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分室の朝は早い(笑)来客は来ないけどチーフとなれば紅玉が開く時間には椅子に着席しキリリとした顔で和さんが扉のプレートをひっくり返すのを眺める戻ってきた和さんに必ず挨拶「おはようごじゃいますきょうもよろちくおねがいちます」助手に対するチーフとしての心得らしいその姿が可愛くて仕方がないに面々緩んだ顔のまま返事をする「チーフ、今日も良いお天気ですよ一日頑張りましょう」「がんばりましょう!」分室のメンバーが揃うのは夜それまで何をするのか思案中のチーフ
勾玉を預かりたいと言ったのはこの二人に花火を見せる為だと思ってたまさか・・・実体化してるなんて夢にも思わなかった「長・・・翔様・・・」智が二人に駆け寄っていくサクちゃんもそれに続く綾野君は驚いたまま固まってしまった映像のように目の前に現れてどんな表情なのか話は出来るけど触れようと手を伸ばしても虚しく彼等の体をすり抜けどんな声だったかと思い出そうとしてハタと気が付くのだ彼等の言葉には音が伴っていたのかと古の長の凛とした美しさ翔様の凛々しさ
画伯が中々戻って来ないので窓からベランダに出て公園を見渡す都心の一等地に立つタワーマンション最上階からの眺めより格段に綺麗な景色緑を湛える樹々の中に赤や黄色に色付いた葉が彩を加える遠くの人工池に浮かぶスワンボートが見え隠れするまるで一枚の風景画みたいだ・・・絵と違うのは枝葉が風に身を任せてて揺れる所かな「サクちゃん、お昼だけど」画伯の声が部屋の中から聴こえる「は~い」返事だけして手はまだベランダの柵を掴んだまま「ん?・・・どこ?・・・あ
今朝最後の新聞配達を無事に終えることができました17年8ヶ月雨の日も風の日も雪の日も嵐の日も台風の日も配達してきました思い起こせば2006年ちょうど三男が小学校受験の真っ只中で長男次男も小4小2とまだまだ手がかかる時でしたそんな中配達の仕事をすることとなりいろんな面で大変でしたが何とか今日まで配ることができました配達区域も全部で4箇所地域のことなら何でもわかる程ですそんな中幾度となくピンチもありました配達8年目に私の区域の代理で配達して下さっていた2人
俺と綾野君が3人掛けのソファーに座る向かい側に画伯と翔兄さん翔だけがどこに座ろうかとウロウロている「翔」・・・名前だけ呼んで隣に座るように目配せしたが頭を左右に振る「大野君、ソファーは満席だよサクちゃんここに座って俺は床の方が好きだから」画伯の言葉に翔兄さんが怪訝な顔をして「満席って誰かいるの?」恐々と訊ねた3人掛けと言ってもかなり広いつめなくても座ることが出来るそれの長は実体がないから「暁さん関係者と言えばいいのかな・・・あ
分室のメンバーが揃うのは夜副チーフは会社がある為だ基本、チーフと動くのは助手1の蒼ちゃんであるその蒼ちゃんが出掛けている間さとち一人を机に座らせておくのも不安だと四六時中、いつの間になったのか知らない助手3の和さんが大きな机の所に座る「和、過保護(笑)」助手1が苦笑いを浮かべる「何を言ってるんですいくらなんでも店番を一人で任せられません」旅行社への客は数えるほども来ていない来るのはアンティークショップへのお客(それも少ないが)「かずしゃん、おいらできる
狸の家も里を出られない?どう言う意味だ?思わず綾野君の顔を見た「確かに・・・東の家は里に有ります・・・他の長老家の住いは別の場所に・・・」頭を搔きながら考えを巡らせる綾野君筆頭家と和也の家は東京に城島・坂本の家は京都に「それに意味が有るのでしょうか?」考えが及ばないのかすぐさま画伯に訊ねる「長を守るのが東の家の使命里を出ては守れない」「それは尤もだけど・・・それ以外に意味が有る口ぶり・・・何か隠してる?」この人は
