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元日の昼から宴会が始まる親戚の中で初孫だった俺は小さい頃は祖母ちゃん子それはそれは可愛がられて育った正月に必ず帰るのは一つには祖母に会うためだ年始の挨拶を済ませて祖母の隣に座る祖母にとって俺はまだまだお尻の青い子どもらしい「翔くん元気だった?」「元気だったよ、祖母ちゃんは?」「そうねぇ・・・この年にしたら元気な方じゃない?」「確かに、10歳は若く見える今年は何処に行くの?」「旅行?」祖母は正月三が日が済んでから海外に旅行に行くのが
レトロカフェはいつもより1時間遅れで開店店にはマスター(店主?)が一人で切り盛りしていたどうしてか訊ねると正月3日の朝っぱらから来る客は少ないから一人で十分だと返ってきたマスターの言う通り、客はまばらだけど閑古鳥が鳴くところまではいっていない(因みに丸山君は11時の出勤らしい)いつものようにモーニングコーヒーを頼むマスターがパンか餅、どちらにすると訊ねられ餅?・・・キョトンとした顔で眺めると磯部焼きか雑煮のどっちかだって笑って教えてくれる焼いた餅も捨てがたいがこ
30代も半ばの俺が真剣な恋をした相手は10才近く年下の同性抵抗が有ったかと言われると全くなかった逢った時から恋に堕ちてた流石に自覚するのに時間が掛かったが自覚した後はまるで中学生のような恋をしている彼に出会う前の若気の至りは数知れず「本物の恋だとか、真実の愛だとか」正直どうでも良かった見目麗しい相手と、一夜のアバンチュールを楽しみ相手が本気になれば逃げだしていた古い映画の台詞を格好つけて言ってた記憶がある『昨日何をしていたの?』『そんな昔の事は憶えていない』『今夜
結局、昨日も宴会になり(当然酒は控えた)眠る前にラインで少し話して陽が昇る前に部屋に戻った昨日のうちに師匠に連絡をして店のセッティングを見せて貰うことになったのでかなり早い時間に家を出る毎年ご両親の車で師匠宅に戻って来る智君ご両親の年始も挨拶を兼ねているらしくその時に家に居ないのは申し訳ないと店の準備は朝一番でするとの事今回はその手伝いを申し出たら快く(喜んで)受けてくれた車は商店街の側にある駐車場に停めてまだ起きていない商店街を歩いて店に向かういつもなら早
父ちゃんが僕の福袋母ちゃんが師匠の福袋をゲットして上機嫌で帰って行った見送りは出来なかったけど何だか親孝行した気分(まだまだだけどね)翔さんが僕の福袋を手にしてたから吃驚したもしかして父ちゃんから聞いたのかなぁ?福袋は1時間も経たないうちに完売元々、総数が少ないから売れるのは早いけどいつもよりも早かった気がする師匠が『福袋は完売しました』と書いた紙を扉の外側に貼りに行き「あっという間に客が引く(笑)」一気に閑散とした店の中を見回しながら苦笑い
新幹線の中で食べるお弁当まで用意してくれたマスターその気持ちが嬉しいけどあれもこれもと言い始め笑いが起きるくらいの荷物になった旅行とは得てして帰りの方が荷物が増えるそれは常だけれども・・・限度があるまだ土産を買っていない「マスター・・・全部は無理!」嬉しい悲鳴を上げると俺の言葉など意にも介さない顏で「帰りは一人多いから荷物が増えても大丈夫だろそれに、持ってきた荷物は全部送ってるはず」ニヤリと笑って綾野君の顔を見る旅行鞄が一つずつそれもあま
青い空に風に揺られる桜ひとひらの花びらがふわふわと空に舞う愛らしい妖精4人が大ちゃんめがけて飛んでくる既に飛んでいることに何の違和感を持たない翔旦那若主人と暮らすうちに不思議な事も受け入れるだけの度量を身につけたようです「おおちゃ~ん!」4人の妖精を満面の笑みで出迎える大ちゃんその横で翔先生も優しい笑みを浮かべている「五つの班を無事に送り出した?」大ちゃんを囲むように並ぶ四人が誇らしげな顔をして大きく頷いて「ちゃんとおさそいちてお
