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目を閉じたまま部屋を出て行く音を聴いてた俺の一言で不安にさせたのは分かってるゆっくり起き上がって窓際に行き蒼い月を眺める・・・闇を払うように柔らかい光が波間を照らしているのが見えた画伯が何を隠してるのか・・・翔が聞いても答えないだろうそれだけは分かってる暁の一族も知らない何か・・・それは多分…長の事だ『智・・・何も心配しなくて良い私が付いているだろ』長が姿を現した隣りには翔様もいる「翔様・・・大丈夫ですか?」『先程
画伯が連れてきたお客様はチーフの手には負えないようで分室を優先するチーフ班副チーフ、助手1、2と翔先生が担当することになったサクちゃんの件は大ちゃんが中心でエルフ3人が担当する「あおちゃん、さくちゃんのはなびはツアーにはならないの?」チーフがちょっとだけがっかりした顔をするサクちゃんと一緒に来ていた烏帽子しゃんと仲良くなったからだ「ツアー先になったらチーフはそこに行くの?」チーフには全員をお見送りする重要な仕事があるそれを放り出していく訳にもいかない
マスターからヘルプが入り二人を席に残して厨房に行く用意されてる料理を見て唖然とした路地裏の喫茶店で出て来るものではないコース料理(フランス料理?)のようだけれど・・・「マスター張り切り過ぎ(笑)」「そうかい?櫻井君と二人ならいつもの特製ランチで良いかと思ったがいくらなんでもあの方に失礼かと思ってね」「こっちの方が驚くと思うけど」「お前にも食べて貰いたかったのここ来るの何年振りだ?」「2年・・・3年・・・くらい経ってる?」「それ
画伯の言葉の後ろに隠れているのは長は里から離れられない離れられない理由は東本家と大野本家の当主しか知らないここまでは有ってるはず(画伯は嘘はついていなかった)俺の両親が裏に隠されている理由を知ってるとは思えない(長の末裔と言うことすら知らないのかも)ただ、力を持つ子が生まれる一族であることは理解していた「貴方が長の末裔だって聞いて時『ああ、やっぱりそうなんだ』って納得する俺がいた」「それは、長に似て頑固だって事?」俺はあそこまで頑固じゃない気がするけど此奴
眩い光を浴びながら波打ち際を二人で歩く「こうやって歩くの初めてじゃねえ?」貴方が嬉しそうに笑う海が見える場所に行くことは有っても波打ち際を歩くのは初めて「海水浴に来た事がないから(笑)」「そう言えば・・・最初の道草って海が見えるところだったよな」「ええ、デートじゃなく道草寄り道だっけ?」「どっちかだったな(笑)あの時って、喧嘩してたよなぁ?」まだ付き合い始めて無い頃だったはず「喧嘩と言うか・・・価値観の相違!貴方の口癖
庭から広間に戻ってお茶を淹れた時テラスの外に人が立ってたここが日本だと忘れてしまいそうなほど美しい金色の髪と蒼い目の美青年俺よりもかなり若い気がするどこから入り込んできたんだろう?視線を合わせているのに動じる事もなく人懐っこい笑みを浮かべて中に入っても良い?って顔をする普通、自分の家の庭に見知らぬ人が立って居たら警戒するし慌てるはずなのだが(翔なら箒とか持ち出して構えそう)全くの違和感を感じないのだまるで彼こそが、この庭の真の主みたいな錯覚を起こすゆっくり立
『泊まってくれる!!!』exclamationmark付きの言葉が頭の中で増殖中思わず鼻歌が出てくる始末♫Socan'tstopmylove!僕の心が心へ伝える今そっと愛してるのサイン~・・・君と僕と二人で・・・yeah・・・行けるさそう君となら♫臆面もなく口から零れる歌は今の俺の気持ち掃除に勤しむ貴方に向かってのラブソング埃取りを手にした貴方がその柄をマイク代わりにして俺の口元に差し出すイヤイヤそれをされた
