ブログ記事2,060件
55.「角見で押して離れる」という弓道の謎(補足編)もし、AIに「弓道の離れ方」を質問すると、おそらく、押し手(弓手)の「角見で押して離れる」という答えが返ってくるでしょう。今、世の中にある既成情報しか学習できないのですから、それは当然。(実際にChatGPTに質問した答えを、この記事の最後に掲載しておきます)とすると、今、AIが、本当に正しい答えを導き出してくれるかというと、そういうわけではないということになります。これが、AIの落とし穴です。だから、弓道の既成概念も
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについてさて今回は、いただいた質問に答えることにいたします。10.会での勝手の手の内を考えるの中での「勝手の中指で親指の腹を押し出す」ということを、もう少し具体的に説明したいと思います。<仮説20>勝手の中指で親指の腹を押し出すについて<検証>引き分けの時は暴発しないように、勝手の中指と親指は第1関節部分で押えあっていることでしょう(写真①)。取り懸けを薄くするには、写真に示すように中指と親指の第2関節部分で押し合うようにしなけれ
32.的中率を上げるためにやれることいよいよ今回は射技の核心、「的中率を上げるためにやれること」について、お話ししたいと思います。これまで1年間、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきた一つ一つの因子の的中への影響度を確認し、もっとも相関のある因子を検証し、ある程度の確証を得るに至りました。そのことを説明します。<仮説24>的中率を上げるためには、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきたことがやれていることを前提として、①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓
9.会のままの残身についてこれについては、私のような未熟なものが説明できるものではありません。先生が残してくれたレポートをそのまま載せることにします。S56.1.15「会のままの残身」ということについて(1)「手先きの弓」ということ今日では弓は両手さえあれば引けるものと考えているものさえいる。つまり、どうにか弓と弦を張り、引きつけて両手で左右の「釣り合い」をとって、ソッとうまいこと手先で放せば当るものと考えている。つまり「釣り合い」と「タイミング」に注意して「放
29.弓返りに大切なのは弓の捻りさて今回も、いただいた質問にお答えすることにいたします。(「的中率を上げるためにやれること」は検証中のため延期させていただきます)今回の課題は、腕をはらってしまうときにどう対処したらいいかということです。押し手の手の内を正しく働かせることができていれば、必ずしも弓返りしなくても腕をはらうことはないのですが、弓返りさせることに理屈は共通しています。結論から説明します。手の内の中での弓の位置は、弓の捻りをフリーにした状態で30〜45°の位置
53.弦捻りのルーティン弦捻りの必要性については、懐疑的な人も多いと思います。弦捻りを知らない人、効かせなくても離れる人、手を開いて(緩めて)離す人々にとってはまったく無用なもの、存在を意識もしていないのかも知れません。しかし、和弓の取り懸け構造での離れの導き方11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くかを読んでいただければ、手を開いて(緩めて)離す人にも有効に作用してくれるものであることは充分理解できると思います。ただ単に捻りを効かせているというだけで、交差させた取り
50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)この時期、大会などで、結果が出せた人、出せなくて悔しい思いをした人、また、メンバーに入れずガッカリした人もいるでしょう。それには、そうなるに至った原因があります。それに向きうかどうかで、これから先の進化を左右します。そういう人たちにこそ、弓道の的中(射技)の物理的考察が参考になれば、幸いに思います。さて前前回、48.スランプの原因を物理的に考察するで弽帽子の首折れを修正できたことに端を発し、49.取り懸けをミクロに
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くかはじめにの部分で、射技の中で最も重要な課題は、指を交差させた取り懸け方をどう解くかにあります。これは、難解な知恵の輪を解くことに似ています。力づくで解くか、スムーズに解くか、離れの理屈が解れば迷いは無くなり、残身に思いを向けることが出来るようになります。と書きました。そして、会での張り合いの説明の中で、取り懸けの解き方についても説明してきました。もう少し細かく考察を加えることで、みなさんの取り懸けの解き方への疑問を解消し
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?既成概念では中りに重要なのは押し手です。確かに矢の方向を定めるのは押し手です。ただそれだけのことです。離れ(弦を放つ)という現象を起こすのは、押し手ではなく勝手です。これは否定する余地のない事実です。最終的に矢の方向を支配するのは勝手の離れ方になる。これは否定のしようがまったく無いのです。<仮説11>中りに重要なのは押し手ではないのか?<検証>中りには押し手が重要。間違いではありません。なぜなら、会の状態では押しの肩から先
4.離れについて概ね、弓道の離れは以下の3つのパターンに分けられます。①手を「開いて」離す。②手の力を「緩めて」離す。③取り懸けを「解いて」離れる。もっとも多く見られるのは、①です。残身で手が開くのですぐ解ります。私も長い間、この離し方しかできていなかった。②はたまに見かけます。アーチェリーに近い離し方なので、的中が出る場合もありますが、離れで押し手の手首が上がったり、肘が緩んだり、頭や手を弦ではらったりすることが多いようです。全身に力を入れている状態で、指先だ
