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こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問2(1)今回は穴埋め問題ということで、本文を読みながら見ていきます。(第1段落)「8日9時現在、この低気圧の地上中心の直上500hPa面の高度は(ⓐ)mである。」ということで、初期時刻8日8時の地上天気図(図1)と500hPa天気図(図4)を見ますと、低気圧の地上中心の位置をそのまま500hPa面に移しますと、地上中心のやや南側を通る等高度線があることがわかります。等高度線の読み取り方は太実
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問1(4)今回は、これまでの考察で見てきましたオサン(韓国)における8日9時(図5)の逆転層上端の高度が3039mであることがわかっており、この時刻に対馬海峡にある低気圧(図14)に伴う前線について地上低気圧の中心~オサン間の平均の勾配の大きさを1/Fで表すときの分母Fにあたる数値を答えよ、という問題です。すなわち、底辺の長さが地上低気圧の中心~オサンまでの距離、高さが逆転層上端の高度の3039
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず初めに、「高解像度降水ナウキャスト」は気象庁が気象レーダー観測のデータを利用して、250m解像度で降水の短時間予報を行う予測のことです。この「ナウキャスト」とは現在起こっている気象状況をすぐに把握し、それに基づいて少し先の予測するという意味があります。気象庁は全国に20か所の気象ドップラーレーダーを設置して、日本全国のレーダー雨量観測を行っています。このドップラーレーダー観測網は、局地
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず本文では、日本海北部の低気圧に伴う雲域について、「中心付近には中下層の雲渦がみられ、その北側にはバルジ状の厚い雲域がある。」とあります。文の後半にある「バルジ状の厚い雲域」が存在していることから、日本海北部の低気圧は発達期またはそれ以降の閉塞期(最盛期)のいずれかに絞られてきます。さらに、今度は水蒸気画像に着目しますとわかりやすいのですが、低気圧の中心に向かってその後面から暗域が入り込ん
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験2・問1今回の問題は、図1の地上天気図と図4の名瀬における状態曲線(エマグラム)を用いて、名瀬で観測された雲のうち、中・上層雲の雲底の高度と下層雲の雲頂の高度をエマグラムから読み取って推定するという内容です。(気象庁HP:国際式の天気記号と記入方式より)まず、名瀬ではどんな雲が観測されたのかを読み取ります。中・上層雲は全雲量の上にある記号は上の凡例にはありませんが、正確には「不透明の高積雲
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識はじめに今回の問題について、(a)、(b)それぞれにあてはまるのは何か、その解答に導くまでのプロセスが長くなりそうですので、(a)と(b)で考察編を2回に分けたいと思います。できるだけ平易に考察できるように努めますのでよろしくお願いします。(a)初めに熱力学第一法則について、ある空気塊を加熱することを考えます。この空気塊の加熱する熱量を⊿Qとしますと、この⊿Qは空気塊を構成する気体の分子の運動をより活発化
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)(気象庁HP:「大阪府の天気予報(7日先まで)」2021年04月03日17時大阪管区気象台発表より)週間天気予報の例として大阪府の週間天気予報を挙げてみました。週間天気予報では、予報期間の2日目から7日目について、各々の日における「天気」、「最高・最低気温」と「降水確率」が毎日11時と17時の2回発表されています。ただし、降水量につきましては、向こう一週間(明日から7日先まで)
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(美浜観測局2019.02.04「美浜のウィンドプロファイラへゆく」より)(気象庁HP:ウィンドプロファイラ観測網(平成26年4月現在)より)(気象庁HP:ウィンドプロファイラの観測原理の概要より)(気象庁HP:名瀬の気圧の谷の通過をとらえた観測の例より)(a)ウィンドプロファイラの観測原理についての内容ですが、本文の通りです。もう少し補足しますと、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(a)一般知識の「大気における放射」では、地球が受け取る太陽放射量と地球放射量は釣り合っている、という「放射平衡」について学習しますが、これはあくまで地球全体で考えた場合で、実際に緯度別で考えますと放射平衡は成立していません。概ね低緯度では地球放射よりも太陽放射の方が大きく、高緯度では太陽放射よりも地球放射の方が大きいのですが、これを解消するために低緯度から高緯度へ熱の輸送が行われています。その様子を表
こんばんは。今回の専門知識は、高解像度降水ナウキャストと降水短時間予報についての問題です。自分が今いる場所でいつごろから雨が降るのか、今降っている雨はいつごろ止むのかなど、でよく利用される方が多いと思いますが、今回はこれらの特徴と利用上の留意点について問われている下線部の正誤について、次回一緒に考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。6日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(a)まず初めは、850hPaにおける水平気圧傾度力の比較ですが、問題文の冒頭に、「北半球の同じ緯度にある」とありますことから、単純に地衡風速の大小を水平気圧傾度力の大小に置き換えて判断すればOKです。地衡風速の大きさがベクトルの長さで表現されていますので、地点A、B、Cのうち、地点Aが最も長く、すなわち水平気圧傾度力が最も大きいと判断されます。したがって、本文の内容は正しいということになり
