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松の内が終わると祭りの後のように静かな普段着の日常が戻ってきたそれが淋しいと思わなくなったのはきっと年を取ったからなのかもしれない日常が戻ってくると仕事も始まる(当然のことだが)タウン誌に載せるレポやエッセイはページ数も少なく締め切りも余裕がある為、そこ迄てこずらない頭を悩ませるのは、初連載の小説だ花笑み商店街の人々の日常を描いた小説どちらかと言うと地味な話なのだが思いの外好評らしく打ち切り等の話は出ていないモデルが智君なのだから人気が出るのは当たり前それと彼
智君のご両親の話を聞いていると長老会の認識にズレがあるような気がした大野一族が里から里と一線を画しているからなのかもしれない長を守るためだけに存在する東の家長を守るって何から?「何て挨拶に見えたの?」貴方が怪訝な顔をして訊ねる「東の家の長老の事?」お父さんが貴方の顔を見ながら確かめるように訊ねる「うん」「東の家は暁になる前から長に仕えてきた一族お前を正式に里にお迎えし一族一丸となって長を守りお仕えいたしますって・・・昔からの口
波が打ち寄せる音だけが聴こえる部屋窓の外は瑠璃色の空に蒼白い月が浮かんでた「翔・・・もっと感じさせて・・・」乾いた心を潤すように際限なく求め続ける貴方まるで心の中に芽生えた疑念を打ち消すように「智・・・俺の智・・・もっと・・・」荒い息と共に昇り詰めていく・・・逢えなかった日々を埋めるように何度も・・・何度も・・・愛し合える喜びを噛みしめるように腕の中でまどろむ貴方はまるで幼子の様で思わず頬に唇を寄せる昼間、
大ちゃんと蒼さんは顔がよく似ている違うのは髪の色と瞳の色蒼さんは金色の髪に蒼い瞳(外国の人かな?)大ちゃんは黒髪に黒い瞳(青みがかってるような気はするけど)顔かたちがそっくりなんだ「お願いしていた物が出来上がったと聞いたので取りに来ました」大ちゃんがにっこり笑う一番最初の依頼は大ちゃんのマリッジリング(これも多分だけど)次に蒼さんが二組のマリッジリングの依頼「はい、出来上がってます長い間待っていただきて申し訳ありませんでした」「それだけ時間を掛けて
師匠が大ちゃんに3組分の値段を提示したその金額をそのままカードで支払ってくれたつまり、一体いくらなのか分からない不安気な顔をしてると「君の師匠は良心的だね(笑)」大ちゃんがにっこり笑って僕の肩を叩いた「俺だってな、ちゃんと弁えてるぞ」何も言ってないのに今度は師匠が言い訳めいた顔をする「師匠が付けてくれた値が知りたかっただけで文句は言ってないです」「今回は正当な値をつけさせて頂きました」「ええ、間違いなく正当な値だと思います」「ご祝儀相場じゃない
眩い光を浴びながら波打ち際を二人で歩く「こうやって歩くの初めてじゃねえ?」貴方が嬉しそうに笑う海が見える場所に行くことは有っても波打ち際を歩くのは初めて「海水浴に来た事がないから(笑)」「そう言えば・・・最初の道草って海が見えるところだったよな」「ええ、デートじゃなく道草寄り道だっけ?」「どっちかだったな(笑)あの時って、喧嘩してたよなぁ?」まだ付き合い始めて無い頃だったはず「喧嘩と言うか・・・価値観の相違!貴方の口癖
着替えが終わった翔と翔兄さん思わず吹き出して笑ってしまった「あはは・・・双子の兄弟みたい!」翔兄さんには申し訳ないけど写真で見せて貰った翔以上に実物は破壊力が(笑)・・・一昔前の秘書って感じ?これに手帳を持たせたらどこからどう見ても有能な秘書「二人並んで!記念写真撮るから」可笑しそうに笑いながらの画伯の言葉この人、相当なSっ気があるのかも翔兄さんが恨めしそうな顔をして見つめてる翔もタジタジって顔でも、その写真欲しい(笑)それを見れば
あともうちょっとで六人分の珈琲が淹れ終わる声が聴こえるから気も漫ろ直ぐにでも顔を見に行きたい衝動を必死に抑えて一応せっかちなりの最低限の湯をゆっくりと注ぎこんでいく「こら!サク、それじゃあ紅茶」カップを並べてる翔兄がサーバーの中のコーヒーを指さす「豆が粗挽きなんじゃないの?」「違うだろ・・・湯を注ぐのが速いの」緊張してる翔兄落ち着きがないのか、ちょっとイライラモード「そんなこと言っても・・・今更・・・」最初、ゆっくり蒸らさないとコ