新幹線の中で食べるお弁当まで用意してくれたマスターその気持ちが嬉しいけどあれもこれもと言い始め笑いが起きるくらいの荷物になった旅行とは得てして帰りの方が荷物が増えるそれは常だけれども・・・限度があるまだ土産を買っていない「マスター・・・全部は無理!」嬉しい悲鳴を上げると俺の言葉など意にも介さない顏で「帰りは一人多いから荷物が増えても大丈夫だろそれに、持ってきた荷物は全部送ってるはず」ニヤリと笑って綾野君の顔を見る旅行鞄が一つずつそれもあま
俺の顏を見てホッとする小栗君護衛を仰せつかっている家にとって長を見失うと言うことは一大事なのだろう「小栗君、昨日はごめんね」綾野君の横に座った彼に向かって謝りをいれる「流石に車を放って後を追いかけられませんでした」護衛役としては面目が立たないって顔で肩を落とした本来、長の護衛をすることはない里から出ない長の護衛は必要がない主に次期長の護衛をするのが役目と(普段は二人行動らしい)陽の一族からの使いが来た際屋敷表に詰めることになってるらしい(その辺りの
国費で留学が出来る人は限られている何の伝手もなく、夢を諦める人の方が多い仏蘭西に渡るまでの智君の姿を見て色々と考えさせられたあの人は留学の為の費用を全て自分で用意した(渡航費だけは学校から出して頂いたが)決して、櫻井家の支援を受けようとはしなかった学校に通わせて貰っただけで十分だと首を縦に振ることはなかったあの頑なさには、父も苦笑いを浮かべてたそもそも、父が認めた才能留学費用も支援するつもりでいたようだ父へのお礼のつもりで出展した絵が最高の賞を頂きやっと恩返しがで
和也にそれとなく着替えてくることを伝えたきっとそれを聞いた翔君は飛んでくると思ったからクリスマスプレゼント用に描いた翔君の絵油絵にしたから乾かすのが大変だった完成した絵を見た岡田が大笑いして何処にも翔君がいないと笑ったそれはそうだ、わざわざデフォルメしたんだからだけど、僕の大好きな瞳だけはそのまま喜んでくれると良いけど・・・『これ誰?』って聞かれたらちょっと淋しいかなまあ、岡田の反応を見れば推して知るべしなんだけどでも僕が描きたかった翔君だからそれで良いと思
縁とは異なものでまさかの所で繋がってる翔にとっては青天の霹靂ずっと目が点状態珍しくあわあわしてる対照的なのマスター知ってて黙ってたから飄々としてるホント食えない人だでも・・・安心した翔の回りにも沢山の味方がいるお母さんが一番の理解者になってくれたそれが一番心強い食事を終えてお茶を飲みながら歓談してるとマスターが俺の方を見て「大丈夫?」って顔をして時計を見上げた最初、意味が分からなかったけど少し切なげな顔をしたから気が付いた魔法が解ける時間
翔とお母さんが帰って数分後階段を上がってくる足音二階で止まり、面白い音を立ててドアが開く「魔法が解ける合図か・・・」マスターがボソッと呟いた「僕は僕の場所に・・・」「そうだな・・・いらっしゃい綾野君」「こんにちはお邪魔します」綾野君が笑みを浮かべて会釈をする「カウンターにどうぞ」「ありがとうございます大野さん、宜しかったですか?」早く来過ぎたかも?って心配そうな顔をする「丁度いい時間だよそれより・・・高級食
画伯はかなり面白い人らしい朝食後、出掛ける準備を始めた俺たちに変装しろと言いだした「変装って俺もですか?」翔の変装は仕方がない七三分けのロイド眼鏡は楽しみにしてる「暁さんもした方が良いと思うけど」「長も変装ですか?」綾野君が難色を示す「サクちゃんがするからそこは暁さんもしないと不公平じゃない?」その理屈はどうなんだろう(笑)「俺もするんですか?」いやいや、そこはするに決まってるじゃん高級な洋服に身を包まれたら直ぐにバレちゃう
大好きな人がいる場所で同じ空気を吸うその甘美な誘惑の前では俺の理性など簡単に吹っ飛ぶあの人の呆れたそして冷たい眼差しが目に浮かぶけれど要はバレなければ良いと開き直った屋敷に居たくないからじゃないそこ間違えると、本気で怒られる『僕を出汁に使わないでください』って絶対言われるそれもすごい怒った顔でだから、万が一ばれた時の理由『智君が生まれ育った田舎を見たかった』これは胸を張って言える言葉だと思ってるそうと決まれば宿を探さないといけない岡田からそれとなく聞きだ