一度は会ってるのにそこまで緊張しなくてもと思うほど顔が強張ってる俺も明日は此奴みたいにカチカチになるのかも?何とか表情を和らげて部屋に戻った「画伯が気を使ってくれたのかもう、帰られた後だった」「あ~・・・おかえりになられたのか・・・それは申し訳ない事をした」父ちゃんが申し訳なさそうな顔で頭を搔いた「お礼も言わないまま・・・ご無礼な事をしてしまったわ」母ちゃんも凄く申し訳なさそうな顔をする「後日、二人でお礼に伺うことにしよう」
淹れたてのお茶を飲みながらお前が思い出したように笑う昨日の夜からずっとこの調子(笑)「そのニヤケた顔を(笑)」いつもより早く起きて来たお前が弁当作りに忙しい俺の邪魔をする「ニヤケてないって・・・たださあ・・・良い響きだっただろ?夢じゃないのを確かめたくて目が覚めちゃったの」その気持ちは分かるけれど朝のクソ忙しい時に想いを共有するのは無理!「そこでニヤケてないで俺の手伝いしてくれないの?」「手伝い?俺に出来る事ってある?」何
波が打ち寄せる音だけが聴こえる部屋窓の外は瑠璃色の空に蒼白い月が浮かんでた「翔・・・もっと感じさせて・・・」乾いた心を潤すように際限なく求め続ける貴方まるで心の中に芽生えた疑念を打ち消すように「智・・・俺の智・・・もっと・・・」荒い息と共に昇り詰めていく・・・逢えなかった日々を埋めるように何度も・・・何度も・・・愛し合える喜びを噛みしめるように腕の中でまどろむ貴方はまるで幼子の様で思わず頬に唇を寄せる昼間、
画伯のポーカーフェイスは完璧で全く尻尾が掴めないあの人が握ってる秘密は何なんだろう?ずっとその疑問が頭の中をぐるぐるしてる折角の休日なのに・・・愛しい人が傍に居るのに・・・「まだ考えてるの?」そんな俺の心を見透かすように心配そうな顔で俺の様子を窺う「ゴメン・・・駄目だな・・・俺は画伯みたいに胆が据わってない」「あの人は特別な気がする・・・翔兄もそうだけど・・・あの二人はどん底を経験してるから・・・」「どん底?」「翔兄の事
連絡を入れてからここに来るのに1時間も掛かっていないこの人、本当に社長業をこなしてる?訝しく思えるほどのスピードに呆気に取られてると画伯が隣で可笑しそうに笑う「俺がしてたら、もう20分は早く来るな(笑)」「それって、電話受けた状態でそのまま外に出るって事ですよ?」仕事をしていたらそうはいかないはず「多分そうだよ(笑)」「本当に?」黙ったまま何度も頷くその話題が自分の事だと分かった翔兄否定するどころか思いっきり肯定をする「この人からの電話
紀之さんと逢って話したからと言って直ぐに解決する事は何一つない改革の為の協力者が増え一歩を踏み出したに過ぎないからだ東の家に伝わる日記に記されている事一番重要な事は長が知っているはず夕方部屋に戻り縁側に座る茜色に染まる空を眺めながら握り締めた勾玉に語り掛ける事にした「長・・・長老は同行していましたか?」同行していた勾玉を身に着けていた俺に見えたのだから長に見えない筈はないが長は姿を現さなかった暫しの沈黙の後ゆっくり姿を現す長「茜色に染まる空は美
夜遅くに翔兄が帰ってきた画伯さんから聞いたのか少し飲まないかと誘われてリビングに行く画伯さんがアトリエに籠っていない時は料理はすべて画伯さんが作るテーブルの上に並べられた酒のツマミそれをアテに飲んでいたのかほろ酔い気味の画伯さんが手を振った「明日実家に顔を出すんだって?」翔兄が座りながら俺に訊ねる「何時までも燻ってはいられないので」「準備準備と言いながら随分グズグズしてた(笑)急かす訳にもいかないから想定できることへの対策は考えたが・・・」
過去に智君のお芝居に呼ばれたことがある。メンバー全員で行った、少年隊さんの【新世紀】。それから、メンバーが別々に行ったセンゴクプーシリーズ正直、演技は素晴らしかったけど、おれ、個人的には………大好きなMAと一緒に、嵐の「時代」を歌い踊る智君あのときは、確かに感激したんだけど。その後寂しかったというか、悔しかったと、自覚したから。そもそも、このMAというやつが、俺にはくせ者だ。大好きな先輩と大好きな後輩、そして智君を大、大、大好きな同期この同期は、Jr.のコンサートの時智くん
