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二月十九日今朝は早かつた、早過ぎた、四時頃でもあつたらうか、一切事をすまして、ゆつくり読書しても、まだサイレンは鳴らなかつた、しかし、早起はよい、朝の読書もよい、頭脳が澄みきつて、考へる事がはつきりする、あまり句は出来ないけれど自己省察、といふよりも自己観照――それが一切の芸術の母胎――が隅から隅まで行き届く、自分といふものが、そこらの一草一石のやうに、何のこだはりもなく露堂々と観照される。……今朝の片破月はうつくしかつた、星もうつくしかつた、空のすべてがうつ
二月十六日けさも早かつた、四時頃だつたらう、昨夜の今朝だから、感服しても差支ない。朝の読書はほんとうによい、碧巌第二則、至道無難、趙州和尚の唇皮禅に敬服する。そのものになりきる、――これこれ、これだ。午前は雪もよひで寒かつたが、午後は晴れて暖かだつた、そこで、樹明君と会して、鰯で一杯やらうといふのだ。焼酎即死!と思ひながら、どうしても縁が切れない。滓を飲んで旦浦時代を追憶した、滓なんて飲む人があるからおもしろいと、あの時代は考へてゐたが、今の私はその滓でさへろ
二月十七日サイレンが鳴る、お寺の鐘が鳴る、そしてしめやかな雨の音。めづらしい訪問者――猫がやつてきて、鰯のあたまを食べて行つた。歯がうづいて頭痛がする、暮れないうちから寝た、寝た、寝た、十二時間以上寝た。歯――抜ける前の痛みだ、去年は旅で上歯が三枚ぬけた、今年はもうすぐ下歯が二枚ぬけるだらう。噛みしめなければ、食物の味は出て来ない、それにしても酒が固形体でないことは、何といふ仕合だらう!・人も枯草も濡れてたそがれ・かあと鴉が雨ふる山へ遠く・茶の木もうゑかへ