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55.「角見で押して離れる」という弓道の謎(補足編)もし、AIに「弓道の離れ方」を質問すると、おそらく、押し手(弓手)の「角見で押して離れる」という答えが返ってくるでしょう。今、世の中にある既成情報しか学習できないのですから、それは当然。(実際にChatGPTに質問した答えを、この記事の最後に掲載しておきます)とすると、今、AIが、本当に正しい答えを導き出してくれるかというと、そういうわけではないということになります。これが、AIの落とし穴です。だから、弓道の既成概念も
39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう34.かけほどきを身につけようで、「弦ひねりの方向は親指中心として離れのブレを最小とすることが大切です。人差し指で弦を押し、弦を介して親指を前に押し出す方向になることです。」と説明しました。この力の反作用を考えるほうが、力を働かせ易い人もいるかと思います。今回はそれについて説明していきます。<仮説30>かけほどきの力は、反作用を考える方が働かせ易い?<検証>では、反作用を図示してみましょう。上図のように、弦ひねりの反作用は青
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?弦捻りは弦を弦枕に食い込ませる方向にかけているので、離れで引っかからないのでしょうか?おそらく、誰もが疑問に思うことでしょう。<仮説10>弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?<検証>この質問を受けることは多いです。ちょっと考えてみましょう。弦枕が引っかかるという感覚は、弦が弦枕から飛び出す前に腕を開く動作をするから起こるのであって、弦が弦枕から飛び出した後、腕を開く動作が起これば引っかかるという感覚は生
12.取り懸けで親指を押える位置は?取り懸けで、親指の先端は中指のどこの位置にするのが良いのでしょうか?この質問もよくされます。取り懸けの方法は流派によって違いがあるようですが、ここでは、私が教えられてきたものに、物理的な解釈を加えた方法を説明します。<仮説3>勝手の親指を押さえる位置は中指の第1関節真下が良い?<検証>結論から言います。取り懸けた時の親指の先端は、中指の第1関節真下でないと、軽妙な離れは生まれません。会での取り懸けは、3つの指をほぼ平行に近
38.的中のための本当のねらいとはねらいが整っていなければ、矢が的に中ることはありません。弓道でねらいと言うと、射法八節図解では第一から四のねらいで示されているもの、そして、的付けと口割りと考えるのが普通です。しかし、これらは表面的な形の上でのねらいであって、ねらいの核心ではありません。<仮説29>的中のための本当のねらいとは、離れ(張り)の方向を矢軸線にまっすぐに合わせること。<検証>結論から説明します。会の中で、両腕の離れ(張り)の方向を、矢軸線方向に精度よく
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?今回は、押し手で大事なポイントの話をします。押し手で大事なことは、押し手の手の内と弓との十文字です。押す力をまっすぐに弓に伝えるための形です。弓の力を支えているのは筋力ではありません。骨格です。これは、疑う余地も無い事実です。筋力は弓の力を支えている骨格をサポートしているだけなのです。したがって、弓を引くときには、支える骨格の形が大事なポイントとなり、重要な部位の十文字を守るよう教えられます。三重十文字や五重十文字
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづきでは、どうやって取り懸けを解いて離れるのでしょうか?親指と中指をクロスさせた状態で、取り懸けはどうやって解けるのでしょうか。これは難解な知恵の輪を解くことと似ています。暴発させてはいけないが、ブレのない軽い離れでなければならない。完全に相反して矛盾しています。なので、多くの人は、握り込んで暴発を防ぎ、手を開いて離す、となるのは仕方がないと思います。取り懸けを解く離れを生むためにやれるこ