狸は悪い人じゃない?長を閉じ込めてるのはあの狸どもなのに?「現長は視野が狭いのかな?」画伯が痛い所を突いて来る「俺の視野が狭い?」憮然とした顔をして真っ直ぐに見つめる「長制度に疑問を持つのは分かる自由を奪われ幽閉されてる状況文句の一つも言いたくなるその気持ちを否定するつもりはない寧ろ大声を張り上げて良いそんな事、皇子は望んでないよね?」違いますか?って顔をして長に訊ねる長は大きく首を縦に振って『ええ、望んでいません智には外の世
紀之さんが水面下で動き始めたと言うことは和也が屋敷にいるのはまずいかもしれない本人は嫌がるかもしれないが一度、二宮の家に戻すことも考えた方が良い「和也、一度家に戻ったら?」机に向かって勉強をしていた和也が少し表情を強張らせて顔を上げる「どういう意味?家に帰れってこと?」「そんな怖い顔をするな紀之さんが動き始めたらお前はどうする?」和也の気持ちもだが二宮の家の立場もある「どうするって・・・」「招集が掛かっても屋敷に居たら動けないだろ
画伯の部屋のドアホンを鳴らす少々緊張した面持ちの翔がドアを開けて顔を覗かせた「迷わなかった?」「迷わないだろ(笑)」公園を出て道路を挟んだ真ん前のマンションどうやったって間違える要素がない「土地勘あったっけ?」「綾野君が分かりやすい場所で降ろしてくれたのと道路沿いのマンションはここだけ間違えようがないだろう」「それは失礼しました」にっこり笑うが笑顔が堅い「髪型、直したんだあのままで良かったのに」子ども扱いするから少々意
夕方のTV局カチャ……誰もいない……と、思った楽屋〔おはよ。〕ソファの向こうからニノがムックリ顔を出した。「あ、おはよ」〔ありがとね。〕え?何だろうと、不思議顔のおれに〔個展の花だよ。みんなのも注文してくれたんだろ?〕そうだった。明日から、智君の個展が始まるというのに誰も花を用意してなかったんだ!だから、とりあえず俺が花屋を探して4人分注文したんだよ。花屋は、突然の急な仕事にビックリしていたけど、朝方だったし。なんとか間に合わせて無事に会場に届いたようだった。個展は
今日のお昼は画伯特製カレー智君が作るカレーの次に美味しいと思う俺にとっての一番は何が有っても智君のだからカレーのトッピングはハンバーグ(和也さんの好物)沢山の人が集まるからと辛口と普通のカレーが用意されている「智君は辛口?」「2種類あるの?」クッキングヒーターの上の二つ鍋に視線を向ける「画伯は辛いのが好きなの他3人は辛いのが苦手智君が唐いもの好きって言ったらこれ幸いに辛口カレーを作ってくれた」「そんなに辛いの?」それはそれは辛い一口で汗
ずっとお兄ちゃんの傍に居たいその気持ちは今も変わらない子ども妖精になりたての頃僕を見つけてくれたお兄ちゃん何も考えずに通った部屋あの頃に戻れるなら戻りたいって思う時がある大好きだけで傍に入られた頃に・・・緋の妖精の核がお兄ちゃんの中に戻ったら何が起きるんだろう?お兄ちゃんは妖精になる?それともどっちらかを選択するの?僕は・・・どうすればいいんだろう?人として生きるって言ったら蒼の花の核は蒼の森に帰るそんな気がするんだ・・・そしたら・・・僕は
抱きしめて改めて気が付く貴方がかなり細くなってる事に「智君、沢山食べないとダメだよ」「沢山食べてただろ?」「食べてたけど・・・痩せたような気がする」「痩せてないぞ!体重はほとんど変わってないの」「本当に?」「ああ、それはホント綾野君に聞いてみたら毎朝健康チェックしてるからそれに週に一度は医者がくる健康でいる事も長の務めなんだよ」「だって抱き心地が・・・」貴方が怒った顔で頭を叩いた「何時と比べてんだよ!お前大袈裟
