ブログ記事1,702件
底から③最近寝覚めが良くない。日に日にあの夢を見る機会が増え、だがその内容は禍々しいものに変化していく。二人でよく鍛錬した場所にメヒが佇んでいるが、その姿は最期に見たあの中身が空洞になった姿だった。それでも彼女は言う。『懐かしいわ、ここも二人だけの場所よ。覚えてる?』「・・・ああ。・・・」だが、“覚えている”とは口から出なかった。はたして自分が覚えているのは、こんな姿のメヒと鍛錬した場所だろうか?浮き足立つ中、集中出来ない程に木漏れ日の様に穏やかな空気を浴びてい
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“空想的幸福論の二人”ですのでそのつもりで読んで頂けるとありがたいです✨。空想的幸福論[まとめ・後]長いのでお暇な時にでもどうぞ(^ω^)_凵2人のベッドシーン、描写は省きました。[2023.02.28]朝まだ日が昇る前に二人は目を覚ました。「夢の中でまた寝れるのだな・・・ふむ」「どこに感心しているの?チェヨンさん・・・」男性を自分のベッドに招き入れるなど人生で初めてで、ウンスに覆い被さって来るチェヨンに激しく動揺し、暫
誓約恋人㉖「・・・あのー?」駐車場から帰って来たトルベ達が、店前で2人の世界に入っているヨンに恐る恐る声を掛けると何だと睨まれた。――いや、俺達が悪いのか?困惑顔でトルベの後ろにいるトクマンも見つめており、ウンスも我に返るとヨンから離れ様と手を伸ばしたが彼は嫌だと言わんばかりにガッチリと腕を動かさない。「ちょっと、チェヨン」「まだイベントが終わっていないからユウンスも中にいて欲しい」「いるけど・・・」製薬会社の面々の痛い眼差しが気にならない事も無く、どうしたものかと考えていたがヨ
聖夜のバカヤロー!クリスマスイヴの夜、衛とうさぎはうさぎの家の近くでデートをしていた。二人だけのささやかな夜。12月に入り、うさぎの期末テストや衛の論文の締切が重なり、すれ違っていた。この日も衛の論文執筆の為、会えない事になっていた。しかし、せっかくの聖夜。衛としても愛する彼女と会えないのは寂しい。いてもたってもいられず、ノープランでマンションを飛び出し、うさぎの家へと向かう。すると、同じ気持ちで家から飛び出したうさぎと、途中で鉢合わせ。「まもちゃん!!?」「うさこ……」う
※こちらも短編という、他とはクロスしないお話です。契約恋人⑨レストランに入り2人が店内を見渡すと、窓側のテーブル席にヨンの両親が座っていた。「俺も2人に会うのは2年ぶりなんだが・・・」「貴方、祝日に帰らなかったの?」「親のどちらかが必ず急用が入って2人が揃わなかった」「ご両親が役員なのも大変ね・・・」話しながら席に近付くと父親が2人に気付き、一緒に来たウンスを不思議そうに見つめていたが、あ、と口を開け、「君は・・・、もしかして大邱市のユさんのお嬢さんかい?」「はい、お久しぶりで
契約恋人⑱「こんな広い部屋を1人で使っているの?」「元は両親が使っていた部屋で、1階上に上がったので空いただけなんだ」そもそもヨンが人事部や他の部署にデスクを置くと皆緊張するのか黙ってしまうという。「貴方が無愛想にしているから不機嫌だと思って声を掛け難くなるんじゃないかしら?」「多分、それだと思う。だから移った」「そこは昔と変わらないのねぇ」笑いながら言うウンスを眉を下げてヨンは見ていたが、インスタントコーヒーしか無いがとそれをテーブルに
契約恋人⑰結局ウンスが予約した部屋は使われる事は無く、チェックアウトする際はヨンが2つのキーをフロントに返した。「ありがとう」「あ、ありがとうごさいました」キーを返して来たヨンにフロントスタッフは焦りながら受け取り、支払いは2部屋ともヨンが払うと言う事に正面の2人をスタッフ達は伺ってしまう。何しろ彼の片手はずっと女性の手を握り締めているのだ。「まだ時間があるなら少し寄りたい場所があるんだけど」「今日の夜までに帰れればいいから」「なら、大丈夫そうだね」そんな会話をしながら2人は去