40.的中は矢から学べ学生さんたちの練習を見ていると、よく見かけることがあります。矢所が安定していない人を指導している時、肩や肘の抜け、上がり、下がりなどを会の中にまで、細かに修正しようとしている場面です。当事者にとっては良かれと思ってやっていることであるとは思いますが、私は、この指導方法には疑問に感じます。逆にありがた迷惑ではないかとも考えています。射形を修正するのは詰め合いまでであって、会に入ったあとは、張り合いや伸び合いに集中させるべきなのです。そして、矢所が
6.詰め合いについてここからは、取り懸けを解いて離れる具体的な方法について説明したいと思います。ここからを読むと、おそらく、今までとは違った自分の射技との向き合い方が、できるようになると思います。離れに導くために、会では、詰め合い、張り合い、伸び合いが大切と言います。詰め合い、張り合い、伸び合いとはいったい何なのだろうか?誰しもが持つ疑問なのですが、具体的に表現する人は少なく、感覚論、精神論、伝承などで表すわけです。私は、誰もが体験できるように、できる限り具体的に表現して説
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)手を開いて(緩めて)離す。初心者はこうしなければ離れられないので初めは仕方がありません。一番簡単な離し方なのですが、的中も出ないし、弊害だらけです。初心者の域から抜け出すなら、手を開いて(緩めて)離すことの弊害を理解し、取り懸けを解いて離れる方法を身に着けて、上達への道へ踏み出しましょう。離れだけでなく、残身での味わいや心地良さも変わってくると思います。①弦で耳や頭や腕をはらう。矢をほおに付ける
54.「角見で押して離れる」という弓道の謎弓道を始めると、ほとんどの人は押し手の「角見で押して離れる」と教わると思います。私もそうでした。しかし、勝手(馬手)で弦をつかんでいるのに、押し手の角見で押して離れるという矛盾に最初は疑問を持つものの、いつの間にかその矛盾を受け入れてしまい、自分も後輩には、当然、そのように指導するようになっていました。そして、押し手の角見で弓を押しながら勝手を開いて離すという動作を身につけて納得してしまいます。タイミングが合っているうちはこれでも良く中りま
61.会から離れの物理的考察を俯瞰して観る「弓道の的中(射技)の物理的考察」は、ついに60項目を超えました。この節目にこれまでの断片的な考察から、射技で最も重要な「会から離れ」について、理解しやすいように、まとめて観れるようにしておきたいと思います。最初に立てた仮説は、こうでした。的中に最も重要なのは、「馬手(勝手)の手の内とその働かせ方」である。弓手(押し手)はさほど重要ではない。的付けどおりに真っ直ぐに押せてさえすれば充分である。そもそも、人は同時に左右別々の動きをするの
※「ベストな的中シリーズ」は「弓道の的中(射技)の物理的考察」の検証結果です。11月のベストな的中はこんな感じでした。or今月の稽古は7回の週2弱のペースですが、自己目標の会四節を諦めなければ、このような的中を出せることがあります。矢所を寄せるには、会の安定と離れの導き方の丁寧さが求められるように思います。<参考>会から離れの物理的考察を俯瞰して観る何かと、タイパ(Timeperformanceは和製英語、Time-savingで覚えよう)を求める今日この頃、弓道の
36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?32.的中率を上げるためにやれることで、胸弦と両肘の張りが最も重要であることを物理的に説明しました。でも、おそらく、どのように力を働かせればそうなるのか、いまひとつわからず、手先に力が入って引いてしまうという人も多いかと思います。また、最近の弓道場で自主練をしている人(自分も含めて)を見ると、コロナ禍で弓道場が使えず稽古ができない間に筋力が弱って、離れが体の前に浮いてしまい、矢所が定まらなくなっている方が多いように思います。腕の筋肉は日
52.的中率をさらに上げるためにやれること32.的中率を上げるためにやれることの説明から3年が経ちました。①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓をしっかりと引き付けること。②両肘で矢軸線方向に張り、会のままの離れを導く努力をすること。この2つを意識して、精度高く引くことです。特に②は必須です。➡︎肘の張りで離れている的中と説明しましたが、皆さんは、身に付けることができたでしょうか?上記が身についていれば、50%以上の的中は出せるようになっていることでしょう。そう