ぐっすり眠る翔の腕の中から抜け出しカーテンを開ける東の空の海と空の境目に曙色の筋が引かれていく陽が昇る前の一番美しい景色空に蒼が帰って来る瞬間床に座り朝の儀式を始める(かなり簡略だけど)その後は瞑想の時間心を無にして・・・『智・・・里を離れてる時ぐらいは儀式は必要ないと思うが(笑)』「そうですが・・・一日の始まりは儀式から瞑想一連の事をしないと落ち着かないので蒼穹殿とは蒼穹の一族を祀る祠だったのですね」『そう言うことになるな』
師匠のペースに合わせてかなり飲んでたから二日酔いになってるような気がする翔さんもお酒は強い方だけど師匠は笊だから「きのう、なんじにねたの?」「何時だったかな?かなり遅くまで起きたてよ」師匠は今日はお休みするつもりだ(だからあんなに飲んだんだと思う)昨日一日お店にいたから今日は僕が一日お店に出る部屋に入って行くと翔さんが布団の上に座ってポカリスエットを飲んでいたあ~・・・相当お酒が残ってそう顔色もあまりよくない「おにいちゃん、おはよ
緩やかな坂道を登っていく翔さんと一緒に来た時は春だったっけ?何度か一緒に歩いた道今日は一人・・・僕の左側がスースーしてる翔さんは必ず車道側を歩くその事に気が付いたのは夏のフェスの頃さり気無い優しさが出来る人だって思ったのを覚えてるどうしようもない男だって言うけどその頃の翔さん知らないから僕にはピンとこないその頃に逢っていても変わらなかったような気もするけど違うのかな?坂を上り切り、少し下りかけた所で右に曲がる右手側には都会の中の森が広がってる(あの洋
満開の花の様に満面の笑みを浮かべた四人その笑顔を見てほっと安堵した社長と副社長「智大殿、素晴らしい茶席をご用意くださり感謝申し上げます」翔旦那が社長に「さとし殿、二人を連れて来てくれて本当にありがとうこのような花見なら何度でもと思ってしまいます」若主人がさとちに感謝を伝える「たのちかった?」「ええ、最高に楽しかったです」「今日の日は私たちの一生の宝となりました」二人が笑みを浮かべて頷き合う「よかっちゃ!おいらもなのだいじなだ
朝ご飯を食べて部屋の掃除を済ませたあと画伯に電話を入れた和也さんと一緒に画伯が迎えに来てくれることになった父ちゃんが真面目な顔をして俺の前に座る「智、今日は『行ってらっしゃい』を言わせてくれないか?」「いってらっしゃい?」どう言う意味か分からず聞き返すと父ちゃんの隣に座った母ちゃんが言葉を繋いだ「お父さんと相談したの二人で里に送り出したいってだって、この前は逆だったでしょ?」「『行ってらっしゃい』の言葉と『お帰りなさい』はセットだ
一人暮らしを始めてから年末年始をゆっくり過ごすことはなかった年末はパーティー三昧元旦の恒例行事さえ済ませてしまえばセレブのステータスと言わんばかりに海外に跳んだ目的は世界遺産の制覇ゆっくり観光する訳ではないガイドブックに載っている場所の確認作業その地を踏むことに意義を見出していた愚かな事この上ないがそれがカッコいいとさえ思ってた思い返すと何と無為な時間を過ごしてたのかと思う昔の自分に会ったら言ってやりたい『おお馬鹿やろー!目を覚ませ』って外見だけ着飾っても中身が伴って
駅に向かう道を歩きながら横目で俺の顏をちらちら見る母が可笑しそうに笑った「何が可笑しいの?」どこにも笑う要素はないと思うのだが尚もクスクス笑い続ける「その剥れた顔(笑)子どもの頃のままね」「剥れてなどいませんけど・・・」駅まで見送れないのが不本意なだけでそれでも納得はしている「それが剥れてるのよ思い通りにならないと直ぐに顔に出て気持ち分からない訳ではないけど」「状況は理解してるしちゃんと納得していますただ・・・遠くからで
亀ちゃんたちのライブは大成功に終わった僕の左手はずっと翔さんのシャツの裾を握り締めてた(感動するとそうなるらしい)帰りは別々に帰ることになってたから僕たちは少しだけライブの余韻に浸りながらゆっくり会場から出て歩き始めた「翔さん、僕の部屋に来ませんか?」すっと考えていたんだ部屋で話した方がゆっくり話せる「貴方の部屋ですか?」想いも寄らない言葉に驚いたのか吃驚した表情を浮かべる「はい、どこかでテイクアウトできるものを買ってご飯を食べながらですが・
