ブログ記事290件
度々の追記のお知らせ、すみません大事な説明が漏れておりました「追加情報」をご覧くださいキャンディファンのみなさま、お変わりありませんか?本編終了から5年、最後のスピンオフから2年半の月日が流れました。今でもこのブログを訪れてくださる読者さんがいらっしゃることに、驚きと同時に、心からの感謝を申し上げます一度は筆を置き、ブログを放棄してしまった罰当たりなブログ主ですがイメージ画「きちんと終わらせるためにもう一度始めよう」「責任を持って、このブログの管理者で
あれから、テリィの頭を占めているのは別のことばかりだった。キャンディ……再会してからというもの、気がつけば彼女のことを考えている。劇場を歩いたこと。楽屋で話したこと。改札で別れたこと。そして最後に見せた笑顔。どれも鮮明だった。あまりにも鮮明で、ときどき本当に再会したのだろうかと思うほどだった。テリィは手すりに寄りかかりながら、小さく息を吐いた。忘れていたわけではない。そんなことは一度もない。むしろ、この7年間ずっと心のどこかにいた。苦しい夜もあった。舞台の上で迷ったこともあった。もう
ストラトフォード・アポン・エイボンの朝は、ニューヨークとは違っていた。窓を開けると、湿った風が頬を撫で、遠くで教会の鐘が鳴っていた。テリィは静かに目を閉じる。その音を聞いていると、自分が本当にイギリスへ戻ってきたのだと実感した。シェイクスピアが生まれた町。演劇人にとっての聖地。そして今の自分にとっては戦場だった。テーブルの上には昨日渡された台本が置かれている。『RomeoandJuliet』表紙を見つめながら、テリィは小さく息を吐いた。オーディションは終わったが、本当の勝負はここから
【ブログ主より】テリィが舞台へ復帰するまでの道のり、スザナをささえた時間、そしてキャンディとテリィの互いが「もう二度と会うことはない」と思いながら、それでも前を向いて生きてきた歳月――。そうした積み重ねがあってこそ、この先に描かれる再会へと繋がっていきます。物語の中では長い年月が流れており、本来であれば、その一つひとつを丁寧に描きたいところですが、《キャンディ登場までのお話を短縮して》お届けしていきます。但し、はじまりは少し寄り道をしますが、その道のりも含めて見守っていただけたらうれしい
春のポニーの家。長い旅を終えたキャンディは、シカゴでの看護研修も終えて、ようやく村へ帰ってきていた。朝の空気はまだ冷たいが、庭の草花は芽吹いていた。いつもの景色、見慣れた診療所。ポニーの家の煙突から立ちのぼる白い煙。子どもたちの笑い声。何ひとつ変わっていない。──なのに。キャンディは診療所の窓を開けながら、小さく息を吸い込んだ。同じ空気のはずなのに、どこか違って感じる。風がやわらかく、空が少し高く見える。世界が少しだけ明るくなったような、不思議な感覚だった。「キャンディ、包
冬の夜気が窓を揺らす中、アパートの部屋は小さく温かった。ストーブの灯りがゆらゆらと揺れ、壁に影を映す。キャンディは湯上がりで頬がまだ赤く、ハードな仕事で疲れがにじんでいるようだった。「……もう眠っちゃいそう」ベッドに座り込んだ彼女の声は、どこか甘くかすれていた。テリィは台本を置き、その表情に自然と足が動いた。「髪、濡れたままだろ。風邪ひく」タオルを取り、そっと髪を包む。指先が触れるたび、キャンディの肩がわずかに揺れた。(……かわいい)そう思った瞬間、胸の奥に熱が灯る。タオル
大西洋を渡る客船は、静かな夜の海を進んでいた。甲板へ出ると、冷たい風が頬を撫でる。見上げれば無数の星が広がり、船は果てしない闇の中を一筋の光を引くように進んでいた。イギリス――ストラトフォード・アポン・エイボン。俳優として追い続けてきた夢の舞台。本来なら、そのことだけを考えていてもおかしくないはずだった。だが、テリィの頭を占めているのは別のことばかりだった。再会してからというもの、気がつけば彼女のことを考えている。劇場を歩いたこと。楽屋で話したこと。改札で別れたこと。最後に見