頂いた珈琲(アイス)を飲んですぐ後部座席に座った画伯の寝息が聞こえてきた「ふふ・・・寝ちゃったな」ハンドルを握る翔兄がミラー越しに画伯を確認して愛おし気な眼差しを向けた人はここまで変われるのかな?と思いながら自分の事を顧みた考えたら、俺も相当冷徹な人間だったそれを変えたのが智君だ・・・「寝顔も愛しいって事でしょ?」「当然、どんな顔も愛おしい寝顔って無防備だろ俺の隣でスヤスヤ寝てる顔見てると愛しくて愛しくて」「翔兄・・・蜂蜜よりも甘い
燕尾服に身を包んだ翔君は当然の如く格好が良い外国の言葉を借りればどこからどう見てもGentlemanだ『ただし、僕の方を見なければ』と言う注釈が必要僕を見る度に眉尻を下げてニヤニヤするからGentlemanの欠片もない(笑わなければ男前なのに)残念な人になってた翔君の思惑通りにはいかないのが常僕は付き人であり招待客ではないどんなに一緒にパーティー会場に入りたいと言ってもそこは厳格な決まりごとがある付き人は控室に案内された(翔君は憤慨してたけど・・・それが当然)燕
全員で写真を撮って美味しい料理とワインを頂いた日頃の感謝を込めて親父が用意させてらしい屋敷で働く人たちへの慰労も兼ねていたようだその為に両親は遠慮したと後で執事岡田から教えてもらった弟の友人は泊まって行くらしく広間ではトランプ遊びを初めていた「翔ちゃん、飲んでる?」雅紀が上機嫌で話しかけてきた「ああ、飲んでるよ帰る必要がないから気にしないで飲めるな(笑)」「外でも気にしないで飲んでるでしょ?」雅紀に真顔で突っ込まれる「そんなことないだろ」「ああ、覚えてないや
智君達が出掛けた後俺達3人も画伯のアトリエに向かって出発した翔兄はハンドルを握りながらまだ解せないって顔をして画伯に訊ねる「ねえ、どうして俺もなの?」「何が?」後部座席の画伯がしれっとした顔をする「だから、変装のこと」前回、俺の事をかなりおもちゃにしたのに自分のことになると、そこまで剥れる?思わずジト目で見てしまう「ああ、楽しいから(笑)」全く意味はないって顔をする画伯何となくそんな気はしてたけど「楽しいからって・・・それならサ
海岸線を縫うように走る道路沿いにお洒落な洋館そこが気紛れなパン屋さんらしい中に入ると焼き立てのパンの匂いだけど・・・誰もいない(普通誰かいるでしょ)「おはよう!取りに来たよ」厨房に向かって叫ぶ画伯「おそようございますの間違いじゃねえの(笑)」くすくす笑いながら、全く急ぐ様子もない頭に手拭いを撒いた店員が出てきた「仕方ないよ、サクちゃんがお寝坊さんだったんだから」俺が原因?「サクちゃんって、その身なりの良い人?」「そう夏なのにビシ
画伯のアトリエの寝室には二人用の寝具が用意されてたその上、部屋着と下着まで冷蔵庫の中にも食材が少し明日の朝食用らしい「どっちが良いのか迷ったの?」「何を迷ったの?」「今日は俺と翔でこっちに泊まって向こうを二人でって・・・でも、考えたら警護付きだと落ち着かないだろう?」「確かにそうかも」翔兄がそれが良いって顔をする「画伯、何から何にまでありがとうございます」「どういたしましてぼんやり公園を眺めるのもいいよどこで寝て貰っても
着替えを済ませて玄関に行くと画伯がTシャツに丈の短いパンツ足は靴ではなくビーサン姿で立って真っ青な空を眺めて「今日も暑い一日になりそうだ」そう言って帽子をかぶった翔兄よりも年上だと聞いてるけどどこからどう見ても俺より年下に見える今から都内に向かうのにそのスタイル?いくらなんでもラフ過ぎないか「あの・・・その姿で紅玉という店に行くんですか?」「そうだけど何か拙い?」言ってる意味が分からないって顔をする「お願いに伺うので・・・普通はちゃん
翔兄に案内されたアンティークショップ明治時代に建てられた洋館らしい外観から見て骨董店だとは気が付かないしかしお洒落な洋館だと思う入り口の扉の横に真新しいプレートらしきものが掛けてある『(有)智翔旅行社分室』その下にチラシサイズのポスター?が三種類並んで貼ってある「骨董店なのに旅行社?」どうやったら繋がるのかが理解できないまあ、花火を見る為となれば旅行社も必要なの?「つべこべ言わずに入るの」翔兄に背中を押され扉を開けようとしたら中から開いた