何から話して良いのか考えてしまうけど先ずは・・・確めなくてはいけないことがある「不躾な事は重々承知していますですが・・・最初にお伺いすべきだと思いました正直な気持ちを聞かせてください」お母さんも同じ気持ちのような気がした翔君が居ない処で聞きたい事があるはず「何なりと聞いてください」お母さんはある程度予測していたのか落ち着いた様子で小さく頷いた「翔君から僕のことを聞いた時どう思われましたか?同性の恋愛、それと・・・」「一族の事です
海岸戦をゆっくり進む車車窓に広がる天色の空と蒼い海波間から陽の光が顔を出し波の音をBGMにしてキラキラ輝きながらダンスをしてるみたいだ潮の香りも懐かしい・・・「長・・・大丈夫ですか?」後部座席に凭れ掛かって外ばかり眺めているからなのか綾野君が心配そうな顔をした「剛君、長じゃないから(笑)こんな近くで見る海は久し振りだなって思って」そう言えば・・・彼奴のとっておきの場所も海が見える場所だった「確かに・・・こんな近くで波の音を聴
画伯が席を立ってリビングに向かう翔兄さんが後を追うように席を立った「長・・・画伯の後ろに見えた方はおじさんで間違いないの?」『母の・・・匂いがした・・・そうだ・・・あの方は私の叔父・・・』「じゃあ、幼い頃に別れてるはずだよね?」『幼心に憶えていた・・・母と並んでいたところを・・・まさか・・・私に姉上がいたとは・・・』長が生れたから帝から離された?何の為に?「帝も先読みできた・・・つまりは蒼穹国が滅びるのも知って
目抜き通りを抜けて裏路地に入るお袋にとっては初めての場所さぞ心細いかと思いきやどちらかと言うと楽しんでいる様子「路地裏って初めて?」「初めてじゃないわよかなり遠い昔だけれど一度だけ来た事がある」母が悪戯っぽい笑みを浮かべもう時効ねって顔をする「初めてじゃないの?」「ええ、学生の頃はお転婆だったから(笑)ダメと言われると行ってみたくなるの」初めて聞いた・・・俺の方が動揺してる「変わってない?」「どうなのかしら?お友達が
貴方が俺を呼んで座っているテーブルに別のテーブルをくっ付けるように指示するどうやら料理が乗りきらないらしいカウンターには大皿に載った料理お肉にお魚に野菜・・・ここが喫茶店とは思えないような本格的なフランス料理この人どこで修行してきたの?謎が多すぎて、マジマジと顔を見てしまった「マスター、今から俎板の鯉だよ」貴方がクスクス笑いながら大皿料理を手にする「この料理はコースで出してこそなんだけど」ちょっと不本意だと言わんばかりの顔をする「仕方ないです
売るパンがなくなれば閉店今日は15時に終了店の片付けと掃除を済ませ明日の仕込みを済ませて店の外に西の空が茜色に染まり東の空からゆっくりと星空のベールが覆っていく「彼奴、何時頃帰って来る?」一番星に訊ねても返事がある訳もなく小さく溜息をついて店の中に戻る夕食は野菜たっぷりのカレーとサラダそれからスープ空いてる時間に作ったから正直、手持無沙汰連絡がないのは手間取ってるからだと推察できるが電話するのも癪に障るこの場合、連絡入れるのはお前の方な心の中
至急連絡して!って留守電を入れたにも拘らず掛かってきたのはベッドに入る頃「もしもし、至急って何の用事?」能天気な声が聴こえて来た「雅紀、至急って言葉の意味知ってる?」「急ぎの用って意味でしょ?」何を当たり前のことをって失礼なって気持ちが含まれてる声「じゃあ、何でこんな遅いの?」「俺だって仕事はしてるのそれに、直ぐに電話できない事もあるでしょ」「どんな用で?」明らかに八つ当たりなのは言うまでもないのだが智君の機嫌を損ねイマイチ
マスターからヘルプが入り二人を席に残して厨房に行く用意されてる料理を見て唖然とした路地裏の喫茶店で出て来るものではないコース料理(フランス料理?)のようだけれど・・・「マスター張り切り過ぎ(笑)」「そうかい?櫻井君と二人ならいつもの特製ランチで良いかと思ったがいくらなんでもあの方に失礼かと思ってね」「こっちの方が驚くと思うけど」「お前にも食べて貰いたかったのここ来るの何年振りだ?」「2年・・・3年・・・くらい経ってる?」「それ
周りに人がいない事と店内の有線で流れる音楽を味方にして翔さんは臆面もなく愛を囁く囁かれる僕は嬉しいけれど恥かしいが先行する僕も同じ気持ちだけれど♫天気予報どんな時も僕は晴れ君が太陽~♫雨が降ってても雪が降ってても隣りに翔さんが居れば気持はいつも晴れ(笑)それを言うときっと翔さんは止まらなくなる(だって小説家さんだもん)それより、さっきの話をしないと初詣は一緒に行ける事になったけど翔さんの家に健太君とお泊り一体何時決まったんだろう?