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問2(5)前回の①では図6(左下)において東海地方に見られる上昇流域について、図8(上)の850hPa風・相当温位の分布で見た場合にどのような特徴が見られるか、という問いでしたが、今回はこの上昇流の生成に関わると考えられる2つの要因をそれぞれ「暖湿空気が、」の6文字の書き出しに続けて、書き出しを含め20字程度で述べよ、という問題です。まずは、①に基づいて一つ目の要因を考えてみます。①では321K
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)数値予報モデルは、本文にありますように、予報領域に応じたモデルに用いる時間間隔(ステップ:「タイムステップ」・「積分時間間隔」ともいいます。)ごとに大気の状態の計算を繰り返して将来の状態を予測するという構造になっています。気象庁の現業における数値予報モデルの仕様では、全球モデル(格子間隔20km)で400秒(6分40秒)、メソモデル(格子間隔5km)で20秒となっています。したがって、下線部
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(a)気象業務法第2条第1項この法律において「気象」とは、大気(電離層を除く。)の諸現象をいう。第4条気象庁は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象の観測を行う場合には、国土交通省令で定める方法に従つてするものとする。気象業務法第2条では、用語の「定義」について規定されています。この第1項の「大気」とは、地球を取り巻く空気のことを指しており、空気中に含まれている、水蒸
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(b)一般気象学p145の図を見ながら考えていきます。前回の(a)の考察で静力学平衡について触れました。静力学平衡は、⊿p=-ρg⊿z…①で表されます。ここで気圧差⊿pを一定として考えてみますと、気層の厚さ⊿zは空気密度ρによって変動すると考えることができます。空気密度ρは気層内の平均温度によって変動し、気温が高いほどρが小さくなって⊿zが大きくなり、気層が厚くなります。逆に気温が低い
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)竜巻は主に積乱雲の発達に伴って鉛直に生じる激しい渦巻きで、多くの場合、ろうと状または柱状の雲を伴います。この渦巻きは水平規模が小さくかつ曲率が大きい特徴があり、そのため遠心力が大きく働きます。この遠心力と気圧傾度力とが釣り合うことになり、これを「旋衡風平衡」とよんでいます。地表面付近では、摩擦による影響で接線方向の風速が弱まり、遠心力が減少するため、渦巻きの中心へ向かう強い吹き込みが起こって
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)気象庁では台風の番号の付け方として、毎年1月1日以後、最も早く発生した台風を第1号とし、以後台風の発生順に番号をつけています。なお、一度発生した台風が衰えて「熱帯低気圧」になった後で再び発達して台風になった場合は同じ番号を付けます。いわゆる、「復活台風」とよばれるもので、最近では2018年(平成30年)の台風12号と台風28号があり、1973年(昭和48年)の台風6号のように2度も再発達した
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(気象庁HP:大気海洋部「2020年の台風について(確定)」2021.03.10より)今回の問題は、地方別の台風接近数の月別平年値のグラフを基にA、B、Cに当てはまる地方の組み合わせとして正しいものを選ぶ、というものですが、解くにあたりグラフから読み取れる最もわかりやすい着目点は接近数のピークがいつ頃かという点です。具体的には、Aと四国地方は8月中旬でピークになっており、BとCが9月中
こんばんは。今回は、図6(左下)の東海地方に予想されている強い上昇流域について、図8の850hPa面の風の場と相当温位の場の特徴はどのようになっているか、風、相当温位とも数値を示して述べよ、という問題です。上昇流となり得る条件は一般知識の大気の力学の内容になります。あやふやな方は一般知識の復習も兼ねて次回一緒に考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問2※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。14日分の考察編は
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問2今回は、図6(左下)の12時間後に予想されている東海地方の上昇流域について、図8(上)の12時間後の850hPa面の風・相当温位予想図で見たときにどのような特徴が見られるか、という問題です。問題に入る前に一般知識の大気の力学で学習する収束・発散について、古い問題ですが第9回試験・一般知識・問7を例に復習してみたいと思います。この問題は収束の大きさが2番目に大きいのは①から⑤のどれでしょう、と
