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9.会のままの残身についてこれについては、私のような未熟なものが説明できるものではありません。先生が残してくれたレポートをそのまま載せることにします。S56.1.15「会のままの残身」ということについて(1)「手先きの弓」ということ今日では弓は両手さえあれば引けるものと考えているものさえいる。つまり、どうにか弓と弦を張り、引きつけて両手で左右の「釣り合い」をとって、ソッとうまいこと手先で放せば当るものと考えている。つまり「釣り合い」と「タイミング」に注意して「放
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?学生の時は、最初は高校からの経験者に早く追いつこうと、やみくもに練習をしていたように思います。それから、よく中る先輩のようになりたいとか、試合で勝ちたいとか、少しづつレベルアップしてモチベーションUpにはことかかなかったと思います。でも今はそういったきっかけも少なく、どうやれば集中力、モチベーションを下げない練習ができるのか、私が工夫してやっている方法を紹介しますので、参考にしてください。<仮説14>集中力、モチベ
21.会では見えない動作がある?動と静、動中の静・静中の動、などといった味わいの深い日本語があります。これをどう感じるかは人それぞれですが、弓道の”会”では、それを実感することができます。<仮説12>会では見えない動作がある?<検証>引き分けから会では、腕を折りたたむ方向から腕を残身へ向かう方向へと、そして、取り懸けを弦が外れないようにロックしている方向から取り懸けが解ける方へと、これら二つの力の方向の変換が必須となります。11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう
29.弓返りに大切なのは弓の捻りさて今回も、いただいた質問にお答えすることにいたします。(「的中率を上げるためにやれること」は検証中のため延期させていただきます)今回の課題は、腕をはらってしまうときにどう対処したらいいかということです。押し手の手の内を正しく働かせることができていれば、必ずしも弓返りしなくても腕をはらうことはないのですが、弓返りさせることに理屈は共通しています。結論から説明します。手の内の中での弓の位置は、弓の捻りをフリーにした状態で30〜45°の位置
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~で、会での力の釣り合いを式で表すと以下のようにとなると説明しました。弓力=弓から骨格に加わる力+骨格を支える筋力+α(両腕を残身まで開く力)このαをできるだけ大きくすることによって、鋭い大離れを生むことができるとも説明しました。しかし、このαの大きさは物理的な力の大きさだけではないのです。えっ!物理的な力の大きさだけではない?何を言ってるのかさっぱりわからない、と思うこ
8.伸び合いについて<伸び合い>これが特に抽象的で難解です。しかし、安定した的中や鋭い離れを生むためには不可欠なものとなります。会の状態は外観では静止状態で、矢束や身体が伸びたりする訳はないのに、伸び合えと言っている。張り合いとは違う表現なので、張り合いとは違うものであることは確かだろうと思います。伸び合いは、人が次の動作を瞬時に行うための瞬発力を発するための溜めであると、私は解釈しています。矢勢を出すためと説明する方もいますが、物理的に考えれば矢の初速に影響を与
51.「離れ」の瞬間を考察する離すではなく、なぜ「離れ」なのか?弓道を始めた人は、必ず持つ疑問だと思います。そして、「離れ」とは何なのかを知りたいと思っている筈(はず)です。矢を放つために、引き分けて弦を離す。それを繰り返すことで身についてしまう反射的な運動だからそう呼ぶのだと、思っている人もいるかもしれませんし、的中だけを求めるには反射運動であっても良いのかもしれません。しかし、大切に育ててきた一射の結果を単なる反射運動で決める、で良いのでしょうか?矢を放つという動作は
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?さてここで振り返ってみましょう。物理的に見れば、的中は「的付け通りに矢を飛ばす」ことでしか実現は出来ません。「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な条件は、①正しい的付けが出来ていること②押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えることなのです。(3.的中について参照)押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えるためには、自分で離す動作をするのでは無く、カケ解きによって取り懸けを解いて離れることが最も
39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう34.かけほどきを身につけようで、「弦ひねりの方向は親指中心として離れのブレを最小とすることが大切です。人差し指で弦を押し、弦を介して親指を前に押し出す方向になることです。」と説明しました。この力の反作用を考えるほうが、力を働かせ易い人もいるかと思います。今回はそれについて説明していきます。<仮説30>かけほどきの力は、反作用を考える方が働かせ易い?<検証>では、反作用を図示してみましょう。上図のように、弦ひねりの反作用は青
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?今回は、押し手で大事なポイントの話をします。押し手で大事なことは、押し手の手の内と弓との十文字です。押す力をまっすぐに弓に伝えるための形です。弓の力を支えているのは筋力ではありません。骨格です。これは、疑う余地も無い事実です。筋力は弓の力を支えている骨格をサポートしているだけなのです。したがって、弓を引くときには、支える骨格の形が大事なポイントとなり、重要な部位の十文字を守るよう教えられます。三重十文字や五重十文字
