた時に、腰を引いて抜く為です。そんな技が古流には残ってるの
刀の鍔を買おうかなと鍔を見ていて「アレ?」と思いました。小柄を通す穴(小柄櫃)がすべて左側にあります。小柄だけを取り付ける事はあっても笄だけを取り付けるという事はないはずなので、穴が一つの鍔はすべて小柄の櫃穴のはずですが、すべて穴が左側にあります。「これ、鍔の裏側なのでは?」と思っていたのですが全ての写真がこの向き、つまり小柄の櫃穴が左側なのでどうもこれが表側のようです。どうも私は勘違いをしていたようです。つまり、鍔の表というのは柄側の方で、裏側が
日本刀には肌目というものがあります。日本刀は何層もの薄い鉄の層が合わさってできているため、その層の境目が模様となって見えるのです。肌・地肌・地鉄・鍛え肌・肌目などと呼ばれるもので、日本刀の美しさの一つです。こんな感じです。しかし、層が薄いのでよーく見ないと見えません。写真ではわからないレベルのものが多く、博物館や刀屋で直接みてもわかりにくいです。自分で手でもって少し角度を変えながら光の角度を変えながらみると見えやすくなります。普通に写真に撮ってもよく写ら
「拡散希望」です。刀鍛冶に弟子志望の人はおりませんか?育てられる環境はあります。受け入れる気持ちもあります。ダイレクトメッセージなどでコンタクトしてみてください。—将成鍛刀場(@masashige910)July26,2022↑工藤将成刀匠の弟子を募集するtweetが炎上気味に盛り上がっています。炎上している理由はその条件です。刀鍛冶への弟子入りについて|910masashige|note結論を端的に言うと、「弟子入り希望を受け入れます。」以前にT
↑助光刀匠の弟子:見習いホーリー氏の兜割チャレンジ『鉄兜が届いたのですが、、、』兜割りに使えるかなと思い、日本軍の鉄兜をヤフオクで購入しました。正式名称90式鉄帽、お値段15000円。昔の本物をリペイントして、内部の革や紐と表の偽装網は現…ameblo.jp↑以前ヤフオクで買ったもので、助光刀匠の所に伺った時にお土産に持って行きました。機会があればぜひ兜割をやってみて欲しくて。『刀匠に会いに行ってきました』昨日は注文打ちの打ち合わせをしに備前長船助光刀匠のところに伺いました
鞘が工作から返ってきました。刀剣画報に申し込むため、改めて大脇差の紹介。紹介文名前トトメス@totomesu0330物心ついた頃から刀剣類が好きで22歳の時に初めて刀を買いました。2020年に縁あって助光刀匠に大小の作刀を依頼。大刀はごく普通の姿にしたので脇差は思い切って好き嫌いが大きく分かれるようなものにしようと考え、これを作ってもらいました。おそらく造りの大切先
↑この1週間で急にアクセス数が増えた過去記事があります。1年ほど前に書いたこれ↓無鑑査刀匠の刀の価格:HoyKey氏の祖父の刀|日本刀とか趣味のブログ(ameblo.jp)動画ではこのユーチューバーの父の刀鍛G氏の名前が出ていないので誰なのか調べるために検索されたのでしょうか。過去にネットで検索したところ、おおよその見当はつきました。どこまで書いて良いのかどうか、そもそも当たっているのかどうかもわかりませんが、もう一度私なりの推測を書いてみたいと思います。
さっきの記事で、古刀は折り返し鍛錬を重ねただけの無垢鍛えが主で、新刀期に芯金を皮鉄で巻いて割り込み作りが普及した、、、という意味の事を書いたのですが、備前長船助光刀匠から貴重なご意見を頂きました。以下、そのお言葉・・・・・ボロばかりの切断ですが、今まで鎌倉時代から軍刀まで、100振り以上の刀を切断して来ましたが、古刀は、殆どが芯金が使われてました。名刀とされる場合も、フクレの破れから推測すると、皮金が薄いです。古刀は無垢と言う話をネットや本でみますが、実際に無垢で鍛えた刀
刀が好きな人間としては刀匠から直接なにかを教えてもらうと嬉しくなるものです。それが本やネットには書かれていないような事だと、なんだか「刀作りの真実」とか「業界の真実」の一端を知ったような気になってしまったりします。これは私が作刀依頼に関して助光刀匠と連絡を取り合っていた時に、ついでに色々教えてもらって実感した事です。客観的にみると、こういう体験をした人は日本刀の注文打ちを経験した人や刀匠と個人的に親しいような人であればきっと他の人も経験してきた事なのだと思います。注文打ちを
