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はじめに糖尿病の治療薬として広く使われているSGLT2阻害薬。これまでは血糖コントロールや腎・心血管保護作用に注目されてきましたが、最近の研究で、**血清ナトリウムの異常(低ナトリウム血症・高ナトリウム血症)**にも良い影響を与える可能性が示されました。ナトリウムは体の水分バランスや神経・筋肉の働きを保つうえで欠かせない電解質です。その異常は入院や命に関わるリスクにつながるため、今回の報告は非常に興味深いものです。研究の内容イスラエルの研究グループは、2016年から2021年にか
当初は糖尿病薬として発売されたジャディアンスですが、今では心不全や腎不全にも効果があるらしいです。ジャディアンスはSGLT2阻害薬に分類される飲み薬で、2型糖尿病だけでなく、慢性心不全や慢性腎臓病の治療にも使われる薬剤です。SGLT2阻害薬が心不全に効果がある主な理由は、体内の余分な水分と塩分を排出し、心臓の負担を軽減することによります。SGLT2阻害薬が腎不全(慢性腎臓病、CKD)に効果がある主な理由は、腎臓内の圧力(糸球体内圧)を下げ、過剰な負担を軽減するためです。こ
慢性腎臓病腎機能を守る!徹底対策「腎臓も心臓も守る!進化した治療薬」-きょうの健康-NHKよりヒト医療では「腎臓も心臓も守る!進化した治療薬」が使われており、NHK・Eテレの「きょうの健康」でも紹介されていました。▼詳しくはこちら:慢性腎臓病腎機能を守る!徹底対策「腎臓も心臓も守る!進化した治療薬」-きょうの健康-NHK【SGLT2とは?】SGLT2は尿細管の細胞にあるたんぱく質で、尿中に出された「ブドウ糖」や「塩分」などを再吸収して血液中に戻す働き
今回は前回に引き続きセンベルゴの周辺についてです。★前回のひとりごと【長谷川院長のひとりごと】猫の糖尿病の飲み薬ーセンベルゴーについて|アルマ動物病院/アルマ動物病院糖尿病・内分泌病センター糖尿病という病気は、元気あり、食欲もなくならず、水もオシッコもちゃんとしているため、発見の遅れることがあります。するとある日元気・食欲がなくなり、慌てて病院に駆け込み診察を受けると「糖尿病」。しかも「ケトアシドーシス」という診断。集中管理が必要とのことで、そのまま入院。
はじめに腎臓の病気は、長い時間をかけて少しずつ進行することが多く、気づいたときにはかなり機能が落ちていることもあります。その中でもIgA腎症は、日本で最も多い慢性腎臓病のひとつです。若い世代から発症することもあり、進行すると透析や腎移植が必要になる可能性があります。これまでの治療は、血圧を下げる薬(RA系阻害薬)やステロイドなどが中心でしたが、副作用や効果の限界が課題でした。そんな中、糖尿病の薬として開発されたSGLT2阻害薬が、IgA腎症を含む慢性腎臓病でも効果を示すことが明らかになってきま
はじめに常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、遺伝的に腎臓の中に多数の嚢胞(のうほう)が生じ、時間をかけて腎機能が低下していく病気です。親のどちらかがこの病気をもつ場合、子どもにも約50%の確率で遺伝するとされ、ほとんどが家族性に発症します。進行すると透析や腎移植が必要になることもあり、若い世代からの経過観察が欠かせません。この進行を抑える薬として現在使われているのがトルバプタンです。水の通り道であるバソプレシンの作用を抑えることで、腎臓内の嚢胞拡大を遅らせることができます。しかしその効果