「今から私が論じるのは、農家や町人に限った話ではない。どんな人でも慎むべき道というものがある。まず、農家商家には上中下がある。上の農民とは財産があり田畑を多く持っている人をいう。町人では大名に金を貸し、土地を多く持ち、別宅を多く持っている人をいう。中の農民とはそれなりの収入があって、下人を雇い自身も農業をしながら、牛や馬を飼って名主や組頭を勤めるくらいの家を言う。町人では相応に手広く商売をして、手代が五人から七人ぐらいいるのを言う。下の農民というのは、土地を持たず、水吞百姓の他田畑の小作人で、そ