注文打ちの大脇差が完成しました。以下は打ち下ろし直後に刀匠から頂いたコメント↓寸法は、刃渡り59センチ、800gです。元3.3センチ、先3センチ元重7.8ミリ、先6.8ミリになります。先重ねを薄くすると,必然的に幅は狭くなります。大切先なので、先幅が無いと、もやしの様に細くて頼りない切先になりますから、先重ねが厚いのはご理解ください。試し斬り刀が2尺4寸で750g、居合刀が700gな
↑昨日のこのブログのアクセス数3日前に書いた刀匠の炎上tweetの記事がすごく多いです。3日前に書いた記事なので一昨日はもっと多かったです。この記事↓『刀匠の投稿が炎上気味』「拡散希望」です。刀鍛冶に弟子志望の人はおりませんか?育てられる環境はあります。受け入れる気持ちもあります。ダイレクトメッセージなどでコンタクト…ameblo.jp刀匠の弟子募集の要項が大衆の反感を買い炎上してしまったわけです。しかし多少でも業界の事を知っている人であれば、令
『三尺刀入荷しました!!!』なかなかに大迫力のお刀です。作者は、慶正刀匠、無鑑査刀匠松葉國正刀匠の門下と成ります。新作刀展での優秀賞など、既にその優れた技量が世間にも…ameblo.jpありがとうございます。これは出品刀の影打ちとして作成したものの一振りです。こうして日の目をみさせてあげられたのは嬉しいですね!しかしまだ短刀やら刀やら未完成で残っているのでこれ等もなんとかしてやりたいと思っています。—冨岡慶正(@yoshimasa_sword)April
使わないけど使える刀が欲しい。そういうコンセプトで色々調べて注文打ちで刀を作りました。過去に書いた事も合わせて、私が調べた事や考えなどを一度まとめておきたいと思います。刀身・鞘・柄について。基本的にはすべて伝統的な素材・製法で、お金を払えば入手可能な範囲で。『刀の柄』使わないけど使える刀が欲しい。そんな所から色々調べて注文打ちで刀を作りました。過去に書いた事も合わせて、一度まとめておきたいと思います。刀身・鞘・柄につ…ameblo.jp『鞘について』
元々ブログを書かれているのですが、最近アメブロでも書きはじめられました。私が敬愛する備前長船助光(森光秀)刀匠。まあ、この記事とか他の記事を読んで頂ければわかると思いますが、かなり危ない思想の人です。まさに令和の危険人物。狂気の刀匠です。そして、そんな刀匠が作る刀も相当ヤバいわけです。こんな時代に、美しい刀より頑丈な刀、斬れる刀、人間を殺すための刀を作るために心血を注ぐ刀匠です。かつて玉砂利を切って石斬丸と呼ばれた刀がありますが、刀匠の刀は玉砂利どころ
現代刀の年間製造本数制限とそこで生じる問題点|松田次泰|テンミニッツTV刀匠松田次泰/『名刀に挑む』(PHP新書)の著者である松田次泰氏は、日本刀一筋40年、現代の刀匠として名人の誉れ高い刀鍛冶である。その松田氏が、現代刀の年間製造本数制限とそのことで生じる問題点について語る。(全3話中第1話)10mtv.jp↑ちょっと興味深い記事をみつけました。日本刀の製作数の制限について文科省に問い合わせたという話です。参議院議員が文科省に「年間24本というのは、どういうことです
杉田善昭刀匠を偲んでⅡいつも日本春霞刀剣会広島県支部のブログをご覧頂き感謝いたします。過去のブログで皆様によく見て頂いているのが杉田善昭刀匠の記事です。杉田善昭刀匠が亡くなって今年で8年、杉田善昭刀匠のことをもう一度思い出して欲しいとの思いから、杉田氏の鍛冶場を訪問し春霞刀苑に投稿したものをもう一度掲載しました。在りし日の杉田善昭刀匠をご覧ください。