誓約恋人㉘〔最終話〕三日経ってもチェ製薬会社の話題がメディアで流れ続け、お客もまた店に来て繁盛している。普通の女性が財閥入り出来た話題性と実はヨンとウンスのご先祖の繋がりを結び付け、『まるでドラマの様だ』と盛り上がっている。それに加え、ヨンの顔が俳優なみに美形でもあり何処かの事務所がスカウトしに来たとかで――。「あらあら、私には来なかったわねぇ・・・」ムスッとするウンスを見て、『何を張り合っているんですか?』とスタッフ達に呆れられてしまったが、どうやらウンスに話に行く事はチェ家か
誓約恋人㉒『プラチナコスメアワード大賞を受賞したチェ製薬会社のコスメ店が遂に江南区に出店という事で、新会社社長のチェヨン氏、お気持ちはどうですか?』『はい、元々この場所に出店したいとの希望はありましたので夢が叶い幸せです』『キャー!』『元はチェ製薬会社の会社でもありましたよね?自社を減らす事に何か戸惑い等はありませんでしたか?』『いいえ、チェ製薬会社の関係者も納得した上ですし、この会社に残りたいと言ってくれた社員もおりまして。本当に有り難いと思っています』『キャー!』『あぁ、やはり
ずっと好きな人ーーーあの日から丸一年の“この日”がやって来た。私は東京に来て初めての冬を過ごしている。大学での授業を終えて帰る道、雪のない道路を歩いて、ここが東京だと言う事を実感する。去年までいた故郷の北幌は、冬と言えば雪が降り春が来るまでずっと雪が積もっていて、真っ白な雪原。そんな当たり前の景色は、ここ東京には無くて、常にアスファルトが出ていて歩きやすい。その代わりと言うとなんだけど、流石の大都会東京。祭りでもあるのか?と聞きたいくらい毎日人が多く、そういった意味では歩きづ
※こちらの話はあくまでも“契約恋人”のウンス、ヨン、世界設定だと思って下さいませね。契約恋人⑲叔母はいず、だが先程会議室にいた上層部の面々が再び集まり、その中心にヨンは椅子に座り黙っていた。「何ですか?まるで尋問の様ですが?」「そういう訳ではありませんが・・・」「我々はただ正直なチェ氏の言葉が聞きたいだけです」上層部の中でも比較的若い役員のイ氏がヨンの鋭い眼差しに圧され戸惑うと、すかさず隣りに座る古株の役員が声を出した。彼もヨンの父親と知り合いで、タン氏の様に企んではいないが考えが一
契約恋人⑪タン家の2人が約束したホテルのレストランに向かうと、チェ家のヨンの両親だけがテーブルに座って待っていた。「後からヨン氏が来るのかもしれないな」「・・・そうかしら?」自分に断って来たヨンが食事会などしたいと思う筈が無い。来るとすればそれは婚約破棄の為で、もしかしたらあの女性も連れて来るのではないか?とまでメヒは考えていた。テーブルの傍に行くと両親は椅子から立ち上がり、メヒの父親と握手をし、にこやかに話始める。「やぁ、久しぶりだね!」「数ヶ月前にアメリカでお会いしましたが、
誓約恋人㉔「・・・これも送ったのですか?」「はい、定期発注の中にリストがありましたので、送りましたが・・・駄目でしたか?」「いいえ、大丈夫です・・・。ですが、これは俺の専属契約先なので次回は送らないで下さい」「そうでしたか・・・すみませんでした」しゅんと肩を落とすサラに、「あー、そこまで落ち込まないで下さい。他の業務は彼奴らよりとても役に立っていますので」ヨンの言葉に素早くトルベとトクマンの鋭い眼差しが向いたが、引き続きよろしくとサラに言いヨンはその場を離れた。サラは眉を下げたま
心、境界線⑤「お食事ありがとうございました。久しぶりに沢山飲めて楽しかったです!」「いえいえ、こちらこそありがとうございます」お互い礼を言い合い思わず笑ってしまったウンスとヤン医師は、レストラン入口で会話をしていた。「・・・私はユ先生はもっと大きな病院の方が良いと思ったのですが、貴女の考えを聞いて良かったです」「そんなっ、・・・ヤン先生に気を使わせて本当に申し訳ありません」「私はユ先生の為にお手伝いしますよ。あ、今回のお返しに」「えー、別に良いのに、おっと―・・」足元がふらつきよ
心、境界線⑥彼の行動に呆れた者達は彼に話し掛ける事も無くなり、女性達もまた失望したのか彼で盛り上がる事も少なくなっていき、アン医師は孤立するヨンを心配したが彼は変わりなく普通に仕事をしていた。そして、アン医師は女性に謝罪して回るヨンの様子を見て気付いた事があった。それは付き合っていた女性は全て病院のスタッフ達だけで他職業は一人もいなかったのだ。これをイ医師に尋ねると、さも当たり前の様に話し、「だから、それさえも彼は気付いていなかったのですよ」何時もの淡々とした口調で返して来た。「そ