稽古場は静まり返っていた。誰も動かず、誰も口を開かない。窓から差し込む朝の光が床を照らし、その光の中に立つ演出家だけが、ゆっくりと二人を見つめていた。テリィにも、自分の鼓動だけははっきりと聞こえていた。不思議なことに、緊張よりも静けさの方が勝っていた。ここまで来るまでにできることはすべてやった。結果がどうであれ、それはもう自分の手を離れている。だからこそ、今は待つしかなかった。演出家は小さく息を吐いた。その表情には安堵も迷いも混じっている。ここ数日、どれほど悩み続けたのかが伝
翌朝、アードレー家の朝は穏やかに始まった。久しぶりにゆっくり眠ったキャンディは、朝食の席でアニーやアーチー、アルバートと和やかな時間を過ごしていた。大きな窓から差し込む陽射しは柔らかく、食卓には焼きたてのパンや卵料理の香りが漂っている。食事を終えると、キャンディとアニーはサロンへ移った。明るい陽光が差し込む部屋には紅茶の香りが満ちている。二人は窓際のソファへ腰を下ろし、看護大会のことや村の子どもたちのこと、アニーの近況などを話しながらゆったりとした時間を楽しんでいた。そんな折、アニー
このお話は、『俳優テリュースに会いたい』で描かれたキャンディのように、「ファンサをもらってみたい」というコメントから生まれました。そしてついでに、私ロキソも、ちゃっかりテリィにファンサをもらうように描きました(笑)もし「こんなことしてほしいな」というご希望がありましたら、ぜひコメントで教えていただけたらうれしいです。また物語にしていけたらと思っています。……とはいえ。もし、ひとつもコメントがなかったらどうしようと、不安になりつつ😅どなたか、コメントいただけたら、とても喜びます🙏追記
ケビンが慌ただしく去っていったあと、しばらくキャンディの笑いは止まらなかった。「なんだよ」「だって」キャンディは肩を震わせる。「すごく驚いてたわ」「そんなにか?」「そうよ」テリィは本気でわかっていないらしい。「あ、適当に座って」キャンディはそっと扉に1番近い椅子に腰を降ろして周囲を見渡す。思ったより広く、壁際には衣装ラック机の上には開きかけの台本。鏡の前にはメイク道具が整然と置かれている。華やかというより実用的だった。毎日使われている部屋。そんな印象を受ける。「へぇ……
五月のシカゴ。教会の控室へ初夏を思わせるやわらかな陽光が差し込み、窓の向こうでは色とりどりの花々が陽射しを浴びて美しく輝いていた。開け放たれた窓からは、咲き誇るバラの甘い香りと若葉を渡る爽やかな風が流れ込み、小鳥たちの澄んださえずりが静かに響いている。柔らかな陽光に包まれた庭は生命の輝きに満ち、まるでこの特別な一日を祝福しているかのようだった。純白のウェディングドレスに身を包んだキャンディは、鏡の前に静かに立っていた。幾重にも重なる繊細なレースは、窓から差し込む陽光に淡く輝き、長く流れるト
『最後の良心』読んでくださいまして、ありがとうございます。私の描くテリィは苦しい感情のお話が多く、現在展開している『StoriesAtoZ』でも、苦しみの中にあるテリィを描いているお話が多いです。『StoriesAtoZ』が折り返しにある今、もう一度テリィの感情を見返してみようと思い、これを書いています。私が見返さないとならないと思ったことは、“テリィは何に苦しんでいたのか”ということです。これをもう一度考えたいと思いました。私のお話では、テリィにとって“芝居は精神的な支
アードレー家にとって、ブラックストーン鉱山事故が残した傷は、想像していたよりもはるかに深かった。負傷者への補償、操業停止による損失、新聞各紙が連日のように掲げる厳しい見出しに加え、やがて街では、アードレー家は鉱山の危険を知りながら無理に操業を続けていたのではないか、という噂まで囁かれ始めていた。はじめは鉱山町の酒場や市場の片隅で交わされていた声が、シカゴの取引所へ、銀行の窓口へ、馬車の行き交う大通りへと広がっていくにつれ、アードレーという名は、古い名門を示す響きではなく、冬の空の下でひび割れ
シカゴから戻った翌朝、村はいつもと同じ顔をしていた。朝霧が低くたれ込み、牧草地の向こうで鶏が鳴く。ポニーの家の教会の鐘は、変わらず同じ時刻に鳴った。それなのにキャンディだけが、世界とほんの少しずれていた。ハッピー・マーチン診療所。消毒薬の匂い。白衣の擦れる音。患者を呼びこむ声。すべてが慣れ親しんだはずなのに、彼女の意識は、何度も遠のいた。包帯を巻きながら、手元が止まる。薬瓶を戻そうとして、違う棚に置きかける。カルテの文字を、間違える。「……キャンディ?どうかしたの?」同僚の