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)アンサンブル予報の概要につきましては、前回の問題編で触れましたが、メソアンサンブル予報についてさらに補足しますと、メソアンサンブル予報(MEPS)は、メソモデル(MSM)の予測に対して信頼度や不確実性などの情報を付加することを目的に運用されているシステムです。水平方向の格子点間隔は5km、鉛直方向の格子点間隔は76層で、予測の実行頻度は1日4回(00時、06時、12時、18時UTC)で39時間先ま
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問2まず初めは、新潟付近に見られる閉じた等温線の値を答えよ、ということで読み取ってみます。850hPa面の等温線は3℃ごとに引かれています。大東諸島付近に12℃、朝鮮半島の東岸付近に-6℃で極側ほど気温が低くなっていますのでこれらの数値を参考に、3℃ごとに気温を追っていけばOKです。四国から北陸で屈曲して東海地方に延びている等温線は9℃ですが、新潟付近では、6℃と9℃の等温線の間に独立して閉じた等温線
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず、図Aに着目しますと、本文では、「太平洋赤道域中部は外向き長波放射量OLRが正偏差で対流が不活発、インドネシア周辺はOLRが負偏差で対流が活発となっており、」とあります。外向き長波放射量(OLR:OutgoingLongwaveRadiation)とは地球の大気上端から宇宙空間へ出ていく長波放射のことをいいます。学習がまだの方は「一般気象学」p128の図5.17を見ますとわかりやす
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず、「この10日間について、真夏日になるか・ならないかをガイダンスの値を判定基準として用いて予想することとし、判定基準を変更した場合の予想精度を比較する。」ということで、問題にある図の見方を確認しておきます。縦軸はガイダンスの値、すなわちこれを判定基準として見ます。そして横軸は1日~10日の日にちを表わしています。いま縦軸の判定基準を長破線で示されている50%から短破線で示されている45%
こんばんは。今回も前々問・前問の続きで、8日21時において、問2(2)で解析した総観スケールの前線と局地解析におけるシアーラインとを比較したときのシアーラインと地上の温暖前線の関係を述べよ、という問題です。それぞれの解析結果において違いが出る要因は何か、次回一緒に考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問2(4)(気象業務支援センター解答例)※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。12日分の考察編は次回更新の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問1まずはじめに、学科試験・専門知識のおさらいとして、温帯低気圧の発達と寒帯前線ジェット気流の関係について触れてみたいと思います。温帯低気圧が発達するとき、暖気は高緯度側へ北上し、寒気は低緯度側へ南下するにしたがってトラフが深まるため、これに対応する寒帯前線ジェット気流は、南北に蛇行するようになります。では今回の問題で、実際に対馬海峡に中心を持つ温帯低気圧に対応する寒帯前線ジェット気流はどこを通ってい
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技試験1・問1(4)まず、高度700hPa付近にみられる逆転層の上端の温位から読み取ってみます。逆転層の上端は具体的にはおよそ690hPaのところにあり、ここの温位を乾燥断熱線に沿って読み取りますと、290Kと295Kの間、1K刻みで293K付近であることがわかります。次に、前線面は等温位面であると仮定して850hPa面におけるこの前線上の気温ですが、「等温位面であると仮定」とありますので、乾燥断熱線に沿
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識日常の生活において空気の湿り気を表わす「湿度」という言葉はよく使われていますが、気象学で使われている「相対湿度」とは一般的にこの「湿度」のことを指しています。具体的には、ある空気塊がもつ水蒸気圧の飽和水蒸気圧に対する比で表されます。すなわち、相対湿度=ある空気塊のもつ水蒸気圧/その気温における飽和水蒸気圧×100(%)となります。では次に、「水蒸気圧」や「飽和水蒸気圧」とい
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・実技1・問2(4)(気象業務支援センター解答例)今回の問題文を一気に読んでしまいますと論点がわかりにくいですので、3つに分けて考えてみます。(a)8日21時に時点で、局地解析によると関東地方には①で描いたようなシアーラインが解析され、(b)総観スケールでは(2)で描いた850hPaの前線に対応する地上の温暖前線が本州を通過している。(c)②のシアーラインの特徴を踏まえて、このシアーラインと地上の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・一般知識(a)まず、「水蒸気を除いた乾燥空気における窒素、酸素、アルゴンの存在比」とはそれぞれの占める割合はどれだけなのか、振り返ってみます。その割合として、窒素が最も多く約78%、次に酸素で約21%、アルゴンは約0.9%ほどで、残りの微量な割合の中に二酸化炭素、ヘリウム、ネオンなどが存在しています。では、この乾燥空気の構成する存在比を大気の鉛直構造で見た場合、どこの高さまで均質に存在しているのか、と