51.「離れ」の瞬間を考察する離すではなく、なぜ「離れ」なのか?弓道を始めた人は、必ず持つ疑問だと思います。そして、「離れ」とは何なのかを知りたいと思っている筈(はず)です。矢を放つために、引き分けて弦を離す。それを繰り返すことで身についてしまう反射的な運動だからそう呼ぶのだと、思っている人もいるかもしれませんし、的中だけを求めるには反射運動であっても良いのかもしれません。しかし、大切に育ててきた一射の結果を単なる反射運動で決める、で良いのでしょうか?矢を放つという動作は
34.かけほどきを身につけよう部活の中止や弓道場の臨時休館で稽古が出来ない。こんな時には、イメージトレーニングをやってみましょう。まずは、自分の射を撮ったビデオを見て修正すべき部分を指摘して、治った自分を想像していくことは、モチベーションも上がって有効だと思います。そして、この機会にぜひ、手を開く「離す」から取り懸けを解いて「離れる」かけほどきを身につけて、自分の射のレベルアップに踏みだしてみてはどうでしょうか。そこで今回は、かけほどきのイメージトレーニングの方法を紹介し
21.会では見えない動作がある?動と静、動中の静・静中の動、などといった味わいの深い日本語があります。これをどう感じるかは人それぞれですが、弓道の”会”では、それを実感することができます。<仮説12>会では見えない動作がある?<検証>引き分けから会では、腕を折りたたむ方向から腕を残身へ向かう方向へと、そして、取り懸けを弦が外れないようにロックしている方向から取り懸けが解ける方へと、これら二つの力の方向の変換が必須となります。11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづきさてここで、会での力の釣り合いを式に表すと、以下のようになります。弓力=骨格に加わる力+骨格を支える筋力+α(両腕を残身まで開く力)引き分けが終わった状態では、このαは、ほぼ0です。会の中でこのαを生み出していく、この力の変換を行うことが張り合いということにもなります。αをできるだけ大きくすることによって、鋭い大離れを生むことができるわけです。では、具体的にどうすればいいのか?
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづき勝手の親指はそらすの?親指の付け根の関節(三つ目の関節)は手首の近くにあります。押し手で角見に弓力がかかったとき弓と押し手の手の内の十文字ができていなければ、弓力に負けてこの関節で折れてベタ押しになります。ベタ押しでは弓の姿勢をコントロールできないので、親指の付け根の関節から先を弓に真っ直ぐ押せるように、角見部分の皮を握りに巻き込み親指の爪を上に向けるようにして反らす。手のひらの中心が十文字に
26.既製のカケは親指で選ぶ初心者や学生の皆さんは、最初は安価な既製のカケを買うことになると思います。安価と言っても1~2万円以上はしますので、決して安い買い物ではありません。カケが自分の手に合っていなければ、軽妙な離れは出せませんし、的中もなかなか出せません。射形にも悪影響が出てきます。弓道の的中(射技)の物理的考察の記事で説明してきた内容は、多少はカケがフィットしていない場合でも、軽妙な離れで的中を出せるロバスト性のある方法を説明していますが、フィットしている方が的中精度は
4.離れについて概ね、弓道の離れは以下の3つのパターンに分けられます。①手を「開いて」離す。②手の力を「緩めて」離す。③取り懸けを「解いて」離れる。もっとも多く見られるのは、①です。残身で手が開くのですぐ解ります。私も長い間、この離し方しかできていなかった。②はたまに見かけます。アーチェリーに近い離し方なので、的中が出る場合もありますが、離れで押し手の手首が上がったり、肘が緩んだり、頭や手を弦ではらったりすることが多いようです。全身に力を入れている状態で、指先だ
8.伸び合いについて<伸び合い>これが特に抽象的で難解です。しかし、安定した的中や鋭い離れを生むためには不可欠なものとなります。会の状態は外観では静止状態で、矢束や身体が伸びたりする訳はないのに、伸び合えと言っている。張り合いとは違う表現なので、張り合いとは違うものであることは確かだろうと思います。伸び合いは、人が次の動作を瞬時に行うための瞬発力を発するための溜めであると、私は解釈しています。矢勢を出すためと説明する方もいますが、物理的に考えれば矢の初速に影響を与