港には、薄い霧が漂っていた。春の終わりの海風は、岸壁に並ぶ人々の薄手の洋服の裾を静かに揺らしている。巨大な客船がゆっくりと汽笛を鳴らした。低く長い音が海へ溶けていく。甲板の手すりに寄りかかりながら、キャンディはゆっくりと遠ざかるアメリカの海岸線を見つめていた。シカゴ。ポニーの家。アルバート。アニー。ステア。アーチー。パティ。たくさんの人たち。たくさんの思い出。嬉しかったことも。苦しかったことも。全部があの大陸の向こうへ残っている。けれど不思議だった。胸は痛むのに
ポニーの家の大きく開け放たれた窓からは、焼きたてのクッキーの甘い匂いが午後の風に乗って流れ、丸いテーブルには、湯気の立つ紅茶が静かに並べられている。そのテーブルを囲むように座っているのは、キャンディ、アニー、そしてパティの三人。それぞれが別々の場所で新しい時間を生き始めてから、以前のようにただ他愛もない話をしながら笑い合う時間は、いつの間にか少なくなっていた。だからこそ、こうして三人だけでゆっくり顔を合わせる午後が、たまらなく懐かしく感じられるのだ。ポニーの家の窓を揺らす風も、遠くから聞
こんにちは、またまたロキソです昨日から匂わせていた(本人はそんなつもりなかったのですが😅)『StoriesAtoZ』の【P】のお話を、本日投稿いたしました!予告をしてしまったら、もう自分の中で止められなくなってしまって(笑)食い気味の投稿となりました😅投稿順でいくと【O】の次になるため、慌てて【O】を投稿した次第です😓ちなみに、昨日別記事で今を折り返しと表現しましたが、折り返しというのは、アルファベットの歌を歌っていくと、ちょうど「〜LMN」で一呼吸しますよね?!ここを折り返し
スザナの葬儀から一週間が過ぎていた。ニューヨークの空はよく晴れていたが、テリィにはそんなことはどうでもよかった。午前中の劇場は静かだった。まだ稽古も始まっていない時間帯で、客席には誰もいない。テリィは最後列近くの座席に腰を下ろし、一人で新聞を広げていた。春には再びイギリスへ渡る。SMTとの正式契約が始まる。本来ならその準備が始めてもいい時期だった。だが、この数日どうにも気持ちが落ち着かなかった。スザナがなくなった。その事実がまだ現実味を持たないまま胸の奥に沈んでいる。悲しく
ストラトフォード・アポン・エイヴォンの雨は、音を立てずに降る。窓を叩くほど強くはないが、いつまでも止まらない。今日も細い雨が石畳を濡らし、エイヴォン川の水面に細かな皺を作っていた。劇場裏口の鉄階段には水気が残り、踏みしめるたび、靴底が鈍く鳴った。RSC。建物は、今日も静かだった。だが、その静けさの奥には、獣の檻のような緊張がある。テリュースは煙草を指先で回しながら、裏口から劇場へ入った。廊下ですれ違う俳優たちは、軽く会釈するだけだ。誰も愛想よくはない。歓迎されていない。その事実だけは、日
数日後。RSC公開稽古の日。客席には、いつもの劇団員だけではなく、演劇学校の講師、地方劇場の関係者、批評家の卵たちまで座っていた。薄暗い客席には、独特の緊張が漂っている。RSCの公開稽古は、単なる“見学”ではない。ここでは、俳優がどう壊れ、どう作り直されているかまで見られる。演じる過程をすべて丸裸にされる。つまり、未完成も、失敗も、沈黙も、すべて晒される。それがシェイクスピアの研究機関としてのRSCの役目でもあった。舞台袖で、テリュースは静かに呼吸を整えていた。指先が冷たい。『マク
劇場には静寂が降りていた。最後のスタッフが帰り、照明も落とされる。昼間の喧騒が嘘のようだった。客席は闇に沈み、舞台だけが非常灯に照らされている。テリィは一人だった。誰もいない劇場の空気は嫌いではない。むしろ好きだった。舞台は不思議な場所だ。観客で埋め尽くされた時と、誰もいない時、まるで別の顔を見せる。そしてテリィは昔から、後者の顔を知っていた。舞台中央へ歩く。手にはSMTから届いた課題。テリィは客席を見渡した。脳裏には別の景色が浮かんでいた。ストラトフォード、エイヴォン川、英国の空