1.はじめに多くの人は、弓道での的中には弓手(押し手)が重要であると考えています。間違いではないでしょう。おそらく、剛弓を引き小離れであった昔は、特にそうであったかも知れません。剛弓の反動を抑えるには当然であって、私も先生方や先輩方からそう教わってきました。しかし、最近はそれほど強い弓は引かず、大離れが良い、とされるようになっていて、昔ながらの既成概念には、少し違和感を感じざるを得なくなってきています。既成概念にとらわれず、物理的な見方で射技を研究、工学系思考の私が
40.的中は矢から学べ学生さんたちの練習を見ていると、よく見かけることがあります。矢所が安定していない人を指導している時、肩や肘の抜け、上がり、下がりなどを会の中にまで、細かに修正しようとしている場面です。当事者にとっては良かれと思ってやっていることであるとは思いますが、私は、この指導方法には疑問に感じます。逆にありがた迷惑ではないかとも考えています。射形を修正するのは詰め合いまでであって、会に入ったあとは、張り合いや伸び合いに集中させるべきなのです。そして、矢所が
52.的中率をさらに上げるためにやれること32.的中率を上げるためにやれることの説明から3年が経ちました。①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓をしっかりと引き付けること。②両肘で矢軸線方向に張り、会のままの離れを導く努力をすること。この2つを意識して、精度高く引くことです。特に②は必須です。➡︎肘の張りで離れている的中と説明しましたが、皆さんは、身に付けることができたでしょうか?上記が身についていれば、50%以上の的中は出せるようになっていることでしょう。そう
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづきでは、どうやって取り懸けを解いて離れるのでしょうか?親指と中指をクロスさせた状態で、取り懸けはどうやって解けるのでしょうか。これは難解な知恵の輪を解くことと似ています。暴発させてはいけないが、ブレのない軽い離れでなければならない。完全に相反して矛盾しています。なので、多くの人は、握り込んで暴発を防ぎ、手を開いて離す、となるのは仕方がないと思います。取り懸けを解く離れを生むためにやれるこ
6.詰め合いについてここからは、取り懸けを解いて離れる具体的な方法について説明したいと思います。ここからを読むと、おそらく、今までとは違った自分の射技との向き合い方が、できるようになると思います。離れに導くために、会では、詰め合い、張り合い、伸び合いが大切と言います。詰め合い、張り合い、伸び合いとはいったい何なのだろうか?誰しもが持つ疑問なのですが、具体的に表現する人は少なく、感覚論、精神論、伝承などで表すわけです。私は、誰もが体験できるように、できる限り具体的に表現して説
50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)この時期、大会などで、結果が出せた人、出せなくて悔しい思いをした人、また、メンバーに入れずガッカリした人もいるでしょう。それには、そうなるに至った原因があります。それに向きうかどうかで、これから先の進化を左右します。そういう人たちにこそ、弓道の的中(射技)の物理的考察が参考になれば、幸いに思います。さて前前回、48.スランプの原因を物理的に考察するで弽帽子の首折れを修正できたことに端を発し、49.取り懸けをミクロに
42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる新型コロナ対応の緊急事態宣言が解除となり、2ヶ月ぶりに弓の稽古ができるようになりました。筋力の衰えは著しく、普段使っている18kg並の弓はまともに引けなかった〜物理的に言えば、会での張りを離れるまで保てない〜ので、弓道を再開するときに買った16kg伸をしばらくはリハビリ弓として使っていくことにしました。こういう時こそ、基本にもどる、いい機会だととらえたいと思います。このような場合こそ、「矢に学ぶ」という考え方は、非常に参考になると思います。「矢
36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?32.的中率を上げるためにやれることで、胸弦と両肘の張りが最も重要であることを物理的に説明しました。でも、おそらく、どのように力を働かせればそうなるのか、いまひとつわからず、手先に力が入って引いてしまうという人も多いかと思います。また、最近の弓道場で自主練をしている人(自分も含めて)を見ると、コロナ禍で弓道場が使えず稽古ができない間に筋力が弱って、離れが体の前に浮いてしまい、矢所が定まらなくなっている方が多いように思います。腕の筋肉は日
0.弓道の再開~正射必中への物理的アプローチを始める~私は、5年ほど前に学生時代にやっていた弓道を再開しました。五十肩になったのがきっかけで、何か運動をせねばとふと思い、たしなみのあった弓道をまた始める事にしました。現役当時(@伊勢神宮弓道場)始めて2年目の頃35年ほど前に買った道具(弓、矢、カケ、道着)が健在だったのですが、さすがに現役時代に使っていた17.5kgの弓をいきなり引けはしないだろうと、近くの弓具店で15kgの弓と既製品のカケを買って、市の弓道場で自主練を開始し
57.「弓道の冬は、手が冷たい」は、どうする?弓道の冬の稽古では、弽をする馬手(勝手)はまだ良いのですが、ほぼ素手のままとなる弓手(押し手)は、なんともし難く冷たい。2018年の冬に書いた記事「充電式カイロは使えるか?」弓道の冬は寒さとの戦いでもある。弦が胸に密着して胴着の上を滑っていく。腕のスレスレを通って矢を押し出していく。なので、邪魔になる厚着は出来ないのです。そして、弓をコントロールするために素手でなくてはなりません。しかし、弓道場は寒風吹きさらす造りになっている所が