イトシイイトシイイウココロ㉝ん?ウンスが典医寺から出ると、ポツリポツリと雨が降り始めていた。「あらら雨?」薬草園に干し敷いた薬草を思い出しチャン侍医に教えようとして、はたと足を止めた。確か今は王様の往診に行っていた筈。しまったと思ったが普段の彼らの動きを思い出し、ウンスは薬草園に戻ると茣蓙(ござ)に干した薬草を籠に戻し始め、薬草特有の青臭さと湿った雨の匂いを嗅ぎウンスは大学時代の研修期間を思い出した。既に化学薬品しか無い時代だったが、時々研修では薬草から細胞を採取してもいた。時々
心、境界線④「わぁ、ありがとうございます!」ウンスは手に渡されたコーヒーと期間限定のパイに歓声を上げた。「申し訳ないね、お礼がこんな安いもので」申し訳なさそうに言うヤン医師の隣には2人では食べれるかという程のサンドイッチやパンが入った紙袋がまだあった。「他のスタッフ達も食べてくれたら嬉しいんだけど」「大丈夫です、皆喜んでくれますよ」そう言い笑いながらウンスも早速手にしたパイを口に頬張った。1週間前にヤン医師が上層部に申請した最新機器購入と更には医師達への実績に基(もとずく)正
※こちらも他とはクロスしないお話です。契約恋人⑮あの怒りは一体どこから薄まっていたのか?はたして本当はチェヨンに対してあの時程の憎しみは残っていたのか?俯く自分に覆い被さり全体重を乗せていないにしても、それでも背中に掛かる硬い筋肉と重さを感じながらウンスはそう考えていた。本来の彼は自分が記憶していた不器用な少年そのままで、彼が悪人で無い事をわかってしまうとふつふつとあった怒りは急速に小さくなっていく。正直な所、自分ではもうこの感情をどう扱って良いかわからなくなっていた。不安、行き場
デス・バスターズとの戦いが終わり、間もなくして学校は夏休みに入った。40日と言う長い休みを貰うなんて初めてて、ワクワクしていた。んだけど……夏休みに入ると同時にうさぎもまもちゃんも中学三年生と高校三年生で受験生でこの夏休みが勝負だと受験勉強を本格的に始めてしまった。うさぎが頑張らないといけないのは分かる。いつも赤点で酷い点数をたたき出しては育子ママに怒られているし、この前だって激怒されて期末テストまで毎日勉強させられていたし。自業自得って奴だ。だけどまもちゃんは普段からしっかり勉強をして
でんべさん年越し企画【悋気】恋をするのは難しく・・・①「滅多に入らない酒が入ったんだが。ヨン、飲んでみたいか?」赤月隊で任務完了した日、近くの飯屋に入り夕餉を口に含んでいるヨンに尋ねて来た。ヨンは咀嚼しながら向かいに座って酒瓶を持ちながら此方を見ている兄弟子を見返すと嚥下し、首を横に振った。「いらない。前にくれた酒はあまり口に合わなかった」「はあ?お前、あれは元の商人から買った酒だぞ?」「それでもいらないよ。メヒにでもあげればいいだろう?」「メヒは呑まねぇよ」全くつまらない弟妹
こんばんは、さこです(*^^*)この夏に彩りを添えてくれた「みなと商事コインランドリー2」も終わってしまいましたね。最終回が放送されてだいぶ日が経ってしまいましたが、思ったことを書かせてもらいます。ぶっちゃければ、最終回はある程度予想できる展開だったのに、それでも楽しめるって何なんでしょうね。このドラマ、オープニングからエンディングまで、スタッフのこだわりや作品への愛が詰まっていて、本当に温かい気持ちになりました私はいつもTVじゃなくて配信で見ていたので、オープニング映像は早送りな
心、境界線⑨いきなり玄関口に佇む大男にウンスと母親は唖然と見上げ反応が出来ないでいた。ヨンは表情を変えずウンスを見つめていたが、彼女の服装に気付いたのか眉を顰め始める。「・・・出掛ける所だった?」「え?」「その格好」ハッと自分を見下ろしそうだと思い出す。「これから予定があって・・・っ、そうでは無くて、どうして貴方がここにいるの?!」こんなのどかな場所にヨンがいる違和感・・・ではなく何故彼がウンスの実家に来ているのか?数年前も現在も彼には実家など話した事も住所を教えた事も無い。す