キャンディは写真立てをそっと元の場所へ戻した。そこには劇団の仲間たちが並んでいる。肩を組みふざけている者、笑顔が弾ける者。舞台の上では見せない素顔ばかりだとわかる。「みんな仲がいいのね」キャンディが微笑む。テリィも写真へ視線を向けた。「ああ」その返事は穏やかだった。「助けられてばかりだ」キャンディは少し驚いた。昔のテリィなら、そんな言い方はしなかった気がする。誰にも頼らず、一人で突き進もうとしていた少年だった。「意外だわ」「何が?」「助けられてばかり、なんて言うから」
駅へ向かう道すがら、しだいに二人の歩調は自然とゆっくりになっていた。大通りの喧騒が少しずつ遠ざかっていく。代わりに聞こえてくるのは、駅へ向かう人々の足音と街のざわめきだった。セントラル駅の大きな時計が見え始める。もうすぐ別れだ。そう思うと、キャンディの胸の奥が少しだけ痛んだ。テリィも何か考えているようだった。何度か口を開きかけては閉じる。言いたいことがあるような。ないような。そんな曖昧な表情。けれど結局、何も言わなかった。その横顔を見ていたキャンディは、ふと笑った。そし
公聴会から数日が過ぎても、シカゴの冬はゆるむ気配を見せなかった。ブラックストーン鉱山事故で近くの病院へ運ばれていた重症患者たちは、容体が落ち着いた者から順次、シカゴのクック郡病院へ転院し、ジョーをはじめ長期の治療が必要な負傷者たちも、今はそこで療養を続けていた。キャンディもまた、彼らの看護を引き継ぐためシカゴ市内にあるクック郡病院へ移り、慣れない病棟と看護師寮を新たな居場所として、休む間もない毎日を送っていた。その日も昼過ぎまで病棟を駆け回り、ようやく交代の時間を迎えたころには、窓の外には
ポニーの家のキャンディの部屋をイメージSONNETの目次∻☆…∻☆・アナウンス&ひとりごつですトップページの通りです2026年7月15日加筆した通りなのですが絵師さんとの兼ね合いもあり急きょ開始時期を早めました。まだ下書きにも入っていませんが💦きっちり始めたいと思いますむかーしとあるCC二次小説に「ヒトラー」が登場していると小耳に挟んだ時ってなったのを覚えています。が、しかし笑っていられない状況ですね💧1940年代を描いた映画って賞を受賞す
キャンディはニューヨークでの医療大会の様子を、穏やかな笑顔で語っていた。表彰式のこと。全国から集まった医療従事者たちのこと。講演で学んだ新しい知識や、これから村へ持ち帰りたいこと――。その話を聞きながら、アルバートの胸に、あの日の理事会での出来事が静かによみがえった。医療チームとして推薦するよう提案したこと。その結果、キャンディもニューヨークへ行くことになった……あれは、アードレー財団の理事会のときだった。会議が終わり、重厚な会議室には静けさが戻っていた。窓の外では昨日から雪が降っ
国王と王太后の退席を合図に、大広間の奥の扉が開かれた。侍従たちの案内のもと、列席者たちは隣接する迎賓室へと順に進み、宮殿の夜は次の歓談のひとときへと移っていった。高い天井から吊るされた幾つものシャンデリアは変わらぬ光を降り注いでいたが、張りつめていた空気は少しずつほどけ、弦楽四重奏の穏やかな調べに重なるように、グラスの触れ合う澄んだ音や人々の談笑が、夜の宮殿へ再び華やぎを取り戻していた。それでも、その夜の視線が集まる先は一つしかなかった。王自らその名を呼び、グランチェスターの名を公に認めた
夕方の病棟には、長い一日を終えようとする静かな時間が流れていた。薬の時間を告げる看護師の足音も、家族を見送る患者たちの声も、雪解けの湿った空気に溶けるようにやわらかく響き、人々の疲れをそっと包み込んでいた。キャンディは熱の下がらない患者へ水を飲ませ、枕の高さを少しだけ直して病室を出た。廊下を歩くたび、開いた扉の向こうには、それぞれ違う時間が流れている。眠る夫の手を握ったまま窓の外を見つめる若い妻もいれば、退院を明日に控え、孫の描いた絵を何度も見返している老人もいる。病院という場所には痛み
劇場街の石畳には色づいた落ち葉が風に舞い、人々は肌寒さに肩をすぼめながら足早に通り過ぎていく。そんな十月中旬の朝。テリィはいつもより早く劇場へ来ていた。誰もいない稽古場。薄暗い客席。舞台の上に置かれた一脚の椅子。その中央に立ち、台本を開く。SMTの課題のハムレット。今では課題というより、日課になりつつあった。公演を終えたあとも稽古を続け、早朝も深夜も、空いた時間を見つけては台本を開いていた。久しぶりだった。ここまで何かに夢中になるのは。ハムレットのオーディション以来かもしれない。