59.既成概念は「離れ」と「残身」をも誤解させる離れは、取り懸けが解けて弦が勝手(馬手)から放たれる瞬間的な現象です。したがって、物理的にみれば、離れに大きいも小さいも無いのが事実です。しかし、残身の形を表すのに「大離れ」「小離れ」と呼びます。しかも、最近は大離れを推奨するので、多くの人は、まず、大きく引き離すよう指導されます。初心者に残身の形を覚えさせるためにはしかたないことなのですが、「大離し」の練習を続けて引き離しとなったまま、矢所は的の周りを回るか掃き矢になってしまう。こ
29.弓返りに大切なのは弓の捻りさて今回も、いただいた質問にお答えすることにいたします。(「的中率を上げるためにやれること」は検証中のため延期させていただきます)今回の課題は、腕をはらってしまうときにどう対処したらいいかということです。押し手の手の内を正しく働かせることができていれば、必ずしも弓返りしなくても腕をはらうことはないのですが、弓返りさせることに理屈は共通しています。結論から説明します。手の内の中での弓の位置は、弓の捻りをフリーにした状態で30〜45°の位置
53.弦捻りのルーティン弦捻りの必要性については、懐疑的な人も多いと思います。弦捻りを知らない人、効かせなくても離れる人、手を開いて(緩めて)離す人々にとってはまったく無用なもの、存在を意識もしていないのかも知れません。しかし、和弓の取り懸け構造での離れの導き方11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くかを読んでいただければ、手を開いて(緩めて)離す人にも有効に作用してくれるものであることは充分理解できると思います。ただ単に捻りを効かせているというだけで、交差させた取り
9.会のままの残身についてこれについては、私のような未熟なものが説明できるものではありません。先生が残してくれたレポートをそのまま載せることにします。S56.1.15「会のままの残身」ということについて(1)「手先きの弓」ということ今日では弓は両手さえあれば引けるものと考えているものさえいる。つまり、どうにか弓と弦を張り、引きつけて両手で左右の「釣り合い」をとって、ソッとうまいこと手先で放せば当るものと考えている。つまり「釣り合い」と「タイミング」に注意して「放
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?さてここで振り返ってみましょう。物理的に見れば、的中は「的付け通りに矢を飛ばす」ことでしか実現は出来ません。「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な条件は、①正しい的付けが出来ていること②押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えることなのです。(3.的中について参照)押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えるためには、自分で離す動作をするのでは無く、カケ解きによって取り懸けを解いて離れることが最も
49.取り懸けをミクロに考察してみる夏合宿や強化練習が終わり、的中が上がった人とうまく上達できなかった人との差が出てくる頃かと思います。この差は、3.的中についてで説明したように、「的中は「的付け通りに矢を飛ばす」という実に単純な物理現象で生み出せます。」このことを実現できるようになったか否かという単純な差だということに尽きます。的中は、射形の良し悪し、射癖の有無にはあまり相関がありません。流派によって引き方や取り懸け方が違うことが、既にこのことを証明しています。中らない
10.会での勝手の手の内を考えるここからは、さらに細かな部分の射技の疑問について仮説をたて、妥当性の検証を行っていきたいと思います。勝手の手の内の機能を考えてみましょう。①矢こぼれしないように、矢を保持する。②引き分けのとき、暴発させないように取り懸けをロックする。③軽妙な離れを生む。④弦をブレ無く送り出す。これら、的中に直結する複数の機能を果たさなければなりません。弦を握って離せば良いといった単純なものではないということです。①②③については、これまでに説