貴方が俺を呼んで座っているテーブルに別のテーブルをくっ付けるように指示するどうやら料理が乗りきらないらしいカウンターには大皿に載った料理お肉にお魚に野菜・・・ここが喫茶店とは思えないような本格的なフランス料理この人どこで修行してきたの?謎が多すぎて、マジマジと顔を見てしまった「マスター、今から俎板の鯉だよ」貴方がクスクス笑いながら大皿料理を手にする「この料理はコースで出してこそなんだけど」ちょっと不本意だと言わんばかりの顔をする「仕方ないです
分室のメンバーが揃うのは夜副チーフは会社がある為だ基本、チーフと動くのは助手1の蒼ちゃんであるその蒼ちゃんが出掛けている間さとち一人を机に座らせておくのも不安だと四六時中、いつの間になったのか知らない助手3の和さんが大きな机の所に座る「和、過保護(笑)」助手1が苦笑いを浮かべる「何を言ってるんですいくらなんでも店番を一人で任せられません」旅行社への客は数えるほども来ていない来るのはアンティークショップへのお客(それも少ないが)「かずしゃん、おいらできる
窓を開けると庭の木々の向こうに海が見える夜の海は青くもなく鈍色に染まり月の光に照らされて所々銀色に見えたりする凪いでるように見えて波が有るのかもな…俺が間借りしてる家は小高い丘の上に建っていて街からは少し離れている昼間でも人通りが少なく夜になれば静寂がお友達と思うほど人が立てる音はない耳を済ませば波の音も聴こえるような気がするここの家主は絵を描き出すと寝食を忘れて籠るから本当に静かだもう一人の家主は仕事の関係で帰らない日もある俺のいとこだけど(居るときは賑や
翔君は学校に向かったさて、何処で待っていようか・・・ここの生徒の顔をして構内に入ってみるビクビクして居ない方が怪しまれない僕は此処の学生だと言う顔で歩いていれば誰も不思議に思わないそもそも、他人の事をあまり気にはしないからだ小さなスケッチ帳を持っていたので景色やここに集う人を鉛筆で描いていく美術学校と違い、本を抱えている人が多い一つ気が付いた事は相葉君と別れて学校に入った瞬間翔君は無表情になった誰かに声を掛けられても僕に見せる柔らかい笑みは全く見せない警戒
鮫ちゃんとか蒼ちゃんとか・・・言われても分からない間の抜けた顔をしてると画伯さんがクスクス笑う「鮫ちゃん、知らなかったっけ?」翔兄に向かって聞いてるのか俺に聞いてるのか分からないけどフニャフニャっとした笑みが場の空気をいっそう和らげて行くような気がした「鮫ちゃんとは?」聞いた事もない相手「鮫ちゃんは鮫島グループの会長」鮫島グループの名前は知っているが会長には逢った事もない「存じ上げないです」「そうか・・・夏フェスに出てないから知ら
綾野君のcafe『Amsona』に立ち寄る「剛君、このお店の名前英語?」昔、彼奴に聞いたら分からないって返ってきた「英語では有りませんこの店で寛いで過ごす一時が幸せであって欲しいので」「至福の時って意味?」「そこまでよ配りません『幸せな時間』が流れる店です」「剛君らしいな・・・」穏やかでゆっくりと流れる雰囲気が作る『幸せの時間』か・・・「そうですか?ありがとうございます大野さんから頂いたアドバイスでここは本当に優
初めて二人で見た花火を思い出した豪華客船に乗って船上から花火を眺めたあの時の智くんは最高に綺麗だった花火よりもだ(当たり前だけど)花火を見上げてた眼差し瞳に映る花火は空の花火より美しく感じたのも事実古の二人にも見せてあげたい初めて見る花火に感動するだろうなぁその顔を見たいと思うどうやったら叶えられるだろう?出来れば智くんへのサプライズにもしたいそんなことを考えながら広間に向かうこの家は古い洋館リビングと呼ぶよりは広間キッチンと呼ぶよりは台所って感じなんだ部屋に