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>張り合いを単純に表現するならば、離れるまで、以下の3つの方向の力をかけ続けている状態となります。これら以外の力が働くと、押し手や勝手がブレて矢は的付け通りには飛び出しません。せっかく整えた的付けを、わざわざズラして離すことになるのです。張り≒押し手で矢軸線上に真っ直ぐ押そうとする力+矢軸線上に勝手を残身の位置まで真っ直ぐに開こうとする力+取り懸けを解こうとする親指を中心としたカケ解きと弦捻り
38.的中のための本当のねらいとはねらいが整っていなければ、矢が的に中ることはありません。弓道でねらいと言うと、射法八節図解では第一から四のねらいで示されているもの、そして、的付けと口割りと考えるのが普通です。しかし、これらは表面的な形の上でのねらいであって、ねらいの核心ではありません。<仮説29>的中のための本当のねらいとは、離れ(張り)の方向を矢軸線にまっすぐに合わせること。<検証>結論から説明します。会の中で、両腕の離れ(張り)の方向を、矢軸線方向に精度よく
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづき勝手の親指はそらすの?親指の付け根の関節(三つ目の関節)は手首の近くにあります。押し手で角見に弓力がかかったとき弓と押し手の手の内の十文字ができていなければ、弓力に負けてこの関節で折れてベタ押しになります。ベタ押しでは弓の姿勢をコントロールできないので、親指の付け根の関節から先を弓に真っ直ぐ押せるように、角見部分の皮を握りに巻き込み親指の爪を上に向けるようにして反らす。手のひらの中心が十文字に
55.「角見で押して離れる」という弓道の謎(補足編)もし、AIに「弓道の離れ方」を質問すると、おそらく、押し手(弓手)の「角見で押して離れる」という答えが返ってくるでしょう。今、世の中にある既成情報しか学習できないのですから、それは当然。(実際にChatGPTに質問した答えを、この記事の最後に掲載しておきます)とすると、今、AIが、本当に正しい答えを導き出してくれるかというと、そういうわけではないということになります。これが、AIの落とし穴です。だから、弓道の既成概念も
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件弓道は中らない。確かに弓道で的中を出すのは難しいです。では、なぜ中らないのでしょうか?3.的中についてで「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な物理的条件について説明しました。しかし、押し手と勝手のブレ量を0で離れることは不可能です。では、どのくらいのブレ量であれば的中できるのでしょうか?<仮説8>正射必中に必要な幾何学的な必須条件がある。<検証>近的の的は直径360mm。的枠の内径を直径350mmとすると、的までの距離が2
34.かけほどきを身につけよう部活の中止や弓道場の臨時休館で稽古が出来ない。こんな時には、イメージトレーニングをやってみましょう。まずは、自分の射を撮ったビデオを見て修正すべき部分を指摘して、治った自分を想像していくことは、モチベーションも上がって有効だと思います。そして、この機会にぜひ、手を開く「離す」から取り懸けを解いて「離れる」かけほどきを身につけて、自分の射のレベルアップに踏みだしてみてはどうでしょうか。そこで今回は、かけほどきのイメージトレーニングの方法を紹介し
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)手を開いて(緩めて)離す。初心者はこうしなければ離れられないので初めは仕方がありません。一番簡単な離し方なのですが、的中も出ないし、弊害だらけです。初心者の域から抜け出すなら、手を開いて(緩めて)離すことの弊害を理解し、取り懸けを解いて離れる方法を身に着けて、上達への道へ踏み出しましょう。離れだけでなく、残身での味わいや心地良さも変わってくると思います。①弦で耳や頭や腕をはらう。矢をほおに付ける
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較さて、今回は弓道のことだけに凝り固まらずに考えることにします。和弓と違って、アーチェリーは実に合理的にできています。的に中るのが当たり前、つまり必中が前提であって、いかに中心に中てられるかを競います。弓道をやっている人の中では、中て射のことをアーチェリーをやっていると揶揄する場合がありますが、これはアーチェリーに失礼過ぎます。和弓より、アーチェリーの方が性能が優れているのは事実なのですから。謙虚に比較し参考になる点に気付
32.的中率を上げるためにやれることいよいよ今回は射技の核心、「的中率を上げるためにやれること」について、お話ししたいと思います。これまで1年間、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきた一つ一つの因子の的中への影響度を確認し、もっとも相関のある因子を検証し、ある程度の確証を得るに至りました。そのことを説明します。<仮説24>的中率を上げるためには、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきたことがやれていることを前提として、①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓
14.「離す」と「離れる」はどう違う?「4.離れについて」で離れには3つのパターンがあると説明しました。①手を「開いて」離す。②手の力を「緩めて」離す。③取り懸けを「解いて」離れる。①と②は人が直接行う行為なので、「離す」になります。③は人が条件を揃えた先に起こる現象なので、「離れる」になります。似ているようですが、まったく違います。ここでは、その違いをもう少し詳しく説明してみます。<仮説5>「離す」と「離れる」はまったく違う?<検証>「離す」は人