智君のご両親の話を聞いていると長老会の認識にズレがあるような気がした大野一族が里から里と一線を画しているからなのかもしれない長を守るためだけに存在する東の家長を守るって何から?「何て挨拶に見えたの?」貴方が怪訝な顔をして訊ねる「東の家の長老の事?」お父さんが貴方の顔を見ながら確かめるように訊ねる「うん」「東の家は暁になる前から長に仕えてきた一族お前を正式に里にお迎えし一族一丸となって長を守りお仕えいたしますって・・・昔からの口
貴方が俺を呼んで座っているテーブルに別のテーブルをくっ付けるように指示するどうやら料理が乗りきらないらしいカウンターには大皿に載った料理お肉にお魚に野菜・・・ここが喫茶店とは思えないような本格的なフランス料理この人どこで修行してきたの?謎が多すぎて、マジマジと顔を見てしまった「マスター、今から俎板の鯉だよ」貴方がクスクス笑いながら大皿料理を手にする「この料理はコースで出してこそなんだけど」ちょっと不本意だと言わんばかりの顔をする「仕方ないです
俺からの連絡が中々は来なかったからなのか夕飯の用意を持って人が訪ねてきた玄関先に行くと、画伯の友人(和也さんかも)が大きな箱を持って立っていたその後ろにもう一人大きな荷物がのった台車の横にいた「私、智の友人の松本です智から連絡があって皆で食べれる鍋の材料を届ける様に頼まれたので、お持ちしました」彼のお店の料理だって聞いてたけど・・・鍋に変更?「ありがとうございます鍋の材料ですか?」「話に花が咲いているだろうから皆さんでお鍋を囲むのも良いだ
俺の顏を見てホッとする小栗君護衛を仰せつかっている家にとって長を見失うと言うことは一大事なのだろう「小栗君、昨日はごめんね」綾野君の横に座った彼に向かって謝りをいれる「流石に車を放って後を追いかけられませんでした」護衛役としては面目が立たないって顔で肩を落とした本来、長の護衛をすることはない里から出ない長の護衛は必要がない主に次期長の護衛をするのが役目と(普段は二人行動らしい)陽の一族からの使いが来た際屋敷表に詰めることになってるらしい(その辺りの
仕事部屋に行くと和也が難しい顔をして本と格闘中修復には興味はないが文化財保護には興味があるようだただ、今更学芸員取得のために大学に行く気はないらしく『キュレーター』として携われるように通信講座のようなもので勉強中「径君・・・遅かったね」本から視線を外さずにノートにメモしながら勉強を続ける「勉強は捗ってる?」「まあまあかな・・・結局、経営の勉強もしなきゃいけないから付け焼き刃で出来る事ではないねでも、キュレーターの仕事には興味はある」「
満開の花の様に満面の笑みを浮かべた四人その笑顔を見てほっと安堵した社長と副社長「智大殿、素晴らしい茶席をご用意くださり感謝申し上げます」翔旦那が社長に「さとし殿、二人を連れて来てくれて本当にありがとうこのような花見なら何度でもと思ってしまいます」若主人がさとちに感謝を伝える「たのちかった?」「ええ、最高に楽しかったです」「今日の日は私たちの一生の宝となりました」二人が笑みを浮かべて頷き合う「よかっちゃ!おいらもなのだいじなだ
駅に向かう道を歩きながら横目で俺の顏をちらちら見る母が可笑しそうに笑った「何が可笑しいの?」どこにも笑う要素はないと思うのだが尚もクスクス笑い続ける「その剥れた顔(笑)子どもの頃のままね」「剥れてなどいませんけど・・・」駅まで見送れないのが不本意なだけでそれでも納得はしている「それが剥れてるのよ思い通りにならないと直ぐに顔に出て気持ち分からない訳ではないけど」「状況は理解してるしちゃんと納得していますただ・・・遠くからで
花が咲く庭に大きなテーブルとイスが用意されてたさっきは無かったのに・・・テーブルの側まで行くと其々の始まりの5人の姿はなかった「大ちゃん・・・始まりの皆はどこ?」「実体化できるのは此処にいる間だけ邪魔しない方が良いと思って教会の方に移動して貰ったよ積もる話は沢山ある」「5人で帰るって言ってた・・・」きっと蒼の森の中にある楽園かもしれない「記憶だけあるべき場所に戻るここを出る時はちびちゃん達の中に」「昨日言ってたね・・・ゆっく