日本刀界隈(日本刀職方など)日本春霞刀剣会広島県支部は日本刀の世界をもっと活発にしたいと願ってホームページを立ち上げています。このホームページを見られてこの趣旨に合致するものであれば何でも取り上げたいと思っています。投稿やご意見など日本春霞刀剣会広島県支部にお知らせ下さい。日本刀の職方、関係者など日本刀に関することなどを取り上げて皆様に紹介していきたいと考えていますので、皆様宜しくお願いいたします。先ず最初に紹介するのは三上貞直刀匠です。我が広島県の北部にお住まいで現在、全日本刀匠
日本刀を見ると、樋(刀身に掘られた溝)のある刀と、樋の無い刀が有ります。私の店では、圧倒的に樋の無い刀が多いです。何故かと言うと、私自身が斬るからです。知識と言うよりは、経験則なのですが、樋の無い刀は、刀が曲がっても、研師さん等のプロに任せると、ほぼ完全に真直ぐに戻してくれます。しかし、樋のある刀は、曲げてしまうと、捩れが生じやすく、捩れるとプロの研ぎ師さんでも完全には元に戻せなくなります。なので、斬る人は、樋の無い刀を使う事が多いのです。刀が曲がると言うと、「あんな堅
刀剣乱舞薩摩刀笹貫が好きすぎて、聖地巡礼しましたとうらぶ、ずっとやってるけど、今まで好きになった源氏兄弟、豊前江、は、刀ミュ(ミュージカル刀剣乱舞)から。ゲーム実装と共にお気に入りになった刀は初めてかも。それで一路、鹿児島へあー、今日おっこんちゃん(おっきいこんのすけ)来てるなぁと思いつつ、「歌仙兼定さんごめんよぅ~今度行くね」と心の中で謝りつつ、熊本素通り〜鹿児島中央駅の目の前の路面電車乗って、いざ、笹貫へ笹貫駅、到着Googleマップ見ながら、まず笹貫
長船助光刀匠に依頼していた注文打ちが上がってきたため、斬柄を装着し軽く試験を実施した。最初は角材。幅2cm以上のものだが、スッパリと斬れて刀身にも損傷無しで良い結果だった。これで竹試斬もやろうかと思ったがいきなり竹試斬をすると大きく刃こぼれする可能性があるため、いつも乾燥した細い竹の棒で強度試験を実施している。この乾燥した竹棒で刃先に対してペチペチと真上から軽く叩く。ペチペチとこの竹棒で軽く刀身を叩いたところ、刃が少し潰れた。普段竹試斬で使用している昭和初期に製
いま日本に何人くらい刀鍛冶がいるのか「1989年に300人いた刀工は2017年には188人に減少している」ウィキペディアにこう書いてありました。4年たっているのでもう少し減っているでしょう。資格を持っているだけで作刀していない人もたくさんいるようですので、現役で刀を作っている刀匠はかなり少ないと思いますが、何人くらいかは推測できません。年々刀匠の数が減っているのはとても残念です。なぜ刀匠の数が減るのか。刀が売れないからでしょう。なぜ刀が売れないのか
小柄(こづか)と笄について。ざっくりいうと刀の鞘に取り付ける装飾品、ドレスアップアイテムです。せっかく刀を買ったので小柄や笄も取り付けてみたいなと思い少しネットでしらべていました。ちなみに、ネットで「小柄」と検索したら小柄(こがら)な女性向けの服とかそんなサイトもでてきます。今回の小柄は「こがら」じゃなくて刀につける「こづか」です。小柄は刀の鞘に装着する小刀の事です。日用使いするための刃物だったようです。現在の日本でナイフがなくても日常で困る事は
前の記事で榎本武揚の記事を書いたので、彼が作らせた流星刀の事も書いておきたいと思います。榎本武揚が明治時代に鉄隕石(隕鉄)で作らせた刀が「流星刀」です。もちろん現存します。めちゃくちゃ肌目がわかりやすいですね。古代から隕鉄で刀剣が作られる事は稀にあったのですが、日本刀様式の折り返し鍛錬で作られたのはこれが史上初です。ロシアで隕鉄刀を見た榎本が自分も欲しくなって作らせたそうです。ニッケルの含有量が多いため、折り返しても鉄の層がくっつかず刀匠を悩ませた
今回東京の刀剣博物館で古い名刀を見て感じた事があります。「現代刀は古刀に及ばない」刀剣鑑賞の愛好家からよく聞く言葉。なぜこう言われるのか?毎度間違いと偏見しか書いていませんが、今回は古刀の見所というものについて考えを書いてみたいと思います。・・・・・4月に刀座で古い刀を大量に見た時に自分も感じた事なのですが、古刀と現代刀では質感が違う。古刀の潤うような鉄の質感。これと同じような質感の現代刀というのは私は見た事がありません。こういうものが日本刀だという観念がある