何から話して良いのか考えてしまうけど先ずは・・・確めなくてはいけないことがある「不躾な事は重々承知していますですが・・・最初にお伺いすべきだと思いました正直な気持ちを聞かせてください」お母さんも同じ気持ちのような気がした翔君が居ない処で聞きたい事があるはず「何なりと聞いてください」お母さんはある程度予測していたのか落ち着いた様子で小さく頷いた「翔君から僕のことを聞いた時どう思われましたか?同性の恋愛、それと・・・」「一族の事です
綾野君のcafe『Amsona』に立ち寄る「剛君、このお店の名前英語?」昔、彼奴に聞いたら分からないって返ってきた「英語では有りませんこの店で寛いで過ごす一時が幸せであって欲しいので」「至福の時って意味?」「そこまでよ配りません『幸せな時間』が流れる店です」「剛君らしいな・・・」穏やかでゆっくりと流れる雰囲気が作る『幸せの時間』か・・・「そうですか?ありがとうございます大野さんから頂いたアドバイスでここは本当に優
待ち合わせ場所は『カンテラ』の最寄り駅と言っても電車で来るわけではないそう思って電車に乗ってるとメールが入った『待ち合わせの駅まで電車で向かっています』思わず椅子からずり落ちそうになった母は所謂箱入り娘のお姫様公共交通機関の移動は殆どした事がない(新幹線は別だけど)「電車に乗ってるの?」短い返信を入れる「ええ、電車って楽しいのねどっちの出口に行けば良いの?」どうやって駅まで来た?最寄駅からだと1番ホームだろうか『どの駅から乗ったの?俺も電車で
一度は会ってるのにそこまで緊張しなくてもと思うほど顔が強張ってる俺も明日は此奴みたいにカチカチになるのかも?何とか表情を和らげて部屋に戻った「画伯が気を使ってくれたのかもう、帰られた後だった」「あ~・・・おかえりになられたのか・・・それは申し訳ない事をした」父ちゃんが申し訳なさそうな顔で頭を搔いた「お礼も言わないまま・・・ご無礼な事をしてしまったわ」母ちゃんも凄く申し訳なさそうな顔をする「後日、二人でお礼に伺うことにしよう」
マスターに呼ばれ久し振りにカウンターの中に入った二人の事がかなり気になるけれどソワソワしながらマスターの顔を見る「櫻井君って、やっぱりせっかちだよね」『知ってたけど、これほど』っと言いたげな顔で苦笑い確かにせっかちではあるが今日のような状況下の場合大概の人はそうだと思う「時と場合に寄りますって最近は長くなった方だし・・・」「ふふ・・・短いって自覚は有ったんだ(笑)じゃあ、珈琲豆挽いて貰おうかな」え~っと・・・そこからそこに繋げる?
俺からの連絡が中々は来なかったからなのか夕飯の用意を持って人が訪ねてきた玄関先に行くと、画伯の友人(和也さんかも)が大きな箱を持って立っていたその後ろにもう一人大きな荷物がのった台車の横にいた「私、智の友人の松本です智から連絡があって皆で食べれる鍋の材料を届ける様に頼まれたので、お持ちしました」彼のお店の料理だって聞いてたけど・・・鍋に変更?「ありがとうございます鍋の材料ですか?」「話に花が咲いているだろうから皆さんでお鍋を囲むのも良いだ
目抜き通りを抜けて裏路地に入るお袋にとっては初めての場所さぞ心細いかと思いきやどちらかと言うと楽しんでいる様子「路地裏って初めて?」「初めてじゃないわよかなり遠い昔だけれど一度だけ来た事がある」母が悪戯っぽい笑みを浮かべもう時効ねって顔をする「初めてじゃないの?」「ええ、学生の頃はお転婆だったから(笑)ダメと言われると行ってみたくなるの」初めて聞いた・・・俺の方が動揺してる「変わってない?」「どうなのかしら?お友達が
『里を改革する』という大義名分のもと知らず知らずのうちに傲慢になってたのかもしれない長として里に入り理不尽なことに腹を立て見えない物ばかりを見ようとしてた『頭の固い狸は要らない』考えたら・・・これこそ自分本位の都合の良さの最たるもの話し合いたいと言いながら相手の声には耳を傾けなかったいきなり来た長が突然『改革』と叫びだしたら喧嘩腰になるのも致し方ない狐と狸の化かし合いをしてたら改革など程遠く、益々溝は深まるばかりそんな事も分からなくなってた意地の張り合いだ(俺の