12.取り懸けで親指を押える位置は?取り懸けで、親指の先端は中指のどこの位置にするのが良いのでしょうか?この質問もよくされます。取り懸けの方法は流派によって違いがあるようですが、ここでは、私が教えられてきたものに、物理的な解釈を加えた方法を説明します。<仮説3>勝手の親指を押さえる位置は中指の第1関節真下が良い?<検証>結論から言います。取り懸けた時の親指の先端は、中指の第1関節真下でないと、軽妙な離れは生まれません。会での取り懸けは、3つの指をほぼ平行に近
49.取り懸けをミクロに考察してみる夏合宿や強化練習が終わり、的中が上がった人とうまく上達できなかった人との差が出てくる頃かと思います。この差は、3.的中についてで説明したように、「的中は「的付け通りに矢を飛ばす」という実に単純な物理現象で生み出せます。」このことを実現できるようになったか否かという単純な差だということに尽きます。的中は、射形の良し悪し、射癖の有無にはあまり相関がありません。流派によって引き方や取り懸け方が違うことが、既にこのことを証明しています。中らない
48.スランプの原因を物理的に考察する弓道場の臨時休館で稽古不足となり衰えてしまった筋力もやっと回復してきました。また、低周波治療器のおかげで左肩関節痛も治ってきましたが、どうも矢所が収束しません。スランプと言っていいでしょう。最近は、弓道場の休館、部活休止、受験などで練習不足となり、再開して元の様に引けるようにはなったものの的中が戻らない。この時期、そういう人が多いようにも思えます。こういう時に役に立つのが、自分の射で最も的中が出せるように修正を加えられた現役時代に使っていた
8.伸び合いについて<伸び合い>これが特に抽象的で難解です。しかし、安定した的中や鋭い離れを生むためには不可欠なものとなります。会の状態は外観では静止状態で、矢束や身体が伸びたりする訳はないのに、伸び合えと言っている。張り合いとは違う表現なので、張り合いとは違うものであることは確かだろうと思います。伸び合いは、人が次の動作を瞬時に行うための瞬発力を発するための溜めであると、私は解釈しています。矢勢を出すためと説明する方もいますが、物理的に考えれば矢の初速に影響を与
3.的中について弓道においては的中が全てではありませんが、めざすは正射必中。中らない練習をいくらやっても上達はしません。的中は「的付け通りに矢を飛ばす」という実に単純な物理現象で生み出せます。「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な物理的条件は、以下となります。①正しい的付けができていること。②(矢が乗っている)押し手の親指と(弦を番えている)勝手の親指が、動かない状態(会のまま)で、離れの瞬間を迎えること。会~離れこれらの条件が実現できなければ、いくら精神論を語られ
6.詰め合いについてここからは、取り懸けを解いて離れる具体的な方法について説明したいと思います。ここからを読むと、おそらく、今までとは違った自分の射技との向き合い方が、できるようになると思います。離れに導くために、会では、詰め合い、張り合い、伸び合いが大切と言います。詰め合い、張り合い、伸び合いとはいったい何なのだろうか?誰しもが持つ疑問なのですが、具体的に表現する人は少なく、感覚論、精神論、伝承などで表すわけです。私は、誰もが体験できるように、できる限り具体的に表現して説
51.「離れ」の瞬間を考察する離すではなく、なぜ「離れ」なのか?弓道を始めた人は、必ず持つ疑問だと思います。そして、「離れ」とは何なのかを知りたいと思っている筈(はず)です。矢を放つために、引き分けて弦を離す。それを繰り返すことで身についてしまう反射的な運動だからそう呼ぶのだと、思っている人もいるかもしれませんし、的中だけを求めるには反射運動であっても良いのかもしれません。しかし、大切に育ててきた一射の結果を単なる反射運動で決める、で良いのでしょうか?矢を放つという動作は
38.的中のための本当のねらいとはねらいが整っていなければ、矢が的に中ることはありません。弓道でねらいと言うと、射法八節図解では第一から四のねらいで示されているもの、そして、的付けと口割りと考えるのが普通です。しかし、これらは表面的な形の上でのねらいであって、ねらいの核心ではありません。<仮説29>的中のための本当のねらいとは、離れ(張り)の方向を矢軸線にまっすぐに合わせること。<検証>結論から説明します。会の中で、両腕の離れ(張り)の方向を、矢軸線方向に精度よく
58←52.的中率をさらに上げるためにやれること(アップデート)(「52.的中率をさらに上げるためにやれること」を検証後、さらに精度を高めようとすると、提案した会四節の順番を変えたほうがうまくいくことが確認されたので、今回、アップデートすることにしました。)32.的中率を上げるためにやれることの説明から3年が経ちました。①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓をしっかりと引き付けること。②両肘で矢軸線方向に張り、会のままの離れを導く努力をすること。この2つを意識して、精度高
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?今回は、押し手で大事なポイントの話をします。押し手で大事なことは、押し手の手の内と弓との十文字です。押す力をまっすぐに弓に伝えるための形です。弓の力を支えているのは筋力ではありません。骨格です。これは、疑う余地も無い事実です。筋力は弓の力を支えている骨格をサポートしているだけなのです。したがって、弓を引くときには、支える骨格の形が大事なポイントとなり、重要な部位の十文字を守るよう教えられます。三重十文字や五重十文字