海岸線を車を走らせるてっきり貴方のご両親の家だと思っていた俺行先を告げられて面食らう「今日も画伯の事務所ですか?」かなり不満げな声を出してしまった「念には念を・・・ご両親の希望でもある」「ご両親の?」「子を想う気持ちからだよ万が一表沙汰になった時今以上に監視が厳しくなったら困るそれを懸念してのこと・・・サクちゃんが思うほど単純ではないよ」初めて見る画伯の難しい顔俺に同行して実家に行ってくれた時でも笑みを浮かべて飄々とした顔で
大ちゃんの苦悩・・・それは俺たちの苦悩でもある蒼の森から戻り、そのまま翔に電話をした「もしもし、もう寝てた?」「ううん、まだ寝てないよそれよりどうかした?」俺の声が尋常じゃなかったのだろう心配そうな声で訊ねる「カズとマサキと一緒に離宮に来てくれない?」「離宮にって、今から?」「うん、急を要する事なんだ先に行ってジュンにも来てもらう」「分かった、すぐに向かう」「お兄ちゃんは寝てるよな?」「寝てるかどうかは分からないけど今日は
突然の思い付きで貴方に話してしまったけど実現可能だとタカを括ってた画伯の家に着くなり話をするといつも柔和な笑みを浮かべている画伯が難色を示した「サクちゃん・・・難しいかも・・・」「難しい?無理って事ですか?」「無理と言うか・・・何の準備もせずに会うのは無謀・・・」隣りで聞いてた翔兄が大きく溜息をついた「お前何も分かってないのな暁さんのご両親と逢うためにどれだけ準備してるのか分かってる?」「それは承知していますですが、先日
翔さんの家に着くまで何度も体温計の画像を見てた微熱だから大丈夫少し下がってきてるから大丈夫って心の中で言い聞かせながら「心配しなくても大丈夫よ櫻井さんも子どもじゃないんだからもし、具合悪くて寝て居なきゃいけないならご実家に戻るを選択されたはずよ」「そう思う?」「ええ、もし智ならどうする?」「僕だったら・・・実家に帰るから大丈夫ですって言うかも・・・」「でしょ?つまり、風邪の引き始めでそこまで酷くないって事よ家に連れて行って大丈夫
マスターに呼ばれ久し振りにカウンターの中に入った二人の事がかなり気になるけれどソワソワしながらマスターの顔を見る「櫻井君って、やっぱりせっかちだよね」『知ってたけど、これほど』っと言いたげな顔で苦笑い確かにせっかちではあるが今日のような状況下の場合大概の人はそうだと思う「時と場合に寄りますって最近は長くなった方だし・・・」「ふふ・・・短いって自覚は有ったんだ(笑)じゃあ、珈琲豆挽いて貰おうかな」え~っと・・・そこからそこに繋げる?