△△△△△△△△△△△△△ジグザグ(22)ヨンは渡されたコピーを貰えるか、とイ医師に尋ねて来た。「どうぞ、全部チェ先生が使えば良いですよ」「ありがとうございます」ヨンが言うには、チェ家専属の弁護士に全て渡し対処して貰うという。事務室と人事部に来た物も後で、貰えば良いとイ医師は言った。「ウンスにもあの女のカルテを貰おう」ウンスのクリニックにあるだけでも嫌だ。「その前に彼女、病院辞めるんじゃないのか?」「辞めるのはどうでもいいけど、ウンスも苦しんだんです。・・・その分は返さなくては
一気に載せました。(長いかな?どうかな?)お時間ある時にでもどうぞ😊―久遠―『私を忘れないで』自分に舞って来たあの布はそういう意味だと思っていた。忘れない。ずっとお前を慕う。死ぬ時は俺を迎えに来てくれ。師匠から託された剣に巻き付け、自分の中でそれが消えぬ様に錠を掛け誰が何と言おうとその鍵は外さないと心に誓った。「俺は何時かここを出る」呟いた言葉を聞いたテマンは一瞬寂しそうな眼差しを向けて来たが、その視線を無視し隊の中へと歩いて行った。任務放棄をする訳では無い。今の任務を終
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ジグザグ(11)「ウンスに何を言った?」看護師と思い出話等無い、話す内容も無いとばかりに威圧的に来るヨンにそれでも看護師は口端を上げたままだった。「何も。クリニックにお客様として行っただけよ」「客だと?」ウンスのクリニックに行ったという事なのか?何故わざわざそんな事を?俺の指輪まで持って行く必要があったのか?「嘘を付け。お前が言わなきゃ、ウンスがあんな事を言う筈がないだろうが」元彼女だと怒っていた。焼きもちかと思ったが、それ以上の拒否感にヨンは困惑したのだ。
心、境界線⑩数日後、ウンスから連絡を貰ったヤン医師は事情を聞き良かったと言い、この間紹介してくれた男性に伝えるとそのツテの建設会社を教えてくれた。「どうやら2ヶ月で完成出来ると言っています」「ありがとうございます。・・・そういえばヤン先生、ヨンに話したのですね?」「独立の話ですか?話しました。あと、もの凄く彼を罵ってしまったので・・・大丈夫だったかな?」「落ち込んでいたのかは、よくわかりませんが・・・」「私は元々の原因は彼のせいだと思っていましたから。いやぁ、スッキリしたな」ははは
✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣イトシイイトシイイウココロ㉖「向こうの部屋で寝ているよ」テマンに連れて来られた酒楼は、人気がある飯屋なのだろうか?という程に混んでいたがいるのは男ばかりで、ウンスは店の入口で口をへの字にしていた。・・・女性がいないわね。この店は女人禁制なの?「・・・そもそもが、女性が外では飲まない?・・・ん?」ウンスが考えていると、店の建物の横からテマンが手を振り、こっちと呼んでいた。「チェヨンさん、いたの?」「奥の部屋にいるって」離れの部屋まであるとは、随分と広
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽人魚と騎士[赤の秘密]⑳「・・・何故いる。チャン侍医」「ウンス殿が見て良いと言うので、そもそもここは典医寺です。私がいておかしな事は無いでしょう?」「ダメだ、出て行け」「ヨン、チャン先生が痛みを和らげる薬を作ってくれたのに」「・・・・・」プイッとヨンは顔を横に向けてしまうだがその彼を無視し、ウンスは切られたヨンの手の甲を縫い、それを間近でチャン侍医はじっくりと見ていたのだった本当はヨンは自分の部屋でして貰いたかったのだが、チャン侍医が
契約恋人⑳ソウル市にあるウンスのマンションに着いたのは、高速道路の渋滞もあり結局夜になっていた。「此処でいい」「わかった」マンションの近くにある駐車場に車を停め、ヨンがウンスの鞄を出し渡すとありがとうとウンスはそれを受け取った。「秘書の方にいきなり地元に連れて行くって言われて、慌てて用意したし、家もそのまま放置しているのもあるのよね」「すまなかった」「いいわよ、もう過ぎた事なんだから」そういえばとウンスはヨンをちらりと見上げ、「貴方今からまた帰るの?」「いや、ソウル市内にある