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)手を開いて(緩めて)離す。初心者はこうしなければ離れられないので初めは仕方がありません。一番簡単な離し方なのですが、的中も出ないし、弊害だらけです。初心者の域から抜け出すなら、手を開いて(緩めて)離すことの弊害を理解し、取り懸けを解いて離れる方法を身に着けて、上達への道へ踏み出しましょう。離れだけでなく、残身での味わいや心地良さも変わってくると思います。①弦で耳や頭や腕をはらう。矢をほおに付ける
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづきでは、どうやって取り懸けを解いて離れるのでしょうか?親指と中指をクロスさせた状態で、取り懸けはどうやって解けるのでしょうか。これは難解な知恵の輪を解くことと似ています。暴発させてはいけないが、ブレのない軽い離れでなければならない。完全に相反して矛盾しています。なので、多くの人は、握り込んで暴発を防ぎ、手を開いて離す、となるのは仕方がないと思います。取り懸けを解く離れを生むためにやれるこ
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづき勝手の親指はそらすの?親指の付け根の関節(三つ目の関節)は手首の近くにあります。押し手で角見に弓力がかかったとき弓と押し手の手の内の十文字ができていなければ、弓力に負けてこの関節で折れてベタ押しになります。ベタ押しでは弓の姿勢をコントロールできないので、親指の付け根の関節から先を弓に真っ直ぐ押せるように、角見部分の皮を握りに巻き込み親指の爪を上に向けるようにして反らす。手のひらの中心が十文字に
54.「角見で押して離れる」という弓道の謎弓道を始めると、ほとんどの人は押し手の「角見で押して離れる」と教わると思います。私もそうでした。しかし、勝手(馬手)で弦をつかんでいるのに、押し手の角見で押して離れるという矛盾に最初は疑問を持つものの、いつの間にかその矛盾を受け入れてしまい、自分も後輩には、当然、そのように指導するようになっていました。そして、押し手の角見で弓を押しながら勝手を開いて離すという動作を身につけて納得してしまいます。タイミングが合っているうちはこれでも良く中りま
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?さてここで振り返ってみましょう。物理的に見れば、的中は「的付け通りに矢を飛ばす」ことでしか実現は出来ません。「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な条件は、①正しい的付けが出来ていること②押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えることなのです。(3.的中について参照)押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えるためには、自分で離す動作をするのでは無く、カケ解きによって取り懸けを解いて離れることが最も
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>張り合いを単純に表現するならば、離れるまで、以下の3つの方向の力をかけ続けている状態となります。これら以外の力が働くと、押し手や勝手がブレて矢は的付け通りには飛び出しません。せっかく整えた的付けを、わざわざズラして離すことになるのです。張り≒押し手で矢軸線上に真っ直ぐ押そうとする力+矢軸線上に勝手を残身の位置まで真っ直ぐに開こうとする力+取り懸けを解こうとする親指を中心としたカケ解きと弦捻り
34.かけほどきを身につけよう部活の中止や弓道場の臨時休館で稽古が出来ない。こんな時には、イメージトレーニングをやってみましょう。まずは、自分の射を撮ったビデオを見て修正すべき部分を指摘して、治った自分を想像していくことは、モチベーションも上がって有効だと思います。そして、この機会にぜひ、手を開く「離す」から取り懸けを解いて「離れる」かけほどきを身につけて、自分の射のレベルアップに踏みだしてみてはどうでしょうか。そこで今回は、かけほどきのイメージトレーニングの方法を紹介し
36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?32.的中率を上げるためにやれることで、胸弦と両肘の張りが最も重要であることを物理的に説明しました。でも、おそらく、どのように力を働かせればそうなるのか、いまひとつわからず、手先に力が入って引いてしまうという人も多いかと思います。また、最近の弓道場で自主練をしている人(自分も含めて)を見ると、コロナ禍で弓道場が使えず稽古ができない間に筋力が弱って、離れが体の前に浮いてしまい、矢所が定まらなくなっている方が多いように思います。腕の筋肉は日
こんにちはmakochinです。昨日は初めてのブログにもかかわらず予想よりはるかにたくさんのアクセスをいただき予想よりはるかにたくさんのいいね!をいただき本当に嬉しいです。ありがとうございます!子どものときに強く強く願ったことが叶った大人になってからも強く強く念じたことが叶ったそれと同時に怖がっていたことも現実になったそしてそれが科学的物理的に説明がつくのだ…ということを知ったときメチャメチャ嬉しくてメチャメチャワクワクしたことを覚えています。(
14.「離す」と「離れる」はどう違う?「4.離れについて」で離れには3つのパターンがあると説明しました。①手を「開いて」離す。②手の力を「緩めて」離す。③取り懸けを「解いて」離れる。①と②は人が直接行う行為なので、「離す」になります。③は人が条件を揃えた先に起こる現象なので、「離れる」になります。似ているようですが、まったく違います。ここでは、その違いをもう少し詳しく説明してみます。<仮説5>「離す」と「離れる」はまったく違う?<検証>「離す」は人