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二月十五日涅槃会。けさは早かつた、御飯をたべて、おつとめをすまして、しばらく読書してゐるうちに、六時のサイレンが鳴つた。朝月夜がよかつた、明けゆく風が清澄だつた。読書、読書、読書に限る他に累を及ぼさないだけでもよろしい。アメリカは黄金を抱き込んで、しかも貧乏に苦しんでゐる!これに似た人間が日本にも存在する、黄金を食べても餓は凌げないのだ、胃は食物を要求してゐるのだ、物そのものの意義を理解しなければ駄目だ。くわう/\として日が昇る、かたじけないと思ふ。小為替一
二月十六日けさも早かつた、四時頃だつたらう、昨夜の今朝だから、感服しても差支ない。朝の読書はほんとうによい、碧巌第二則、至道無難、趙州和尚の唇皮禅に敬服する。そのものになりきる、――これこれ、これだ。午前は雪もよひで寒かつたが、午後は晴れて暖かだつた、そこで、樹明君と会して、鰯で一杯やらうといふのだ。焼酎即死!と思ひながら、どうしても縁が切れない。滓を飲んで旦浦時代を追憶した、滓なんて飲む人があるからおもしろいと、あの時代は考へてゐたが、今の私はその滓でさへろ
二月十三日降霜結氷、つめたいけれどうららかだ、冬三分春七分。けさ、はじめて笹鳴が耳にはいつた、ずゐぶんヘタクソだつた、それでよろしい。内容充実の手紙が来ないので、山口行乞を実行した、山口は雪もよひで寒かつた、行乞三時間、悪寒をおぼえるので、急いで帰庵した、途中で一杯ひつかけて元気回復。行乞は求めてすべきものではないが、しようことなしの行乞を活かすだけの心がまへは持つてゐなければならない。・朝月ひやゝけく松の葉に・葉がない雲がない空のうらゝか・枯葦の水にうつれ