お江戸のお二人が用意してくれた花見弁当さとち達は食べられる物をほんの少しだけお菓子だけは特別です桜の菓子と三食団子を頂きましたお腹もいっぱいになったので4人揃って満開の桜の精霊さんにご挨拶お兄ちゃんがお目付け役ひと通り挨拶を済ませた4人の妖精君たち若主人と翔旦那が用意したおもちゃに興味津々貝独楽・糸つり独楽・泥面子・ビードロ(笛)・手毬どれも遊び方が分からない4人それでも相談しながら遊び方を工夫して楽しんでいます少し離れたところで眺めているお兄ちゃん「お兄ちゃんは
ラインを入れるまではドキドキしたまだ返事もしていないのに虫のいい話だって思わないかって返信が途切れると不安になったけどいつもと変わらない会話をしてくれたホッと息をついた感じがした僕にとって大切な人だってのは揺るがなかった(それが答えなんだ)クリスマスイブのお店はいつもより1時間早く開店する今年は特に、閉店時間を早めたからプレゼントを購入するお客さんが開店と同時に訪れたお昼前、可愛らしいお客様一緒に居るのは・・・さとち君が呼んでたお兄ちゃんだ「こん
一晩中寝顔を見て居ようと思っていたのに不覚にも・・・眠ってしまったあまりにも智君の匂いが心地良くて気が付いたら、俺の腕の中から出ていこうとしてただから慌てて抱き寄せたにしても・・・俺って優等生(笑)なのか・・・それとも、若くないって事なのか・・・いやいや、まだまだ若いはず朝から不埒な俺のジュニア君宥めるのにかなりの労力を使ったこれは何の苦行だろうかとさえ思えてきた(汗)だがしかし、彼を怖がらせてはいけないゆっくり時間をかけてと思ってはいるが・・・俺の
画伯はかなり面白い人らしい朝食後、出掛ける準備を始めた俺たちに変装しろと言いだした「変装って俺もですか?」翔の変装は仕方がない七三分けのロイド眼鏡は楽しみにしてる「暁さんもした方が良いと思うけど」「長も変装ですか?」綾野君が難色を示す「サクちゃんがするからそこは暁さんもしないと不公平じゃない?」その理屈はどうなんだろう(笑)「俺もするんですか?」いやいや、そこはするに決まってるじゃん高級な洋服に身を包まれたら直ぐにバレちゃう
桜の精の皆さんのおもてなしを済ませた後上毛屋・若智屋の関係者の方々と風っ子の3人を労うためにお茶を振舞い漸くさとち達紅玉面々と翁の番となりました「じいちゃん・・・ごくろうしゃまでちた」さとちがお茶を妖精三人がお菓子を運んでいくその愛らしい姿に目を細める翁「このお茶はさとし殿が淹れてくれたのかな?」「おいらがいれまちた」「それはそれは・・・有難く頂くよ」「おかちはわかさとしゃん!」3人が元気よく叫ぶ「あやつの菓子は美味しいから皆も
縁とは異なものでまさかの所で繋がってる翔にとっては青天の霹靂ずっと目が点状態珍しくあわあわしてる対照的なのマスター知ってて黙ってたから飄々としてるホント食えない人だでも・・・安心した翔の回りにも沢山の味方がいるお母さんが一番の理解者になってくれたそれが一番心強い食事を終えてお茶を飲みながら歓談してるとマスターが俺の方を見て「大丈夫?」って顔をして時計を見上げた最初、意味が分からなかったけど少し切なげな顔をしたから気が付いた魔法が解ける時間
朝から大忙しだった健太君お腹がいっぱいになったら眠くなって来たのか僕の膝の上に頭を乗っけて目を擦り始める「眠くなった?」「ううんねむくないもん」瞼がくっ付きそうになりながら何度も頭を振る分るなぁ、大好きな人たちが居るから眠りたくない気持ちそれでも睡魔は遠慮してくれない何度も大きな欠伸になって早く寝た方が良いよってサインを出す「お布団まで連れて行こうか?」翔さんが健太君の顔を覗き込んで訊ねる「ううん・・・もうすこし、ここにいるの」起き上が