お前が俺と一緒に居るのに黙ってられる訳ないんだよ何でそんな簡単な事に気が付かないか(笑)パンを作ってる時ですら話し掛けてくるんだから二人きりの時のお前の辞書に『ぼんやりタイム』は存在しないあんまり煩い時は口を塞ぐけど(もちろん唇で)そうじゃない時は、お前の話を楽しんでるだから、黙って傍に居なくて良いんだよそれを説明するのは難しい自分でその答えに辿り着くまで納得しないから(そう言うところは頑固だ)だから気が付くまで『なんちゃってぼんやりタイム』に付き合ってやるよまあ
何で気が付かないんだろう(笑)俺だってその日の意味ぐらい知ってるって去年は日本に居なくて淋しい思いをしてたみたいだけどって・・・ラインでブツブツ言ってたぞそれすら忘れてるようだから黙ってるけど翌日、ニノと松本からラインが入った「15日は昼頃伺います」ってのがニノ「15日夕方行くから」が松本相葉ちゃんから連絡があったらしいが当の相葉ちゃんからは来ていない助っ人に選んだのは相葉ちゃんだな相葉ちゃんが気を利かせて日にちを変更したんだろうあの二人に知られるとややこ
新幹線のホームから改札に向かう綾野君が俺の少し前を歩いていく改札口の前で右手を上げた相手はちょっと気まずそうな顔をして胸の所まで右手を上げたシャイなのか・・・クールなのか・・・どっちともつかない笑みを浮かべてるがあの瞳は人懐っこそうな気がする「大野さん・・・彼が画伯の弟さんです」そっと耳打ちをしてくれる「剛君の友人でもあるんだよね」「はい・・・私はそのつもりなんですけど(笑)」苦笑いを浮かべる確か画伯の弟だとは知らなかったはずそう言う意味
学生の頃(小学校だな)遠足や修学旅行の前日が一番楽しかったのを憶えてるその日の朝の目覚めが早かったことまで・・・帰りのバスや電車の中でもうすぐ終わるって思うと何だか淋しかった今の俺がまさにその状態だ智君と二人でキッチンに立ち保存用の食事を作る殆ど補助要員の俺だけどそれはそれで楽しいカレーを作って小分けにして冷凍保存野菜スープも同じように冷凍されていく刻んだ野菜や茹でた野菜も同じ炊き立てのご飯も同じだ「今日の夕飯は作らない方が良いですね」貴方が意
お弁当を食べ終える前に休みの予定が決まり二人でまったりと食後のコーヒーを頂くことに師匠の想いも伝わったようだから貴方の創作の妨げにはならないと安堵するそのぶん、俺や師匠が頑張らなきゃいけないが二人で動く訳ではない親父も協力を約束してくれたここの商店街がかなりのお気に入りのようだこの街並みを残しての活性化成功している街並みをリサーチすることから始めるべきかもしれない「翔さんのお話って…」遠慮がちに話し始める智くん話題が相応しいのか考えてるような少し躊躇いがち「俺
狸は悪い人じゃない?長を閉じ込めてるのはあの狸どもなのに?「現長は視野が狭いのかな?」画伯が痛い所を突いて来る「俺の視野が狭い?」憮然とした顔をして真っ直ぐに見つめる「長制度に疑問を持つのは分かる自由を奪われ幽閉されてる状況文句の一つも言いたくなるその気持ちを否定するつもりはない寧ろ大声を張り上げて良いそんな事、皇子は望んでないよね?」違いますか?って顔をして長に訊ねる長は大きく首を縦に振って『ええ、望んでいません智には外の世
アトリエの前の道を駅に向かって歩いていく頬に当たる風の冷気も心地良く感じるきっと心が暖かいからだ「長、ゆっくり話せましたか?」胸元の長の証を握り締めて心の中で呟く『不思議なものだな・・・大人になった私が二人にお会いできるなど夢にも思っていなかった』「俺のイメージ通りのお二人だった聡明でいて慈悲深い帝と妃ただ、あんなにお若い方だとは思わなかった」『智が思っているよりは年を取ってるぞ(笑)』「そうなの?」『ああ・・・私が知らな
冬の柔らかい陽射しと言うのは眠りを誘う気が付いたら、天窓から見える空はお日様の影響から逃れ瑠璃の色を纏い始めた横を見ると貴方がベッドを枕にし座ったまま眠っていた天使の様な寝顔に暫しフリーズしたものの考えたら、これは相当拙い・・・熱を出して寝込んでた人を座ったまま寝かせるなんて言語道断どうして隣で一緒にって言えなかった後悔しても後の祭り(昨日からの俺は頂けない)肩から毛布は掛けてるけどその体勢だと余計に疲れるような気がする起こすのも可哀想だけど・・・あれこれ考